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第八十九話 創造対決
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黒曜石の鏡面扉の前で、俺とアルベール、そして俺たちの創造物が静かに対峙する。仲間たちは影の術によって動きを封じられ、この神聖なる決闘をただ見守ることしかできない。
「素晴らしい。それがあの古竜を討ち取ったという、伝説のキメラか。実に興味深い素材の組み合わせだ」
アルベールはキメラ・ロードの威容を前にしても臆することなく、冷静に分析していた。
「だが、所詮は寄せ集め。真に洗練された『兵器』の前には無力だということを教えて差し上げましょう」
彼が手を振る。
彼が生み出した冒涜的なキメラ――【アビス・キメラ】が、苦痛に満ちた咆哮を上げて俺たちに襲いかかってきた。
「行け、キメラ・ロード!」
俺の相棒もまた地を蹴り、迎え撃つ。
伝説の獣王と奈落の合成獣。二体のキメラが激突した。
アビス・キメラの動きは機械的で無駄がない。爪での引き裂き、牙での噛みつき、尻尾での薙ぎ払い。その全てが、最も効率的に敵を破壊するためだけにプログラムされているかのようだった。
だが、キメラ・ロードの動きは違った。
それは生き物の動きだった。
狼の頭が敵の攻撃パターンを瞬時に予測し、鷲の頭が最適な回避ルートを導き出す。そしてドラゴンの頭が、そのカウンターとして最も有効な一撃を叩き込む。
それは知性と本能が融合した、究極の戦闘術。
「無駄だ!」
アルベールが叫ぶ。
アビス・キメラの体から無数の毒の針が射出された。
だがキメラ・ロードは、その身に宿る世界樹の力で瞬時にその毒を浄化し、無力化してしまう。
「なっ……!?」
アルベールの冷静な仮面が、初めてわずかに揺らいだ。
「お前の創造物は、ただ強いパーツを無理やり繋ぎ合わせただけだ!」
俺は叫んだ。
「そこには調和も生命の輝きもない! そんな魂のない人形が俺の相棒に勝てるはずがない!」
俺の言葉に呼応するかのように。
キメラ・ロードが咆哮を上げた。
三つの頭が同時に異なる属性のブレスを吐き出す。
炎、氷、そして雷。
三つの属性が螺旋を描きながら融合し、アビス・キメラを正面から飲み込んだ。
「グギャアアアアアアア!」
悲痛な断末魔。
アビス・キメラの体は、その根源的な破壊の力の前に耐えきれず、内側から爆ぜるように光の粒子となって消滅した。
「……馬鹿な。私の完璧な兵器が……」
アルベールは呆然と、その光景を見つめていた。
「これが俺たちの絆の力だ!」
俺は勝利を確信した。
だが、アルベールは笑っていた。
その笑みは狂気に満ちていた。
「……素晴らしい。素晴らしいぞ、モンスターメイカー! ならば見せてあげよう! 私の創造術の真髄を!」
彼はその黒い装束の懐から、次々と新たな『黒い粘土』を取り出した。
一つ、二つ、三つ……。
その数は十を超えていた。
「お前の創造は一度に一体が限界だろう? だが私は違う!」
彼はその全ての粘土を空中に放り投げた。
「創造せよ、我が兵団!『マス・クリエイション』!」
十数体のアビス・キメラが、同時に空間に出現した。
その光景に俺は、そして拘束されていた仲間たちも息を呑んだ。
「一体がダメなら数で圧殺するまで。それが効率というものだ」
アルベールの狂った理論。
十数体の魂のない兵器が、一斉にキメラ・ロードへと襲いかかった。
「グルオオオオオ!」
キメラ・ロードは奮戦した。
一体、また一体と敵を打ち破っていく。
だが相手は痛みも恐怖も感じない、ただの機械人形。
一体倒しても、すぐに新たな二体がその傷口に牙を突き立てる。
伝説の獣王の白い体は、徐々に、徐々に黒い血で染まっていった。
「くそっ……!」
俺は歯噛みする。
このままではキメラ・ロードがやられてしまう。
「アハハハハ!どうした、モンスターメイカー!お前の自慢の『絆』とやらは、物量の前には無力か!?」
アルベールの高笑いが響き渡る。
