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第9話:ゴブリン向けOJTと、最初のリーダー候補
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コアの威圧と、報酬への期待、そして罰への恐れ。この三つの要素によって、召喚されたばかりの三体のゴブリンは、ひとまず俺の命令に従う姿勢を見せていた。だが、その目は依然として警戒と疑念に満ちている。彼らを真の意味で「戦力」とするためには、地道な教育と訓練が不可欠だ。
「さて、貴様ら。まずは基本的なことからだ。」
俺はコアに指示し、簡易ダッシュボード機能を使って、現在のダンジョンの簡易マップと、ゴブリンたちのステータスを表示させた。UIはシンプルだが、必要な情報が整理されていて見やすい。さすが俺の思考を読み取って最適化されただけある。
**【簡易ダッシュボード】**
* **所持DP:** 910 DP (ゴブリン召喚-90DP)
* **時間あたりDP収支:** +0.5 DP/h (自然吸収)
* **稼働モンスター:**
* スライム x 2 (スラきち、スラに:待機中)
* ゴブリン x 3 (ゴブリンA, B, C:コア安置室にて待機中)
* **罠作動ログ:** No.005 (対ゴブリンx4, 成功), No.004 (対森猪x1, 成功)...
* **ダンジョンレベル:** Lv.2
* **拡張可能範囲:** 半径20m
ゴブリンには便宜上、A, B, Cと仮の名前を割り振った。ステータスを見ると、筋力や敏捷性には若干の個体差があるものの、知性レベルはどれも「低い」で共通している。ここが最大の課題だ。
「まずは、貴様たちの寝床と仕事場を用意する。」
俺はコアに指示し、レベルアップで拡張可能になったエリアに、新たな空間を生成させる。コア安置室(この部屋)から少し離れた場所に、ゴブリン専用の待機所を作るのだ。広さは6畳間程度。コストは20DP。
『ゴブリン用待機所、生成完了しました。換気機能付きです。』
「よし。貴様ら、あっちの部屋が今日からお前たちの待機場所だ。許可なくここ(コア安置室)には入るな。」
俺が指差すと、ゴブリンたちはおずおずと新しい部屋を覗き込み、何やらゴブリン語で騒ぎ始めた。少なくとも、ただの洞穴よりはマシな環境だろう。衛生観念の低いゴブリンとはいえ、少しでも快適な環境を提供することは、モチベーション維持と、ひいてはダンジョンの清潔さ維持にも繋がるはずだ。ホワイトダンジョンへの道は、労働環境整備から始まる。
「次に、食事だ。食事は、一日二回支給する。内容は、お前たちの働きぶりによって変わる。よく働けば美味いもの、サボれば…まあ、それなりのものだ。」
これは、KPI評価と連動させる予定だ。評価の高いゴブリンには、少し良い肉などを与え、低いゴブリンには最低限の栄養が摂れる(であろう)粗末な餌を与える。露骨な差別化だが、ゴブリンのような単純な生物には、これくらい分かりやすい方が効果的だろう。
「さあ、最初の仕事であり、訓練だ。『報連相』の練習をするぞ。」
俺は三体のゴブリンをコア安置室に呼び戻し、基本的なロールプレイングを開始することにした。
「まず、『ホウコク』の練習だ。ゴブリンA、お前は斥候役だ。通路を進んで、何か見つけたら、すぐに俺に報告しろ。いいな?」
ゴブリンA(比較的、目がギラギラしていて、他の二体より少しだけ体格が良い)は、キョトンとした顔で俺を見た。
「コア、Aに『斥候として通路を進み、何か発見したらマスターに報告せよ』と、もっと分かりやすく伝えてくれ。」
『了解しました。』
コアがゴブリン語(?)で補足すると、Aは渋々といった感じで、通路の方へ歩き出した。俺はコアのモニターでAの動きを追う。
通路の途中には、俺が試しに設置しておいた新しい罠、トリップワイヤーLv.1(コスト15DP)がある。これは、侵入者が足を引っ掛けると警報が鳴るか、あるいは別の罠と連動させることができるシンプルな罠だ。今回は、警報だけが鳴るように設定してある。
ゴブリンAは、警戒心のかけらもなく通路を進み…案の定、トリップワイヤーに足を引っ掛けた。
ピリリリリ!
