50 / 97
第53話 医学界の革命「魔力スキャナー」
謁見は第一王子ライオネルの予期せぬ援護により、エリアーナの功績を完全に否定も肯定もできないまま一旦閉会となった。
エリアーナとカイドは王城内に用意された客室で、今後の対策を練っていた。
「第一王子が我々の味方になってくれるかもしれん。これは大きな収穫だった」
カイドが腕を組みながら言った。
「はい。ですが、宰相や魔術師団長のような保守派を納得させるにはまだ足りません。彼らが『小細工』と呼べないような、圧倒的な成果を示す必要があります」
エリアーナは静かな闘志を燃やしていた。
その時、客室の扉が控えめにノックされた。
入ってきたのは国王の侍従の一人だった。しかしその様子はどこか落ち着きがなく、人目を忍んでいるようだった。
「……エリアーナ様。極秘にお会いいただきたい方がおります」
侍従に導かれ、エリアーナが向かったのは王城の奥深く、王妃の私室へと続く一室だった。そこには数人の年配の男性たちが憔悴しきった顔で彼女を待っていた。彼らは王家に仕える宮廷医師団の医師たちだった。
「お待ちしておりました、エリアーナ様」
医師団の長らしき老医師が深々と頭を下げた。その目には藁にもすがるような、切実な光が宿っている。
「このような非公式な形でお呼び立てし、誠に申し訳ない。実は王妃陛下のことで、あなた様のお知恵をぜひともお借りしたいのです」
エリアーナは事情を聞いた。
王妃は数年前から原因不明の病に苦しんでいるという。体中の激しい痛みを訴え、日増しに衰弱していく。しかし、どんな名医が診察しても、どんな高位の神官が回復魔法をかけても、その原因を突き止めることすらできずにいた。
「我々もあらゆる手を尽くしました。ですが王妃陛下のお体には、毒の反応も呪いの痕跡も魔力の乱れも見られないのです。完全にお手上げの状態でして……」
老医師は悔しそうに唇を噛んだ。
「謁見でのあなた様のお話を、我々は陰ながら拝聴しておりました。魔法とは違う理で世界を捉えるあなた様ならば、あるいは我々には見えない『何か』を、見つけてくださるのではないかと……」
それはプライドの高い宮廷医師団が、魔力なき少女に助けを請うという異例中の異例の事態だった。
エリアーナは即座に、これが自分に与えられた絶好の機会であることを理解した。
この魔法医療の限界を、私の科学で打ち破ることができれば。それは保守派の重鎮たちを黙らせる、何よりの切り札になる。
「……分かりました。私でよろしければ、診察させていただきます」
エリアーナは医師たちの案内で、王妃の寝室へと通された。
天蓋付きの豪奢なベッドに王妃は横たわっていた。かつては絶世の美女と謳われたであろうその顔は、今は苦痛に歪み血の気を失っている。
エリアーナはまず問診を行った。いつから、どこが、どのように痛むのか。食事は、睡眠は。梨花の記憶にある近代医療の基礎的な診断手順だ。
次に聴診器の代わりとなる集音器を作り、心音や呼吸音を聞く。脈を測り、体温を計る。
しかし医師たちの言う通り、表面的な診察では何の異常も見当たらない。
(……問題は体の、もっと深い場所にある)
エリアーナはカイドに協力を要請し、研究室から一つの大きな装置を運び込ませた。それは彼女がアイゼンヴァルトで開発していた、最新の発明品だった。
金属のフレームで組まれた大きな寝台と、その上をゆっくりとスライドするドーナツ状の巨大なリング。そのリングの内側には無数の小さな鉱石が精密な角度で埋め込まれている。
「こ、これは……一体、何ですかな?」
老医師が呆然と尋ねる。
「『生体魔力活動断層撮影装置』……名付けて、『魔力スキャナー』です」
エリアーナは簡潔に答えた。
「人間の体は常に微弱な生体電流と魔力の流れに満ちています。この装置は強力な磁場を発生させ、体内の魔力粒子を一時的に励起させます。そして、その粒子が元の状態に戻る際に放出するごく微弱なエネルギー波を、このリングで捉え画像化するのです」
それは現代医療におけるMRI(磁気共鳴画像)の原理を、この世界の物質で再現したものだった。
魔法では決して見ることのできない人体の内部構造と魔力の流れそのものを、断層写真のように寸分違わず描き出すことができる。
医師たちはその説明を聞いても、全く理解が追いついていないようだった。
エリアーナは衰弱した王妃を、カイドたちの助けを借りて慎重にスキャナーの寝台へと移した。
装置が低い駆動音と共に動き始める。巨大なリングがゆっくりと王妃の体の上を移動していく。
隣室に設置されたスクリーン代わりの特殊な水晶板に、次々と人体の断面図が光の濃淡として映し出されていった。骨、筋肉、内臓、そして血管のように体内を巡る青白い魔力の流れ。
