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第55話 父の打算、母の哀願
エリアーナが屋敷を去った後、レオナルドが何者かに襲われたという報せは、すぐに留守にしていた両親の元へと届けられた。
公爵と夫人は慌てて屋敷へと戻ってきた。
執務室で、彼らは床に倒れ込み、まだ体の痺れが抜けきらない息子と、恐怖に震える執事から事の顛末を聞かされた。
「……エリアーナが、やったというのか」
公爵は信じられないといった表情で呟いた。
「は、はい。あの方が、見たこともない雷を発する魔道具のようなもので、レオナルド様を……」
執事が震えながら答える。
あの無力だったはずの娘が、自慢の跡継ぎである息子をいとも容易く打ちのめした。
その事実は公爵の胸に、怒りよりも先に一つのどす黒い感情を湧き上がらせた。
(……あの力。あの知識。やはり本物だ)
辺境を豊かにし、王妃の病巣を発見し、そして屈強な息子を無力化する未知の技術。
それはヴァインベルク家が喉から手が出るほど欲している、『力』そのものだった。
公爵の頭の中ではすでに計算が始まっていた。
エリアーナをどうやって手元に取り戻し、その力を家の繁栄のために利用するか。
アイゼンヴァルト辺境伯が最大の障害だ。だが、諦めるわけにはいかない。あれは元々、我が家の『所有物』なのだから。
その日の深夜。
エリアーナとカイドが滞在している王城の客室に、ヴァインベルク公爵夫妻が予告なく訪ねてきた。
エリアーナはカイドと共に、応接室で二人を迎えた。
テーブルを挟んでかつての家族が向かい合う。しかし、そこに家族としての温かい空気はひとかけらもなかった。
先に口を開いたのは父である公爵だった。
その態度はこれまでの無関心や侮蔑とは百八十度違っていた。まるで慈愛に満ちた父親を演じるかのように、穏やかな声で語りかける。
「エリアーナ。息子の非礼はこの父が詫びよう。お前が辛い思いをしていたことに、私は気づいてやることができなかった。……許してくれ」
その言葉にエリアーナは眉一つ動かさなかった。
あまりにも見え透いた芝居だったからだ。
「……それで、ご用件は何でしょうか」
エリアーナが冷たく尋ねると、公爵は本題を切り出した。その瞳の奥には隠しきれない欲深い光が宿っている。
「お前の持つその素晴らしい力を、これからは我々ヴァインベルク家のために使ってほしいのだ。お前はこの家の娘なのだから、当然の務めだろう?」
それは命令だった。
「お前の研究には公爵家が全面的に支援をしよう。アイゼンヴァルトのような辺境とは比べ物にならない、最高の環境を用意してやる。だから戻ってこい、エリアーナ。お前の本当の居場所へ」
その言葉を聞いて、エリアーナは静かに立ち上がった。
そしてテーブルの向こうにいる父親を、憐れむような、それでいて絶対的な拒絶を込めた瞳で見つめた。
「お断りします」
その声は静かだったが、鋼のように強かった。
「私の居場所はここではありません。そして私の力を、あなた方のために使う気も一切ありません」
「なっ……! 何を言うか! この恩知らずめ!」
公爵が激昂して声を荒げる。
「恩? あなた方が私に、何か恩を与えてくれたとでも?」
エリアーナは冷たく言い放った。
「私を屋根裏部屋に閉じ込め、出来損ないと蔑み、存在しない者として扱ってきたのはあなた方です。私を捨てたのはあなた方です。今更父親面をして、私に何を求めると言うのですか」
その言葉に公爵はぐっと言葉に詰まった。
その時、それまで黙っていた母親がおもむろに立ち上がり、エリアーナのそばへと歩み寄ってきた。
そしてその場に、はらりと泣き崩れたのだ。
「エリアーナ……! お願いです……! もう、やめておくれでないか……!」
母親はエリアーナの足元に縋りつき、美しい顔を涙で濡らしながら懇願した。
「私たちは家族でしょう……? 血の繋がった親子じゃないの……。過去の過ちは水に流しましょう。だから、お願い。もう一度昔のように、皆で仲良く……」
そのあまりにも身勝手な言葉。
エリアーナの心の中で、最後まで残っていた母親へのほんのかすかな情愛のようなものが、ぷつりと音を立てて切れた。
仲良く? 昔のように?
