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第12話:情報という名の資源と、ダッシュボードによる可視化
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コアの精神干渉により、目の前の魔術師リナは軽い催眠状態に置かれていた。瞳にはわずかな虚ろさが浮かんでいるが、意識は保っているようだ。手首の魔力枷が、彼女の抵抗心をさらに削いでいるのかもしれない。
「さあ、いくつか質問させてもらう。正直に答えることだ。嘘をつこうとすれば、お前自身が苦しむことになる。」
俺は冷静に、しかし有無を言わせぬ口調で切り出した。リナは悔しそうに唇を噛み、俺を睨みつけてくる。だが、逆らう術はないと悟っているのだろう。
「まず、お前たちの所属とランクは? なぜこのダンジョンに来た?」
リナはしばらく黙っていたが、やがて諦めたように、ぽつりぽつりと話し始めた。
「…私たちは、冒険者ギルド『鉄の拳』所属。ランクは二人ともF。ギルドからの依頼よ…この辺りに、新しいダンジョンが出現したって報告があって…初期調査と、可能ならコアの破壊、それが任務だった。」
『鉄の拳』…いかにも脳筋そうな名前のギルドだな。ランクFは最下級。やはり、初期調査には低ランクの冒険者が派遣されるのがセオリーらしい。コストも安いのだろう。
「新しいダンジョン、か。誰からの報告だ? このダンジョンについて、どんな情報を得ていた?」
「報告者は…知らないわ。ギルドに情報が持ち込まれただけ。ダンジョンの規模は不明、出現したばかりで危険度は低いだろう、って…それだけよ。まさか、あんな厄介な罠や、組織化されたゴブリンがいるなんて…聞いてない!」
リナの声に、僅かな怒りと悔しさが滲む。どうやら、ギルド側も俺のダンジョンの特性を正確には把握していなかったようだ。これは幸いだった。
「組織化されたゴブリン、ね。まあ、少し教育には力を入れているからな。」
俺は事もなげに言う。リナは「ゴブリンを教育…?」と怪訝な顔をしたが、すぐに質問の続きを促した。
「周辺の地理について教えてくれ。一番近い町はどこだ? 名前は?」
「…一番近いのは、西に三日ほど歩いたところにある『フロンティア』っていう辺境の町。ギルドの支部もあるわ。ここら辺は、まだ未開拓な土地が多いのよ。」
フロンティア。西へ三日。ようやく、自分のいる場所の座標軸が一つ定まった。未開拓地ということは、王国や他の勢力からの干渉も少ない可能性がある。ダンジョン運営には好都合な立地かもしれない。
「他のダンジョンの情報は? この近くに、有名なダンジョンや、注意すべきダンジョンマスターはいるか?」
この質問に、リナの表情がわずかに曇った。
「…有名なのは、東の山脈地帯にある『紅蓮の迷宮』ね。そこのマスターは『紅蓮の魔女』って呼ばれてて…とんでもなく強力な魔術師だって噂よ。高ランクの冒険者パーティでも、返り討ちに遭うとか…」
紅蓮の魔女、ロザリア。プロットにあった名前だ。やはり実在するらしい。強力な魔術師で、攻撃的なダンジョン…要注意人物リストの筆頭にメモしておこう。
「王国は、ダンジョンについてどう考えている? ギルドとの関係は?」
「王国にとって、ダンジョンは脅威だけど…同時に資源でもあるわ。ダンジョンから採れる魔石や素材は貴重だし、ギルドを通じて流通させてる。だから、危険すぎると判断されれば討伐隊が派遣されるけど、ある程度管理できるレベルなら、黙認…というか、ギルドに管理を委任してる感じね。」
なるほど。王国、ギルド、ダンジョンマスター。三者の関係性が見えてきた。脅威であり、資源でもある。上手く立ち回れば、王国やギルドと協力関係を築くことも可能かもしれない。もちろん、敵対する可能性も十分にあるが。
「最後に、お前の魔法についてだ。さっき使っていたのは? 他にはどんな魔法が使える?」
リナは一瞬ためらったが、精神負荷には抗えないようだ。
「…ファイア・アローと、ライト・シールド…どちらも初級よ。あとは、明かりを灯すライトと、簡単な解錠魔法(アンロック)くらい…私は、まだ魔術師としては見習いなの。」
