33 / 119
勝利の宴②
しおりを挟む
俺は未成年だからシラフだが他はみんな楽しく飲んでいた。
「いやー、実に楽しいし美味い。今日は良い日だな、エドガーよ」
パーシヴァル卿はご機嫌に酔い始めてる。
「この村の酒が好きで仕事にかこつけて年に一度は訪れているんですよ」
村長が教えてくれた。
ここの水は美味いからな。この水を仕込みに使った酒もさぞ美味いんだろうな。
一つ閃いた。
「パーシヴァル様は随分とお酒がお好きなようで。ウェストール様もお好きなのでしょうか?」
「我が主も酒には目がないぞ。この村の新酒の時期を私に聞いてくるくらいだからな」
なるほどな。
「パーシヴァル様は『火酒』はご存知ですか?」
「もちろんだとも。ただ飲んだ事はないのだ。帝国の秘密事項の一つだからな。この国で飲んだ事があるのは先王様と我が主くらいではないかな?」
『火酒』と呼ばれる酒が世の中にはある。隣のエイゼヘル帝国のどこかで作られている酒で製造法はもちろん秘密になっている。
帝国ではごく少数流通しているため金さえ有れば飲む事は出来る。オークションなどがそうだ。
しかし王国までは届くことはない。帝国に住むドワーフの存在が原因だ。
だから酒の為なら金に糸目を付けないドワーフ達が手を出せなくなる程の値段で買わねば手に入れる事は出来ない。
そんな金額を出せるのは王族かもしくは上流貴族だけだ。と、先日ロキソに聞いた。
「実は私、火酒の製造法を存じておりまして。この村で作ろうかと思っています」
ぶーーっ!!!!
騎士爵様が盛大に噴いた。
「ゲホッ! ゲホゲホッ! 其方、まことか!?」
「本当でございます。ロキソ、アレ借りても良いか?」
「もともとはお主のものじゃろう。ほれ、持ってきてあるから勝手に使え」
あるのかよ‥‥‥。
「なんで持ってきてるんだよ?」
「いや、宴の後半で少し飲もうかと思うての‥‥‥」
ロキソはミニチュアポットスチルを取り出した。本当に持ってきてやがるわ。
「!! これで火酒が作れるのか? どうやるのだ?」
見事なくらい食い付いてきたな。
水とアルコールの沸点の違いを利用した蒸留法を説明した、実践付きで。
ティナにスチルポットを温めてもらい出てきた液体を差し出す。
「‥‥‥これが火酒か」
「酒精が強いのでお気をつけて」
じっくりと眺めた後、騎士爵様は一気に呷った。
「ブェヘブェヘッ!!!! こ、これが火酒か!! なんと‥‥‥」
「これは未完成品です。本当ならこれを木の樽に詰めて何年も置いて熟成するのです」
おそらく帝国で作っているのはちゃんと熟成された蒸留酒のはず。でなければ商品として売れないだろうからな。
「‥‥‥いや、これは面白い!! 将来売れるはずだ、エドガー!!」
「話のわかる騎士様だの。エドガー、ワシにも一杯くれ」
ロキソが話に混じってきた。
そっちはティナに任せよう。
騎士爵様が俺の手を握りしめてきた。
「このパーシヴァル、この酒をこの国に広めてみせよう! 全力で協力させていただこう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【後日談】
戦いを終えた平民達は家に帰った後、恋人達、夫婦間で大変に盛り上がった。
戦いを経験すると生存本能が刺激されるのか男女共に性欲が増幅されたからだ。
結果、妊娠する女性が急増し、テオドール村は約一年後ベビーラッシュとなった。
「いやー、実に楽しいし美味い。今日は良い日だな、エドガーよ」
パーシヴァル卿はご機嫌に酔い始めてる。
「この村の酒が好きで仕事にかこつけて年に一度は訪れているんですよ」
村長が教えてくれた。
ここの水は美味いからな。この水を仕込みに使った酒もさぞ美味いんだろうな。
一つ閃いた。
「パーシヴァル様は随分とお酒がお好きなようで。ウェストール様もお好きなのでしょうか?」
「我が主も酒には目がないぞ。この村の新酒の時期を私に聞いてくるくらいだからな」
なるほどな。
「パーシヴァル様は『火酒』はご存知ですか?」
「もちろんだとも。ただ飲んだ事はないのだ。帝国の秘密事項の一つだからな。この国で飲んだ事があるのは先王様と我が主くらいではないかな?」
『火酒』と呼ばれる酒が世の中にはある。隣のエイゼヘル帝国のどこかで作られている酒で製造法はもちろん秘密になっている。
帝国ではごく少数流通しているため金さえ有れば飲む事は出来る。オークションなどがそうだ。
しかし王国までは届くことはない。帝国に住むドワーフの存在が原因だ。
だから酒の為なら金に糸目を付けないドワーフ達が手を出せなくなる程の値段で買わねば手に入れる事は出来ない。
そんな金額を出せるのは王族かもしくは上流貴族だけだ。と、先日ロキソに聞いた。
「実は私、火酒の製造法を存じておりまして。この村で作ろうかと思っています」
ぶーーっ!!!!
騎士爵様が盛大に噴いた。
「ゲホッ! ゲホゲホッ! 其方、まことか!?」
「本当でございます。ロキソ、アレ借りても良いか?」
「もともとはお主のものじゃろう。ほれ、持ってきてあるから勝手に使え」
あるのかよ‥‥‥。
「なんで持ってきてるんだよ?」
「いや、宴の後半で少し飲もうかと思うての‥‥‥」
ロキソはミニチュアポットスチルを取り出した。本当に持ってきてやがるわ。
「!! これで火酒が作れるのか? どうやるのだ?」
見事なくらい食い付いてきたな。
水とアルコールの沸点の違いを利用した蒸留法を説明した、実践付きで。
ティナにスチルポットを温めてもらい出てきた液体を差し出す。
「‥‥‥これが火酒か」
「酒精が強いのでお気をつけて」
じっくりと眺めた後、騎士爵様は一気に呷った。
「ブェヘブェヘッ!!!! こ、これが火酒か!! なんと‥‥‥」
「これは未完成品です。本当ならこれを木の樽に詰めて何年も置いて熟成するのです」
おそらく帝国で作っているのはちゃんと熟成された蒸留酒のはず。でなければ商品として売れないだろうからな。
「‥‥‥いや、これは面白い!! 将来売れるはずだ、エドガー!!」
「話のわかる騎士様だの。エドガー、ワシにも一杯くれ」
ロキソが話に混じってきた。
そっちはティナに任せよう。
騎士爵様が俺の手を握りしめてきた。
「このパーシヴァル、この酒をこの国に広めてみせよう! 全力で協力させていただこう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【後日談】
戦いを終えた平民達は家に帰った後、恋人達、夫婦間で大変に盛り上がった。
戦いを経験すると生存本能が刺激されるのか男女共に性欲が増幅されたからだ。
結果、妊娠する女性が急増し、テオドール村は約一年後ベビーラッシュとなった。
63
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる