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第15話:ランダム転移の果てに
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意識が、深い水底からゆっくりと浮上してくるような感覚。
最初に感じたのは、全身を襲う鈍い痛みと、ひどい倦怠感だった。まるで、何日も眠らずにぶっ通しでデバッグ作業をした後のような、あるいは大型トラックにでも撥ねられたかのような疲労感だ。
「……う……ぐ……」
呻き声と共に、重い瞼をこじ開ける。
視界がぼやけている。ピントがなかなか合わない。何度か瞬きを繰り返すうちに、ようやく周囲の状況が見えてきた。
俺は、硬い岩盤の上に横たわっていた。
辺りは薄暗いが、完全な暗闇ではない。壁の一部が、淡い青緑色の光を放っている。それは、壁に埋め込まれた鉱石のようなものから発せられているようだった。見たことのない鉱石だ。
(……どこだ、ここ?)
身体を起こそうとするが、全身の筋肉が悲鳴を上げ、激痛が走る。特に、ゴブリンキングの拳を受け流した腕と、吹き飛ばされた際に打った背中がひどく痛む。
(そうだ……俺は、ゴブリンキングと戦って……空間座標不安定バグを利用して、転移を……)
記憶が急速に蘇る。あの絶体絶命の状況、空間が歪む感覚、そして意識のブラックアウト。どうやら、俺は生きているらしい。そして、致命的な場所――壁の中など――への転移も避けられたようだ。それは不幸中の幸いだった。
(まずは状況確認だ)
痛む身体に鞭打ち、ゆっくりと上半身を起こす。周囲を見渡すと、俺がいるのは狭い洞窟通路のような場所だった。しかし、これまで通ってきたゴブリンの洞穴の通路とは明らかに雰囲気が違う。壁はより自然な岩肌で、人工的な通路というよりは、天然の洞窟に近い。そして、あの発光する鉱石が、壁のあちこちに点在している。
(ここは……ゴブリンの洞穴の中なのか? それとも、全く別の場所?)
まずは、自分の状態を確認する。【デバッガー】スキルは使えるだろうか?
意識を集中し、【情報読取】を自分自身に向けて発動させてみる。
『対象:相馬 譲(ユズル)
分類:人間(転生者)
状態:重度の疲労、全身打撲、捻挫(左足首)、空間転移による魔力循環の軽微な乱れ
ステータス:(依然として詳細表示不可)
HP:??/??(推定残り30%程度)
MP:??/??(かなり消耗)
スキル:(変化なし)
備考:HP・MPともに危険水域。休息と回復が必要。魔力循環の乱れは時間経過で回復する見込みだが、一時的にスキル効果が不安定になる可能性あり。』
「……かなり、まずい状態だな」
HPが残り3割程度。MPも消耗している。全身打撲に捻挫。そして、空間転移の後遺症まで。すぐに戦闘ができる状態ではない。
幸い、【デバッガー】スキル自体は使用可能なようだ。魔力循環の乱れによる影響が少し気になるが、完全に使えないわけではない。
次に、この場所の情報を得るために、周囲に【情報読取】を使う。
『対象:発光鉱石(名称不明)
分類:鉱石>魔石(亜種?)
状態:安定(微弱な魔力放出)
特性:自己発光(青緑色)、周囲の魔素を吸収・浄化する性質?
用途:照明、魔道具素材?、研究対象
備考:未知の鉱石。ゴブリンの洞穴の既知エリアでは確認されていない。詳細な分析が必要。』
『対象:洞窟壁(未知エリア)
分類:岩石>変成岩?
状態:安定
特性:微量の魔力を含む
備考:ゴブリンの洞穴の下層、あるいは未踏破の隠しエリアである可能性が高い。空気の流れは微弱だが、奥へと続いている。』
(やはり、ダンジョンの中か。しかも、未知のエリア……)
ランダム転移の結果、ゴブリンキングのいるボス部屋からは離れた、別の場所へと飛ばされたようだ。不幸中の幸いか、あるいは新たな厄介事の始まりか。
(どちらにせよ、あのゴブリンキングから逃れられたのは大きい)
今は、安全な場所で休息し、回復に努めるのが最優先だ。HP回復ポーションはまだ残っているはずだ。俺はバックパックを探り、低級回復ポーションを取り出して一気に飲み干した。
ポーションの効果で、身体の痛みが少し和らぐ。だが、根本的な疲労感とMPの消耗は回復しない。完全回復には、やはり休息が必要だろう。
俺は、壁に背をもたせかけ、息をついた。そして、先ほどの戦闘を振り返る。
ゴブリンキング(変異体)。あの圧倒的な強さ、異常な再生能力、そして魔力汚染。
(あれは、今の俺一人では絶対に勝てない相手だ)
【デバッガー】スキルを駆使し、バグを利用しても、基礎的な戦闘能力があまりにも違いすぎた。再生遅延バグを突いても、決定打を与える前に【狂戦士化】され、ゴブリン召喚で数の不利に持ち込まれた。最後の空間転移バグも、完全に運任せの賭けだった。
(スキルの限界……いや、俺自身の限界か)
異常な成長速度に慢心していたことを、改めて痛感させられる。レベルが上がっても、スキルが増えても、それだけでは越えられない壁がある。
(それに、魔力汚染の問題もある。あのゴブリンキングを放置すれば、いずれ被害が拡大するだろう)
エムデン村や、リューンの町の人々の顔が浮かぶ。彼らを守るためには、いつか、あのボスを倒さなければならない。だが、どうやって?