やはり、使えたのは初級魔法だけか。だが、それでも罠を一つ無効化された。魔法の脅威は、決して侮れない。
一通りの質問を終え、俺はリナから視線を外した。コアが、尋問内容をテキストデータとしてダッシュボードに記録していく。
「…これで、終わり…? 私、どうなるの…?」
リナが不安げに問いかけてくる。催眠状態は解けているようだが、まだ精神的な疲労は大きいだろう。
「さて、どうしたものか…」
俺は腕を組み、考える。リナの処遇。最も効率的な選択肢は何か。
1. **殺害:** 最も簡単で、情報漏洩のリスクを完全に断てる。だが、後味が悪い上に、今後の情報源を失う。非効率的だ。
2. **解放:** 情報漏洩のリスクが最大。ギルドに報告されれば、次はもっと高ランクの冒険者が来るだろう。却下。
3. **記憶消去して解放:** コアに記憶消去能力はない。現時点では不可能。
4. **永続的な拘束:** 食料や監視コストがかかる。反抗のリスクもある。
5. **労働力としての活用:** 魔法知識は魅力的だが、信頼できない相手に内部作業を任せるのは危険すぎる。
6. **限定的な協力関係:** 例えば、外部情報の提供や、魔法に関する知識の教授などを条件に、ある程度の自由を認める? リスク管理が難しい。
(…どれも一長一短だな。)
俺は、リナに視線を戻した。彼女は、不安と恐怖に怯えながらも、その瞳の奥にはまだ意志の光が残っているように見えた。
「…当面、お前にはここで過ごしてもらう。ただし、牢獄に入れるつもりはない。」
「え…?」
「お前には、俺のダンジョン運営を手伝ってもらう。とは言っても、内部情報にアクセスさせるわけにはいかない。当面は、外部情報の整理や、俺の質問に答えること、そして…可能なら、ゴブリンたちの『教師』役だ。」
「ゴブリンの…教師…?」
リナは、信じられないといった顔をしている。
「そうだ。お前たちの世界の常識、文字、簡単な計算、そして…魔法の基礎知識。もちろん、危険な攻撃魔法は教えさせんがな。彼らの知性を底上げすることは、俺のダンジョン運営にとって有益だ。お前にとっても、ただ無為に拘束されるよりはマシだろう?」
これは、一種の賭けだ。リナが反抗する可能性も、ゴブリンに余計な知恵を吹き込む可能性もある。だが、彼女の知識を活用できれば、リターンは大きい。リスク管理は、コアの監視と、俺自身のマネジメント能力でカバーするしかない。
「…もし、俺の役に立つと判断すれば、相応の待遇は保証する。だが、裏切ろうとしたり、逃げ出そうとしたりすれば…その時は、容赦しない。」
俺は、最後の言葉に最大限の圧力を込めた。リナはゴクリと喉を鳴らし、しばらく考え込んだ後、小さな声で答えた。
「…わかったわ。やる…しかないんでしょ。」
こうして、元・侵入者の魔術師リナは、俺のダンジョンにおける初の「外部顧問」兼「ゴブリン教官(見習い)」という、奇妙な役職に就くことになった。もちろん、魔力枷はつけたまま、コアによる常時監視付きという条件で。
リナの処遇が決まり、俺は改めてダッシュボードに向き合った。レベルアップで解放された新機能「簡易ダッシュボード」。これを、もっと使いやすくカスタマイズする必要がある。
「コア、ダッシュボードのUIを改良するぞ。以下の項目を追加・整理してくれ。」
* **メイン画面:**
* 現在のDP残高と、直近24時間のDP収支グラフ。
* ダンジョンレベルと、次のレベルまでの推定必要DP(予測で可)。
* モンスター稼働状況(総数、待機中、戦闘中、訓練中、休息中)。
* 罠作動ログ(直近5件、成功/失敗表示付き)。
* 緊急アラート表示エリア。
* **モンスター管理タブ:**
* 個体別KPI評価シート(ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウ…)。
* スキル習熟度、疲労度、食事記録。
* 訓練スケジュールと進捗状況。
* **罠・施設管理タブ:**
* 設置済み罠リスト(位置、状態、作動回数、成功率)。
* 施設リスト(回復泉、待機所など)とその稼働状況。
* 新規設置・強化コスト一覧。
* **情報データベースタブ:**
* 迎撃ログ一覧(検索・ソート機能付き)。