この人は一体、何を言っているのだろう。
私たちが家族として仲良く暮らしたことなど、ただの一度もなかったというのに。
この涙も演技だ。
息子を傷つけられたことへの怒りでも、娘を失う悲しみでもない。
ただ、家の利益となる『道具』が手に入らないことへの悔し涙だ。
エリアーナは自分に縋りつく母親を、何の感情も浮かばない空虚な目で見下ろした。
そしてゆっくりと、その手から自分の足を抜き取った。
「……もう遅いのです。お母様」
その声にはもう、何の感情もこもっていなかった。
「あなた方が家族の絆を、その手で断ち切ったのですから。私にとってあなた方はもはや、血が繋がっているだけの赤の他人です」
エリアーナは踵を返すと、カイドの隣へと戻った。
そして彼の腕にそっと自分の腕を絡める。
「私の家族はただ一人。この方だけです」
その宣言は、ヴァインベルク公爵夫妻にとって完全な敗北を意味していた。
公爵は怒りと屈辱に顔を歪ませ、母親はただその場で泣き崩れるだけだった。
カイドはそんな二人を一瞥すると、冷たく、そして静かに告げた。
「……お引き取り願おうか。私の婚約者が不快に感じている」
その言葉が最後の追い打ちとなった。
公爵夫妻はもはや何も言うことができず、逃げるようにして部屋を退出していった。
嵐が去った応接室で、エリアーナはカイドの胸にそっと顔をうずめた。
涙は出なかった。
ただ、心の奥深くにぽっかりと穴が空いたような、不思議な虚しさを感じていた。
過去との本当の決別。
それは小さな雷鳴のような快感ではなく、静かで、そして少しだけ物悲しいものだった。
だが、それでいい。
エリアーナは自分を優しく抱きしめてくれるカイドの温もりを感じながら、強くそう思った。
空っぽになった心にはこれから、新しい温かい思い出をたくさん詰め込んでいけばいいのだから。
この、愛する人と共に。
公爵と夫人は慌てて屋敷へと戻ってきた。
執務室で、彼らは床に倒れ込み、まだ体の痺れが抜けきらない息子と、恐怖に震える執事から事の顛末を聞かされた。
「……エリアーナが、やったというのか」
公爵は信じられないといった表情で呟いた。
「は、はい。あの方が、見たこともない雷を発する魔道具のようなもので、レオナルド様を……」
執事が震えながら答える。
あの無力だったはずの娘が、自慢の跡継ぎである息子をいとも容易く打ちのめした。
その事実は公爵の胸に、怒りよりも先に一つのどす黒い感情を湧き上がらせた。
(……あの力。あの知識。やはり本物だ)
辺境を豊かにし、王妃の病巣を発見し、そして屈強な息子を無力化する未知の技術。
それはヴァインベルク家が喉から手が出るほど欲している、『力』そのものだった。
公爵の頭の中ではすでに計算が始まっていた。
エリアーナをどうやって手元に取り戻し、その力を家の繁栄のために利用するか。
アイゼンヴァルト辺境伯が最大の障害だ。だが、諦めるわけにはいかない。あれは元々、我が家の『所有物』なのだから。
その日の深夜。
エリアーナとカイドが滞在している王城の客室に、ヴァインベルク公爵夫妻が予告なく訪ねてきた。
エリアーナはカイドと共に、応接室で二人を迎えた。
テーブルを挟んでかつての家族が向かい合う。しかし、そこに家族としての温かい空気はひとかけらもなかった。
先に口を開いたのは父である公爵だった。
その態度はこれまでの無関心や侮蔑とは百八十度違っていた。まるで慈愛に満ちた父親を演じるかのように、穏やかな声で語りかける。
「エリアーナ。息子の非礼はこの父が詫びよう。お前が辛い思いをしていたことに、私は気づいてやることができなかった。……許してくれ」
その言葉にエリアーナは眉一つ動かさなかった。
あまりにも見え透いた芝居だったからだ。
「……それで、ご用件は何でしょうか」
エリアーナが冷たく尋ねると、公爵は本題を切り出した。その瞳の奥には隠しきれない欲深い光が宿っている。