「おお……!」
「信じらん……! 人の体の中が、これほど鮮明に見えるとは……!」
医師たちから驚嘆の声が上がる。
エリアーナは彼らの反応には目もくれず、スクリーンの画像を鋭い目つきで食い入るように見つめていた。
そして。
「……あった」
彼女はある一点を指さした。
それは王妃の背骨の腰に近い部分の断面図だった。そこには他の部分とは明らかに違う、異常な箇所が映し出されていた。
「ここです。神経の束と主要な魔力経路が交差するこの一点。極めて微小ですが、魔力の流れに『詰まり』が生じています。おそらく過去の何らかの衝撃で神経組織がごくわずかに損傷し、それが魔力経路を圧迫しているのです。この『詰まり』が全身に激しい神経痛を引き起こし、魔力の循環不全による原因不明の衰弱を招いていた。これが王妃陛下の病の、本当の原因です」
その診断はあまりにも的確で、明快だった。
医師たちは自分たちが何年もかけて見つけられなかった病巣を、この少女がたった数時間で、そして見たこともない機械でいとも容易く特定してしまった事実に言葉を失っていた。
それは彼らが信じてきた魔法医療が、エリアーナの『科学』の前に完全に敗北した瞬間だった。
「……治療は、可能なのでしょうか」
老医師が震える声で尋ねた。
「はい」
エリアーナは力強く頷いた。
「外科手術は今の王妃陛下の体力では危険です。ですが私の『ソニック・ハンマー』を、極めて低出力で精密にコントロールして照射すれば、この詰まりを体を傷つけることなく内部から破壊できる可能性があります」
それは魔法でも、薬でもない。
物理的な振動によって病巣そのものを叩くという、全く新しい治療法。
エリアーナはこの国の医学界に革命の狼煙を上げたのだ。
そしてその狼煙は王城の最も高い場所にいる、あの保守的な重鎮たちの元へも必ずや届くことになるだろう。
彼女の本当の戦いは、今、まさに始まろうとしていた。
エリアーナとカイドは王城内に用意された客室で、今後の対策を練っていた。
「第一王子が我々の味方になってくれるかもしれん。これは大きな収穫だった」
カイドが腕を組みながら言った。
「はい。ですが、宰相や魔術師団長のような保守派を納得させるにはまだ足りません。彼らが『小細工』と呼べないような、圧倒的な成果を示す必要があります」
エリアーナは静かな闘志を燃やしていた。
その時、客室の扉が控えめにノックされた。
入ってきたのは国王の侍従の一人だった。しかしその様子はどこか落ち着きがなく、人目を忍んでいるようだった。
「……エリアーナ様。極秘にお会いいただきたい方がおります」
侍従に導かれ、エリアーナが向かったのは王城の奥深く、王妃の私室へと続く一室だった。そこには数人の年配の男性たちが憔悴しきった顔で彼女を待っていた。彼らは王家に仕える宮廷医師団の医師たちだった。
「お待ちしておりました、エリアーナ様」
医師団の長らしき老医師が深々と頭を下げた。その目には藁にもすがるような、切実な光が宿っている。
「このような非公式な形でお呼び立てし、誠に申し訳ない。実は王妃陛下のことで、あなた様のお知恵をぜひともお借りしたいのです」
エリアーナは事情を聞いた。
王妃は数年前から原因不明の病に苦しんでいるという。体中の激しい痛みを訴え、日増しに衰弱していく。しかし、どんな名医が診察しても、どんな高位の神官が回復魔法をかけても、その原因を突き止めることすらできずにいた。
「我々もあらゆる手を尽くしました。ですが王妃陛下のお体には、毒の反応も呪いの痕跡も魔力の乱れも見られないのです。完全にお手上げの状態でして……」
老医師は悔しそうに唇を噛んだ。
「謁見でのあなた様のお話を、我々は陰ながら拝聴しておりました。魔法とは違う理で世界を捉えるあなた様ならば、あるいは我々には見えない『何か』を、見つけてくださるのではないかと……」
それはプライドの高い宮廷医師団が、魔力なき少女に助けを請うという異例中の異例の事態だった。
エリアーナは即座に、これが自分に与えられた絶好の機会であることを理解した。
この魔法医療の限界を、私の科学で打ち破ることができれば。それは保守派の重鎮たちを黙らせる、何よりの切り札になる。
「……分かりました。私でよろしければ、診察させていただきます」
エリアーナは医師たちの案内で、王妃の寝室へと通された。
天蓋付きの豪奢なベッドに王妃は横たわっていた。かつては絶世の美女と謳われたであろうその顔は、今は苦痛に歪み血の気を失っている。
エリアーナはまず問診を行った。いつから、どこが、どのように痛むのか。食事は、睡眠は。梨花の記憶にある近代医療の基礎的な診断手順だ。