俺はキメラ・ロードの苦しむ姿を見て、心の奥底から怒りが込み上げてくるのを感じていた。
お前だけは絶対に許さない。
生命を弄ぶお前のような男だけは。
俺はアイテムボックスに手を伸ばした。
だが、そこにはもはや伝説級の素材は残っていない。
それでも。
俺にはまだ残っているものがある。
俺がこの世界に来てから今まで、共に戦い、共に歩んできた仲間たちの想い。
俺は静かに目を閉じた。
そして俺の最後の創造を始めた。
それはアイテムを使わない。
俺の記憶。
俺の魂。
その全てを核とする、前代未聞の創造。
俺の脳裏に、今まで創り出してきた全てのスライムたちの姿が浮かび上がる。
オブシダン・スライムの不屈の硬さ。
擬態スライムの奇策の閃き。
アシッド・スライムの貫く力。
ホーリー・スライムの浄化の光。
そして、ゴブの純粋な忠誠心。
カエデの揺るぎない正義。
リオの諦めない商魂。
バルガンの仲間を思う熱い心。
ゼノンの孤高の誇り。
その全ての「想い」が俺の中で一つの巨大な光となって収束していく。
「……何をしている?」
アルベールが、俺のただならぬ気配に訝しげな声を上げる。
俺は目を開いた。
その瞳には創造主として、神にも似た静かな光が宿っていた。
「見せてやる。俺の本当の創造を」
俺は、その光を傷つき、倒れかけているキメラ・ロードへと注ぎ込んだ。
「喰らえ。そして生まれ変われ。俺の全ての想いを力に変えて」
「グルオオオオオオオオオオオオッ!」
キメラ・ロードが天を仰ぎ咆哮した。
その体から虹色の光が爆発的に溢れ出す。
その光は、周囲のアビス・キメラたちを一瞬で塵へと変えていく。
そして光が収まった時。
そこにいたのは、もはやキメラ・ロードではなかった。
その姿はより洗練され、より神々しく、そしてどこか俺自身に似ているようにも見えた。
【キメラ・アークロード】
ユニークスキル:絆の力(リンク・フォース)
「……馬鹿な。ありえない。アイテムも使わずにモンスターを『進化』させただと……!?」
アルベールが生まれて初めて真実の恐怖に、その顔を引きつらせていた。
俺の新たな相棒は、静かにその進化した瞳で最後の敵を見据えた。
「……さあ、始めようか。本当の創造対決を」
俺の静かな声が、最後の戦いの始まりを告げた。
「素晴らしい。それがあの古竜を討ち取ったという、伝説のキメラか。実に興味深い素材の組み合わせだ」
アルベールはキメラ・ロードの威容を前にしても臆することなく、冷静に分析していた。
「だが、所詮は寄せ集め。真に洗練された『兵器』の前には無力だということを教えて差し上げましょう」
彼が手を振る。
彼が生み出した冒涜的なキメラ――【アビス・キメラ】が、苦痛に満ちた咆哮を上げて俺たちに襲いかかってきた。
「行け、キメラ・ロード!」
俺の相棒もまた地を蹴り、迎え撃つ。
伝説の獣王と奈落の合成獣。二体のキメラが激突した。
アビス・キメラの動きは機械的で無駄がない。爪での引き裂き、牙での噛みつき、尻尾での薙ぎ払い。その全てが、最も効率的に敵を破壊するためだけにプログラムされているかのようだった。
だが、キメラ・ロードの動きは違った。
それは生き物の動きだった。
狼の頭が敵の攻撃パターンを瞬時に予測し、鷲の頭が最適な回避ルートを導き出す。そしてドラゴンの頭が、そのカウンターとして最も有効な一撃を叩き込む。
それは知性と本能が融合した、究極の戦闘術。
「無駄だ!」
アルベールが叫ぶ。
アビス・キメラの体から無数の毒の針が射出された。
だがキメラ・ロードは、その身に宿る世界樹の力で瞬時にその毒を浄化し、無力化してしまう。
「なっ……!?」
アルベールの冷静な仮面が、初めてわずかに揺らいだ。
「お前の創造物は、ただ強いパーツを無理やり繋ぎ合わせただけだ!」
俺は叫んだ。
「そこには調和も生命の輝きもない! そんな魂のない人形が俺の相棒に勝てるはずがない!」
俺の言葉に呼応するかのように。
キメラ・ロードが咆哮を上げた。
三つの頭が同時に異なる属性のブレスを吐き出す。
炎、氷、そして雷。