けたたましい警報音が鳴り響く。ゴブリンAは驚いて尻餅をつき、慌てて周囲を見回している。
「よし、A! 何があったか報告しろ!」
俺はAに向かって叫んだ。Aは、まだ混乱している様子で、俺の方を見て何か喚いているが、要領を得ない。
「コア、通訳!」
『「な、何か鳴った! びっくりした! 足、引っかかった!」と報告しています。』
「ふむ…まあ、初めてにしては上出来か? 結果として報告にはなっている。」
俺はAを呼び戻し、今度はB(少し小柄で、他の二体の様子を窺うような臆病なタイプ)に同じことをやらせてみた。Bは、Aが引っかかったのを見ていたせいか、トリップワイヤーの前で立ち止まり、警戒している。
「B! 何か見つけたか? 報告しろ!」
Bは、ワイヤーを指差し、何かを訴えている。
『「変な線、ある。危ないかも?」と報告しています。』
「ほう、これは良い報告だ。危険を察知し、報告できた。よし、B、よくやった。」
俺はBを少し褒めてやった。Bは、ビクッとしたが、まんざらでもない表情をしている。単純な奴らだ。
次に、C(他の二体と比べて、特にこれといった特徴がない、平均的なゴブリン)にも同じことをやらせた。Cは、ワイヤーを認識はしたが、どうすればいいか分からず、立ち往生してしまった。
「C! どうした? 分からなければ『ソウダン』しろ!」
俺が促すと、Cはおずおずとこちらを向き、何かを言った。
『「これ、どうすればいい? 進めない」と相談しています。』
「よし! それが『ソウダン』だ! 分からない時は、すぐに聞け。いいか?」
俺はCにも、相談できたことを評価した。
こんな調子で、単純なシナリオ(例:通路の先にスラきちを置いておき、発見したら報告させる。二手に分かれて探索させ、互いに発見事項を『レンラク』させる、など)を繰り返し、ロールプレイング形式で報連相の基礎を叩き込んでいく。
コアが模範演技を見せたり(ゴブリン語で流暢に報告・連絡・相談を行う姿はシュールだ)、スラきちやスラにを相手役にしたりしながら、根気強く訓練を続けた。
ゴブリンたちの反応は様々だった。
Aは、行動力はあるが、報告が雑で、勝手に突っ走る傾向がある。リーダーシップの素質はあるかもしれないが、要管理。
Bは、臆病だが、観察力があり、報告は比較的正確。リスク管理には向いているかもしれない。
Cは、指示待ちで主体性はないが、言われたことは(時間はかかるが)やろうとする。相談も、促せばできる。典型的な兵隊タイプか。
(なるほど…やはり個体差が大きいな。これは、適材適所の配置と、チーム内での役割分担が重要になる。)
俺は、コアのダッシュボードに、各ゴブリンのKPI評価シートを作成し、訓練中のパフォーマンスを記録していく。
**【ゴブリンA 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: △ (単純なものはOK、応用が利かない)
* 報連相実践度: △ (報告はするが雑。連絡・相談は苦手)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: 〇 (良くも悪くも、まず動く)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 行動力あり、やや暴走気味。リーダー候補だが注意必要。
**【ゴブリンB 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: 〇 (比較的正確に理解)
* 報連相実践度: 〇 (報告は正確。相談もできる。連絡はやや苦手)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: △ (慎重すぎて行動が遅い)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 慎重派、観察力あり。斥候や罠担当向きか?
