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第11話:戦後処理、データ分析、そして捕虜尋問という名の情報収集フェーズ
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通路には、戦闘の生々しい痕跡が残っていた。壁には棍棒による打撃痕や、ファイア・アローが掠めた焦げ跡。床には、ボルグが流したであろう血痕と、スラきちたちが撒き散らした粘液がまだらに広がっている。そして、意識を失ったまま横たわる魔術師リナと、その傍らで事切れている戦士ボルグ。
ゴブリンたちは、興奮と疲労が入り混じった様子で、ハアハアと荒い息をついていた。特に、ボルグにとどめを刺したゴブキチは、アドレナリンがまだ抜けていないのか、棍棒を握りしめたままギラギラとした目で周囲を見回している。一方、奇襲を成功させたゴブジは、興奮よりも怯えの方が勝っているのか、壁際にうずくまって小さくなっていた。ゴブゾウは…まあ、いつも通り、状況についていけていない顔で突っ立っている。
「…戦闘終了。まずは後処理だ。」
俺は意識的に冷静な声を出し、彼らに指示を与えた。感傷に浸っている暇はない。次の脅威に備えるためには、迅速な状況回復と分析が不可欠だ。
「コア、ボルグの遺体からDPを回収しろ。その後、遺体は…そうだな、ダンジョン外の森深くに転移させて処分。痕跡を残すな。」
ダンジョンマスター権能には、支配領域内での物質転移能力も含まれているらしい。ただし、質量や距離に応じてDPを消費する。
『了解しました、マスター。ボルグの遺体からDPを回収します…【DP獲得:10DP】。遺体の転移処理を実行します。コスト5DP。』
ボルグの遺体が淡い光に包まれ、静かに消え去った。Fランク戦士を倒して得られるDPは50だったが、死体からの回収は10DPか。まあ、そんなものだろう。生きたまま無力化する方が効率は良いのかもしれない。
「次に、ゴブリンたち。戦闘お疲れ様だった。すぐに回復泉で傷と疲れを癒せ。その後、待機所で待機。評価と報酬については後で伝える。」
『グ、グルル…』
ゴブリンたちは、まだ興奮冷めやらぬ様子ながらも、俺の指示に従って回復泉へと向かった。特に、肩に火傷を負ったゴブキチは、泉の水に浸かって安堵の声を上げていた。
「スラきち、スラに。お前たちもご苦労だった。粘液の補充と、通路の清掃を頼む。血痕や戦闘の痕跡を綺麗に消しておいてくれ。」
『了解しました、マスター。』
二体のスライムが、健気に清掃作業を開始する。彼らの働きぶりには、本当に頭が下がる。
さて、残るは捕虜のリナだ。
俺は意識を失っている彼女に近づき、その様子を観察する。歳は二十代前半くらいだろうか。ローブを着ていても、華奢な体つきなのが分かる。顔立ちは、まあまあ整っている方だろう。今は苦悶の表情を浮かべているが。
(こいつから、どれだけの情報を引き出せるか…)
拷問のような非人道的な手段は使いたくない。それは俺の主義に反するし、何より非効率的だ。嘘の情報や、恨みを買うリスクの方が大きい。
(コアの精神干渉能力は使えないか? 意識を保ったまま、特定の質問にだけ正直に答えさせる、みたいな…)
「コア、リナに対する精神干渉について、もっと詳しく教えてくれ。意識を保ったまま、情報を引き出すことは可能か?」
『限定的に可能です。対象の精神抵抗力にもよりますが、軽い催眠状態に置き、特定のキーワードに対する反応を強制したり、偽りを述べようとすると精神的な負荷がかかるように設定したりすることは可能です。ただし、長時間の使用や、本人の意思に強く反する情報の引き出しは、精神崩壊のリスクを伴います。』
「精神崩壊は避けたいな…あくまで情報収集が目的だ。よし、その軽い催眠状態と、嘘発見器的な負荷設定でいこう。準備はできるか?」
