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第17話 味の改善、大失敗
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『奇跡の泥水亭』の評判は、村の中で不動のものとなった。しかし、その評判には必ずと言っていいほど、ある一つの枕詞がついて回る。
「ルーク様のポーションは奇跡のように効く。……味さえなければ」
俺の作る創生水は、その効果と引き換えに、飲む者全てに筆舌に尽くしがたい苦痛を与える。雨上がりの水たまりを煮詰めたような、強烈な泥の味。それはもはや、ミストラル村の新しい名物、あるいは通過儀礼のようになっていた。
大人たちはまだいい。彼らは効果を知っているから、良薬口に苦しと自分に言い聞かせて一気に飲み干す。問題は、子供たちだった。
「いやぁ!にがいお水、飲みたくないー!」
「うわーん!お母さんの嘘つき!お薬じゃなくて泥だー!」
風邪気味の子供に創生水を飲ませようとする母親と、全力で抵抗する子供の姿は、村の日常風景の一つになっていた。エリアナですら、俺が小瓶を取り出すと、一瞬だけ顔がこわばる。
「お兄ちゃんのお水、効くのは知ってるけど……でも、やっぱりまずいんだもん」
そう言って唇を尖らせる彼女の姿を見るたびに、俺の胸はちくりと痛んだ。せっかく人を癒す力があるのに、そのたびに苦しい思いをさせてしまう。どうにかして、この味を改善できないものか。
その思いは、日増しに強くなっていった。俺は店のカウンターで腕を組み、うーん、と唸りながら考える。
味を改善する方法。真っ先に思いつくのは、何かを混ぜることだ。大神殿にいた頃、薬草学の授業で習った知識が頭をよぎる。苦い薬には、甘草というハーブを混ぜて飲みやすくすることがある。香りの悪い薬には、花の蜜や香りの良い葉を加えて誤魔化すこともあった。
「甘みと、香りか……」
俺は立ち上がり、店の棚を眺めた。そこには、村人たちが持ってきてくれた様々なものが並んでいる。森で採れたという蜂蜜の壺。庭で育てたというミントのような爽やかな香りのするハーブの束。甘酸っぱい香りを放つ、木苺のジャム。
これらを使えば、あの地獄のような泥の味を、少しはマシにできるのではないか。
「よし、やってみよう」
善は急げだ。俺は早速、実験に取り掛かった。
まずは基本となる創生水を、いくつかのグラスに注ぐ。相変わらずの濁った茶色い液体が、不穏な存在感を放っていた。
一つ目のグラスには、蜂蜜をたっぷりと溶かし入れてみた。黄金色の蜂蜜が、茶色い液体の中でゆっくりと混ざり合っていく。見た目は、少しだけとろみのある泥水になった。
二つ目のグラスには、ハーブの葉を数枚浮かべ、その香りを移す。爽やかな香りが立ち上り、泥臭さを少しだけ覆い隠してくれた。
三つ目のグラスには、思い切って木苺のジャムを混ぜてみた。ジャムの赤い色素が混ざり、液体は毒々しい赤茶色へと変化した。しかし、甘酸っぱい香りは悪くない。
俺は三つの試作品を前に、腕を組んで満足げに頷いた。
「これなら、いけるかもしれない」
見た目も香りも、元の泥水よりは格段に良くなっている。問題は味だ。俺は一番自信のある、蜂蜜入りのグラスを手に取った。甘い蜂蜜が、あの泥の味を包み込んでくれるはずだ。
意を決して、グラスを傾ける。一口、液体を口に含んだ。
「―――っぶ!?」
瞬間、俺は口の中身を噴き出しそうになるのを必死でこらえた。なんだ、これは。
甘い。確かに、蜂蜜の甘さは感じる。だが、その甘さが、泥の味の輪郭をより一層くっきりと際立たせていた。甘さと土臭さが口の中で喧嘩し、互いの長所を打ち消し合い、最悪の短所だけが口内に残留する。例えるなら、砂糖をかけた土団子を食べているような感覚。後味は、元の泥水よりもひどかった。
