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第78話:第一の試練
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闇の中から溢れ出てきた魔獣の群れは、これまでの戦いで遭遇したどの魔物とも異質だった。
その体は不自然に肥大化し、あちこちから歪な触手や刃が生えている。瞳は狂的な紫色の光を放ち、その動きは機械のように統率が取れていた。
「こいつら……!闇の魔術で改造されているのか!」
カイルが一体の魔獣を斬り伏せながら、驚愕の声を上げた。
その通りだ。闇の教団は、この地下遺跡で禁断の生命錬成を行っていたのだ。魔物を純粋な殺戮兵器へと作り変えていた。
「怯むな!隊列を崩すな!」
俺は叫んだ。
騎士たちが大盾を並べて鉄壁の防御陣を築く。その隙間から槍が突き出され、的確に魔獣の急所を貫いていく。
セレスティーナの炎の剣が唸りを上げて敵陣を切り裂き、ルナの後方からの支援魔法が魔獣たちの動きを的確に封じる。
リリアーナの聖なる光が仲間たちの傷を癒し、その士気を支える。
そして、その全てをカイルの勇者の力が一点突破の楔となって切り開いていく。
俺たち突入部隊は完璧な連携で、魔獣の第一波を凌ぎきった。
だが、敵の数は減る気配がない。
遺跡の奥から次から次へと、新たな改造魔獣が無限に湧き出てくる。
「くそっ……!キリがないぞ!」
騎士の一人が悲鳴に近い声を上げた。
このままでは消耗戦に持ち込まれ、いずれはじり貧になる。
俺は戦場の喧騒の中で、冷静に状況を分析していた。
敵の狙いは俺たちをこの第一階層で足止めし、時間を稼ぐこと。その間に最深部で儀式を完成させるつもりだ。
ならば、俺たちがやるべきことは一つ。
この雑魚の群れは仲間に任せ、俺が単身で先へと進む。
「――カイル!セレスティーナ!」
俺は前線で戦う二人に叫んだ。
「ここは任せた!俺は先に行く!」
「なっ!?アレン様、一人で!?」
カイルが驚いて振り返る。
「無茶よ、アレン!敵の数は……!」
セレスティーナも反対の声を上げた。
「俺を誰だと思っている?」
俺は不敵な笑みを浮かべて言った。
「お前たちのリーダーだろ?」
その絶対的な自信に満ちた言葉に、二人は押し黙るしかなかった。
俺たちの間には、もはや言葉以上の深い信頼関係があった。
「……分かりました。ですが、必ずご無事で!」
「せいぜい、私たちのために道を切り開いておきなさい!」
二人の言葉を背に、俺は魔獣の群れの中へと単身突っ込んでいった。
「愚かな!一人で何ができる!」
魔獣たちが俺めがけて殺到する。
だが、俺はもはや彼らを敵とすら認識していなかった。
俺の体はまるで流れる水のように、魔獣たちの攻撃の隙間をすり抜けていく。
剣を振るうことすらない。ただ、すれ違いざまに魔力の衝撃波を放ち、一体、また一体とその動きを的確に奪っていく。
それはもはや戦闘ではなかった。
ただの障害物競走。
俺は一切の無駄な動きなく、魔獣の壁をいとも容易く突破した。
第一階層の最奥。
そこには次の階層へと続く巨大な魔法障壁が、不気味な光を放っていた。
そしてその前には、一体のひときわ巨大な改造魔獣が門番のように立ち塞がっていた。
上半身はミノタウロス、下半身は巨大な蠍。その両腕は鋼鉄の斧と化している。複数の魔物を無理やり一つに繋ぎ合わせた、悪趣味の極みのような怪物。
第一階層のボスだ。
『……キサマがリーダーか』
怪物が地の底から響くような声で言った。
『コノ先ヘハ行カセヌ。我ガ主ノ儀式ノ邪魔ハサセヌ』
「どいてもらおうか。俺は急いでいるんでな」
俺は静かに魔剣を構えた。
怪物との間に、張り詰めた空気が流れる。