『はい、マスター。対象の精神状態が安定し次第、実行可能です。』
「分かった。リナをコア安置室まで運んでくれ。それと、何か拘束具のようなものは生成できるか? 念のためだ。」
『簡易的な魔力枷であれば、10DPで生成可能です。物理的な拘束力は低いですが、魔力の使用を阻害し、対象に精神的なプレッシャーを与えます。』
「それでいい。実行してくれ。」
コアがリナの体をふわりと浮かせ、コア安置室の壁際にゆっくりと横たえる。同時に、彼女の両手首に、淡く光る枷のようなものが現れた。リナはまだ意識を取り戻さない。
これで、準備は整った。あとは、リナの意識が戻るのを待つだけだ。
その間に、俺は今回の戦闘ログを詳細に分析することにした。コアが表示するダッシュボードには、戦闘中の各個体の動き、罠の効果、冒険者の使用スキルなどが時系列で記録されている。
**【戦闘ログNo.006 分析サマリー】**
* **侵入者:** Fランク冒険者パーティ(戦士ボルグ、魔術師リナ)
* **罠の効果:**
* 潤滑床:有効(転倒は回避されたが、体勢を崩させ、警戒心を煽る効果あり)
* スパイクピット:失敗(魔術師リナの防御魔法により回避)
* トリップワイヤー:効果なし(スパイクピット回避後、警戒され発見された)
* **モンスターの行動:**
* ゴブリン部隊:連携不足、指示不徹底が顕著。ゴブキチの暴走、ゴブゾウの不活動。ただし、ゴブジによる奇襲攻撃が戦況を好転させた。
* スライム部隊:的確な粘液サポートにより、魔術師の詠唱妨害に成功。MVP級の活躍。
* **敵のスキル・魔法:**
* ボルグ(戦士):剣技(基本的なもの)、盾防御。特筆すべきスキルなし。
* リナ(魔術師):ファイア・アロー(初級攻撃魔法)、ライト・シールド(初級防御魔法? 落とし穴回避に使用)。その他、松明の代わりとなる光魔法も使用していた可能性あり。
* **課題:**
* 魔法対策の欠如(特に防御魔法)。
* ゴブリン部隊の連携・指示徹底能力の低さ。
* 罠の対魔法脆弱性。
* ダンジョン壁面の強度不足(今回は問題にならなかったが)。
* **獲得DP:** 90 DP (ボルグ撃退50 + リナ無力化40)
* **消費DP:** 約25 DP (回復泉、粘液、遺体処理、魔力枷など)
* **純増DP:** 65 DP
「…やはり、課題は山積みだな。」
特に魔法対策は急務だ。今回は初級魔法だったからスライムの妨害でなんとかなったが、もっと強力な魔法を使われたらひとたまりもないだろう。防御魔法で罠が無効化されるのも痛い。
ゴブリンたちの育成も、もっと実践的な訓練を取り入れる必要がある。連携訓練、対魔法戦闘訓練、そして何より、パニックにならずに指示を聞く訓練だ。
(ゴブジの活躍は僥倖だったが、あてにはできない。やはり、リーダーであるゴブキチをしっかり育て上げ、彼を中心に組織として動けるようにしなければ。)
俺は、ゴブリンたちのKPI評価シートを更新した。
**【ゴブキチ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: × (戦闘中は興奮して指示無視)
* 報連相実践度: × (同上)
* 部下への伝達能力: × (連携意識なし)
* 問題解決への積極性: △ (前に出るが、状況判断できず)
* 戦闘貢献度: 〇 (ボルグへのとどめ)
* 特記事項: リーダーとしての自覚と責任感を叩き込む必要あり。感情コントロール訓練必須。**要指導**。
**【ゴブジ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: 〇
* 報連相実践度: 〇
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: ◎ (絶体絶命の状況で、自ら判断し奇襲を敢行。素晴らしい)