(……一人では、無理だ)
はっきりと、その結論に至った。
協力者が必要だ。信頼できる仲間が。
壁役となる前衛、回復や支援を行える後衛、そして、俺の【デバッガー】スキルと連携できる柔軟な思考を持つ者。
(クラウス……は、どうだろうか?)
彼の戦闘能力は確かだ。正義感も強い。だが、あの堅物ぶりでは、俺の「バグ利用」戦術に理解を示すとは思えない。むしろ、倫理的に反発されるのがオチだろう。
(やはり、もっと相性の良い仲間を探すしかないか……)
そんなことを考えていると、ふと、この未知の洞窟エリアそのものに興味が湧いてきた。発光する未知の鉱石、未踏破のエリア。ここには、何か特別な発見があるかもしれない。ゴブリンキング攻略のヒントや、あるいは俺自身の成長に繋がる何かが。
(まずは、このエリアを少し探索してみるか。安全を確保しつつ)
俺は、痛む身体を引きずるようにして、ゆっくりと立ち上がった。松明に火を灯し、周囲を照らしながら、洞窟の奥へと続く通路を慎重に進み始める。
壁の発光鉱石のおかげで、松明がなくてもある程度の視界は確保できる。鉱石に【情報読取】を使いながら進むと、興味深い特性が分かってきた。「周囲の魔素を吸収・浄化する性質?」という部分だ。
(もし、これが本当なら、このエリアは魔力汚染の影響が少ない、あるいは全くない可能性があるな。ゴブリンキングのような変異体も、ここでは発生しにくいかもしれない)
だとすれば、ここは比較的安全なエリアと言えるかもしれない。休息場所としても適している可能性がある。
さらに奥へと進むと、通路は少し開けた空間へと繋がっていた。そこは、小さな地底湖のような場所だった。天井から滴り落ちる水滴が、静かな水面に波紋を描いている。水辺にも、あの青緑色の発光鉱石が点在し、幻想的な光景を作り出していた。
水の透明度は高く、底まで見通せるほどだ。【情報読取】で確認すると、飲用にも適しているらしい。
(水も確保できた。ここは、休息にはもってこいの場所かもしれない)
俺は地底湖のほとりに腰を下ろし、改めて休息を取ることにした。幸い、魔物の気配は感じられない。発光鉱石の浄化作用が効いているのだろうか。
水筒に綺麗な水を満たし、携帯食料の硬いビスケットを齧る。静かな空間で一人、これまでの出来事を整理し、今後の計画を練る。
ゴブリンキングの攻略。魔力汚染への対処。仲間探し。そして、【デバッガー】スキルのさらなる解析と、リスク管理。課題は山積みだ。
(だが、落ち込んではいられない。俺には、やるべきことがある)
ブラック企業での過労死から始まった、この異世界でのセカンドライフ。スキル【デバッガー】という、他の誰も持たない力を手に入れた。それをどう使うか、何を目指すのか。
(まずは、生き抜くこと。そして、可能なら、少しでもこの世界の「バグ」を修正して、より良い方向に導くこと……か?)
柄にもなく、そんなことを考えてしまう。元SEの職業病かもしれない。バグを見つけたら、修正したくなる。それが、たとえ異世界の法則であっても。
ふと、地底湖の水面に、自分の顔が映っているのに気づいた。元の世界の、疲れ切ったSEの顔ではない。少し精悍さが増し、目には強い意志が宿っている……ように見える。
(変わったな、俺も)
この世界に来て、まだほんの数週間。しかし、その間に経験したことは、元の世界での数年間よりも濃密だったかもしれない。
休息を取り、少し体力が回復してきたところで、俺は再び立ち上がった。この未知のエリアをもう少し探索し、地上への出口を探さなければならない。
地底湖の奥へと続く、別の通路。そこから、微かに風の流れを感じる。出口は、そちらの方向かもしれない。
俺は、新たな決意を胸に、未知の通路へと足を踏み入れた。
ランダム転移の果てに見つけた、静謐な地底空間。ここが、俺の新たなスタート地点となるのかもしれない。そして、この先で待ち受ける出会いが、俺の異世界での運命を大きく左右することになるとは、まだ知る由もなかった。
最初に感じたのは、全身を襲う鈍い痛みと、ひどい倦怠感だった。まるで、何日も眠らずにぶっ通しでデバッグ作業をした後のような、あるいは大型トラックにでも撥ねられたかのような疲労感だ。
「……う……ぐ……」
呻き声と共に、重い瞼をこじ開ける。
視界がぼやけている。ピントがなかなか合わない。何度か瞬きを繰り返すうちに、ようやく周囲の状況が見えてきた。
俺は、硬い岩盤の上に横たわっていた。
辺りは薄暗いが、完全な暗闇ではない。壁の一部が、淡い青緑色の光を放っている。それは、壁に埋め込まれた鉱石のようなものから発せられているようだった。見たことのない鉱石だ。
(……どこだ、ここ?)
