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第2話 聖女の微笑と追放宣告
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酒場での不穏な会話から数日後。俺たち『暁の剣』は、ギルドの裏手にある訓練場に呼び出されていた。そこにいたのは、ガイアスたち三人、そして見慣れない一人の女性だった。
純白のローブに身を包み、陽の光を浴びてきらきらと輝くプラチナブロンドの髪。慈愛に満ちた微笑みを浮かべるその顔立ちは、精巧な人形のように整っている。どこかの高位の神官か、あるいは貴族の令嬢か。彼女が放つ清廉な雰囲気は、汗と土埃にまみれたこの訓練場ではあまりにも場違いに見えた。
「紹介する。こちらは聖女リリアナ殿だ。先日のダンジョンで偶然知り合ってな。今回、俺たちのパーティに力を貸してくださることになった」
ガイアスが、これ以上ないほど得意げな顔で言った。その声には、普段の俺に対するものとは百八十度違う、敬意と下心が混じり合ったような響きがあった。
「聖女リリアナと申します。至らぬ点も多いかと存じますが、皆様のお力になれるよう、精一杯頑張りますわ」
リリアナはスカートの裾を少し持ち上げ、淑やかに一礼した。その仕草一つひとつが、洗練されていて気品に満ちている。イザークは口笛を吹き、クローディアは少し複雑そうな、それでいて興味深そうな表情で彼女を見つめていた。
「聖女、だって? そりゃまた、とんでもない大物が来たもんだな」
「噂はかねがね。高位の治癒魔法と強力な支援魔法の使い手だと聞いているわ」
「ああ。リリアナ殿の実力は、俺が保証する」
ガイアスはそう言うと、訓練用の木人を指差した。
「リリアナ殿、お手数だが、皆に君の実力を見せてやってくれないか」
「はい、お任せくださいませ」
リリアナが静かに頷き、詠唱を始める。彼女の周りに柔らかな光の粒子が集まり、心地よい風が吹いた。
「『聖なる力よ、勇ましき戦士に祝福を』――エリア・ストレングス!」
リリアナを中心に、光の波紋が広がり、俺たち全員を包み込む。その瞬間、体が内側から湧き上がるような力で満たされるのを感じた。ただの筋力向上(ストレングス)ではない。全身の感覚が鋭敏になり、血の巡りが速くなるような、全能感にも似た感覚。
「こ、これは……! 力が、みなぎってくる……!」
ガイアスが驚愕の声を上げる。彼は近くにあった訓練用の巨大な岩を、こともなげに片手で持ち上げてみせた。
「すげえ……! 俺の短剣が、羽みたいに軽いぜ!」
イザークも、信じられないといった様子で短剣を振り回している。その動きは、明らかに普段の倍はあろうかというほどの速度に達していた。
「魔法の威力も……信じられないくらい上がってる……!」
クローディアが試しに放った小さな火球(ファイアボール)が、木人を一撃で黒焦げにする。広範囲に効果が及ぶ補助魔法で、これほどの効果。聖女の名は伊達ではないらしい。
次に、ガイアスはわざと自分の腕を剣で浅く切りつけた。鮮血が流れ落ちるが、リリアナが慌てた様子もなく、そっと手をかざす。
「『女神の慈悲よ、その傷を癒したまえ』――ハイ・ヒール」
淡い光が傷を包み込むと、まるで時間を巻き戻すかのように、傷口は瞬く間に塞がっていった。血の跡すら残さず、完璧に。
「……完璧だ。これほどの治癒魔法、見たことがない」
ガイアスは感嘆のため息を漏らした。パーティの攻撃力、防御力、そして継戦能力のすべてが、彼女一人で劇的に向上する。これだけの力があれば、Sランクへの道も夢ではないだろう。
その圧倒的な光景を、俺はただ呆然と眺めていた。訓練場の隅で、まるで存在しないかのように。誰も俺のことなど見ていない。彼らの目には、希望の光そのものである聖女リリアナの姿しか映っていなかった。
【状態異常無効】。このスキルがどれだけ陳腐で、無価値なものか。今、改めて思い知らされた気がした。彼らが手に入れた輝かしい未来の設計図に、俺の居場所はどこにもなかった。
その日の夕方。俺はパーティハウスの自室で、使い古した装備の手入れをしていた。部屋といっても、物置を改造しただけの、窓もない狭い空間だ。いつもなら、ここで一人、黙々と作業をするのが妙に落ち着くのだが、今日ばかりは胸のざわめきが収まらなかった。
コンコン、と控えめなノックの音。
「ルイン、いるか? ガイアスさんが、談話室まで来るようにって」
ドアの向こうから聞こえたのは、イザークの声だった。いつもより、どこか歯切れが悪い。