どちらが先に動くか。
その均衡を破ったのは怪物だった。
その巨体からは想像もつかないほどの俊敏さで、俺に襲いかかってきた。
振り下ろされる鋼鉄の斧が風を切り裂き、轟音と共に俺がいた場所の床を粉砕する。
俺はその攻撃を紙一重で躱していた。
そして、俺はまだ動かなかった。
ただ冷静に相手の動きを観察する。
ミノタウロスの突進力、蠍の尾の毒針、そして両腕の斧のリーチ。
全ての攻撃パターンを、俺の脳が瞬時に分析していく。
そして、俺は唯一の、そして致命的な『隙』を見つけ出した。
それは蠍の尾で攻撃した後、ミノタウロスの巨体が一瞬だけバランスを崩す、コンマ数秒の硬直。
「――そこだ」
俺は静かに呟いた。
俺は自ら怪物の間合いへと飛び込んだ。
怪物は俺の無謀な突進を嘲笑うかのように、その猛毒の尾を薙ぎ払ってきた。
俺は、その攻撃を待っていた。
地面すれすれまで身を屈め、尾の攻撃を躱す。
そして怪物の巨体が予測通り、わずかに傾いだ。
その一瞬の隙。
俺は地面を蹴った。
俺の体はまるで弾丸のように空を舞い、怪物の巨大な懐へと潜り込んだ。
そして、俺の魔剣が黒い閃光となって煌めいた。
俺が狙ったのはミノタウロスと蠍の不自然な接合部分。
この改造魔獣の唯一の構造的弱点。
俺の剣は寸分の狂いもなく、その急所を深く、そして正確に貫いていた。
『……グ……オオオオオ……!』
怪物は信じられないといった顔で、自らの胸に突き刺さる剣を見下ろし、そして断末魔の叫びを上げた。
その巨体はゆっくりと内側から崩壊し、やがてただの塵となって消え去った。
ボスの消滅と共に、第一階層を覆っていた魔法障壁がガラスのように砕け散った。
次の階層への道が開かれた。
俺は剣を鞘に納めると、一度だけ仲間たちが戦う後方を振り返った。
彼らの奮戦する気配が確かに伝わってくる。
「……信じてるぞ、皆」
俺は小さく呟くと、迷わず第二階層へと続く暗い通路へと足を踏み入れた。
本当の地獄は、ここからだった。
その体は不自然に肥大化し、あちこちから歪な触手や刃が生えている。瞳は狂的な紫色の光を放ち、その動きは機械のように統率が取れていた。
「こいつら……!闇の魔術で改造されているのか!」
カイルが一体の魔獣を斬り伏せながら、驚愕の声を上げた。
その通りだ。闇の教団は、この地下遺跡で禁断の生命錬成を行っていたのだ。魔物を純粋な殺戮兵器へと作り変えていた。
「怯むな!隊列を崩すな!」
俺は叫んだ。
騎士たちが大盾を並べて鉄壁の防御陣を築く。その隙間から槍が突き出され、的確に魔獣の急所を貫いていく。
セレスティーナの炎の剣が唸りを上げて敵陣を切り裂き、ルナの後方からの支援魔法が魔獣たちの動きを的確に封じる。
リリアーナの聖なる光が仲間たちの傷を癒し、その士気を支える。
そして、その全てをカイルの勇者の力が一点突破の楔となって切り開いていく。
俺たち突入部隊は完璧な連携で、魔獣の第一波を凌ぎきった。
だが、敵の数は減る気配がない。
遺跡の奥から次から次へと、新たな改造魔獣が無限に湧き出てくる。
「くそっ……!キリがないぞ!」
騎士の一人が悲鳴に近い声を上げた。
このままでは消耗戦に持ち込まれ、いずれはじり貧になる。
俺は戦場の喧騒の中で、冷静に状況を分析していた。
敵の狙いは俺たちをこの第一階層で足止めし、時間を稼ぐこと。その間に最深部で儀式を完成させるつもりだ。
ならば、俺たちがやるべきことは一つ。
この雑魚の群れは仲間に任せ、俺が単身で先へと進む。
「――カイル!セレスティーナ!」
俺は前線で戦う二人に叫んだ。
「ここは任せた!俺は先に行く!」
「なっ!?アレン様、一人で!?」
カイルが驚いて振り返る。
「無茶よ、アレン!敵の数は……!」