身体を起こそうとするが、全身の筋肉が悲鳴を上げ、激痛が走る。特に、ゴブリンキングの拳を受け流した腕と、吹き飛ばされた際に打った背中がひどく痛む。
(そうだ……俺は、ゴブリンキングと戦って……空間座標不安定バグを利用して、転移を……)
記憶が急速に蘇る。あの絶体絶命の状況、空間が歪む感覚、そして意識のブラックアウト。どうやら、俺は生きているらしい。そして、致命的な場所――壁の中など――への転移も避けられたようだ。それは不幸中の幸いだった。
(まずは状況確認だ)
痛む身体に鞭打ち、ゆっくりと上半身を起こす。周囲を見渡すと、俺がいるのは狭い洞窟通路のような場所だった。しかし、これまで通ってきたゴブリンの洞穴の通路とは明らかに雰囲気が違う。壁はより自然な岩肌で、人工的な通路というよりは、天然の洞窟に近い。そして、あの発光する鉱石が、壁のあちこちに点在している。
(ここは……ゴブリンの洞穴の中なのか? それとも、全く別の場所?)
まずは、自分の状態を確認する。【デバッガー】スキルは使えるだろうか?
意識を集中し、【情報読取】を自分自身に向けて発動させてみる。
『対象:相馬 譲(ユズル)
分類:人間(転生者)
状態:重度の疲労、全身打撲、捻挫(左足首)、空間転移による魔力循環の軽微な乱れ
ステータス:(依然として詳細表示不可)
HP:??/??(推定残り30%程度)
MP:??/??(かなり消耗)
スキル:(変化なし)
備考:HP・MPともに危険水域。休息と回復が必要。魔力循環の乱れは時間経過で回復する見込みだが、一時的にスキル効果が不安定になる可能性あり。』
「……かなり、まずい状態だな」
HPが残り3割程度。MPも消耗している。全身打撲に捻挫。そして、空間転移の後遺症まで。すぐに戦闘ができる状態ではない。
幸い、【デバッガー】スキル自体は使用可能なようだ。魔力循環の乱れによる影響が少し気になるが、完全に使えないわけではない。
次に、この場所の情報を得るために、周囲に【情報読取】を使う。
『対象:発光鉱石(名称不明)
分類:鉱石>魔石(亜種?)
状態:安定(微弱な魔力放出)
特性:自己発光(青緑色)、周囲の魔素を吸収・浄化する性質?
用途:照明、魔道具素材?、研究対象
備考:未知の鉱石。ゴブリンの洞穴の既知エリアでは確認されていない。詳細な分析が必要。』
『対象:洞窟壁(未知エリア)
分類:岩石>変成岩?
状態:安定
特性:微量の魔力を含む
備考:ゴブリンの洞穴の下層、あるいは未踏破の隠しエリアである可能性が高い。空気の流れは微弱だが、奥へと続いている。』
(やはり、ダンジョンの中か。しかも、未知のエリア……)
ランダム転移の結果、ゴブリンキングのいるボス部屋からは離れた、別の場所へと飛ばされたようだ。不幸中の幸いか、あるいは新たな厄介事の始まりか。
(どちらにせよ、あのゴブリンキングから逃れられたのは大きい)
今は、安全な場所で休息し、回復に努めるのが最優先だ。HP回復ポーションはまだ残っているはずだ。俺はバックパックを探り、低級回復ポーションを取り出して一気に飲み干した。
ポーションの効果で、身体の痛みが少し和らぐ。だが、根本的な疲労感とMPの消耗は回復しない。完全回復には、やはり休息が必要だろう。
俺は、壁に背をもたせかけ、息をついた。そして、先ほどの戦闘を振り返る。
ゴブリンキング(変異体)。あの圧倒的な強さ、異常な再生能力、そして魔力汚染。
(あれは、今の俺一人では絶対に勝てない相手だ)
【デバッガー】スキルを駆使し、バグを利用しても、基礎的な戦闘能力があまりにも違いすぎた。再生遅延バグを突いても、決定打を与える前に【狂戦士化】され、ゴブリン召喚で数の不利に持ち込まれた。最後の空間転移バグも、完全に運任せの賭けだった。
(スキルの限界……いや、俺自身の限界か)
異常な成長速度に慢心していたことを、改めて痛感させられる。レベルが上がっても、スキルが増えても、それだけでは越えられない壁がある。
(それに、魔力汚染の問題もある。あのゴブリンキングを放置すれば、いずれ被害が拡大するだろう)
エムデン村や、リューンの町の人々の顔が浮かぶ。彼らを守るためには、いつか、あのボスを倒さなければならない。だが、どうやって?