嫌な予感がした。心臓がどくん、と重い音を立てる。それでも、行くしかなかった。俺に拒否権などないのだから。
談話室のドアを開けると、そこにはガイアス、イザーク、クローディア、そして聖女リリアナの四人が、ソファに座って俺を待ち構えていた。まるで、罪人を裁くための法廷のようだった。部屋の空気は重く、誰も口を開こうとしない。
先に沈黙を破ったのは、ガイアスだった。
「ルイン。単刀直入に言う」
彼はテーブルに肘をつき、俺の目をまっすぐに見据えて言った。その目に、いつもの侮蔑や苛立ちはない。ただ、氷のように冷たい光があるだけだった。
「お前は、今日限りでこのパーティをクビだ」
……ああ、やっぱりか。
頭のどこかで、冷静にそう思う自分がいた。いつか来ると覚悟していた日が、ついに来たのだ、と。だが、覚悟と現実の衝撃はまるで別物だった。足元から地面が崩れ落ちていくような感覚に襲われ、言葉が出てこない。
「な……んで……」
かろうじて絞り出した声は、自分でも情けないほどにか細く震えていた。
「理由か? そんなもの、お前自身が一番よくわかっているだろう」
ガイアスは嘲るように鼻を鳴らした。
「俺たちはSランクを目指す。そのためには、聖女リリアナ殿の力が必要不可欠だ。だが、冒険者パーティの最適な人数は四人。これ以上増えれば連携が鈍る。誰か一人、抜けなければならん」
誰が抜けるべきか、などと議論するまでもなかっただろう。この中で、最も不要な人間は誰か。答えは分かりきっていた。
「……そん、な……。俺は、ずっと、みんなのために……!」
「お前が何をした? 荷物を運んだだけだろうが」
吐き捨てるように言ったのは、イザークだ。彼は腕を組み、心底軽蔑した目つきで俺を見ている。
「お前がいるせいで、俺たちがどれだけ足手まといになっていたか、考えたことがあるか? お前を守るために、どれだけ立ち回りに気を使っていたか。もう、うんざりなんだよ」
「待って、イザーク。そんな言い方は……」
クローディアが止めようとするが、その声には力がない。彼女は俺と目を合わせようとせず、俯いてしまっている。結局、彼女もこの決定に同意したのだ。パーティの未来と、無能な仲間。天秤にかけるまでもない。
「……申し訳ありません、ルインさん」
そこで、リリアナが悲しそうな顔で口を開いた。
「私が入るばかりに、このようなことになってしまって……。本当に、ごめんなさい。ですが、これもすべて、ガイアス様たちがより高みへ行くため……。どうか、ご理解くださいませ」
彼女の瞳は潤み、その姿は誰の目にも、優しい心を持つがゆえに苦悩する聖女そのものに映っただろう。だが、俺にはわかった。その瞳の奥底に、ほんの一瞬、冷たい喜びの色が浮かんだのを。この女は、楽しんでいるのだ。俺が追放されるこの状況を。
「……荷物と、装備をまとめろ。餞別くらいはくれてやる」
ガイアスの言葉で、俺は現実に引き戻された。反論も、懇願も、もはや意味をなさない。俺の居場所は、もうここにはない。
唇を噛み締め、踵を返そうとした、その時だった。
「待てよ、ガイアス。ただ追い出すだけじゃ、芸がないだろう?」
イザークが、にやりと意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「こいつのスキル、【状態異常無効】だろ? ただじゃ起きないそのスキル、最後の最後に、俺たちのために役立ててもらおうじゃねえか」
その言葉に、ガイアスも獰猛な笑みを浮かべた。
「……ほう。面白いことを言う。確かに、最高の使い道があるな」
最高の使い道? なんだ、それは。俺のスキルに、そんな価値があっただろうか。
疑問に思う俺に、ガイアスは決定的な一言を告げた。その言葉は、俺を絶望のさらに底へと突き落とすには、十分すぎる響きを持っていた。
「ルイン。お前の最後の仕事だ。アルビオン王国の北に広がる『魔瘴の森』。あそこを調査する依頼が出ている。お前には、その先遣隊として向かってもらう」
魔瘴の森。
その名を聞いた瞬間、全身の血が凍りついた。致死性の毒ガスと呪いが渦巻く、禁断の土地。足を踏み入れた者は、誰一人として生きては帰れないと言われる、死の大地。
「なっ……! あそこは、入れば即死するはずじゃ……!」
「普通の人間ならな。だが、お前は違う」
ガイアスは立ち上がり、ゆっくりと俺に近づいてきた。その目は、獲物を見つけた肉食獣のように、ギラギラと輝いていた。
「お前には【状態異常無効】がある。毒も、呪いも、お前には効かない。お前こそ、あの森を探るのに、うってつけの人材だとは思わないか?」
