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4章 私の幸せ、あなたの幸せ
18話 選択と別離
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祐司「ただいま」
扉を開けると、祐司が戻ってきた。
絵名「おかえり。散歩してたの?」
絵名が立ち上がり、祐司を迎える。
祐司「まぁね。これからのことを考えてた。……みさちゃんももうすぐ来るから、ちょっと待ってて。ちゃんと話すよ。」
絵名は小さく頷いた。
――ピンポーン。
玄関の前で深く頭を垂れる美咲。その姿に、覚悟と罪悪感が滲む。
三人は向かい合って座り、しばし無言が続いた。
祐司「二人とも……ありがとう。待たせてごめん。俺の気持ちを言うよ。」
祐司は一度深く息を吸った。
祐司「俺は、みさちゃんと一緒に山梨に行こうと思う。」
空気が震えた。
祐司「正直、二人とも同じくらい大事だ。差なんてない。でもどちらかを選ばなければ、誰も幸せになれない気がした。」
絵名は唇を噛む。
祐司「みさちゃんは恋人で……絵名は家族だ。
ここに残るのを選んだら、みさちゃんとはきっと終わってしまう。それが……嫌なんだ。」
美咲の肩がわずかに揺れた。
祐司「だけど絵名を一人で置いていくのは違う。せめて三ヶ月は……」
絵名「それはやめて。」
絵名が遮った。
絵名「三ヶ月後に『さよなら』が決まってる同居なんて、一番残酷だよ。」
祐司の言葉が詰まる。
絵名「一人にしたら心配だろって?自暴自棄になるって思った?」
祐司は、絵名を真正面から見つめることができなかった。
祐司「……そうだ。」
絵名「大丈夫。
兄の幸せを祈る妹が、そんなことしない。
私……お母さんのところへ行くから。」
祐司「母さんと、まだ連絡取ってるのか?」
絵名「震災のあとに向こうから連絡が来た。家族を一回捨てたのに今更だと思うけど……。一人じゃないなら、少しは安心でしょ?」
胸に刺さる言葉だった。
美咲が静かに口を開く。
美咲「私が何か言える立場じゃないですけど、絵名さんの選択……私は、すごく良いと思います。
みんな大人になっているし、状況も変わってるから、家族ならもう一度つながれる気がします。私も大学の期間を経て兄ともっと仲良くなれました。」
絵名は弱く笑った。
絵名「ありがとう、美咲さん。ほら、ゆうくん。これで安心でしょ。
だから早く荷造りして。今日行くんだよ。」
祐司「え、今日?もう夜だぞ?」
祐司「もう二人で並んで眠れないでしょ?フった元カノとまだ一緒に寝たいの?」
絵名の笑みは、どこまでも優しく残酷だった。
美咲は震える声で言った。
美咲「絵名さん……ごめんなさい。あなたの生活を――」
絵名「気にしないで。
私の方こそ……ゆうくんをずっと独り占めしてて、ごめんなさい。」
――荷造りが終わる。
絵名「ゆうくん。夜だけど……緑山町の仮設墓地に寄ってあげて。そこに……お父さんがいるから。」
祐司は目を閉じ、ゆっくり頷いた。
祐司「必ず行く。それで、落ち着いたら父さん山下家の墓へ移そう。
それと……足を病院で診てもらってくれ。まだ異物が残ってるかもしれない。」
絵名「うん。……ありがとう。確かに足はたまに違和感あるんだ。」
玄関で絵名が言う。
絵名「行ってらっしゃい、ゆうくん。……幸せに。」
美咲は深く頭を下げた。
彼女にできる贖いは、それしかなかった。
祐司「行ってきます。またな、絵名。」
ドアが閉まる音が、胸のどこかを壊した。
――帰り道。
美咲は耐えていた涙を堪えられなくなる。
美咲「絵名さん……ごめんなさい……」