**【ゴブリンC 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: 〇 (時間はかかるが理解はする)
* 報連相実践度: △ (促されればできるレベル。自発性は低い)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: × (完全に指示待ち)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 指示待ち、兵隊タイプ。単純作業向き。
数時間に及ぶ(と思われる)訓練の結果、三者三様の個性が見えてきた。そして、リーダー候補として、やはりAが有力か、という感触を得た。問題児ではあるが、あの行動力と、他の二体に対する(威圧的な)影響力は、ゴブリンのリーダーとしては必要な資質なのかもしれない。もちろん、俺がしっかりと手綱を握る必要はあるが。
「よし、今日の訓練はここまでだ。」
俺が終了を告げると、ゴブリンたちは明らかにホッとした顔をした。
「食事の時間だ。今日の働きに応じて内容が変わるぞ。」
俺はコアに指示し、KPI評価に基づいて食事を用意させた。AとBには、焼いたネズミ肉(ダンジョン内で捕獲・ストックしておいたもの)を一切れずつ。Cには、硬い木の実のようなものを数個。
AとBは、肉を見て目を輝かせ、貪るように食べ始めた。一方、Cは木の実を不満そうに見ていたが、空腹には勝てないのか、渋々かじり始めた。
(ふふふ…分かりやすい奴らめ。)
この露骨な成果主義が、彼らの成長を促すことを期待しよう。
ゴブリンたちが待機所に戻っていくのを見送り、俺はコアに向き直った。
「コア、訓練の成果と課題をまとめてくれ。それと、リーダー候補としてAを仮決定するが、異論はあるか?」
『訓練成果:報連相の基礎概念は、反復によりある程度理解した模様。特に、単純な報告と、促された場合の相談は可能。課題:自発的な連絡、複雑な状況下での的確な判断と報告・相談は依然として困難。個体差による得意不得手の平準化も必要。リーダー候補について:ゴブリンAは行動力と影響力の点で適任と判断できますが、マスターによる厳格な管理と、暴走を抑制する仕組み(副リーダーや監視役の設置など)が必要と思われます。』
「的確な分析、感謝する。副リーダーか…Bあたりが補佐役としては適任かもしれんな。慎重さがAの暴走を抑えるかもしれない。」
プロジェクトGは、まだ始まったばかりだ。人材育成には時間がかかる。だが、確かな手応えも感じ始めていた。
「さて、ゴブリンたちの訓練と並行して、ダンジョン自体の強化も進めなければな。」
俺はダッシュボードに表示された「設置可能罠リスト」に目をやった。スパイクピットLv.1(コスト70DP)。落とし穴の底にスパイクを設置し、殺傷能力を高める罠。
「これを、既存の落とし穴(ポイントβ)に設置しよう。コストはかかるが、ゴブリンが本格的に戦力になるまでの間、防衛の要として期待したい。」
『承知いたしました。落とし穴(ポイントβ)に、スパイクピットLv.1の機能を追加します。コスト70DP。』
所持DPが、910 - 90(ゴブリン召喚) - 20(待機所) - 15(トリップワイヤー) - 70(スパイクピット) = 715DP となった。
これで、通路の罠は、潤滑床→スパイク付き落とし穴(粘液付き)→トリップワイヤー、という構成になった。さらに、待機中のスラきち、スラにによる粘液サポートもある。ゴブリン部隊が戦力化するまでの間、これでなんとか凌げるだろうか。
ふと、コアが俺に問いかけてきた。
『マスター、ゴブリンたちの個体名ですが、A、B、Cでは管理上、不便が生じる可能性があります。固有の名前を付けますか?』
「名前、か…」
俺は少し考えた。愛着が湧きすぎると、非情な判断が鈍るかもしれない。だが、個体管理の効率を考えれば、名前はあった方がいいだろう。
「そうだな…リーダー候補のAは…『ゴブキチ』。慎重派のBは…『ゴブジ』。指示待ちのCは…『ゴブゾウ』。…安直か?」
『個体識別情報として登録します。ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウですね。』
コアは特に意見はないようだ。
ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウ。そして、スラきち、スラに。彼らが、俺のホワイトダンジョン計画を支える、最初の「社員」たちだ。彼らの成長が、このダンジョンの未来を左右する。
俺は、ゴブリン待機所の方に目を向けた。中からは、まだゴブリンたちの騒がしい声が聞こえてくる。彼らが、俺の期待に応える戦力へと育ってくれることを願いながら、俺は次の訓練メニューの策定に取り掛かった。OJT(On-the-Job Training)は、まだまだこれからだ。
「さて、貴様ら。まずは基本的なことからだ。」
俺はコアに指示し、簡易ダッシュボード機能を使って、現在のダンジョンの簡易マップと、ゴブリンたちのステータスを表示させた。UIはシンプルだが、必要な情報が整理されていて見やすい。さすが俺の思考を読み取って最適化されただけある。
**【簡易ダッシュボード】**
* **所持DP:** 910 DP (ゴブリン召喚-90DP)
* **時間あたりDP収支:** +0.5 DP/h (自然吸収)
* **稼働モンスター:**
* スライム x 2 (スラきち、スラに:待機中)
* ゴブリン x 3 (ゴブリンA, B, C:コア安置室にて待機中)
* **罠作動ログ:** No.005 (対ゴブリンx4, 成功), No.004 (対森猪x1, 成功)...