次に聴診器の代わりとなる集音器を作り、心音や呼吸音を聞く。脈を測り、体温を計る。
しかし医師たちの言う通り、表面的な診察では何の異常も見当たらない。
(……問題は体の、もっと深い場所にある)
エリアーナはカイドに協力を要請し、研究室から一つの大きな装置を運び込ませた。それは彼女がアイゼンヴァルトで開発していた、最新の発明品だった。
金属のフレームで組まれた大きな寝台と、その上をゆっくりとスライドするドーナツ状の巨大なリング。そのリングの内側には無数の小さな鉱石が精密な角度で埋め込まれている。
「こ、これは……一体、何ですかな?」
老医師が呆然と尋ねる。
「『生体魔力活動断層撮影装置』……名付けて、『魔力スキャナー』です」
エリアーナは簡潔に答えた。
「人間の体は常に微弱な生体電流と魔力の流れに満ちています。この装置は強力な磁場を発生させ、体内の魔力粒子を一時的に励起させます。そして、その粒子が元の状態に戻る際に放出するごく微弱なエネルギー波を、このリングで捉え画像化するのです」
それは現代医療におけるMRI(磁気共鳴画像)の原理を、この世界の物質で再現したものだった。
魔法では決して見ることのできない人体の内部構造と魔力の流れそのものを、断層写真のように寸分違わず描き出すことができる。
医師たちはその説明を聞いても、全く理解が追いついていないようだった。
エリアーナは衰弱した王妃を、カイドたちの助けを借りて慎重にスキャナーの寝台へと移した。
装置が低い駆動音と共に動き始める。巨大なリングがゆっくりと王妃の体の上を移動していく。
隣室に設置されたスクリーン代わりの特殊な水晶板に、次々と人体の断面図が光の濃淡として映し出されていった。骨、筋肉、内臓、そして血管のように体内を巡る青白い魔力の流れ。
「おお……!」
「信じらん……! 人の体の中が、これほど鮮明に見えるとは……!」
医師たちから驚嘆の声が上がる。
エリアーナは彼らの反応には目もくれず、スクリーンの画像を鋭い目つきで食い入るように見つめていた。
そして。
「……あった」
彼女はある一点を指さした。
それは王妃の背骨の腰に近い部分の断面図だった。そこには他の部分とは明らかに違う、異常な箇所が映し出されていた。
「ここです。神経の束と主要な魔力経路が交差するこの一点。極めて微小ですが、魔力の流れに『詰まり』が生じています。おそらく過去の何らかの衝撃で神経組織がごくわずかに損傷し、それが魔力経路を圧迫しているのです。この『詰まり』が全身に激しい神経痛を引き起こし、魔力の循環不全による原因不明の衰弱を招いていた。これが王妃陛下の病の、本当の原因です」
その診断はあまりにも的確で、明快だった。
医師たちは自分たちが何年もかけて見つけられなかった病巣を、この少女がたった数時間で、そして見たこともない機械でいとも容易く特定してしまった事実に言葉を失っていた。
それは彼らが信じてきた魔法医療が、エリアーナの『科学』の前に完全に敗北した瞬間だった。
「……治療は、可能なのでしょうか」
老医師が震える声で尋ねた。
「はい」
エリアーナは力強く頷いた。
「外科手術は今の王妃陛下の体力では危険です。ですが私の『ソニック・ハンマー』を、極めて低出力で精密にコントロールして照射すれば、この詰まりを体を傷つけることなく内部から破壊できる可能性があります」
それは魔法でも、薬でもない。
物理的な振動によって病巣そのものを叩くという、全く新しい治療法。
エリアーナはこの国の医学界に革命の狼煙を上げたのだ。
そしてその狼煙は王城の最も高い場所にいる、あの保守的な重鎮たちの元へも必ずや届くことになるだろう。
彼女の本当の戦いは、今、まさに始まろうとしていた。
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので田舎の一軒家でカフェを開くことにしました。楽しく自由にしていたら居心地が良いとS級冒険者達が毎日通い詰めるようになりました
緋月らむね
ファンタジー
私はオルレアン侯爵令嬢のエルティア。十四歳の頃、家の階段を踏み外して頭を打った衝撃で前世を思い出した。
前世での名前は坂島碧衣(さかしまあおい)。祖父母の引退後、祖父母の経営していた大好きなカフェを継ぐつもりでいたのに就職先がブラック企業で過労の挙句、継ぐ前に死んでしまった。そして、自分が息抜きでやっていた乙女ゲーム「星屑のカンパニー」の悪役令嬢、オルレアン侯爵令嬢エルティアに転生してることに気がついた。
エルティアは18歳の舞踏会で婚約破棄を言い渡される。それだけならまだしも、婚約者から悪役令嬢として断罪され、婚約破棄され、父親から家を追い出され、よからぬ輩に襲われて殺される。