* 戦闘貢献度: ◎ (ボルグへの奇襲により戦況を打開)
* 特記事項: 臆病だが、土壇場での機転と勇気を持つ。斥候・奇襲要員として育成価値大。**高評価**。
**【ゴブゾウ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: △ (パニックで指示が入らない)
* 報連相実践度: × (戦闘中は完全に思考停止)
* 部下への伝達能力: ×
* 問題解決への積極性: ×
* 戦闘貢献度: × (完全に役立たず)
* 特記事項: 実戦への適性低い。後方支援や単純作業への配置転換を検討。**要改善/配置転換**。
「ゴブジの評価が爆上がりだな…これは、ゴブキチが良い刺激を受けるか、あるいは嫉妬するか…」
人間関係ならぬ、ゴブリン関係のマネジメントも必要になりそうだ。面倒だが、これも組織運営の醍醐味…なのかもしれない。
分析と評価を終えたところで、ゴブリンたちが回復泉から戻ってきた。俺は彼らを呼びつけ、今回の戦闘についてフィードバックを行った。
「まず、ゴブジ! 今回の働きは見事だった。お前の機転がなければ、負けていたかもしれない。特別報酬として、これをやる。」
俺は、DPで購入しておいた上質な干し肉(ゴブリンにとってはご馳走だろう)をゴブジに与えた。ゴブジは恐縮しながらも、嬉しそうに受け取った。
「他の奴らも、ゴブジの働きを見習え。臆病でも、頭を使えば戦えるということだ。」
俺がそう言うと、ゴブキチは悔しそうな顔をし、ゴブゾウは相変わらずキョトンとしている。
「次に、ゴブキチ!」
俺はゴブキチを厳しく見据えた。
「お前はリーダー候補だ。だが、今回の戦いぶりはなんだ? 指示を無視し、一人で突っ走り、連携もクソもない。挙げ句の果てに、敵の魔法で負傷する始末。リーダー失格だぞ!」
ゴブキチは、バツが悪そうに俯いた。
「罰として、今日の晩飯は抜きだ。そして、明日から特別訓練だ。俺の指示を完璧にこなせるようになるまで、徹底的にしごいてやる。覚悟しておけ!」
「最後に、ゴブゾウ!」
俺はため息をつきながら、ゴブゾウを見た。
「お前は…正直、戦闘には向いていないようだ。明日から、お前には別の仕事をしてもらう。ダンジョン内の清掃や、資材運搬の手伝いだ。そこで、しっかり働け。」
ゴブゾウは、叱られなかったことに安堵したのか、あるいは戦闘から解放されたことにホッとしたのか、微妙な表情で頷いた。
これで、当面の役割分担と育成方針は決まった。
ゴブキチ:リーダー(候補)として再教育。
ゴブジ:斥候・奇襲要員として育成。
ゴブゾウ:後方支援要員へ配置転換。
まさに、適材適所だ。ホワイトな職場環境とは、個々の能力や適性に応じた役割を与えることでもあるのだ。
ゴブリンたちが待機所に戻っていくのを見送った後、ふと気づくと、壁際で横たわっていたリナが、うっすらと目を開けていた。
「…ん……ここは……?」
意識が戻ったようだ。
俺は、ゆっくりと彼女に近づいた。
「目が覚めたか、魔術師さん。」
リナは、俺の姿を認めると、ハッと目を見開き、警戒心を露わにした。そして、手首の魔力枷に気づき、顔色を変えた。
「あなた…何者なの!? ボルグは!?」
「ボルグなら、もういない。お前たちのダンジョン攻略は失敗だ。」
俺は淡々と事実を告げた。
「そ、そんな…! あなたが…?」
リナは、信じられないといった表情で俺を見る。無理もないだろう。見た目はただの(やややつれた)人間に見える俺が、このダンジョンの主だとは思わないだろう。
「まあ、俺のことはどうでもいい。それより、お前に聞きたいことがある。」
俺は、コアに合図を送る。
『精神干渉を開始します。対象に軽い催眠状態を誘導し、偽証に対する精神負荷を設定。』
リナの瞳が、わずかに虚ろになるのを感じた。抵抗しようとしているようだが、コアの力には抗えないようだ。