「だ、ダメだ……」
俺は慌てて水で口をゆすぐ。気を取り直して、ハーブ入りのグラスを試す。爽やかな香りが、期待を持たせる。
「……うっ!」
これもダメだった。ハーブの持つかすかな苦味と清涼感が、泥のえぐみと化学反応を起こし、未知の渋みへと昇華されていた。まるで、雑草を煮出した汁のようだ。
最後の望みは、木苺ジャム入り。これなら、ベリーの強い酸味と甘みが、全てを上書きしてくれるかもしれない。
俺は祈るような気持ちで、赤茶色の液体を口にした。
そして、完全に敗北した。
ベリーの酸味。ジャムの甘み。そして、泥の風味。三つの味が、誰一人として譲ろうとせず、口の中で三国志を繰り広げている。その結果生まれるのは、混沌と不快感だけ。果物の味がするのに、絶望的に不味い。これは、ある意味で最も罪深い味かもしれなかった。
「全滅か……」
俺はカウンターに突っ伏し、うなだれた。味の改善は、俺が考えていたよりもずっと難しいらしい。創生水には、混ぜたものの味を悪い方向に増幅させてしまう、特殊な性質でもあるのだろうか。
俺が絶望に打ちひしがれていると、店の扉がからんと開いた。
「お兄ちゃん、遊びに来たよー!」
元気な声と共に、エリアナが入ってきた。彼女はカウンターに並んだ色とりどりのグラスを見ると、目をきらきらと輝かせた。
「わあ、綺麗なジュース!お兄ちゃんが作ったの?」
しまった。見られた。子供の目に、この毒々しい液体はジュースのように映るらしい。
「あ、いや、これはその……」
俺が言葉を濁していると、エリアナはカウンターによじ登り、一番見た目の良い木苺ジャム入りのグラスを指さした。
「これ飲みたい!苺のジュースでしょ?」
「だ、ダメだエリアナ!それはジュースじゃない!」
俺は慌てて止めようとするが、エリアナはすでに俺の制止を聞いていなかった。純粋な子供の好奇心は、時にどんな警告よりも強い。
「一口だけ!ね、お願い!」
うるうるとした瞳で上目遣いに見つめられ、俺はぐっと言葉に詰まった。まずいとは分かっている。だが、もしかしたら子供の味覚なら、この複雑な味を「フルーティー」だと感じてくれる可能性が、百万分の一くらいはあるかもしれない。それに、彼女をがっかりさせたくないという気持ちもあった。
「……ほんの、一口だけだぞ」
俺が折れると、エリアナは「やったー!」と歓声を上げた。彼女は小さな手でグラスを持つと、こく、と小さな喉を鳴らしてそれを飲んだ。
時が、止まった。
エリアナは、グラスを口にしたままの姿勢で固まっている。きらきらと輝いていた彼女の瞳から、急速に光が失われていく。その顔はみるみるうちに青ざめ、やがて歪み始めた。
「……」
ぷるぷると、小さな唇が震える。大きな瞳の縁に、みるみるうちに涙の膜が張っていく。
そして、次の瞬間。
「まずーーーーいーーーっ!!」
エリアナは、この世の終わりのような絶叫を上げた。その声は、村中に響き渡ったのではないかと思うほどだった。
「うええええええん!お兄ちゃんの嘘つき!ジュースじゃない!変な味の泥だよおぉぉぉ!」
大粒の涙をぼろぼろとこぼし、エリアナはカウンターの上で泣きじゃくり始めた。その泣きっぷりは、俺が今まで見たどんな子供の泣き顔よりも凄まじかった。よほど、衝撃的な味だったのだろう。
「ご、ごめん!エリアナ、ごめん!俺が悪かった!」
俺は完全に狼狽し、エリアナを抱き上げて必死にあやす。だが、一度決壊した涙腺は、そう簡単には止まらない。
「今までで一番まずかった!甘いのに苦くて酸っぱくて土の味!うえーん!」
