外れスキル【アイテム錬成】でSランクパーティを追放された俺、実は神の素材で最強装備を創り放題だったので、辺境で気ままな工房を開きます

夏見ナイ

文字の大きさ
74 / 79

第74話 栄誉より日常を

しおりを挟む
王都を救った祝賀ムードは、数日が過ぎても続いていた。
俺は、救国の英雄として、王城に用意された最高級の客室で、分不相応な扱いを受けていた。ふかふかのベッド、豪勢な食事、傅く侍従たち。だが、そのどれもが、どうにも俺の肌には馴染まなかった。

その日、俺は再び、国王アルベリオン三世の待つ謁見の間へと呼び出された。
リリアとイグナも、俺の隣に控えている。

「英雄アルトよ、此度の働き、まことに見事であった」
国王は、満面の笑みで俺を称えた。
「そなたへの褒賞についてだが、我らは最大限の敬意をもって、これを決定した」
宰相のグランセルが、った。
「アルト殿を、新たに創設する『救国伯爵』の位に叙し、王都の一等地に、広大な屋敷と領地を与えるものとする!」

謁見の間に、どよめきが起こる。
一代にして、平民から貴族の、それも伯爵の地位へ。前代未聞の、破格の待遇だった。それは、国王が、俺を国の重鎮として王都に引き留め、その力をこれからも国の為に振るってほしいという、強い意志の表れでもあった。
誰もが、俺がこの栄誉を、二つ返事で受け取るものだと思っていた。

だが、俺の答えは、決まっていた。

「……陛下、そのお言葉、身に余る光栄です」
俺は、静かに、しかしはっきりと口を開いた。
「ですが、そのお話、お断りさせていただきたく存じます」

しん、と謁見の間が静まり返った。
国王も、宰相も、他の貴族たちも、信じられないといった顔で俺を見ている。
「……アルト殿。今、何と申した?」
「伯爵の地位も、王都の屋敷も、俺には分不相応です。どうか、お納めください」

国王が、困惑したように眉をひそめる。
「なぜだ? これは、国がそなたに与える、最高の栄誉なのだぞ。何か、不満でもあるのか?」
「いいえ、不満など、とんでもございません」

俺は、ゆっくりと、自分の本当の気持ちを語り始めた。
「俺は、英雄ではありません。ただの、職人です」
「俺の幸せは、誰かのために物を作り、その人が喜んでくれる顔を見ること。それだけです」
「俺の居場所は、王都の豪華な屋敷ではありません。辺境の町にある、あの小さな、埃っぽい工房なんです。そこには、俺を待ってくれている人たちがいて、俺が作るべきものがある。俺は、そこで、これからも物を作って生きていきたい」

俺の言葉に、国王はしばらくの間、何も言わずに、ただじっと俺の目を見つめていた。
やがて、彼はふっと、まるで全ての緊張が解けたかのように、穏やかな笑みを浮かべた。

「……そうか。そうであったな」
彼は、深く頷いた。
「お主は、そういう男であった。富にも、名声にも、権力にも興味はない。ただ、己の信じる道を、まっすぐに歩む。だからこそ、お主は、これほどの奇跡を起こせたのかもしれぬな」
国王は、俺の選択を、その人柄を、深く理解してくれたのだ。

「よかろう。アルト殿の意志、尊重しよう。伯爵位の話は、取り下げる」
彼は、そう言うと、代わりに一つのペンダントを俺に手渡した。それは、王家の紋章が刻まれた、特別な通行証だった。
「だが、これだけは受け取ってほしい。それは、王家の友である証だ。これがあれば、国のどこであろうと、誰であろうと、お主の活動を妨げることはできん。好きな時に王城を訪れ、好きな時に、また国を救ってくれても、構わんぞ」
最後の言葉は、国王の冗談だった。謁見の間に、温かい笑いが起こる。

俺は、そのペンダントを、ありがたく受け取った。
「ありがとうございます、陛下」
「礼を言うのは、こちらの方だ」

こうして、俺は最高の栄誉を自ら手放し、ただの一人の職人として、辺境の町へ帰ることを選んだ。
隣で、リリアとイグナが、誇らしげに、そして嬉しそうに俺に微笑みかけている。
俺たちの向かうべき場所は、もう決まっていた。
愛しい、我が家へ。
俺たちの、本当の居場所へ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

処理中です...