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第四十九話 近隣領主の懐柔
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東の商業都市連合に使者を送る。その方針は決まった。しかし、海を渡るための船もなければ、航海の知識を持つ者もいない。計画は、あまりにも壮大で、現実味に欠けていた。
「焦る必要はありません」
その夜の会議で、ギル-バートが冷静に皆を制した。
「今はまだ、来るべき王国軍の侵攻に備えるのが最優先です。外交は、その後の話。まずは、足元を固めましょう」
彼の言葉は、浮き足立ちかけていた私たちの心を落ち着かせた。そうだ。私たちは、まだ王国という巨大な脅威のすぐ隣にいるのだ。
「だが、ただ待っているだけでは、いずれジリ貧になる」
バルトが、悔しそうに言った。
「王国軍が来れば、この村は完全に孤立する。どこからも、援軍は期待できねえ」
その時、私は地図のある一点を静かに見つめていた。それは、私たちのエデンと、クローデル王国の本土との間に位置する、ロックベル辺境伯の領地だった。
「いいえ」
私は、静かに口を開いた。
「一つだけ、打てる手があります」
私の言葉に、皆の視線が集中する。
「このロックベル辺境伯を、私たちの味方につけるのです」
「なっ……!?」
私の提案に、その場にいた全員が驚きの声を上げた。
「女王陛下、それはあまりに危険です!ギルバート様も仰っていたではありませんか。彼は信用できないと!」
ガルフが、慌てて反対する。
「ええ、分かっています。彼は、心から私たちの味方にはならないでしょう。彼は、自分の利益しか考えない人間です」
私は、皆の顔を見渡し、続けた。
「だからこそ、利用できるのです」
私は、自分の計画を語り始めた。
「ロックベル辺境伯は、今、板挟みになっているはずです。王家からは、辺境の管理不行き届きを責められ、領民からは、重税と食糧難への不満を突きつけられている。彼の立場は、決して安泰ではありません」
「そこに、私たちが『選択肢』を与えるのです。衰退する王国に忠誠を誓い続け、共に沈む道か。あるいは、豊かで新しい力を持つ私たちと手を組み、自らの領地と未来を守る道か」
「そんなうまい話に、奴が乗るもんかねえ」
ガンツが、疑わしげに髭を捻った。
「乗りますよ。なぜなら、私たちが彼に与えるのは、ただの甘い話だけではないからです」
私は、声のトーンを一つ落とした。
「彼がもし、私たちの提案を拒絶し、王国に通報するようなことがあれば……その時は、彼の領地は、エデンと王国軍の最初の戦場になります。そうなれば、彼の領地がどうなるか。彼自身が、一番よく分かっているはずです」
私の言葉には、女王としての冷徹な計算があった。甘言と脅迫。アメとムチ。それこそが、信用できない相手を動かすための、最も有効な外交手段だと、歴史書は教えてくれていた。
「……なるほど」
ギルバートが、初めて私の計画に同意するように頷いた。
「辺境伯に、我々との共存か、あるいは共倒れかの二択を迫る、と。確かに、彼ならば後者は決して選ばないでしょう」
「つまり、俺たちは辺境伯を脅しに行くってことですかい?」
バルトの問いに、私は穏やかに微笑んだ。
「いいえ、違います。私たちは、彼に『最高の取引』を持ちかけに行くのです。私たちの作る豊かな作物と、彼の持つ交易路。それを結びつければ、お互いに計り知れない利益が生まれると、丁寧に説明しにいくのです」
私の計画の全貌を理解し、皆の顔に感嘆と、そしてわずかな畏怖の色が浮かんだ。目の前にいる銀髪の少女は、もはやただ優しいだけの女王ではない。国を背負い、時には冷徹な判断を下すことのできる、真の指導者へと変貌を遂げつつあった。