前世だってやりたかったことができずに死んでしまったのに、転生してもそんな悲惨な人生を送るなんて、たまったもんじゃない!!それなら私は前世継ごうと思っていた祖父母のやっていたようなカフェを開いて楽しく自由な人生を送りたい。
森が開けた自然豊かな場所で念願のカフェを侍女のシサとともに開いて楽しく自由にカフェをやっていたら、個性豊かなS級冒険者たちが常連として私のカフェにやってくるようになりました!
無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる
あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。
魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。
しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。
どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)
水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――
乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】!
★★
乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ!
★★
この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
【第2部開始】ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
月森かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
婚約破棄で追放された悪役令嬢ですが、隣国で『魔道具ネット通販』を始めたら金貨スパチャが止まりません〜私を追い出した王国は経済崩壊しました〜
ハリネズミの肉球
ファンタジー
「婚約破棄だ。君は国を裏切った」
王太子の冷たい宣言で、公爵令嬢セシリア・アルフェンはすべてを失う。
罪状は“横領と国家反逆”。もちろん冤罪だ。
だが彼女は静かに笑っていた。
――なぜなら、彼女には誰にも知られていない能力があったから。
それは「異世界にいながら、現代日本のECサイトを閲覧できる」という奇妙なスキル。
隣国へ追放されたセシリアは、その知識を使い始める。
鏡。石鹸。ガラス瓶。香水。保存食。
この世界ではまだ珍しい品を魔道具で再現し、数量限定で販売。
さらに彼女は「配信魔道具」を開発。
商品制作の様子をライブ配信しながら販売するという、前代未聞の商売を始める。
結果――
貴族たちは熱狂。
金貨の投げ銭が空を舞う。
セシリアの店は世界最大の商会へと急成長。
一方で、彼女を追放した祖国では異変が起きていた。
セシリアが管理していた輸出ルートが止まり、
物資不足、価格暴騰、そして経済崩壊。
焦った王太子が通信魔道具で泣きついてくる。
「戻ってきてくれ……!」
しかしセシリアはワイングラスを揺らしながら笑う。
「あ、その声はブロック対象です」
これは――
婚約破棄された悪役令嬢が、世界経済を握るまでの物語。
※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
• 『社交界の華は、影に咲く毒。〜私を捨てた世界、すべてお返しいたします〜』
YOLCA(ヨルカ)
ファンタジー
「その黄金の瞳……なんて気持ち悪いの。我が家に化け物は必要ないわ」
名門伯爵家の娘として生まれたエレーナ。しかし、彼女に宿った未知の能力を恐れた継母イザベラは、実父の留守中を狙い、幼い彼女を雪の降る町に捨て去った。
死を覚悟した彼女を拾ったのは、帝国の裏社会を支配する「皇帝の弟」ヴィンセント公爵。
彼はエレーナの力を「至宝」と呼び、彼女を公爵家の実の娘として迎え入れた。
それから数年。
エレーナは、二人の過保護な兄と、五人の精鋭部下に囲まれ、美しくも最強の工作員へと成長していた。
すべてを暴く『黄金の瞳』、すべてを操る『魅了』、そして伝説の師匠たちから授かった至高の淑女教育を武器に。
一方、継母イザベラは父を捨て、さらなる権力を手に入れるため、悪名高い侯爵の妻として社交界の頂点に君臨していた。
「お久しぶりです、お母様。……化け物と呼ばれた私からの、お返しを受け取ってくださいね」
捨てられた少女による、優雅で残酷な復讐劇。
今、その幕が上がる。