* **ダンジョンレベル:** Lv.2
* **拡張可能範囲:** 半径20m
ゴブリンには便宜上、A, B, Cと仮の名前を割り振った。ステータスを見ると、筋力や敏捷性には若干の個体差があるものの、知性レベルはどれも「低い」で共通している。ここが最大の課題だ。
「まずは、貴様たちの寝床と仕事場を用意する。」
俺はコアに指示し、レベルアップで拡張可能になったエリアに、新たな空間を生成させる。コア安置室(この部屋)から少し離れた場所に、ゴブリン専用の待機所を作るのだ。広さは6畳間程度。コストは20DP。
『ゴブリン用待機所、生成完了しました。換気機能付きです。』
「よし。貴様ら、あっちの部屋が今日からお前たちの待機場所だ。許可なくここ(コア安置室)には入るな。」
俺が指差すと、ゴブリンたちはおずおずと新しい部屋を覗き込み、何やらゴブリン語で騒ぎ始めた。少なくとも、ただの洞穴よりはマシな環境だろう。衛生観念の低いゴブリンとはいえ、少しでも快適な環境を提供することは、モチベーション維持と、ひいてはダンジョンの清潔さ維持にも繋がるはずだ。ホワイトダンジョンへの道は、労働環境整備から始まる。
「次に、食事だ。食事は、一日二回支給する。内容は、お前たちの働きぶりによって変わる。よく働けば美味いもの、サボれば…まあ、それなりのものだ。」
これは、KPI評価と連動させる予定だ。評価の高いゴブリンには、少し良い肉などを与え、低いゴブリンには最低限の栄養が摂れる(であろう)粗末な餌を与える。露骨な差別化だが、ゴブリンのような単純な生物には、これくらい分かりやすい方が効果的だろう。
「さあ、最初の仕事であり、訓練だ。『報連相』の練習をするぞ。」
俺は三体のゴブリンをコア安置室に呼び戻し、基本的なロールプレイングを開始することにした。
「まず、『ホウコク』の練習だ。ゴブリンA、お前は斥候役だ。通路を進んで、何か見つけたら、すぐに俺に報告しろ。いいな?」
ゴブリンA(比較的、目がギラギラしていて、他の二体より少しだけ体格が良い)は、キョトンとした顔で俺を見た。
「コア、Aに『斥候として通路を進み、何か発見したらマスターに報告せよ』と、もっと分かりやすく伝えてくれ。」
『了解しました。』
コアがゴブリン語(?)で補足すると、Aは渋々といった感じで、通路の方へ歩き出した。俺はコアのモニターでAの動きを追う。
通路の途中には、俺が試しに設置しておいた新しい罠、トリップワイヤーLv.1(コスト15DP)がある。これは、侵入者が足を引っ掛けると警報が鳴るか、あるいは別の罠と連動させることができるシンプルな罠だ。今回は、警報だけが鳴るように設定してある。
ゴブリンAは、警戒心のかけらもなく通路を進み…案の定、トリップワイヤーに足を引っ掛けた。
ピリリリリ!