祐司は言葉もなく、美咲を抱きしめた。
自分の頬を濡らすものを、見せないように。
扉を開けると、祐司が戻ってきた。
絵名「おかえり。散歩してたの?」
絵名が立ち上がり、祐司を迎える。
祐司「まぁね。これからのことを考えてた。……みさちゃんももうすぐ来るから、ちょっと待ってて。ちゃんと話すよ。」
絵名は小さく頷いた。
――ピンポーン。
玄関の前で深く頭を垂れる美咲。その姿に、覚悟と罪悪感が滲む。
三人は向かい合って座り、しばし無言が続いた。
祐司「二人とも……ありがとう。待たせてごめん。俺の気持ちを言うよ。」
祐司は一度深く息を吸った。
祐司「俺は、みさちゃんと一緒に山梨に行こうと思う。」
空気が震えた。
祐司「正直、二人とも同じくらい大事だ。差なんてない。でもどちらかを選ばなければ、誰も幸せになれない気がした。」
絵名は唇を噛む。
祐司「みさちゃんは恋人で……絵名は家族だ。
ここに残るのを選んだら、みさちゃんとはきっと終わってしまう。それが……嫌なんだ。」
美咲の肩がわずかに揺れた。
祐司「だけど絵名を一人で置いていくのは違う。せめて三ヶ月は……」
絵名「それはやめて。」
絵名が遮った。
絵名「三ヶ月後に『さよなら』が決まってる同居なんて、一番残酷だよ。」
祐司の言葉が詰まる。
絵名「一人にしたら心配だろって?自暴自棄になるって思った?」
祐司は、絵名を真正面から見つめることができなかった。
祐司「……そうだ。」
絵名「大丈夫。
兄の幸せを祈る妹が、そんなことしない。
私……お母さんのところへ行くから。」
祐司「母さんと、まだ連絡取ってるのか?」
絵名「震災のあとに向こうから連絡が来た。家族を一回捨てたのに今更だと思うけど……。一人じゃないなら、少しは安心でしょ?」
胸に刺さる言葉だった。
美咲が静かに口を開く。
美咲「私が何か言える立場じゃないですけど、絵名さんの選択……私は、すごく良いと思います。
みんな大人になっているし、状況も変わってるから、家族ならもう一度つながれる気がします。私も大学の期間を経て兄ともっと仲良くなれました。」
絵名は弱く笑った。
絵名「ありがとう、美咲さん。ほら、ゆうくん。これで安心でしょ。
だから早く荷造りして。今日行くんだよ。」
祐司「え、今日?もう夜だぞ?」
祐司「もう二人で並んで眠れないでしょ?フった元カノとまだ一緒に寝たいの?」
絵名の笑みは、どこまでも優しく残酷だった。
美咲は震える声で言った。
美咲「絵名さん……ごめんなさい。あなたの生活を――」
絵名「気にしないで。
私の方こそ……ゆうくんをずっと独り占めしてて、ごめんなさい。」
――荷造りが終わる。
絵名「ゆうくん。夜だけど……緑山町の仮設墓地に寄ってあげて。そこに……お父さんがいるから。」
祐司は目を閉じ、ゆっくり頷いた。
祐司「必ず行く。それで、落ち着いたら父さん山下家の墓へ移そう。
それと……足を病院で診てもらってくれ。まだ異物が残ってるかもしれない。」
絵名「うん。……ありがとう。確かに足はたまに違和感あるんだ。」
玄関で絵名が言う。
絵名「行ってらっしゃい、ゆうくん。……幸せに。」
美咲は深く頭を下げた。
彼女にできる贖いは、それしかなかった。
祐司「行ってきます。またな、絵名。」
ドアが閉まる音が、胸のどこかを壊した。
――帰り道。
美咲は耐えていた涙を堪えられなくなる。
美咲「絵名さん……ごめんなさい……」
祐司は言葉もなく、美咲を抱きしめた。
自分の頬を濡らすものを、見せないように。
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