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2章 私はいったい誰なのか
6話 過去の記憶
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震災から3カ月経過したある日
八丘町で開かれる大規模な慰霊祭の日である。
祐司は絵名と共に一緒に参加している。
絵名「大規模な地震だったから、身寄りのない高齢の方がいたり、暮らしが大変でご家族が満足な葬儀をあげられない方がいるんだ。そういった方のために地域で合同葬儀や慰霊祭があったりするんだって。」
祐司「そうなんだ…僕は記憶がないけど命はあるからそういう意味では幸せな方だね」己の生への感謝を感じる。
絵名「本当にそうだよ…ゆうくんが死んじゃってたら私はすごい寂しかったよ。…あ、そうそう、祈る際はね緑山町の方々にも祈ってあげて。もともと住んでいたのはあっちの町だし。」
黙祷の時間、祈りを捧げたあと、僕はチラッと絵名をみた。真剣に祈る彼女の姿はとても綺麗であり、眩しかった。
心優しい彼女の過去をもっと知りたいと思った。
(その日の夜)
祐司「絵名、おかえり。」避難所のボランティアを終えたを彼女が戻ってきた。
絵名「良いにおーい!!中華かな?」
祐司「八宝菜だよ。具材は8種類も無いけど笑。」
食事後、絵名が甘えるようにくっついて来た。
絵名「作ってくれてありがとうね。すごい助かるよ。誰かに作ってもらうご飯って美味しいよね。」
祐司「いつも、絵名に作ってもらっているし、たまにはね。」
絵名「気持ちはすごい嬉しいよ。でも、私は好きでゆうくんに色々やっているから、気を使いすぎないでね。」
祐司「優しいね。友達とかにも世話を世話を焼くタイプだった?」祐司は絵名の過去を知りたいと思っていた。
絵名「実は、私は抜けているところがあって、結構友達や、ゆうくんに助けてもらっていたよ。」
絵名はバスケ部サークル時代の友人や、ファミレスでのバイト時代の話を始めた。
絵名「ファミレスのバイトでは、あの時はまだ10代だったし、制服とか傘とかよく忘れて、友達とかゆうくんに何度も助けてもらってたな。恥ずかしい。」
僕は大きな違和感を持った。絵名は僕と付き合ったのは震災の日から1年ほど前って言っていた。彼女は21歳くらいだから、「10代の頃の思い出」は辻褄が合わない。
仮に、10代の頃からただの友人であった僕が、バイトの忘れ物を届けたりするだろうか?絵名の話を聞いても記憶は相変わらず霧の中だった。
祐司「意外な一面もあって驚いたよ!ところで絵名の過去に付き合っていた人ってどんな人がいた?」祐司は違和感の正体を探る質問をした。
絵名「え…なんで過去の恋人の話を…。」絵名の表情に影がさしたように声の調子が沈む。
祐司「僕からすると、絵名は優しいし家庭的だし、すごいモテそうだなって。結構素敵な男性と付き合ってたんじゃない?」
絵名「どうだろう…まぁ優しい人だったかな。」視線をそらし、手元のコップでお茶を飲みながら返す。
祐司「そうなんだ。優しい人なのに何で別れたの?」
絵名「……他に気になる人がいて、本気でその人が好きになれなかった。」長い沈黙の後、絞り出すように答えた。
絵名「この話はおしまいでいい?昔の男の人の話は、ゆうくんにあんまりしたくない。」
祐司「ごめん、ごめん。絵名のことをもっと色々知って理解したかっただけなんだ。」
絵名「うん、いいよ。」「私は、洗い物してくるね。」絵名はそそくさとキッチンへと向かった。
絵名「言い忘れてたけど、その気になっていた人ってゆうくんのことだよ。」
洗い物を終えた彼女が補足をしてくれた。
祐司は、先程の会話にあった絵名の動揺が気になった。
(祐司は、先ほどの会話を何度も頭の中で繰り返した。)
過去の恋人、気になる人、そして僕と付き合い始めた時期──。
それらを並べると、どうしても説明できない空白が浮かび上がってくる。
