【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ

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第44話:戦果の分析と次なる一手

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数日ぶりにアークライトの拠点へと戻ったリアム、ルナ、ミリア、そしてガルムは、仲間たちの温かい出迎えを受けた。特に、ミリアの無事を心配していたトムは、彼女の姿を見るなり駆け寄り、その無鉄砲さをセレスティアに軽く窘められていた。短い期間とはいえ、ダンジョンという未知の環境での探索と戦闘は、彼らに確かな経験と、そして相応の疲労をもたらしていた。

休息もそこそこに、リアムたちは執務室に集まり、セレスティアとドルガンにダンジョン探索の結果を詳細に報告した。
「――以上が、今回の探索で判明したことだ。ダンジョンは石造りで、浅層にはアンデッド系の魔物が多く、罠もいくつか確認できた。そして、これが今回の戦果だ」
リアムは、宝箱から回収したポーション、地図の断片、そして魔石をテーブルの上に並べた。

「ふむ……アンデッドに罠か。古典的なダンジョンの構造じゃな」ドルガンは顎髭を扱きながら唸った。「して、その戦果とやらは……?」
「ポーション、地図の断片、魔石……。予想通り、というべきかしら」セレスティアは冷静にアイテムを観察する。「価値があるかどうかは、これからですわね」

まずは、ポーションの鑑定から始まった。ルナが専門知識を活かし、それぞれの液体の色や匂い、そして魔力の波動を注意深く分析していく。
「これは……低級の治癒ポーションね。傷の治りを早める効果があるわ。こっちは、マナポーション。これも低級だけど、魔力を少し回復できる。緊急時には役立つかもしれない」
彼女は、いくつかの瓶を仕分けしていく。その中で、一つだけ、奇妙な紫色の液体が入った瓶に気づき、眉をひそめた。
「……これは……? 見たこともない色合いだし、魔力の波動も不安定で……少し、不穏な気配がするわ。鑑定魔法でも、正確な効果が読み取れない……。使うのは危険かもしれない」
効果不明のポーション。それは、ダンジョンの未知なる部分を象徴しているかのようだった。

次に、セレスティアが地図の断片を手に取った。羊皮紙は古く、インクも掠れていたが、彼女は持ち前の几帳面さで、その内容を読み解こうと試みた。
「この地形……やはり、我々が探索したダンジョンの浅層の一部を示しているようですわね。このホールが、最初のアンデッドが出た場所。そして、この通路を進んだ先に、宝箱のあった小部屋が……」
彼女は、リアムたちの証言と照らし合わせながら、地図を解読していく。
「ですが、奇妙な点もありますわ。地図には、我々が通らなかったはずの隠し通路のようなものがいくつか描かれていますし、この……空白になっている部分は何かしら? それに、この見慣れない記号……何かの警告か、あるいは重要な場所を示しているのか……」
地図の断片は、新たな情報をもたらすと同時に、さらなる謎も提示していた。

最後に、ドルガンが魔石を手に取り、自身の工房から持ち出した特殊なレンズや測定器のようなもの(リアムには原理不明)で調べ始めた。
「ふぉっふぉ……これは面白い!」しばらくして、ドルガンは興奮した声を上げた。「ただの低級魔石かと思いきや、エネルギーの質が非常に純粋で、変換効率も驚くほど高いわい! これなら、ワシが構想しておる新しい動力炉の燃料として、うってつけかもしれんぞ!」
彼の目は、新たな発明への期待に爛々と輝いていた。ダンジョンで得られた魔石は、アークライトのエネルギー問題解決への、思わぬ糸口となる可能性が出てきたのだ。

報告と分析の結果、今後のダンジョン攻略方針が具体化されていった。
「まず、アンデッド対策は必須だな」リアムが言った。「ドルガン殿、住民の中から希望者を募って、銀メッキを施した武器や、アンデッドに有効な打撃系の武器(メイスなど)をいくつか準備してもらえないだろうか?」
「うむ、任せておけ。ついでに、ワシ特製の浄化効果を付与したハンマーでも作ってやろうかのう!」ドルガンは乗り気だ。
「罠対策も強化が必要ね」ルナが付け加える。「私が感知できる範囲を広げる魔法を習得するのと、リアムには、より高度な罠解除ツールを創造してもらう必要があるわ」
「分かった。イメージを練っておこう」

「そして、ダンジョン内に安全な休息・補給拠点を設けることが重要ですわ」セレスティアが強調する。「最初のホールは広さもあるし、入り口にも近い。あそこを改修し、物資を備蓄し、負傷した場合の応急処置もできるような前線基地として整備しましょう。アルフレッドに、定期的な物資運搬と連絡役を担わせるのが現実的かしら」

ダンジョン攻略という新たな目標は、共同体全体にも影響を与え始めていた。住民たちの間では、「ダンジョンにはお宝が眠っているらしい」「いや、恐ろしい魔物がうじゃうじゃいるそうだ」といった噂話が交わされ、不安と期待が入り混じった空気が流れていた。ゴードンは、リアムたちが無事に帰還したことに安堵しつつも、ダンジョンという存在に怯えているようだったし、ヘンリー老は「ワシも若い頃なら……」と冒険への憧憬を口にしたりもした。

ミリアは、トムにダンジョンでの活躍(少し脚色されているかもしれない)を興奮気味に語っていた。
「それでね! 私がガオーって爪で攻撃したら、スケルトンなんてバラバラだよ! ルナさんの魔法もすごかったし、リアムさんの指示も的確でね!」
彼女の瞳には、以前のような怯えはなく、戦闘への自信と、仲間への信頼が溢れていた。その成長ぶりは、リアムにとっても嬉しい驚きだった。

次なるダンジョン探索に向けて、アークライト共同体は再び動き出した。ドルガンとヘンリー老が武器や装備の開発・改良を進め、リアムは新たな概念創造ツールや資材の準備、そして自身の魔力回復に努める。ルナは魔法の習得とポーションの研究(特に効果不明の紫のポーションについて)を続け、セレスティアは前線基地の設営計画と後方支援体制の強化に取り組む。ミリアは、基礎体力の向上と、獣爪の篭手を使った新たな戦闘スタイルの確立を目指して、黙々と訓練に励んでいた。

準備は着実に進んでいる。しかし、リアムの心には、いくつかの引っかかりが残っていた。効果不明の紫のポーションが放つ不穏な気配。地図の断片に描かれた謎の空白地帯と奇妙な記号。そして、浅層とはいえ、予想以上に منظم( منظمではないかもしれないが、少なくとも無秩序ではない)に見えたアンデッドの配置。

(このダンジョン……ただの魔物の巣窟ではないのかもしれないな……)

次回の探索では、さらに深い階層へと進むことになるだろう。そこには、一体何が待ち受けているのか? 新たな戦果か、それとも予期せぬ罠か、あるいは、このダンジョンの秘密に繋がる何かか。
リアムは、仲間たちと共に、次なる一手――ダンジョン攻略の第二段階――に向けて、静かに闘志を燃やしていた。アークライトの未来は、この古代の迷宮をどう攻略していくかに、大きく左右されるのかもしれない。工房から響く槌音と、訓練場で響くミリアの掛け声が、次なる挑戦への序曲のように聞こえた。
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