* 周辺地域マップ(既知の脅威、町の位置など表示)。
* 収集した外部情報(ギルド、王国、他ダンジョンなど)。
* リナから得た知識(魔法関連など)。
「…こんな感じか。まさに、プロジェクト管理ツールだな。」
俺が頭の中で思い描いた構成を伝えると、コアは瞬時にダッシュボードの表示を更新していく。
『ダッシュボードUIのアップデート完了しました。マスターの要求仕様に基づき、各機能モジュールを実装・配置しました。フィードバックがあれば、随時改善します。』
目の前に表示されたダッシュボードは、驚くほど洗練され、情報が一目で把握できるようになった。グラフやリストが整理され、まるで前世で使っていた高機能な管理ツールのようだ。これなら、ダンジョン運営の効率は格段に上がるだろう。
「素晴らしい出来だ、コア。お前の実装能力には感心する。」
『マスターの明確な要求定義のおかげです。』
コアは淡々と答えたが、その光が心なしか嬉しそうに揺らめいた気がした。
さて、情報収集とシステム整備は進んだ。次は、ダンジョン自体の物理的な強化だ。レベルアップで拡張可能になった範囲(半径20m)を活かして、構造をより複雑にし、防衛力を高める。
俺はダッシュボードの設計ツール(これもコアが簡易的に実装してくれた)を開き、新たなダンジョンフロアの青写真を描き始めた。
(通路を複数に分岐させ、行き止まりやループ構造も作る。ダミールームを設置して侵入者を惑わせる。罠は、スパイクピットとトリップワイヤーを効果的に組み合わせ、さらにスライムの粘液・潤滑液ギミックも組み込む。ゴブリンたちのための訓練スペースも必要だな…)
設計図を描きながら、必要なDPを計算していく。拡張と施設建設には、かなりのDPが必要になりそうだ。また地道に稼がなければならない。
多くの新情報、新たな仲間(?)、そして山積みの課題。ダンジョンマスターとしての仕事は、ますます複雑で、そして面白くなってきた。
俺は、完成したばかりのダッシュボードを満足げに眺めながら、次なる一手――ダンジョン拡張とゴブリン再訓練計画の実行に向けて、静かに思考を巡らせ始めた。ホワイトダンジョン構築プロジェクトは、今、新たなフェーズへと移行しようとしていた。
「さあ、いくつか質問させてもらう。正直に答えることだ。嘘をつこうとすれば、お前自身が苦しむことになる。」
俺は冷静に、しかし有無を言わせぬ口調で切り出した。リナは悔しそうに唇を噛み、俺を睨みつけてくる。だが、逆らう術はないと悟っているのだろう。
「まず、お前たちの所属とランクは? なぜこのダンジョンに来た?」
リナはしばらく黙っていたが、やがて諦めたように、ぽつりぽつりと話し始めた。
「…私たちは、冒険者ギルド『鉄の拳』所属。ランクは二人ともF。ギルドからの依頼よ…この辺りに、新しいダンジョンが出現したって報告があって…初期調査と、可能ならコアの破壊、それが任務だった。」
『鉄の拳』…いかにも脳筋そうな名前のギルドだな。ランクFは最下級。やはり、初期調査には低ランクの冒険者が派遣されるのがセオリーらしい。コストも安いのだろう。
「新しいダンジョン、か。誰からの報告だ? このダンジョンについて、どんな情報を得ていた?」
「報告者は…知らないわ。ギルドに情報が持ち込まれただけ。ダンジョンの規模は不明、出現したばかりで危険度は低いだろう、って…それだけよ。まさか、あんな厄介な罠や、組織化されたゴブリンがいるなんて…聞いてない!」
リナの声に、僅かな怒りと悔しさが滲む。どうやら、ギルド側も俺のダンジョンの特性を正確には把握していなかったようだ。これは幸いだった。
「組織化されたゴブリン、ね。まあ、少し教育には力を入れているからな。」
俺は事もなげに言う。リナは「ゴブリンを教育…?」と怪訝な顔をしたが、すぐに質問の続きを促した。
「周辺の地理について教えてくれ。一番近い町はどこだ? 名前は?」
「…一番近いのは、西に三日ほど歩いたところにある『フロンティア』っていう辺境の町。ギルドの支部もあるわ。ここら辺は、まだ未開拓な土地が多いのよ。」
フロンティア。西へ三日。ようやく、自分のいる場所の座標軸が一つ定まった。未開拓地ということは、王国や他の勢力からの干渉も少ない可能性がある。ダンジョン運営には好都合な立地かもしれない。
