ログインしたら人外でした。 ~VRMMOで最恐の魔物になる~

夏見ナイ

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第五十三話 天空の古都、風の回廊

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黒曜石の翼が、アストライアの蒼穹(そうきゅう)を切り裂いていた。カオス・アビスへと進化したオブシディアンは、サンダー・ロックから奪い取った【飛行(中級) Lv.1】スキルと、【混沌変異 Lv.2】による翼の生成、そして【風操作 Lv.2】による気流制御を組み合わせることで、ついに安定した高高度飛行を実現していた。

眼下に広がるアストライアの大地は、もはや遥か遠い。吹き付ける風は強く冷たいが、【金剛鱗 Lv.1】と【突風耐性(小)】がそれを和らげる。高度が上がるにつれて、魔力の質も変化していく。地上のような濃密な生命エネルギーは薄れ、代わりに純粋な風のエレメントと、星々から降り注ぐような宇宙的なエネルギーが満ちているのを感じた。これは【エレメンタル知識(四大)】を持つオブシディアンにとって、むしろ心地よい環境だった。

目標は、遥か上空に浮かぶ巨大な浮遊島――「空を漂う古き都」。肉眼でも、その巨大な影がおぼろげに見えている。オブシディアンは、最適な上昇気流を探し、【風操作】でそれを捉えながら、効率的に高度を稼いでいく。飛行スキルレベルはまだ低いが、彼の持つ多彩なスキルと高いステータスがそれを補っていた。

(しかし、この高度…並の生物が生息できる環境ではないな)

オブシディアンは【猛禽の目 Lv.1】で周囲を警戒する。空気は薄く、気温も低い。そして、時折、強力な乱気流が発生し、飛行中の身体を激しく揺さぶる。この天空には、地上とは異なる独自の生態系、あるいは古代の防衛機構が存在している可能性が高い。

その予測は、すぐに現実のものとなった。

雲の切れ間から、銀色に輝く巨大な蛇のような生物が、音もなくオブシディアンへと襲いかかってきた。その身体は金属質の鱗で覆われ、翼はないが、空気を蹴るようにして自在に空中を泳ぎ回っている。

『スカイ・サーペント Lv.23』

レベルは23。オブシディアンよりも遥かに高い。しかも、空中での機動力はオブシディアンを上回っているように見えた。スカイ・サーペントは鋭い牙を剥き出しにし、オブシディアンの翼に噛みつこうとしてくる。

(空中戦か…望むところだ!)

オブシディアンは【影潜行】(混沌変異の機能)で瞬時に回避し、距離を取る。そして、【鎌鼬 Lv.1】で風の刃を放つが、サーペントの銀色の鱗に弾かれてしまう。

(硬いな…物理攻撃は効きにくいか)

オブシディアンは次に【電撃ブレス Lv.1】を放った。サンダー・ロックから得た雷の力が、稲妻となってサーペントを襲う。

「シャアアッ!」

電撃は効果があったようだ。サーペントは苦痛の声を上げ、動きが一瞬鈍る。しかし、すぐに体勢を立て直し、今度はその口から圧縮された空気の塊のようなものを連続で発射してきた。エア・エレメンタル・ロードが使った真空の刃に近いが、より高速で追尾性も高い。

オブシディアンは【風操作 Lv.2】で空気の流れを読み、巧みに回避しながら反撃の機会を窺う。【物質生成(中級) Lv.1】で黒曜石の杭を生成し、サーペントの進路を妨害するように射出する。

空中での激しいドッグファイト。オブシディアンは、飛行技術では劣るものの、多彩なスキルと高い防御力、そして【自己再生(中) Lv.1】による回復力で粘り強く戦う。そして、サーペントが一瞬、攻撃をためらった隙を見逃さなかった。

(【虚無捕食 Lv.3】!)

