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マッシュのスキル
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「これから辺境爵様と晩餐を共にするんだ。その時に使う予定だから下手なもの作るなよ」
「おい! オレはやるなんて一言も‥‥‥」
「やらなきゃお前ら全員処分されてもおかしくないぞ。流刑者のくせに身分証を偽ってこの街にいるんだろうからな」
「くっ‥‥‥汚ねぇぞ! てめーだって流刑者だろうが!!」
「俺は騎士爵様と一緒に来たから問題ないんだよ。ここにいるのもゲオルグ様の許可を貰っているしな」
「‥‥‥てめーは一体何者なんだ? 村に来ていきなり黒の夢を解散させたり‥‥‥」
「戻りました。エドガー様」
「ティナ、ありがとう。ほれ、マッシュ。やってみろ」
俺はハンカチを取り出して裁縫道具と共にマッシュの前に置いた。
「妙な動きをしたら今度こそこれを眉間に撃ち込みますからね? エドガー様に従ってください」
ティナが拳銃を片手にマッシュの縄を解く。
「‥‥‥わーった、やりゃいいんだろ! やりゃあ!! ‥‥‥で、どうやんだよ?」
「ティナ、基本だけ教えてやってくれ」
そこから廃墟の中でのお裁縫教室が始まった。
「‥‥‥そこをそう。へぇ、本当に初めてですか?」
「‥‥‥‥‥‥んだよ。もうやり方はわかったからあっちいけよ」
マッシュのお仲間たちも気がついたようだ。
「!? マッシュの兄貴? 何を?」
「兄貴が針仕事?」
「だぁー!! うっせぇ! 気が散るから黙ってろ!!」
「‥‥‥‥‥‥」
ちなみにこいつらの撃たれた傷は治療済みだ。もちろん俺の自家製ポーションで。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おらっ! 出来たぞっ、これでどうだ!?」
初めてやったとは思えない程の見事な刺繍だ。
デザインは任せたがこの鳥のようなデザインは‥‥‥?
「‥‥‥それはテオドール村に伝わる伝説の生き物だ。足が三つある鷹『トライホルス』‥‥‥誰も知らないだろうけどな」
確かに知らない。この男がそんな事を知っているなんて‥‥‥。
「‥‥‥意外だな。何故そんな事を知っている?」
「俺はあの村で生まれ育ったんだよ。流刑地となる前のテオドール村でな」
テオドール村が流刑地として犯罪者が送られてくるようになったのはここ10年くらいの事らしい。
テオドール村で生まれ、そこでの地味な生活が嫌になり、領都に行って犯罪者になってテオドール村に流刑者として逆戻りしたのだと言う。
「で、どうだった? 刺繍している時の気分は?」
「‥‥‥くなかった」
「は? 聞こえないぞ、はっきり言え」
「っ! 『悪くなかった』って言ったんだよ! なんで毎回何度も言わせんだ」
「ティナ、清算してくれ」
「はい、これが刺繍の報酬です。かなり破格だとは思いますが‥‥‥」
マッシュに金貨一枚を渡す。
「!? こ、こんなに!?」
「初仕事のご祝儀も含めてな」
マッシュは金貨を握りしめ震えている。
自分の仕事によるまともな報酬だ。
「これが‥‥‥!!」
まともに働いて稼いだ金の重みを噛み締めているのだろうな。
「あー、感動しているところ大変悪いんだが、‥‥‥これがこいつらに使ったハイポーション4本の請求書だ。すまんな」
請求書を見せる。金額に目を丸くするマッシュ。
「なっ!! 金貨100枚だと!?」
‥‥‥以前にお前たちがセリスからぼったくりかけた金額だ。
「ぼったくり過ぎだろ!?」
「どの口が言うんだ? お前たちがセリスたちに請求したのと同じ額だぞ? しかもこっちは4本だ」
「くっ‥‥‥! は、払うよ‥‥‥借金させてくれ。少しずつ返すからよ」
ちゃんと働いて稼いで払うらしい。正しい価格は把握していないんだな。