「さあ、始めようか。尋問…いや、情報交換の時間だ。」
俺は、これから得られるであろう情報に、ある種の期待感を抱きながら、最初の質問を投げかけた。この世界のことを、俺はまだ、何も知らないのだから。
ゴブリンたちは、興奮と疲労が入り混じった様子で、ハアハアと荒い息をついていた。特に、ボルグにとどめを刺したゴブキチは、アドレナリンがまだ抜けていないのか、棍棒を握りしめたままギラギラとした目で周囲を見回している。一方、奇襲を成功させたゴブジは、興奮よりも怯えの方が勝っているのか、壁際にうずくまって小さくなっていた。ゴブゾウは…まあ、いつも通り、状況についていけていない顔で突っ立っている。
「…戦闘終了。まずは後処理だ。」
俺は意識的に冷静な声を出し、彼らに指示を与えた。感傷に浸っている暇はない。次の脅威に備えるためには、迅速な状況回復と分析が不可欠だ。
「コア、ボルグの遺体からDPを回収しろ。その後、遺体は…そうだな、ダンジョン外の森深くに転移させて処分。痕跡を残すな。」
ダンジョンマスター権能には、支配領域内での物質転移能力も含まれているらしい。ただし、質量や距離に応じてDPを消費する。
『了解しました、マスター。ボルグの遺体からDPを回収します…【DP獲得:10DP】。遺体の転移処理を実行します。コスト5DP。』
ボルグの遺体が淡い光に包まれ、静かに消え去った。Fランク戦士を倒して得られるDPは50だったが、死体からの回収は10DPか。まあ、そんなものだろう。生きたまま無力化する方が効率は良いのかもしれない。
「次に、ゴブリンたち。戦闘お疲れ様だった。すぐに回復泉で傷と疲れを癒せ。その後、待機所で待機。評価と報酬については後で伝える。」
『グ、グルル…』
ゴブリンたちは、まだ興奮冷めやらぬ様子ながらも、俺の指示に従って回復泉へと向かった。特に、肩に火傷を負ったゴブキチは、泉の水に浸かって安堵の声を上げていた。
「スラきち、スラに。お前たちもご苦労だった。粘液の補充と、通路の清掃を頼む。血痕や戦闘の痕跡を綺麗に消しておいてくれ。」
『了解しました、マスター。』
二体のスライムが、健気に清掃作業を開始する。彼らの働きぶりには、本当に頭が下がる。
さて、残るは捕虜のリナだ。
俺は意識を失っている彼女に近づき、その様子を観察する。歳は二十代前半くらいだろうか。ローブを着ていても、華奢な体つきなのが分かる。顔立ちは、まあまあ整っている方だろう。今は苦悶の表情を浮かべているが。
(こいつから、どれだけの情報を引き出せるか…)
拷問のような非人道的な手段は使いたくない。それは俺の主義に反するし、何より非効率的だ。嘘の情報や、恨みを買うリスクの方が大きい。
(コアの精神干渉能力は使えないか? 意識を保ったまま、特定の質問にだけ正直に答えさせる、みたいな…)
「コア、リナに対する精神干渉について、もっと詳しく教えてくれ。意識を保ったまま、情報を引き出すことは可能か?」
『限定的に可能です。対象の精神抵抗力にもよりますが、軽い催眠状態に置き、特定のキーワードに対する反応を強制したり、偽りを述べようとすると精神的な負荷がかかるように設定したりすることは可能です。ただし、長時間の使用や、本人の意思に強く反する情報の引き出しは、精神崩壊のリスクを伴います。』
「精神崩壊は避けたいな…あくまで情報収集が目的だ。よし、その軽い催眠状態と、嘘発見器的な負荷設定でいこう。準備はできるか?」
『はい、マスター。対象の精神状態が安定し次第、実行可能です。』
「分かった。リナをコア安置室まで運んでくれ。それと、何か拘束具のようなものは生成できるか? 念のためだ。」
『簡易的な魔力枷であれば、10DPで生成可能です。物理的な拘束力は低いですが、魔力の使用を阻害し、対象に精神的なプレッシャーを与えます。』