(……一人では、無理だ)
はっきりと、その結論に至った。
協力者が必要だ。信頼できる仲間が。
壁役となる前衛、回復や支援を行える後衛、そして、俺の【デバッガー】スキルと連携できる柔軟な思考を持つ者。
(クラウス……は、どうだろうか?)
彼の戦闘能力は確かだ。正義感も強い。だが、あの堅物ぶりでは、俺の「バグ利用」戦術に理解を示すとは思えない。むしろ、倫理的に反発されるのがオチだろう。
(やはり、もっと相性の良い仲間を探すしかないか……)
そんなことを考えていると、ふと、この未知の洞窟エリアそのものに興味が湧いてきた。発光する未知の鉱石、未踏破のエリア。ここには、何か特別な発見があるかもしれない。ゴブリンキング攻略のヒントや、あるいは俺自身の成長に繋がる何かが。
(まずは、このエリアを少し探索してみるか。安全を確保しつつ)
俺は、痛む身体を引きずるようにして、ゆっくりと立ち上がった。松明に火を灯し、周囲を照らしながら、洞窟の奥へと続く通路を慎重に進み始める。
壁の発光鉱石のおかげで、松明がなくてもある程度の視界は確保できる。鉱石に【情報読取】を使いながら進むと、興味深い特性が分かってきた。「周囲の魔素を吸収・浄化する性質?」という部分だ。
(もし、これが本当なら、このエリアは魔力汚染の影響が少ない、あるいは全くない可能性があるな。ゴブリンキングのような変異体も、ここでは発生しにくいかもしれない)
だとすれば、ここは比較的安全なエリアと言えるかもしれない。休息場所としても適している可能性がある。
さらに奥へと進むと、通路は少し開けた空間へと繋がっていた。そこは、小さな地底湖のような場所だった。天井から滴り落ちる水滴が、静かな水面に波紋を描いている。水辺にも、あの青緑色の発光鉱石が点在し、幻想的な光景を作り出していた。
水の透明度は高く、底まで見通せるほどだ。【情報読取】で確認すると、飲用にも適しているらしい。
(水も確保できた。ここは、休息にはもってこいの場所かもしれない)
俺は地底湖のほとりに腰を下ろし、改めて休息を取ることにした。幸い、魔物の気配は感じられない。発光鉱石の浄化作用が効いているのだろうか。
水筒に綺麗な水を満たし、携帯食料の硬いビスケットを齧る。静かな空間で一人、これまでの出来事を整理し、今後の計画を練る。
ゴブリンキングの攻略。魔力汚染への対処。仲間探し。そして、【デバッガー】スキルのさらなる解析と、リスク管理。課題は山積みだ。
(だが、落ち込んではいられない。俺には、やるべきことがある)
ブラック企業での過労死から始まった、この異世界でのセカンドライフ。スキル【デバッガー】という、他の誰も持たない力を手に入れた。それをどう使うか、何を目指すのか。
(まずは、生き抜くこと。そして、可能なら、少しでもこの世界の「バグ」を修正して、より良い方向に導くこと……か?)
柄にもなく、そんなことを考えてしまう。元SEの職業病かもしれない。バグを見つけたら、修正したくなる。それが、たとえ異世界の法則であっても。
ふと、地底湖の水面に、自分の顔が映っているのに気づいた。元の世界の、疲れ切ったSEの顔ではない。少し精悍さが増し、目には強い意志が宿っている……ように見える。
(変わったな、俺も)
この世界に来て、まだほんの数週間。しかし、その間に経験したことは、元の世界での数年間よりも濃密だったかもしれない。
休息を取り、少し体力が回復してきたところで、俺は再び立ち上がった。この未知のエリアをもう少し探索し、地上への出口を探さなければならない。
地底湖の奥へと続く、別の通路。そこから、微かに風の流れを感じる。出口は、そちらの方向かもしれない。
俺は、新たな決意を胸に、未知の通路へと足を踏み入れた。
ランダム転移の果てに見つけた、静謐な地底空間。ここが、俺の新たなスタート地点となるのかもしれない。そして、この先で待ち受ける出会いが、俺の異世界での運命を大きく左右することになるとは、まだ知る由もなかった。
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