具体的な食レポ付きで泣かれると、ダメージは倍増する。俺はただ、オロオロと彼女の背中をさすることしかできなかった。
そこへ、娘のただならぬ泣き声を聞きつけたマルタさんが、血相を変えて店に飛び込んできた。
「エリアナ!?どうしたの!」
「お母さーん!お兄ちゃんが変なジュース飲ませたあ!」
エリアナは俺の腕から飛び降りると、母親の胸に飛び込んでさらに大声で泣き出した。マルタさんは、カウンターに並んだ怪しげな液体の数々と、半べその俺の顔を交互に見ると、すぐに状況を察したようだった。
彼女は、はああ、と深いため息をついた。その目は、呆れと、ほんの少しの同情と、そして隠しきれない面白さが入り混じっていた。
「……ルーク様。あなた様が優しいお方だというのは、よおく分かっておりますが……」
マルタさんは、くすくすと笑いをこらえながら言った。
「うちの子に、得体の知れないものを飲ませるのは、やめていただけますか?」
その言葉に、俺は返す言葉もなかった。ただ、申し訳なさで縮こまりながら、深々と頭を下げることしかできなかった。
結局、エリアナが泣き止むまでには、一時間近くかかった。俺は償いとして、とっておきの蜂蜜をたっぷり塗ったパンケーキを彼女に作り、それでようやく機嫌を直してもらった。
この一件は、すぐに村中の知るところとなった。『奇跡の泥水亭』の主人は、味覚が壊滅的である、と。そして、村の親たちの間では、「ルーク様のポーションは、決して混ぜ物をしてはいけない」という教えが、固く固く言い伝えられることになった。
俺の味改善への道は、かくして初手から壮絶な失敗に終わった。カウンターの隅で、エリアナが「もう変なジュースは作らないでね」と釘を刺してくる。
俺は力なく頷きながらも、心の片隅でリベンジを誓っていた。いつか必ず、エリアナが「美味しい」と言ってくれるポーションを、作ってみせる。
その決意が、さらなる悲劇(喜劇?)を生むことになるのを、俺はまだ知らなかった。
「ルーク様のポーションは奇跡のように効く。……味さえなければ」
俺の作る創生水は、その効果と引き換えに、飲む者全てに筆舌に尽くしがたい苦痛を与える。雨上がりの水たまりを煮詰めたような、強烈な泥の味。それはもはや、ミストラル村の新しい名物、あるいは通過儀礼のようになっていた。
大人たちはまだいい。彼らは効果を知っているから、良薬口に苦しと自分に言い聞かせて一気に飲み干す。問題は、子供たちだった。
「いやぁ!にがいお水、飲みたくないー!」
「うわーん!お母さんの嘘つき!お薬じゃなくて泥だー!」
風邪気味の子供に創生水を飲ませようとする母親と、全力で抵抗する子供の姿は、村の日常風景の一つになっていた。エリアナですら、俺が小瓶を取り出すと、一瞬だけ顔がこわばる。
「お兄ちゃんのお水、効くのは知ってるけど……でも、やっぱりまずいんだもん」
そう言って唇を尖らせる彼女の姿を見るたびに、俺の胸はちくりと痛んだ。せっかく人を癒す力があるのに、そのたびに苦しい思いをさせてしまう。どうにかして、この味を改善できないものか。
その思いは、日増しに強くなっていった。俺は店のカウンターで腕を組み、うーん、と唸りながら考える。
味を改善する方法。真っ先に思いつくのは、何かを混ぜることだ。大神殿にいた頃、薬草学の授業で習った知識が頭をよぎる。苦い薬には、甘草というハーブを混ぜて飲みやすくすることがある。香りの悪い薬には、花の蜜や香りの良い葉を加えて誤魔化すこともあった。
「甘みと、香りか……」
俺は立ち上がり、店の棚を眺めた。そこには、村人たちが持ってきてくれた様々なものが並んでいる。森で採れたという蜂蜜の壺。庭で育てたというミントのような爽やかな香りのするハーブの束。甘酸っぱい香りを放つ、木苺のジャム。