けたたましい警報音が鳴り響く。ゴブリンAは驚いて尻餅をつき、慌てて周囲を見回している。
「よし、A! 何があったか報告しろ!」
俺はAに向かって叫んだ。Aは、まだ混乱している様子で、俺の方を見て何か喚いているが、要領を得ない。
「コア、通訳!」
『「な、何か鳴った! びっくりした! 足、引っかかった!」と報告しています。』
「ふむ…まあ、初めてにしては上出来か? 結果として報告にはなっている。」
俺はAを呼び戻し、今度はB(少し小柄で、他の二体の様子を窺うような臆病なタイプ)に同じことをやらせてみた。Bは、Aが引っかかったのを見ていたせいか、トリップワイヤーの前で立ち止まり、警戒している。
「B! 何か見つけたか? 報告しろ!」
Bは、ワイヤーを指差し、何かを訴えている。
『「変な線、ある。危ないかも?」と報告しています。』
「ほう、これは良い報告だ。危険を察知し、報告できた。よし、B、よくやった。」
俺はBを少し褒めてやった。Bは、ビクッとしたが、まんざらでもない表情をしている。単純な奴らだ。
次に、C(他の二体と比べて、特にこれといった特徴がない、平均的なゴブリン)にも同じことをやらせた。Cは、ワイヤーを認識はしたが、どうすればいいか分からず、立ち往生してしまった。
「C! どうした? 分からなければ『ソウダン』しろ!」
俺が促すと、Cはおずおずとこちらを向き、何かを言った。
『「これ、どうすればいい? 進めない」と相談しています。』
「よし! それが『ソウダン』だ! 分からない時は、すぐに聞け。いいか?」
俺はCにも、相談できたことを評価した。
こんな調子で、単純なシナリオ(例:通路の先にスラきちを置いておき、発見したら報告させる。二手に分かれて探索させ、互いに発見事項を『レンラク』させる、など)を繰り返し、ロールプレイング形式で報連相の基礎を叩き込んでいく。
コアが模範演技を見せたり(ゴブリン語で流暢に報告・連絡・相談を行う姿はシュールだ)、スラきちやスラにを相手役にしたりしながら、根気強く訓練を続けた。
ゴブリンたちの反応は様々だった。
Aは、行動力はあるが、報告が雑で、勝手に突っ走る傾向がある。リーダーシップの素質はあるかもしれないが、要管理。
Bは、臆病だが、観察力があり、報告は比較的正確。リスク管理には向いているかもしれない。
Cは、指示待ちで主体性はないが、言われたことは(時間はかかるが)やろうとする。相談も、促せばできる。典型的な兵隊タイプか。
(なるほど…やはり個体差が大きいな。これは、適材適所の配置と、チーム内での役割分担が重要になる。)
俺は、コアのダッシュボードに、各ゴブリンのKPI評価シートを作成し、訓練中のパフォーマンスを記録していく。
**【ゴブリンA 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: △ (単純なものはOK、応用が利かない)
* 報連相実践度: △ (報告はするが雑。連絡・相談は苦手)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: 〇 (良くも悪くも、まず動く)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 行動力あり、やや暴走気味。リーダー候補だが注意必要。
**【ゴブリンB 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: 〇 (比較的正確に理解)
* 報連相実践度: 〇 (報告は正確。相談もできる。連絡はやや苦手)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: △ (慎重すぎて行動が遅い)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 慎重派、観察力あり。斥候や罠担当向きか?