オブシディアンは【影潜行】で急速接近し、サーペントの銀色の胴体に食らいついた。レベル3に進化した【虚無捕食】は、もはや対象の物理的な防御力を無視して、存在そのものを喰らい始める。空間ごと歪ませるかのような、絶対的な捕食。

「ギ…シャ…ア…ア…」

スカイ・サーペントは、なすすべもなくオブシディアンの中へと吸収されていく。流れ込んでくるのは、空気を操る能力、金属質の鱗の生成メカニズム、そして高高度での生存戦略に関する知識。

『スカイ・サーペント Lv.23を捕食しました』
『経験値を1800獲得しました』
『レベルが27に上がりました』
『体力+1, 魔力容量+2, 物理防御力+1, 魔法攻撃力+1, 素早さ+1』
『スキル【風操作(小) Lv.2】が【風操作(中) Lv.1】に進化しました』
『スキル【金属生成(初級) Lv.1】を獲得しました』 (【万物創造】に統合・強化)
『スキル【空気抵抗軽減 Lv.1】を獲得しました』
『素材「天空蛇の銀鱗」「風を呼ぶ牙」「浮遊石の核」を獲得しました』

レベルアップ! そして、スキル進化と新たな獲得。【風操作】が(中)レベルになったことで、より大規模な気流操作や、精密な飛行制御が可能になるだろう。【金属生成】の知識は【万物創造】をさらに強化し、【空気抵抗軽減】は飛行速度の向上に繋がる。

スカイ・サーペントを退けたことで、周囲に他の敵性存在の気配はなくなった。オブシディアンは飛行を再開し、ついに目的地の浮遊島が目前に迫ってきた。

それは、まさに天空に浮かぶ巨大な都市だった。雲の上に突き出すように、純白の石材で築かれた塔や神殿が立ち並び、それらを繋ぐ優美な曲線を描く橋が架かっている。建造物の表面には、金や銀、そして未知の輝く素材で装飾が施され、古代の高度な文明の栄華を偲ばせた。島の縁からは、絶えず水が流れ落ち、下界に虹を描いている。しかし、その美しい光景とは裏腹に、都市全体は静寂に包まれており、人の気配は感じられない。滅びて久しい、廃墟の都なのだろう。

オブシディアンは、島の外縁部にある、比較的平坦な広場へと慎重に着陸した。足元には、ひび割れた石畳が広がっている。空気は地上よりもさらに清浄で、満ちている魔力も純粋で強力だ。

(ここが、空を漂う古き都…)

オブシディアンは【混沌変異】で翼を消し、再び周囲の環境――今回は、風化した白い石柱の影――に擬態した。そして、探索を開始する。

都市の内部は、迷路のように入り組んでいた。崩れたアーチ、苔むした噴水、巨大な石像の残骸。建物の中には、当時の生活を偲ばせるような家具や装飾品が残されている場所もあったが、そのほとんどは風化し、埃を被っている。

オブシディアンは【古代言語完全解読】スキルを使い、壁や石碑に刻まれた文字を読み解いていく。それらは、この都が「アエリア」と呼ばれ、かつて風を操る能力に長けた古代種族によって統治されていたこと、彼らが星々からの知識やエネルギーを利用して高度な魔法技術文明を築き上げたこと、しかし、やがてその力によって自滅、あるいは何者かによって滅ぼされたことを示唆していた。

(星々からの知識…始原の石板とも関係があるのか?)

オブシディアンは、石板の欠片の手がかりを探して、都市の中心部へと向かう。壁画や記録によれば、都市の中心には巨大な王宮、あるいは中央神殿のような建物があり、そこに都市の力の源となるアーティファクトが安置されていたらしい。石板の欠片も、そこにある可能性が高い。

しかし、都市の中心部に近づくにつれて、新たな脅威が出現した。それは、都市の防衛システムとして残された、自律型の古代兵器だった。金属製の鳥のような姿で空中を飛び回り、鋭いレーザーを発射してくる『ガーディアン・ホーク Lv.24』。巨大な石の身体を持ち、強力な衝撃波を放つ『ストーン・センチネル Lv.25』。

オブシディアンは、これらの古代兵器と交戦しながら、中心部へと進んでいく。【万物創造(中級) Lv.1】で生成した金属質の装甲や武器は、彼らの攻撃を防ぎ、有効なダメージを与えるのに役立った。【光学兵器制御 Lv.1】スキルも、ガーディアン・ホークのレーザー攻撃のパターンを読むのに役立ち、回避や防御を容易にした。これらの古代兵器を捕食することで、「古代魔法技術」や「エネルギー制御」に関する知識の断片も得ることができた。