「それでいい。実行してくれ。」
コアがリナの体をふわりと浮かせ、コア安置室の壁際にゆっくりと横たえる。同時に、彼女の両手首に、淡く光る枷のようなものが現れた。リナはまだ意識を取り戻さない。
これで、準備は整った。あとは、リナの意識が戻るのを待つだけだ。
その間に、俺は今回の戦闘ログを詳細に分析することにした。コアが表示するダッシュボードには、戦闘中の各個体の動き、罠の効果、冒険者の使用スキルなどが時系列で記録されている。
**【戦闘ログNo.006 分析サマリー】**
* **侵入者:** Fランク冒険者パーティ(戦士ボルグ、魔術師リナ)
* **罠の効果:**
* 潤滑床:有効(転倒は回避されたが、体勢を崩させ、警戒心を煽る効果あり)
* スパイクピット:失敗(魔術師リナの防御魔法により回避)
* トリップワイヤー:効果なし(スパイクピット回避後、警戒され発見された)
* **モンスターの行動:**
* ゴブリン部隊:連携不足、指示不徹底が顕著。ゴブキチの暴走、ゴブゾウの不活動。ただし、ゴブジによる奇襲攻撃が戦況を好転させた。
* スライム部隊:的確な粘液サポートにより、魔術師の詠唱妨害に成功。MVP級の活躍。
* **敵のスキル・魔法:**
* ボルグ(戦士):剣技(基本的なもの)、盾防御。特筆すべきスキルなし。
* リナ(魔術師):ファイア・アロー(初級攻撃魔法)、ライト・シールド(初級防御魔法? 落とし穴回避に使用)。その他、松明の代わりとなる光魔法も使用していた可能性あり。
* **課題:**
* 魔法対策の欠如(特に防御魔法)。
* ゴブリン部隊の連携・指示徹底能力の低さ。
* 罠の対魔法脆弱性。
* ダンジョン壁面の強度不足(今回は問題にならなかったが)。
* **獲得DP:** 90 DP (ボルグ撃退50 + リナ無力化40)
* **消費DP:** 約25 DP (回復泉、粘液、遺体処理、魔力枷など)
* **純増DP:** 65 DP
「…やはり、課題は山積みだな。」
特に魔法対策は急務だ。今回は初級魔法だったからスライムの妨害でなんとかなったが、もっと強力な魔法を使われたらひとたまりもないだろう。防御魔法で罠が無効化されるのも痛い。
ゴブリンたちの育成も、もっと実践的な訓練を取り入れる必要がある。連携訓練、対魔法戦闘訓練、そして何より、パニックにならずに指示を聞く訓練だ。
(ゴブジの活躍は僥倖だったが、あてにはできない。やはり、リーダーであるゴブキチをしっかり育て上げ、彼を中心に組織として動けるようにしなければ。)
俺は、ゴブリンたちのKPI評価シートを更新した。
**【ゴブキチ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: × (戦闘中は興奮して指示無視)
* 報連相実践度: × (同上)
* 部下への伝達能力: × (連携意識なし)
* 問題解決への積極性: △ (前に出るが、状況判断できず)
* 戦闘貢献度: 〇 (ボルグへのとどめ)
* 特記事項: リーダーとしての自覚と責任感を叩き込む必要あり。感情コントロール訓練必須。**要指導**。
**【ゴブジ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: 〇
* 報連相実践度: 〇
* 部下への伝達能力: 未測定
* 問題解決への積極性: ◎ (絶体絶命の状況で、自ら判断し奇襲を敢行。素晴らしい)
* 戦闘貢献度: ◎ (ボルグへの奇襲により戦況を打開)
* 特記事項: 臆病だが、土壇場での機転と勇気を持つ。斥候・奇襲要員として育成価値大。**高評価**。
**【ゴブゾウ 評価シート Ver.0.2】**
* 指示理解度: △ (パニックで指示が入らない)
* 報連相実践度: × (戦闘中は完全に思考停止)