これらを使えば、あの地獄のような泥の味を、少しはマシにできるのではないか。
「よし、やってみよう」
善は急げだ。俺は早速、実験に取り掛かった。
まずは基本となる創生水を、いくつかのグラスに注ぐ。相変わらずの濁った茶色い液体が、不穏な存在感を放っていた。
一つ目のグラスには、蜂蜜をたっぷりと溶かし入れてみた。黄金色の蜂蜜が、茶色い液体の中でゆっくりと混ざり合っていく。見た目は、少しだけとろみのある泥水になった。
二つ目のグラスには、ハーブの葉を数枚浮かべ、その香りを移す。爽やかな香りが立ち上り、泥臭さを少しだけ覆い隠してくれた。
三つ目のグラスには、思い切って木苺のジャムを混ぜてみた。ジャムの赤い色素が混ざり、液体は毒々しい赤茶色へと変化した。しかし、甘酸っぱい香りは悪くない。
俺は三つの試作品を前に、腕を組んで満足げに頷いた。
「これなら、いけるかもしれない」
見た目も香りも、元の泥水よりは格段に良くなっている。問題は味だ。俺は一番自信のある、蜂蜜入りのグラスを手に取った。甘い蜂蜜が、あの泥の味を包み込んでくれるはずだ。
意を決して、グラスを傾ける。一口、液体を口に含んだ。
「―――っぶ!?」
瞬間、俺は口の中身を噴き出しそうになるのを必死でこらえた。なんだ、これは。
甘い。確かに、蜂蜜の甘さは感じる。だが、その甘さが、泥の味の輪郭をより一層くっきりと際立たせていた。甘さと土臭さが口の中で喧嘩し、互いの長所を打ち消し合い、最悪の短所だけが口内に残留する。例えるなら、砂糖をかけた土団子を食べているような感覚。後味は、元の泥水よりもひどかった。
「だ、ダメだ……」
俺は慌てて水で口をゆすぐ。気を取り直して、ハーブ入りのグラスを試す。爽やかな香りが、期待を持たせる。
「……うっ!」
これもダメだった。ハーブの持つかすかな苦味と清涼感が、泥のえぐみと化学反応を起こし、未知の渋みへと昇華されていた。まるで、雑草を煮出した汁のようだ。
最後の望みは、木苺ジャム入り。これなら、ベリーの強い酸味と甘みが、全てを上書きしてくれるかもしれない。
俺は祈るような気持ちで、赤茶色の液体を口にした。
そして、完全に敗北した。
ベリーの酸味。ジャムの甘み。そして、泥の風味。三つの味が、誰一人として譲ろうとせず、口の中で三国志を繰り広げている。その結果生まれるのは、混沌と不快感だけ。果物の味がするのに、絶望的に不味い。これは、ある意味で最も罪深い味かもしれなかった。
「全滅か……」
俺はカウンターに突っ伏し、うなだれた。味の改善は、俺が考えていたよりもずっと難しいらしい。創生水には、混ぜたものの味を悪い方向に増幅させてしまう、特殊な性質でもあるのだろうか。
俺が絶望に打ちひしがれていると、店の扉がからんと開いた。
「お兄ちゃん、遊びに来たよー!」
元気な声と共に、エリアナが入ってきた。彼女はカウンターに並んだ色とりどりのグラスを見ると、目をきらきらと輝かせた。
「わあ、綺麗なジュース!お兄ちゃんが作ったの?」
しまった。見られた。子供の目に、この毒々しい液体はジュースのように映るらしい。
「あ、いや、これはその……」
俺が言葉を濁していると、エリアナはカウンターによじ登り、一番見た目の良い木苺ジャム入りのグラスを指さした。
「これ飲みたい!苺のジュースでしょ?」
「だ、ダメだエリアナ!それはジュースじゃない!」
俺は慌てて止めようとするが、エリアナはすでに俺の制止を聞いていなかった。純粋な子供の好奇心は、時にどんな警告よりも強い。
「一口だけ!ね、お願い!」