「他のダンジョンの情報は? この近くに、有名なダンジョンや、注意すべきダンジョンマスターはいるか?」
この質問に、リナの表情がわずかに曇った。
「…有名なのは、東の山脈地帯にある『紅蓮の迷宮』ね。そこのマスターは『紅蓮の魔女』って呼ばれてて…とんでもなく強力な魔術師だって噂よ。高ランクの冒険者パーティでも、返り討ちに遭うとか…」
紅蓮の魔女、ロザリア。プロットにあった名前だ。やはり実在するらしい。強力な魔術師で、攻撃的なダンジョン…要注意人物リストの筆頭にメモしておこう。
「王国は、ダンジョンについてどう考えている? ギルドとの関係は?」
「王国にとって、ダンジョンは脅威だけど…同時に資源でもあるわ。ダンジョンから採れる魔石や素材は貴重だし、ギルドを通じて流通させてる。だから、危険すぎると判断されれば討伐隊が派遣されるけど、ある程度管理できるレベルなら、黙認…というか、ギルドに管理を委任してる感じね。」
なるほど。王国、ギルド、ダンジョンマスター。三者の関係性が見えてきた。脅威であり、資源でもある。上手く立ち回れば、王国やギルドと協力関係を築くことも可能かもしれない。もちろん、敵対する可能性も十分にあるが。
「最後に、お前の魔法についてだ。さっき使っていたのは? 他にはどんな魔法が使える?」
リナは一瞬ためらったが、精神負荷には抗えないようだ。
「…ファイア・アローと、ライト・シールド…どちらも初級よ。あとは、明かりを灯すライトと、簡単な解錠魔法(アンロック)くらい…私は、まだ魔術師としては見習いなの。」
やはり、使えたのは初級魔法だけか。だが、それでも罠を一つ無効化された。魔法の脅威は、決して侮れない。
一通りの質問を終え、俺はリナから視線を外した。コアが、尋問内容をテキストデータとしてダッシュボードに記録していく。
「…これで、終わり…? 私、どうなるの…?」
リナが不安げに問いかけてくる。催眠状態は解けているようだが、まだ精神的な疲労は大きいだろう。
「さて、どうしたものか…」
俺は腕を組み、考える。リナの処遇。最も効率的な選択肢は何か。
1. **殺害:** 最も簡単で、情報漏洩のリスクを完全に断てる。だが、後味が悪い上に、今後の情報源を失う。非効率的だ。
2. **解放:** 情報漏洩のリスクが最大。ギルドに報告されれば、次はもっと高ランクの冒険者が来るだろう。却下。
3. **記憶消去して解放:** コアに記憶消去能力はない。現時点では不可能。
4. **永続的な拘束:** 食料や監視コストがかかる。反抗のリスクもある。
5. **労働力としての活用:** 魔法知識は魅力的だが、信頼できない相手に内部作業を任せるのは危険すぎる。
6. **限定的な協力関係:** 例えば、外部情報の提供や、魔法に関する知識の教授などを条件に、ある程度の自由を認める? リスク管理が難しい。
(…どれも一長一短だな。)
俺は、リナに視線を戻した。彼女は、不安と恐怖に怯えながらも、その瞳の奥にはまだ意志の光が残っているように見えた。
「…当面、お前にはここで過ごしてもらう。ただし、牢獄に入れるつもりはない。」
「え…?」
「お前には、俺のダンジョン運営を手伝ってもらう。とは言っても、内部情報にアクセスさせるわけにはいかない。当面は、外部情報の整理や、俺の質問に答えること、そして…可能なら、ゴブリンたちの『教師』役だ。」
「ゴブリンの…教師…?」
リナは、信じられないといった顔をしている。
「そうだ。お前たちの世界の常識、文字、簡単な計算、そして…魔法の基礎知識。もちろん、危険な攻撃魔法は教えさせんがな。彼らの知性を底上げすることは、俺のダンジョン運営にとって有益だ。お前にとっても、ただ無為に拘束されるよりはマシだろう?」
これは、一種の賭けだ。リナが反抗する可能性も、ゴブリンに余計な知恵を吹き込む可能性もある。だが、彼女の知識を活用できれば、リターンは大きい。リスク管理は、コアの監視と、俺自身のマネジメント能力でカバーするしかない。
「…もし、俺の役に立つと判断すれば、相応の待遇は保証する。だが、裏切ろうとしたり、逃げ出そうとしたりすれば…その時は、容赦しない。」