* 部下への伝達能力: ×
* 問題解決への積極性: ×
* 戦闘貢献度: × (完全に役立たず)
* 特記事項: 実戦への適性低い。後方支援や単純作業への配置転換を検討。**要改善/配置転換**。
「ゴブジの評価が爆上がりだな…これは、ゴブキチが良い刺激を受けるか、あるいは嫉妬するか…」
人間関係ならぬ、ゴブリン関係のマネジメントも必要になりそうだ。面倒だが、これも組織運営の醍醐味…なのかもしれない。
分析と評価を終えたところで、ゴブリンたちが回復泉から戻ってきた。俺は彼らを呼びつけ、今回の戦闘についてフィードバックを行った。
「まず、ゴブジ! 今回の働きは見事だった。お前の機転がなければ、負けていたかもしれない。特別報酬として、これをやる。」
俺は、DPで購入しておいた上質な干し肉(ゴブリンにとってはご馳走だろう)をゴブジに与えた。ゴブジは恐縮しながらも、嬉しそうに受け取った。
「他の奴らも、ゴブジの働きを見習え。臆病でも、頭を使えば戦えるということだ。」
俺がそう言うと、ゴブキチは悔しそうな顔をし、ゴブゾウは相変わらずキョトンとしている。
「次に、ゴブキチ!」
俺はゴブキチを厳しく見据えた。
「お前はリーダー候補だ。だが、今回の戦いぶりはなんだ? 指示を無視し、一人で突っ走り、連携もクソもない。挙げ句の果てに、敵の魔法で負傷する始末。リーダー失格だぞ!」
ゴブキチは、バツが悪そうに俯いた。
「罰として、今日の晩飯は抜きだ。そして、明日から特別訓練だ。俺の指示を完璧にこなせるようになるまで、徹底的にしごいてやる。覚悟しておけ!」
「最後に、ゴブゾウ!」
俺はため息をつきながら、ゴブゾウを見た。
「お前は…正直、戦闘には向いていないようだ。明日から、お前には別の仕事をしてもらう。ダンジョン内の清掃や、資材運搬の手伝いだ。そこで、しっかり働け。」
ゴブゾウは、叱られなかったことに安堵したのか、あるいは戦闘から解放されたことにホッとしたのか、微妙な表情で頷いた。
これで、当面の役割分担と育成方針は決まった。
ゴブキチ:リーダー(候補)として再教育。
ゴブジ:斥候・奇襲要員として育成。
ゴブゾウ:後方支援要員へ配置転換。
まさに、適材適所だ。ホワイトな職場環境とは、個々の能力や適性に応じた役割を与えることでもあるのだ。
ゴブリンたちが待機所に戻っていくのを見送った後、ふと気づくと、壁際で横たわっていたリナが、うっすらと目を開けていた。
「…ん……ここは……?」
意識が戻ったようだ。
俺は、ゆっくりと彼女に近づいた。
「目が覚めたか、魔術師さん。」
リナは、俺の姿を認めると、ハッと目を見開き、警戒心を露わにした。そして、手首の魔力枷に気づき、顔色を変えた。
「あなた…何者なの!? ボルグは!?」
「ボルグなら、もういない。お前たちのダンジョン攻略は失敗だ。」
俺は淡々と事実を告げた。
「そ、そんな…! あなたが…?」
リナは、信じられないといった表情で俺を見る。無理もないだろう。見た目はただの(やややつれた)人間に見える俺が、このダンジョンの主だとは思わないだろう。
「まあ、俺のことはどうでもいい。それより、お前に聞きたいことがある。」
俺は、コアに合図を送る。
『精神干渉を開始します。対象に軽い催眠状態を誘導し、偽証に対する精神負荷を設定。』
リナの瞳が、わずかに虚ろになるのを感じた。抵抗しようとしているようだが、コアの力には抗えないようだ。
「さあ、始めようか。尋問…いや、情報交換の時間だ。」
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俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
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