三つの属性が螺旋を描きながら融合し、アビス・キメラを正面から飲み込んだ。
「グギャアアアアアアア!」
悲痛な断末魔。
アビス・キメラの体は、その根源的な破壊の力の前に耐えきれず、内側から爆ぜるように光の粒子となって消滅した。
「……馬鹿な。私の完璧な兵器が……」
アルベールは呆然と、その光景を見つめていた。
「これが俺たちの絆の力だ!」
俺は勝利を確信した。
だが、アルベールは笑っていた。
その笑みは狂気に満ちていた。
「……素晴らしい。素晴らしいぞ、モンスターメイカー! ならば見せてあげよう! 私の創造術の真髄を!」
彼はその黒い装束の懐から、次々と新たな『黒い粘土』を取り出した。
一つ、二つ、三つ……。
その数は十を超えていた。
「お前の創造は一度に一体が限界だろう? だが私は違う!」
彼はその全ての粘土を空中に放り投げた。
「創造せよ、我が兵団!『マス・クリエイション』!」
十数体のアビス・キメラが、同時に空間に出現した。
その光景に俺は、そして拘束されていた仲間たちも息を呑んだ。
「一体がダメなら数で圧殺するまで。それが効率というものだ」
アルベールの狂った理論。
十数体の魂のない兵器が、一斉にキメラ・ロードへと襲いかかった。
「グルオオオオオ!」
キメラ・ロードは奮戦した。
一体、また一体と敵を打ち破っていく。
だが相手は痛みも恐怖も感じない、ただの機械人形。
一体倒しても、すぐに新たな二体がその傷口に牙を突き立てる。
伝説の獣王の白い体は、徐々に、徐々に黒い血で染まっていった。
「くそっ……!」
俺は歯噛みする。
このままではキメラ・ロードがやられてしまう。
「アハハハハ!どうした、モンスターメイカー!お前の自慢の『絆』とやらは、物量の前には無力か!?」
アルベールの高笑いが響き渡る。
俺はキメラ・ロードの苦しむ姿を見て、心の奥底から怒りが込み上げてくるのを感じていた。
お前だけは絶対に許さない。
生命を弄ぶお前のような男だけは。
俺はアイテムボックスに手を伸ばした。
だが、そこにはもはや伝説級の素材は残っていない。
それでも。
俺にはまだ残っているものがある。
俺がこの世界に来てから今まで、共に戦い、共に歩んできた仲間たちの想い。
俺は静かに目を閉じた。
そして俺の最後の創造を始めた。
それはアイテムを使わない。
俺の記憶。
俺の魂。
その全てを核とする、前代未聞の創造。
俺の脳裏に、今まで創り出してきた全てのスライムたちの姿が浮かび上がる。
オブシダン・スライムの不屈の硬さ。
擬態スライムの奇策の閃き。
アシッド・スライムの貫く力。
ホーリー・スライムの浄化の光。
そして、ゴブの純粋な忠誠心。
カエデの揺るぎない正義。
リオの諦めない商魂。
バルガンの仲間を思う熱い心。
ゼノンの孤高の誇り。
その全ての「想い」が俺の中で一つの巨大な光となって収束していく。
「……何をしている?」
アルベールが、俺のただならぬ気配に訝しげな声を上げる。
俺は目を開いた。
その瞳には創造主として、神にも似た静かな光が宿っていた。
「見せてやる。俺の本当の創造を」
俺は、その光を傷つき、倒れかけているキメラ・ロードへと注ぎ込んだ。
「喰らえ。そして生まれ変われ。俺の全ての想いを力に変えて」
「グルオオオオオオオオオオオオッ!」
キメラ・ロードが天を仰ぎ咆哮した。
その体から虹色の光が爆発的に溢れ出す。
その光は、周囲のアビス・キメラたちを一瞬で塵へと変えていく。
そして光が収まった時。
そこにいたのは、もはやキメラ・ロードではなかった。
その姿はより洗練され、より神々しく、そしてどこか俺自身に似ているようにも見えた。
【キメラ・アークロード】
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「……馬鹿な。ありえない。アイテムも使わずにモンスターを『進化』させただと……!?」
アルベールが生まれて初めて真実の恐怖に、その顔を引きつらせていた。
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