そして、ついにオブシディアンは都市の中心部、巨大な王宮(あるいは神殿)の前にたどり着いた。その建物は、他の建造物よりも保存状態が良く、荘厳な雰囲気を漂わせている。入り口には巨大な扉があり、固く閉ざされているが、その表面には複雑な紋様が刻まれ、強力な魔力が込められているのが分かった。

(この中に…石板の欠片があるはずだ)

しかし、扉の前には一体の守護者が立ちはだかっていた。それは、純白の翼を持つ、美しい天使のような姿をした存在だった。しかし、その瞳には感情がなく、ただ冷たい光を宿している。手に持つ槍は、聖なる光と風の力を同時に纏っているようだった。

『セラフィック・ゲートキーパー Lv.27 (Guardian Boss)』

レベルは27。これまでのどの敵よりも高い。そして、ガーディアンボス。この天空都市の最後の守護者であり、王宮への侵入者を拒む存在なのだろう。

セラフィック・ゲートキーパーは、オブシディアンを認めると、静かに槍を構えた。その姿からは、計り知れないほどの聖なる力と、風を操る絶対的な技量が感じられた。

(光と風の複合属性…そして、レベル差もある。これは、厳しい戦いになりそうだ)

オブシディアンは、天空都市の最後の門番と対峙する。始原の石板の欠片まで、あと一歩。しかし、その道は、純白の翼を持つ強力な守護者によって阻まれていた。黒曜石の影は、決意を固め、決戦の時を待った。

名前: オブシディアン
種族: カオス・アビス (ユニーク種族)
称号: 影に潜む者 (効果向上), 墓守殺し, 深淵の使徒, 竜殺し, 風を征す者, 炎心を識る者, ヒュドラ・ベイン, 叡智を探求する者, 英雄殺し, 聖域侵犯者
所属: 未定義

【能力値】
体力: 51
魔力容量: 69
物理攻撃力: 17
物理防御力: 32
魔法攻撃力: 25
魔法防御力: 42
素早さ: 35

【スキル】
・虚無捕食 Lv.3
・混沌変異 Lv.2
・生物発光 Lv.1
・闇視 Lv.1
・噛みつき耐性(微) Lv.1
・跳躍 Lv.1
・嗅覚強化 Lv.1
・糸生成 Lv.2
・毒耐性(大) Lv.1
・金剛鱗 Lv.1
・爪撃 Lv.2
・腐食溶解液 Lv.1
・物理耐性(小) Lv.1
・万物創造(中級) Lv.1 (金属生成(初級)Lv.1を統合・強化)
・アンデッド耐性(微) Lv.1
・死霊魔術(初級) Lv.1
・精神耐性(中) Lv.1
・ブレス耐性(大) Lv.1
・怨念耐性(小) Lv.1
・深淵の心臓 Lv.1
・軍団指揮 Lv.1
・水中浮遊機動 Lv.1
・粘液噴射 Lv.1
・麻痺耐性(小) Lv.1
・壁面歩行(小) Lv.1
・鎌鼬 Lv.1
・蟲の共鳴 Lv.1
・王者のカリスマ Lv.1
・猛禽の目 Lv.1
・古代言語完全解読
・魅了耐性(微) Lv.1
・突風耐性(小) Lv.1
・風操作(中) Lv.1 (風操作(小)Lv.2より進化)
・火炎耐性(極) Lv.1
・熱源感知 Lv.1
・エレメンタル知識(四大) Lv.1
・自己再生(中) Lv.1
・火炎ブレス Lv.1
・墨噴射 Lv.1
・三叉槍術(初級) Lv.1
・古代魔術耐性(微) Lv.1
・見張り Lv.1
・電撃耐性(中) Lv.1
・聖属性耐性(小) Lv.1
・光学兵器制御 Lv.1
・古代戦略知識 Lv.1
・固有スキル【深淵領域 Lv.2】
・固有スキル【因果歪曲(微) Lv.2】
・光合成(微) Lv.1
・浄化の光 Lv.1
・森との同調 Lv.1
・魅了の花粉 Lv.1
・飛行(中級) Lv.1
・電撃ブレス Lv.1
・エレメンタル知識(雷) Lv.1
・空気抵抗軽減 Lv.1
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