うるうるとした瞳で上目遣いに見つめられ、俺はぐっと言葉に詰まった。まずいとは分かっている。だが、もしかしたら子供の味覚なら、この複雑な味を「フルーティー」だと感じてくれる可能性が、百万分の一くらいはあるかもしれない。それに、彼女をがっかりさせたくないという気持ちもあった。
「……ほんの、一口だけだぞ」
俺が折れると、エリアナは「やったー!」と歓声を上げた。彼女は小さな手でグラスを持つと、こく、と小さな喉を鳴らしてそれを飲んだ。
時が、止まった。
エリアナは、グラスを口にしたままの姿勢で固まっている。きらきらと輝いていた彼女の瞳から、急速に光が失われていく。その顔はみるみるうちに青ざめ、やがて歪み始めた。
「……」
ぷるぷると、小さな唇が震える。大きな瞳の縁に、みるみるうちに涙の膜が張っていく。
そして、次の瞬間。
「まずーーーーいーーーっ!!」
エリアナは、この世の終わりのような絶叫を上げた。その声は、村中に響き渡ったのではないかと思うほどだった。
「うええええええん!お兄ちゃんの嘘つき!ジュースじゃない!変な味の泥だよおぉぉぉ!」
大粒の涙をぼろぼろとこぼし、エリアナはカウンターの上で泣きじゃくり始めた。その泣きっぷりは、俺が今まで見たどんな子供の泣き顔よりも凄まじかった。よほど、衝撃的な味だったのだろう。
「ご、ごめん!エリアナ、ごめん!俺が悪かった!」
俺は完全に狼狽し、エリアナを抱き上げて必死にあやす。だが、一度決壊した涙腺は、そう簡単には止まらない。
「今までで一番まずかった!甘いのに苦くて酸っぱくて土の味!うえーん!」
具体的な食レポ付きで泣かれると、ダメージは倍増する。俺はただ、オロオロと彼女の背中をさすることしかできなかった。
そこへ、娘のただならぬ泣き声を聞きつけたマルタさんが、血相を変えて店に飛び込んできた。
「エリアナ!?どうしたの!」
「お母さーん!お兄ちゃんが変なジュース飲ませたあ!」
エリアナは俺の腕から飛び降りると、母親の胸に飛び込んでさらに大声で泣き出した。マルタさんは、カウンターに並んだ怪しげな液体の数々と、半べその俺の顔を交互に見ると、すぐに状況を察したようだった。
彼女は、はああ、と深いため息をついた。その目は、呆れと、ほんの少しの同情と、そして隠しきれない面白さが入り混じっていた。
「……ルーク様。あなた様が優しいお方だというのは、よおく分かっておりますが……」
マルタさんは、くすくすと笑いをこらえながら言った。
「うちの子に、得体の知れないものを飲ませるのは、やめていただけますか?」
その言葉に、俺は返す言葉もなかった。ただ、申し訳なさで縮こまりながら、深々と頭を下げることしかできなかった。
結局、エリアナが泣き止むまでには、一時間近くかかった。俺は償いとして、とっておきの蜂蜜をたっぷり塗ったパンケーキを彼女に作り、それでようやく機嫌を直してもらった。
この一件は、すぐに村中の知るところとなった。『奇跡の泥水亭』の主人は、味覚が壊滅的である、と。そして、村の親たちの間では、「ルーク様のポーションは、決して混ぜ物をしてはいけない」という教えが、固く固く言い伝えられることになった。
俺の味改善への道は、かくして初手から壮絶な失敗に終わった。カウンターの隅で、エリアナが「もう変なジュースは作らないでね」と釘を刺してくる。
俺は力なく頷きながらも、心の片隅でリベンジを誓っていた。いつか必ず、エリアナが「美味しい」と言ってくれるポーションを、作ってみせる。
その決意が、さらなる悲劇(喜劇?)を生むことになるのを、俺はまだ知らなかった。
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