それは、ただの調査依頼ではなかった。生贄だ。俺を、あの地獄のような森に、たった一人で放り込むというのだ。
彼らは俺の最後の利用価値を、そんな残酷な形で搾り取ろうとしていた。俺が今まで貢献してきたことへの感謝も、共に過ごした日々の情けも、そこには一片もなかった。
純白のローブに身を包み、陽の光を浴びてきらきらと輝くプラチナブロンドの髪。慈愛に満ちた微笑みを浮かべるその顔立ちは、精巧な人形のように整っている。どこかの高位の神官か、あるいは貴族の令嬢か。彼女が放つ清廉な雰囲気は、汗と土埃にまみれたこの訓練場ではあまりにも場違いに見えた。
「紹介する。こちらは聖女リリアナ殿だ。先日のダンジョンで偶然知り合ってな。今回、俺たちのパーティに力を貸してくださることになった」
ガイアスが、これ以上ないほど得意げな顔で言った。その声には、普段の俺に対するものとは百八十度違う、敬意と下心が混じり合ったような響きがあった。
「聖女リリアナと申します。至らぬ点も多いかと存じますが、皆様のお力になれるよう、精一杯頑張りますわ」
リリアナはスカートの裾を少し持ち上げ、淑やかに一礼した。その仕草一つひとつが、洗練されていて気品に満ちている。イザークは口笛を吹き、クローディアは少し複雑そうな、それでいて興味深そうな表情で彼女を見つめていた。
「聖女、だって? そりゃまた、とんでもない大物が来たもんだな」
「噂はかねがね。高位の治癒魔法と強力な支援魔法の使い手だと聞いているわ」
「ああ。リリアナ殿の実力は、俺が保証する」
ガイアスはそう言うと、訓練用の木人を指差した。
「リリアナ殿、お手数だが、皆に君の実力を見せてやってくれないか」
「はい、お任せくださいませ」
リリアナが静かに頷き、詠唱を始める。彼女の周りに柔らかな光の粒子が集まり、心地よい風が吹いた。
「『聖なる力よ、勇ましき戦士に祝福を』――エリア・ストレングス!」
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「こ、これは……! 力が、みなぎってくる……!」
ガイアスが驚愕の声を上げる。彼は近くにあった訓練用の巨大な岩を、こともなげに片手で持ち上げてみせた。
「すげえ……! 俺の短剣が、羽みたいに軽いぜ!」
イザークも、信じられないといった様子で短剣を振り回している。その動きは、明らかに普段の倍はあろうかというほどの速度に達していた。
「魔法の威力も……信じられないくらい上がってる……!」
クローディアが試しに放った小さな火球(ファイアボール)が、木人を一撃で黒焦げにする。広範囲に効果が及ぶ補助魔法で、これほどの効果。聖女の名は伊達ではないらしい。
次に、ガイアスはわざと自分の腕を剣で浅く切りつけた。鮮血が流れ落ちるが、リリアナが慌てた様子もなく、そっと手をかざす。
「『女神の慈悲よ、その傷を癒したまえ』――ハイ・ヒール」
淡い光が傷を包み込むと、まるで時間を巻き戻すかのように、傷口は瞬く間に塞がっていった。血の跡すら残さず、完璧に。
「……完璧だ。これほどの治癒魔法、見たことがない」
ガイアスは感嘆のため息を漏らした。パーティの攻撃力、防御力、そして継戦能力のすべてが、彼女一人で劇的に向上する。これだけの力があれば、Sランクへの道も夢ではないだろう。
その圧倒的な光景を、俺はただ呆然と眺めていた。訓練場の隅で、まるで存在しないかのように。誰も俺のことなど見ていない。彼らの目には、希望の光そのものである聖女リリアナの姿しか映っていなかった。
【状態異常無効】。このスキルがどれだけ陳腐で、無価値なものか。今、改めて思い知らされた気がした。彼らが手に入れた輝かしい未来の設計図に、俺の居場所はどこにもなかった。
その日の夕方。俺はパーティハウスの自室で、使い古した装備の手入れをしていた。部屋といっても、物置を改造しただけの、窓もない狭い空間だ。いつもなら、ここで一人、黙々と作業をするのが妙に落ち着くのだが、今日ばかりは胸のざわめきが収まらなかった。
コンコン、と控えめなノックの音。
「ルイン、いるか? ガイアスさんが、談話室まで来るようにって」
ドアの向こうから聞こえたのは、イザークの声だった。いつもより、どこか歯切れが悪い。
嫌な予感がした。心臓がどくん、と重い音を立てる。それでも、行くしかなかった。俺に拒否権などないのだから。
談話室のドアを開けると、そこにはガイアス、イザーク、クローディア、そして聖女リリアナの四人が、ソファに座って俺を待ち構えていた。まるで、罪人を裁くための法廷のようだった。部屋の空気は重く、誰も口を開こうとしない。