セレスティーナも反対の声を上げた。
「俺を誰だと思っている?」
俺は不敵な笑みを浮かべて言った。
「お前たちのリーダーだろ?」
その絶対的な自信に満ちた言葉に、二人は押し黙るしかなかった。
俺たちの間には、もはや言葉以上の深い信頼関係があった。
「……分かりました。ですが、必ずご無事で!」
「せいぜい、私たちのために道を切り開いておきなさい!」
二人の言葉を背に、俺は魔獣の群れの中へと単身突っ込んでいった。
「愚かな!一人で何ができる!」
魔獣たちが俺めがけて殺到する。
だが、俺はもはや彼らを敵とすら認識していなかった。
俺の体はまるで流れる水のように、魔獣たちの攻撃の隙間をすり抜けていく。
剣を振るうことすらない。ただ、すれ違いざまに魔力の衝撃波を放ち、一体、また一体とその動きを的確に奪っていく。
それはもはや戦闘ではなかった。
ただの障害物競走。
俺は一切の無駄な動きなく、魔獣の壁をいとも容易く突破した。
第一階層の最奥。
そこには次の階層へと続く巨大な魔法障壁が、不気味な光を放っていた。
そしてその前には、一体のひときわ巨大な改造魔獣が門番のように立ち塞がっていた。
上半身はミノタウロス、下半身は巨大な蠍。その両腕は鋼鉄の斧と化している。複数の魔物を無理やり一つに繋ぎ合わせた、悪趣味の極みのような怪物。
第一階層のボスだ。
『……キサマがリーダーか』
怪物が地の底から響くような声で言った。
『コノ先ヘハ行カセヌ。我ガ主ノ儀式ノ邪魔ハサセヌ』
「どいてもらおうか。俺は急いでいるんでな」
俺は静かに魔剣を構えた。
怪物との間に、張り詰めた空気が流れる。
どちらが先に動くか。
その均衡を破ったのは怪物だった。
その巨体からは想像もつかないほどの俊敏さで、俺に襲いかかってきた。
振り下ろされる鋼鉄の斧が風を切り裂き、轟音と共に俺がいた場所の床を粉砕する。
俺はその攻撃を紙一重で躱していた。
そして、俺はまだ動かなかった。
ただ冷静に相手の動きを観察する。
ミノタウロスの突進力、蠍の尾の毒針、そして両腕の斧のリーチ。
全ての攻撃パターンを、俺の脳が瞬時に分析していく。
そして、俺は唯一の、そして致命的な『隙』を見つけ出した。
それは蠍の尾で攻撃した後、ミノタウロスの巨体が一瞬だけバランスを崩す、コンマ数秒の硬直。
「――そこだ」
俺は静かに呟いた。
俺は自ら怪物の間合いへと飛び込んだ。
怪物は俺の無謀な突進を嘲笑うかのように、その猛毒の尾を薙ぎ払ってきた。
俺は、その攻撃を待っていた。
地面すれすれまで身を屈め、尾の攻撃を躱す。
そして怪物の巨体が予測通り、わずかに傾いだ。
その一瞬の隙。
俺は地面を蹴った。
俺の体はまるで弾丸のように空を舞い、怪物の巨大な懐へと潜り込んだ。
そして、俺の魔剣が黒い閃光となって煌めいた。
俺が狙ったのはミノタウロスと蠍の不自然な接合部分。
この改造魔獣の唯一の構造的弱点。
俺の剣は寸分の狂いもなく、その急所を深く、そして正確に貫いていた。
『……グ……オオオオオ……!』
怪物は信じられないといった顔で、自らの胸に突き刺さる剣を見下ろし、そして断末魔の叫びを上げた。
その巨体はゆっくりと内側から崩壊し、やがてただの塵となって消え去った。
ボスの消滅と共に、第一階層を覆っていた魔法障壁がガラスのように砕け散った。
次の階層への道が開かれた。
俺は剣を鞘に納めると、一度だけ仲間たちが戦う後方を振り返った。
彼らの奮戦する気配が確かに伝わってくる。
「……信じてるぞ、皆」
俺は小さく呟くと、迷わず第二階層へと続く暗い通路へと足を踏み入れた。
本当の地獄は、ここからだった。
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