外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ

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第3話 崩壊と責任転嫁

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ガイアスが闇に消えてから、わずか数分のことだった。
突如、迷宮の奥から金属を削るような甲高い咆哮と、ガイアスの苦悶に満ちた叫び声が響き渡った。

「ぐあっ! なんだ、こいつらは!?」
「ガイアス!」

リナが悲鳴に近い声を上げる。
「どうしよう……助けに行かないと!」
「馬鹿野郎! 行ってどうする! あれは罠だ!」
冷静なジンが制止するが、断続的に聞こえてくる戦闘音は、明らかにガイアスが苦戦していることを示していた。

俺は唇を噛みしめた。彼を見捨てることはできない。たとえ、どれだけ彼に蔑まれていようとも、彼は仲間のはずだった。
「行くぞ! このままじゃガイアスが死ぬ!」
俺の言葉に、リナとジンも覚悟を決めた顔で頷いた。

三人で通路を駆け抜けると、少し開けた空間に出た。そこで俺たちが見たのは、絶望的な光景だった。
ガイアスが、五体の異形の魔物に囲まれていたのだ。一つ目の巨体に、無数の触手が生えたような不気味な魔物――アビスウォッチャー。深層に巣食う、極めて危険な種だ。
床には魔法陣のような紋様が淡く光っており、ガイアスがそれを踏み抜いてしまったのは明らかだった。

「ガイアス様!」
リナが即座に詠唱する。
「『ライトニングボルト』!」
しかし、紫電の槍はアビスウォッチャーの体に弾かれ、大したダメージを与えられない。高い魔法耐性を持っているのだ。
「くそっ、こいつら、魔法が効きにくい!」

「なら、物理で!」
ジンが背後から回り込もうとするが、アビスウォッチャーの巨体がぐるりとこちらを向き、その一つ目がジンを正確に捉える。死角からの攻撃が通用しない。

ガイアスはすでに満身創痍だった。自慢の剣はボロボロに傷つき、鎧のあちこちが砕け散っている。
「アルト! ポーションだ! ポーションをよこせ!」
彼は血を吐きながら叫ぶが、敵に囲まれていては近寄ることすらできない。

このままでは全滅する。
俺は瞬時に判断し、腰のポーチから手のひらサイズの球体を取り出した。俺が錬成した特製の閃光玉だ。
「みんな、目を伏せろ!」
叫びながら、俺はそれを魔物の群れの中心に全力で投げつけた。

パァン! とけたたましい破裂音と共に、ダンジョンが白一色に染まるほどの強烈な光が迸る。
アビスウォッチャーたちが、苦しげな咆哮を上げて身をよじった。視覚を完全に奪われたのだ。

「今だ! 撤退するぞ!」
俺の叫びを合図に、ジンが負傷したリナを担ぎ上げ、俺は深手を負ったガイアスに肩を貸した。
「ちくしょう……俺が、こんな……!」
悪態をつくガイアスを引きずるようにして、俺たちは必死に出口へと向かった。背後からは、視力を取り戻した魔物たちの怒りに満ちた追撃音が聞こえてくる。

どれだけ走っただろうか。
命からがら迷宮の入り口まで転がり出た俺たちは、全員が地面に倒れ込んだ。装備は失い、体は傷だらけ。完全な敗北だった。

しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのは、荒い息を整えたガイアスだった。
彼はゆっくりと身を起こし、その憎悪に満ちた目を俺に向けた。

「……アルト。貴様のせいだ」
「え……?」
「ポーションが足りなかった! あの時、回復薬があと一本でも余分にあれば、俺はあんな奴らに遅れはとらなかった!」

あまりに理不尽な言葉に、俺は絶句した。
「そ、そんな……作戦を無視して突っ込んだのは……」

「言い訳をするな!」
ガイアスは俺の言葉を遮った。
「そもそも、お前の作る道具がどれもこれも中途半端だからこうなったんだ! ポーションも、矢も、松明も! もっと性能が良ければ、こんな苦戦はしなかった!」

その言葉に、恐怖と疲労で冷静さを失っていたリナとジンが、はっとしたように顔を上げた。
「そうよ……もっと強力な魔道具があれば、私の魔法も……」
「確かに、敗因は準備不足だったのかもしれないな……」

三対の非難の視線が、俺一人に突き刺さる。
違う。俺のアイテムがなければ、そもそもここまで来ることすらできなかったはずだ。撤退できたのも、あの閃光玉があったからだ。
だが、その言葉は喉の奥で凍りつき、音にはならなかった。

失敗の責任を押し付けるための、都合のいい生贄。
仲間だと思っていた彼らの目に映る自分が、ただそれだけの存在なのだと、俺はこの時、痛いほど理解させられた。
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