数日後、私は再び交易団を組織した。今回は、前回よりもさらに多くの荷車に、最高の品質の作物と、完成したばかりの『エデンの雫』『太陽のジャム』をぎっしりと積み込んでいる。護衛は、ギルバートとバルト、そして屈強な元盗賊たち十数名。それは、交易団というより、武装した使節団のようだった。
ロックベルの町に到着した私たちは、真っ直ぐに辺境伯の館へと向かった。
門番は、私たちの物々しい雰囲気に驚き、慌てて主人に取り次いだ。
通された謁見の間で、辺境伯は玉座から私たちを猜疑心に満ちた目で見下ろしていた。彼の側には、武装した騎士たちがずらりと並び、緊張した空気が漂っている。彼は、私たちが先日、徴税官を追い返したことを、すでに知っているのだ。
「……何の用だ、元王女。今度は、この私に剣を向けに来たか」
彼の声は、怒りと恐怖で震えていた。
私は、フードを取り、銀髪を露わにした。そして、女王としての威厳を込めて、彼に語りかけた。
「いいえ、辺境伯。私は、あなたと戦いに来たのではありません」
私は合図を送り、バルトたちが持参した献上品を彼の前に並べさせた。目も眩むような作物の山と、宝石のように輝く特産品の瓶。
「私は、あなたに『未来』を届けに来たのです」
私は、彼に取引の内容を語り始めた。
私たちが提供する、無限とも思える豊かな食料と特産品。それに対する見返りは、ただ一つ。
『中立』。
これから始まるであろう、エデンとクローGLデル王国の争いにおいて、どちらの味方にもつかず、ただ沈黙を守ること。そして、私たちの交易路の安全を保障すること。
「……もし、この取引を断ればどうなる」
辺境伯が、かすれた声で尋ねた。
「その時は、私たちはあなたを敵と見なします」
ギルバートが、静かに、しかしはっきりと告げた。その一言は、どんな脅しよりも重く、辺境伯の心を凍りつかせた。
アメとムチ。
選択を迫られた辺境伯の額に、脂汗が浮かぶ。
彼の答えは、初めから決まっていた。
「……分かった。その取引、受けよう」
彼は、まるで魂を抜き取られたかのように、力なくそう答えるしかなかった。
私たちは、ロックベル辺境伯という、危険だが強力な緩衝地帯を手に入れた。
それは、クローデル王国という巨大な敵に立ち向かうための、最初の、そして最も重要な布石だった。
エデンの独立は、もはや誰にも止められない濁流となって、動き始めていた。
「焦る必要はありません」
その夜の会議で、ギル-バートが冷静に皆を制した。
「今はまだ、来るべき王国軍の侵攻に備えるのが最優先です。外交は、その後の話。まずは、足元を固めましょう」
彼の言葉は、浮き足立ちかけていた私たちの心を落ち着かせた。そうだ。私たちは、まだ王国という巨大な脅威のすぐ隣にいるのだ。
「だが、ただ待っているだけでは、いずれジリ貧になる」
バルトが、悔しそうに言った。
「王国軍が来れば、この村は完全に孤立する。どこからも、援軍は期待できねえ」
その時、私は地図のある一点を静かに見つめていた。それは、私たちのエデンと、クローデル王国の本土との間に位置する、ロックベル辺境伯の領地だった。
「いいえ」
私は、静かに口を開いた。
「一つだけ、打てる手があります」
私の言葉に、皆の視線が集中する。
「このロックベル辺境伯を、私たちの味方につけるのです」
「なっ……!?」
私の提案に、その場にいた全員が驚きの声を上げた。
「女王陛下、それはあまりに危険です!ギルバート様も仰っていたではありませんか。彼は信用できないと!」
ガルフが、慌てて反対する。
「ええ、分かっています。彼は、心から私たちの味方にはならないでしょう。彼は、自分の利益しか考えない人間です」
私は、皆の顔を見渡し、続けた。
「だからこそ、利用できるのです」
私は、自分の計画を語り始めた。
「ロックベル辺境伯は、今、板挟みになっているはずです。王家からは、辺境の管理不行き届きを責められ、領民からは、重税と食糧難への不満を突きつけられている。彼の立場は、決して安泰ではありません」