先に沈黙を破ったのは、ガイアスだった。
「ルイン。単刀直入に言う」
彼はテーブルに肘をつき、俺の目をまっすぐに見据えて言った。その目に、いつもの侮蔑や苛立ちはない。ただ、氷のように冷たい光があるだけだった。
「お前は、今日限りでこのパーティをクビだ」
……ああ、やっぱりか。
頭のどこかで、冷静にそう思う自分がいた。いつか来ると覚悟していた日が、ついに来たのだ、と。だが、覚悟と現実の衝撃はまるで別物だった。足元から地面が崩れ落ちていくような感覚に襲われ、言葉が出てこない。
「な……んで……」
かろうじて絞り出した声は、自分でも情けないほどにか細く震えていた。
「理由か? そんなもの、お前自身が一番よくわかっているだろう」
ガイアスは嘲るように鼻を鳴らした。
「俺たちはSランクを目指す。そのためには、聖女リリアナ殿の力が必要不可欠だ。だが、冒険者パーティの最適な人数は四人。これ以上増えれば連携が鈍る。誰か一人、抜けなければならん」
誰が抜けるべきか、などと議論するまでもなかっただろう。この中で、最も不要な人間は誰か。答えは分かりきっていた。
「……そん、な……。俺は、ずっと、みんなのために……!」
「お前が何をした? 荷物を運んだだけだろうが」
吐き捨てるように言ったのは、イザークだ。彼は腕を組み、心底軽蔑した目つきで俺を見ている。
「お前がいるせいで、俺たちがどれだけ足手まといになっていたか、考えたことがあるか? お前を守るために、どれだけ立ち回りに気を使っていたか。もう、うんざりなんだよ」
「待って、イザーク。そんな言い方は……」
クローディアが止めようとするが、その声には力がない。彼女は俺と目を合わせようとせず、俯いてしまっている。結局、彼女もこの決定に同意したのだ。パーティの未来と、無能な仲間。天秤にかけるまでもない。
「……申し訳ありません、ルインさん」
そこで、リリアナが悲しそうな顔で口を開いた。
「私が入るばかりに、このようなことになってしまって……。本当に、ごめんなさい。ですが、これもすべて、ガイアス様たちがより高みへ行くため……。どうか、ご理解くださいませ」
彼女の瞳は潤み、その姿は誰の目にも、優しい心を持つがゆえに苦悩する聖女そのものに映っただろう。だが、俺にはわかった。その瞳の奥底に、ほんの一瞬、冷たい喜びの色が浮かんだのを。この女は、楽しんでいるのだ。俺が追放されるこの状況を。
「……荷物と、装備をまとめろ。餞別くらいはくれてやる」
ガイアスの言葉で、俺は現実に引き戻された。反論も、懇願も、もはや意味をなさない。俺の居場所は、もうここにはない。
唇を噛み締め、踵を返そうとした、その時だった。
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「こいつのスキル、【状態異常無効】だろ? ただじゃ起きないそのスキル、最後の最後に、俺たちのために役立ててもらおうじゃねえか」
その言葉に、ガイアスも獰猛な笑みを浮かべた。
「……ほう。面白いことを言う。確かに、最高の使い道があるな」
最高の使い道? なんだ、それは。俺のスキルに、そんな価値があっただろうか。
疑問に思う俺に、ガイアスは決定的な一言を告げた。その言葉は、俺を絶望のさらに底へと突き落とすには、十分すぎる響きを持っていた。
「ルイン。お前の最後の仕事だ。アルビオン王国の北に広がる『魔瘴の森』。あそこを調査する依頼が出ている。お前には、その先遣隊として向かってもらう」
魔瘴の森。
その名を聞いた瞬間、全身の血が凍りついた。致死性の毒ガスと呪いが渦巻く、禁断の土地。足を踏み入れた者は、誰一人として生きては帰れないと言われる、死の大地。
「なっ……! あそこは、入れば即死するはずじゃ……!」
「普通の人間ならな。だが、お前は違う」
ガイアスは立ち上がり、ゆっくりと俺に近づいてきた。その目は、獲物を見つけた肉食獣のように、ギラギラと輝いていた。
「お前には【状態異常無効】がある。毒も、呪いも、お前には効かない。お前こそ、あの森を探るのに、うってつけの人材だとは思わないか?」
それは、ただの調査依頼ではなかった。生贄だ。俺を、あの地獄のような森に、たった一人で放り込むというのだ。
彼らは俺の最後の利用価値を、そんな残酷な形で搾り取ろうとしていた。俺が今まで貢献してきたことへの感謝も、共に過ごした日々の情けも、そこには一片もなかった。
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