**【ゴブリンC 評価シート Ver.0.1】**
* 指示理解度: 〇 (時間はかかるが理解はする)
* 報連相実践度: △ (促されればできるレベル。自発性は低い)
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: × (完全に指示待ち)
* 戦闘貢献度: 未測定
* 特記事項: 指示待ち、兵隊タイプ。単純作業向き。
数時間に及ぶ(と思われる)訓練の結果、三者三様の個性が見えてきた。そして、リーダー候補として、やはりAが有力か、という感触を得た。問題児ではあるが、あの行動力と、他の二体に対する(威圧的な)影響力は、ゴブリンのリーダーとしては必要な資質なのかもしれない。もちろん、俺がしっかりと手綱を握る必要はあるが。
「よし、今日の訓練はここまでだ。」
俺が終了を告げると、ゴブリンたちは明らかにホッとした顔をした。
「食事の時間だ。今日の働きに応じて内容が変わるぞ。」
俺はコアに指示し、KPI評価に基づいて食事を用意させた。AとBには、焼いたネズミ肉(ダンジョン内で捕獲・ストックしておいたもの)を一切れずつ。Cには、硬い木の実のようなものを数個。
AとBは、肉を見て目を輝かせ、貪るように食べ始めた。一方、Cは木の実を不満そうに見ていたが、空腹には勝てないのか、渋々かじり始めた。
(ふふふ…分かりやすい奴らめ。)
この露骨な成果主義が、彼らの成長を促すことを期待しよう。
ゴブリンたちが待機所に戻っていくのを見送り、俺はコアに向き直った。
「コア、訓練の成果と課題をまとめてくれ。それと、リーダー候補としてAを仮決定するが、異論はあるか?」
『訓練成果:報連相の基礎概念は、反復によりある程度理解した模様。特に、単純な報告と、促された場合の相談は可能。課題:自発的な連絡、複雑な状況下での的確な判断と報告・相談は依然として困難。個体差による得意不得手の平準化も必要。リーダー候補について:ゴブリンAは行動力と影響力の点で適任と判断できますが、マスターによる厳格な管理と、暴走を抑制する仕組み(副リーダーや監視役の設置など)が必要と思われます。』
「的確な分析、感謝する。副リーダーか…Bあたりが補佐役としては適任かもしれんな。慎重さがAの暴走を抑えるかもしれない。」
プロジェクトGは、まだ始まったばかりだ。人材育成には時間がかかる。だが、確かな手応えも感じ始めていた。
「さて、ゴブリンたちの訓練と並行して、ダンジョン自体の強化も進めなければな。」
俺はダッシュボードに表示された「設置可能罠リスト」に目をやった。スパイクピットLv.1(コスト70DP)。落とし穴の底にスパイクを設置し、殺傷能力を高める罠。
「これを、既存の落とし穴(ポイントβ)に設置しよう。コストはかかるが、ゴブリンが本格的に戦力になるまでの間、防衛の要として期待したい。」
『承知いたしました。落とし穴(ポイントβ)に、スパイクピットLv.1の機能を追加します。コスト70DP。』
所持DPが、910 - 90(ゴブリン召喚) - 20(待機所) - 15(トリップワイヤー) - 70(スパイクピット) = 715DP となった。
これで、通路の罠は、潤滑床→スパイク付き落とし穴(粘液付き)→トリップワイヤー、という構成になった。さらに、待機中のスラきち、スラにによる粘液サポートもある。ゴブリン部隊が戦力化するまでの間、これでなんとか凌げるだろうか。
ふと、コアが俺に問いかけてきた。
『マスター、ゴブリンたちの個体名ですが、A、B、Cでは管理上、不便が生じる可能性があります。固有の名前を付けますか?』
「名前、か…」
俺は少し考えた。愛着が湧きすぎると、非情な判断が鈍るかもしれない。だが、個体管理の効率を考えれば、名前はあった方がいいだろう。
「そうだな…リーダー候補のAは…『ゴブキチ』。慎重派のBは…『ゴブジ』。指示待ちのCは…『ゴブゾウ』。…安直か?」
『個体識別情報として登録します。ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウですね。』
コアは特に意見はないようだ。
ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウ。そして、スラきち、スラに。彼らが、俺のホワイトダンジョン計画を支える、最初の「社員」たちだ。彼らの成長が、このダンジョンの未来を左右する。
俺は、ゴブリン待機所の方に目を向けた。中からは、まだゴブリンたちの騒がしい声が聞こえてくる。彼らが、俺の期待に応える戦力へと育ってくれることを願いながら、俺は次の訓練メニューの策定に取り掛かった。OJT(On-the-Job Training)は、まだまだこれからだ。
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その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
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