まるで絵名が、僕に隠している何かと関係があるかのように。
これからも絵名と共に暮らして行きたいからこそ、この違和感の正体を、確かめる必要があった
八丘町で開かれる大規模な慰霊祭の日である。
祐司は絵名と共に一緒に参加している。
絵名「大規模な地震だったから、身寄りのない高齢の方がいたり、暮らしが大変でご家族が満足な葬儀をあげられない方がいるんだ。そういった方のために地域で合同葬儀や慰霊祭があったりするんだって。」
祐司「そうなんだ…僕は記憶がないけど命はあるからそういう意味では幸せな方だね」己の生への感謝を感じる。
絵名「本当にそうだよ…ゆうくんが死んじゃってたら私はすごい寂しかったよ。…あ、そうそう、祈る際はね緑山町の方々にも祈ってあげて。もともと住んでいたのはあっちの町だし。」
黙祷の時間、祈りを捧げたあと、僕はチラッと絵名をみた。真剣に祈る彼女の姿はとても綺麗であり、眩しかった。
心優しい彼女の過去をもっと知りたいと思った。
(その日の夜)
祐司「絵名、おかえり。」避難所のボランティアを終えたを彼女が戻ってきた。
絵名「良いにおーい!!中華かな?」
祐司「八宝菜だよ。具材は8種類も無いけど笑。」
食事後、絵名が甘えるようにくっついて来た。
絵名「作ってくれてありがとうね。すごい助かるよ。誰かに作ってもらうご飯って美味しいよね。」
祐司「いつも、絵名に作ってもらっているし、たまにはね。」
絵名「気持ちはすごい嬉しいよ。でも、私は好きでゆうくんに色々やっているから、気を使いすぎないでね。」
祐司「優しいね。友達とかにも世話を世話を焼くタイプだった?」祐司は絵名の過去を知りたいと思っていた。
絵名「実は、私は抜けているところがあって、結構友達や、ゆうくんに助けてもらっていたよ。」
絵名はバスケ部サークル時代の友人や、ファミレスでのバイト時代の話を始めた。
絵名「ファミレスのバイトでは、あの時はまだ10代だったし、制服とか傘とかよく忘れて、友達とかゆうくんに何度も助けてもらってたな。恥ずかしい。」
僕は大きな違和感を持った。絵名は僕と付き合ったのは震災の日から1年ほど前って言っていた。彼女は21歳くらいだから、「10代の頃の思い出」は辻褄が合わない。
仮に、10代の頃からただの友人であった僕が、バイトの忘れ物を届けたりするだろうか?絵名の話を聞いても記憶は相変わらず霧の中だった。
祐司「意外な一面もあって驚いたよ!ところで絵名の過去に付き合っていた人ってどんな人がいた?」祐司は違和感の正体を探る質問をした。
絵名「え…なんで過去の恋人の話を…。」絵名の表情に影がさしたように声の調子が沈む。
祐司「僕からすると、絵名は優しいし家庭的だし、すごいモテそうだなって。結構素敵な男性と付き合ってたんじゃない?」
絵名「どうだろう…まぁ優しい人だったかな。」視線をそらし、手元のコップでお茶を飲みながら返す。
祐司「そうなんだ。優しい人なのに何で別れたの?」
絵名「……他に気になる人がいて、本気でその人が好きになれなかった。」長い沈黙の後、絞り出すように答えた。
絵名「この話はおしまいでいい?昔の男の人の話は、ゆうくんにあんまりしたくない。」
祐司「ごめん、ごめん。絵名のことをもっと色々知って理解したかっただけなんだ。」
絵名「うん、いいよ。」「私は、洗い物してくるね。」絵名はそそくさとキッチンへと向かった。
絵名「言い忘れてたけど、その気になっていた人ってゆうくんのことだよ。」
洗い物を終えた彼女が補足をしてくれた。
祐司は、先程の会話にあった絵名の動揺が気になった。
(祐司は、先ほどの会話を何度も頭の中で繰り返した。)
過去の恋人、気になる人、そして僕と付き合い始めた時期──。
それらを並べると、どうしても説明できない空白が浮かび上がってくる。
まるで絵名が、僕に隠している何かと関係があるかのように。
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