「そこに、私たちが『選択肢』を与えるのです。衰退する王国に忠誠を誓い続け、共に沈む道か。あるいは、豊かで新しい力を持つ私たちと手を組み、自らの領地と未来を守る道か」
「そんなうまい話に、奴が乗るもんかねえ」
ガンツが、疑わしげに髭を捻った。
「乗りますよ。なぜなら、私たちが彼に与えるのは、ただの甘い話だけではないからです」
私は、声のトーンを一つ落とした。
「彼がもし、私たちの提案を拒絶し、王国に通報するようなことがあれば……その時は、彼の領地は、エデンと王国軍の最初の戦場になります。そうなれば、彼の領地がどうなるか。彼自身が、一番よく分かっているはずです」
私の言葉には、女王としての冷徹な計算があった。甘言と脅迫。アメとムチ。それこそが、信用できない相手を動かすための、最も有効な外交手段だと、歴史書は教えてくれていた。
「……なるほど」
ギルバートが、初めて私の計画に同意するように頷いた。
「辺境伯に、我々との共存か、あるいは共倒れかの二択を迫る、と。確かに、彼ならば後者は決して選ばないでしょう」
「つまり、俺たちは辺境伯を脅しに行くってことですかい?」
バルトの問いに、私は穏やかに微笑んだ。
「いいえ、違います。私たちは、彼に『最高の取引』を持ちかけに行くのです。私たちの作る豊かな作物と、彼の持つ交易路。それを結びつければ、お互いに計り知れない利益が生まれると、丁寧に説明しにいくのです」
私の計画の全貌を理解し、皆の顔に感嘆と、そしてわずかな畏怖の色が浮かんだ。目の前にいる銀髪の少女は、もはやただ優しいだけの女王ではない。国を背負い、時には冷徹な判断を下すことのできる、真の指導者へと変貌を遂げつつあった。
数日後、私は再び交易団を組織した。今回は、前回よりもさらに多くの荷車に、最高の品質の作物と、完成したばかりの『エデンの雫』『太陽のジャム』をぎっしりと積み込んでいる。護衛は、ギルバートとバルト、そして屈強な元盗賊たち十数名。それは、交易団というより、武装した使節団のようだった。
ロックベルの町に到着した私たちは、真っ直ぐに辺境伯の館へと向かった。
門番は、私たちの物々しい雰囲気に驚き、慌てて主人に取り次いだ。
通された謁見の間で、辺境伯は玉座から私たちを猜疑心に満ちた目で見下ろしていた。彼の側には、武装した騎士たちがずらりと並び、緊張した空気が漂っている。彼は、私たちが先日、徴税官を追い返したことを、すでに知っているのだ。
「……何の用だ、元王女。今度は、この私に剣を向けに来たか」
彼の声は、怒りと恐怖で震えていた。
私は、フードを取り、銀髪を露わにした。そして、女王としての威厳を込めて、彼に語りかけた。
「いいえ、辺境伯。私は、あなたと戦いに来たのではありません」
私は合図を送り、バルトたちが持参した献上品を彼の前に並べさせた。目も眩むような作物の山と、宝石のように輝く特産品の瓶。
「私は、あなたに『未来』を届けに来たのです」
私は、彼に取引の内容を語り始めた。
私たちが提供する、無限とも思える豊かな食料と特産品。それに対する見返りは、ただ一つ。
『中立』。
これから始まるであろう、エデンとクローGLデル王国の争いにおいて、どちらの味方にもつかず、ただ沈黙を守ること。そして、私たちの交易路の安全を保障すること。
「……もし、この取引を断ればどうなる」
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彼は、まるで魂を抜き取られたかのように、力なくそう答えるしかなかった。
私たちは、ロックベル辺境伯という、危険だが強力な緩衝地帯を手に入れた。
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