「お前の持つその素晴らしい力を、これからは我々ヴァインベルク家のために使ってほしいのだ。お前はこの家の娘なのだから、当然の務めだろう?」
それは命令だった。
「お前の研究には公爵家が全面的に支援をしよう。アイゼンヴァルトのような辺境とは比べ物にならない、最高の環境を用意してやる。だから戻ってこい、エリアーナ。お前の本当の居場所へ」
その言葉を聞いて、エリアーナは静かに立ち上がった。
そしてテーブルの向こうにいる父親を、憐れむような、それでいて絶対的な拒絶を込めた瞳で見つめた。
「お断りします」
その声は静かだったが、鋼のように強かった。
「私の居場所はここではありません。そして私の力を、あなた方のために使う気も一切ありません」
「なっ……! 何を言うか! この恩知らずめ!」
公爵が激昂して声を荒げる。
「恩? あなた方が私に、何か恩を与えてくれたとでも?」
エリアーナは冷たく言い放った。
「私を屋根裏部屋に閉じ込め、出来損ないと蔑み、存在しない者として扱ってきたのはあなた方です。私を捨てたのはあなた方です。今更父親面をして、私に何を求めると言うのですか」
その言葉に公爵はぐっと言葉に詰まった。
その時、それまで黙っていた母親がおもむろに立ち上がり、エリアーナのそばへと歩み寄ってきた。
そしてその場に、はらりと泣き崩れたのだ。
「エリアーナ……! お願いです……! もう、やめておくれでないか……!」
母親はエリアーナの足元に縋りつき、美しい顔を涙で濡らしながら懇願した。
「私たちは家族でしょう……? 血の繋がった親子じゃないの……。過去の過ちは水に流しましょう。だから、お願い。もう一度昔のように、皆で仲良く……」
そのあまりにも身勝手な言葉。
エリアーナの心の中で、最後まで残っていた母親へのほんのかすかな情愛のようなものが、ぷつりと音を立てて切れた。
仲良く? 昔のように?
この人は一体、何を言っているのだろう。
私たちが家族として仲良く暮らしたことなど、ただの一度もなかったというのに。
この涙も演技だ。
息子を傷つけられたことへの怒りでも、娘を失う悲しみでもない。
ただ、家の利益となる『道具』が手に入らないことへの悔し涙だ。
エリアーナは自分に縋りつく母親を、何の感情も浮かばない空虚な目で見下ろした。
そしてゆっくりと、その手から自分の足を抜き取った。
「……もう遅いのです。お母様」
その声にはもう、何の感情もこもっていなかった。
「あなた方が家族の絆を、その手で断ち切ったのですから。私にとってあなた方はもはや、血が繋がっているだけの赤の他人です」
エリアーナは踵を返すと、カイドの隣へと戻った。
そして彼の腕にそっと自分の腕を絡める。
「私の家族はただ一人。この方だけです」
その宣言は、ヴァインベルク公爵夫妻にとって完全な敗北を意味していた。
公爵は怒りと屈辱に顔を歪ませ、母親はただその場で泣き崩れるだけだった。
カイドはそんな二人を一瞥すると、冷たく、そして静かに告げた。
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公爵夫妻はもはや何も言うことができず、逃げるようにして部屋を退出していった。
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涙は出なかった。
ただ、心の奥深くにぽっかりと穴が空いたような、不思議な虚しさを感じていた。
過去との本当の決別。
それは小さな雷鳴のような快感ではなく、静かで、そして少しだけ物悲しいものだった。
だが、それでいい。
エリアーナは自分を優しく抱きしめてくれるカイドの温もりを感じながら、強くそう思った。
空っぽになった心にはこれから、新しい温かい思い出をたくさん詰め込んでいけばいいのだから。
この、愛する人と共に。
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