君は私の恋人なのか

Esente

文字の大きさ
2 / 17
1章 君は私の恋人なのか

2話 秘密の影

しおりを挟む
祐司は、目覚めた時にいた緑山町から歩いて八丘町に移動した日を思い出した。

(避難所探し)
 絵名と祐司はホコリが舞うガレキの町を2人で歩いていた。

 絵名「ゆうくん、大丈夫?」
 絵名は歩いている最中に何度も祐司に声かけてしまう。

 祐司「大丈夫だよ。覚えのない町だし、ガレキもすごいからキョロキョロしちゃっただけだよ。」
 祐司の目の焦点が定まっていない。明らかに正常ではない。

 絵名「足が疲れたなら休憩する?」

 祐司「大丈夫!体力があるのかそこまで足は疲れてないよ。」

 絵名「ゆうちゃんはバスケやってたからかも。足の疲れじゃないなら…こうだ!!」絵名は祐司の手を握ってギュっと握った。「触れ合うとね、安心に繋がるんだよ。きっと不安だったんだよね」

 祐司「絵名…ありがとう。見透かされちゃったね。でも…これならなんかまだまだ歩けそうな気がしてきた。」
 絵名の優しさが心に染み渡るのを感じた。記憶がない日々の中で絵名の存在は祐司の心の穴を少しずつ埋めていた。

 絵名「それなら良かった。緑山町の避難所より混んでいない避難所を早く見つけないとね。大変だけど頑張ろう。」
 絵名は笑顔で祐司をリードするが、その右足は微かに震えていた。

(仮設住宅)
 絵名「今日は仮設住宅の入居手続きをしに役所に行ってくるね。」
 ある日の朝食に絵名が笑顔で伝えてきた。

 祐司「そうなの?僕も暇だし一緒に行こうかな。」

 絵名「ううん、ゆうちゃんは待ってて。物資の運搬とかガレキの整理とか男手は避難所でいっぱい求められてるよ。」
 絵名は即座に仕事を突き付けてきた。

 祐司「え…あ、そうだね。僕ももっと自分にできることを探さないとね。」いつも一緒に行動していた絵名から別行動を突きつけられ、心がざわついた。

(避難所での頑張りが少ないと思われている…?、それとも役所に僕に見せにくい何かがある…?)
 記憶がないためか、祐司は小さなことでも大きく心が揺さぶられる。

 絵名が出かけた後、祐司は避難所の周りを歩き始め、仕事を探し始めた。

 祐司「こんにちは、運ぶのを手伝いましょうか?」初老ながら必死に頑張っている男性を見つけ、声をかけ、手伝いをした。

 男性「いやー助かったよ。ありがとうね。あの彼女さんと一緒にいる人だろ?この前も彼女が手伝ってくれて助かったんだ。お礼言っておいてよ。」

 祐司「そうなんですか? 絵名、そんなこと一言も言ってませんでしたよ。」
 祐司の胸に誇らしさが広がる。

 男性「本当に優しい子だよね。最近の若い人は自分のことばかり優先する人が多いのに。」
「でもね、君……彼女のこと、よく見てあげてくれよ。無理をしすぎるタイプだよ。避難所でも色々な人を気にかけて助けているじゃないか。彼女は

 祐司「え!? 絵名は足をケガしているのですか?」
    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

初恋にケリをつけたい

志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」  そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。 「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」  初恋とケリをつけたい男女の話。 ☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18) ☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

【完結】16わたしも愛人を作ります。

華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、 惨めで生きているのが疲れたマリカ。 第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。 ※新作です。アルファポリス様が先行します。

【完結】婚約者なんて眼中にありません

らんか
恋愛
 あー、気が抜ける。  婚約者とのお茶会なのにときめかない……  私は若いお子様には興味ないんだってば。  やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?    大人の哀愁が滲み出ているわぁ。  それに強くて守ってもらえそう。  男はやっぱり包容力よね!  私も守ってもらいたいわぁ!    これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語…… 短めのお話です。 サクッと、読み終えてしまえます。

我慢しないことにした結果

宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

愛してしまって、ごめんなさい

oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」 初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。 けれど私は赦されない人間です。 最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。 ※全9話。 毎朝7時に更新致します。

処理中です...