俺は、最後の言葉に最大限の圧力を込めた。リナはゴクリと喉を鳴らし、しばらく考え込んだ後、小さな声で答えた。
「…わかったわ。やる…しかないんでしょ。」
こうして、元・侵入者の魔術師リナは、俺のダンジョンにおける初の「外部顧問」兼「ゴブリン教官(見習い)」という、奇妙な役職に就くことになった。もちろん、魔力枷はつけたまま、コアによる常時監視付きという条件で。
リナの処遇が決まり、俺は改めてダッシュボードに向き合った。レベルアップで解放された新機能「簡易ダッシュボード」。これを、もっと使いやすくカスタマイズする必要がある。
「コア、ダッシュボードのUIを改良するぞ。以下の項目を追加・整理してくれ。」
* **メイン画面:**
* 現在のDP残高と、直近24時間のDP収支グラフ。
* ダンジョンレベルと、次のレベルまでの推定必要DP(予測で可)。
* モンスター稼働状況(総数、待機中、戦闘中、訓練中、休息中)。
* 罠作動ログ(直近5件、成功/失敗表示付き)。
* 緊急アラート表示エリア。
* **モンスター管理タブ:**
* 個体別KPI評価シート(ゴブキチ、ゴブジ、ゴブゾウ…)。
* スキル習熟度、疲労度、食事記録。
* 訓練スケジュールと進捗状況。
* **罠・施設管理タブ:**
* 設置済み罠リスト(位置、状態、作動回数、成功率)。
* 施設リスト(回復泉、待機所など)とその稼働状況。
* 新規設置・強化コスト一覧。
* **情報データベースタブ:**
* 迎撃ログ一覧(検索・ソート機能付き)。
* 周辺地域マップ(既知の脅威、町の位置など表示)。
* 収集した外部情報(ギルド、王国、他ダンジョンなど)。
* リナから得た知識(魔法関連など)。
「…こんな感じか。まさに、プロジェクト管理ツールだな。」
俺が頭の中で思い描いた構成を伝えると、コアは瞬時にダッシュボードの表示を更新していく。
『ダッシュボードUIのアップデート完了しました。マスターの要求仕様に基づき、各機能モジュールを実装・配置しました。フィードバックがあれば、随時改善します。』
目の前に表示されたダッシュボードは、驚くほど洗練され、情報が一目で把握できるようになった。グラフやリストが整理され、まるで前世で使っていた高機能な管理ツールのようだ。これなら、ダンジョン運営の効率は格段に上がるだろう。
「素晴らしい出来だ、コア。お前の実装能力には感心する。」
『マスターの明確な要求定義のおかげです。』
コアは淡々と答えたが、その光が心なしか嬉しそうに揺らめいた気がした。
さて、情報収集とシステム整備は進んだ。次は、ダンジョン自体の物理的な強化だ。レベルアップで拡張可能になった範囲(半径20m)を活かして、構造をより複雑にし、防衛力を高める。
俺はダッシュボードの設計ツール(これもコアが簡易的に実装してくれた)を開き、新たなダンジョンフロアの青写真を描き始めた。
(通路を複数に分岐させ、行き止まりやループ構造も作る。ダミールームを設置して侵入者を惑わせる。罠は、スパイクピットとトリップワイヤーを効果的に組み合わせ、さらにスライムの粘液・潤滑液ギミックも組み込む。ゴブリンたちのための訓練スペースも必要だな…)
設計図を描きながら、必要なDPを計算していく。拡張と施設建設には、かなりのDPが必要になりそうだ。また地道に稼がなければならない。
多くの新情報、新たな仲間(?)、そして山積みの課題。ダンジョンマスターとしての仕事は、ますます複雑で、そして面白くなってきた。
俺は、完成したばかりのダッシュボードを満足げに眺めながら、次なる一手――ダンジョン拡張とゴブリン再訓練計画の実行に向けて、静かに思考を巡らせ始めた。ホワイトダンジョン構築プロジェクトは、今、新たなフェーズへと移行しようとしていた。
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そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
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