という事はコイツらも誰かからぼったくられたという事か。
前にも言ったがハイポーションの適正価格は金貨10枚程度だ。
だがせっかくまともに働く気になったのだ、払い終わったら正しい事を教えてやって差額の60枚は返してやるとしよう。
「おい! オレはやるなんて一言も‥‥‥」
「やらなきゃお前ら全員処分されてもおかしくないぞ。流刑者のくせに身分証を偽ってこの街にいるんだろうからな」
「くっ‥‥‥汚ねぇぞ! てめーだって流刑者だろうが!!」
「俺は騎士爵様と一緒に来たから問題ないんだよ。ここにいるのもゲオルグ様の許可を貰っているしな」
「‥‥‥てめーは一体何者なんだ? 村に来ていきなり黒の夢を解散させたり‥‥‥」
「戻りました。エドガー様」
「ティナ、ありがとう。ほれ、マッシュ。やってみろ」
俺はハンカチを取り出して裁縫道具と共にマッシュの前に置いた。
「妙な動きをしたら今度こそこれを眉間に撃ち込みますからね? エドガー様に従ってください」
ティナが拳銃を片手にマッシュの縄を解く。
「‥‥‥わーった、やりゃいいんだろ! やりゃあ!! ‥‥‥で、どうやんだよ?」
「ティナ、基本だけ教えてやってくれ」
そこから廃墟の中でのお裁縫教室が始まった。
「‥‥‥そこをそう。へぇ、本当に初めてですか?」
「‥‥‥‥‥‥んだよ。もうやり方はわかったからあっちいけよ」
マッシュのお仲間たちも気がついたようだ。
「!? マッシュの兄貴? 何を?」
「兄貴が針仕事?」
「だぁー!! うっせぇ! 気が散るから黙ってろ!!」
「‥‥‥‥‥‥」
ちなみにこいつらの撃たれた傷は治療済みだ。もちろん俺の自家製ポーションで。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おらっ! 出来たぞっ、これでどうだ!?」
初めてやったとは思えない程の見事な刺繍だ。
デザインは任せたがこの鳥のようなデザインは‥‥‥?
「‥‥‥それはテオドール村に伝わる伝説の生き物だ。足が三つある鷹『トライホルス』‥‥‥誰も知らないだろうけどな」
確かに知らない。この男がそんな事を知っているなんて‥‥‥。
「‥‥‥意外だな。何故そんな事を知っている?」
「俺はあの村で生まれ育ったんだよ。流刑地となる前のテオドール村でな」
テオドール村が流刑地として犯罪者が送られてくるようになったのはここ10年くらいの事らしい。
テオドール村で生まれ、そこでの地味な生活が嫌になり、領都に行って犯罪者になってテオドール村に流刑者として逆戻りしたのだと言う。
「で、どうだった? 刺繍している時の気分は?」
「‥‥‥くなかった」
「は? 聞こえないぞ、はっきり言え」
「っ! 『悪くなかった』って言ったんだよ! なんで毎回何度も言わせんだ」
「ティナ、清算してくれ」
「はい、これが刺繍の報酬です。かなり破格だとは思いますが‥‥‥」
マッシュに金貨一枚を渡す。
「!? こ、こんなに!?」
「初仕事のご祝儀も含めてな」
マッシュは金貨を握りしめ震えている。
自分の仕事によるまともな報酬だ。
「これが‥‥‥!!」
まともに働いて稼いだ金の重みを噛み締めているのだろうな。
「あー、感動しているところ大変悪いんだが、‥‥‥これがこいつらに使ったハイポーション4本の請求書だ。すまんな」
請求書を見せる。金額に目を丸くするマッシュ。
「なっ!! 金貨100枚だと!?」
‥‥‥以前にお前たちがセリスからぼったくりかけた金額だ。
「ぼったくり過ぎだろ!?」
「どの口が言うんだ? お前たちがセリスたちに請求したのと同じ額だぞ? しかもこっちは4本だ」
「くっ‥‥‥! は、払うよ‥‥‥借金させてくれ。少しずつ返すからよ」
ちゃんと働いて稼いで払うらしい。正しい価格は把握していないんだな。
という事はコイツらも誰かからぼったくられたという事か。
前にも言ったがハイポーションの適正価格は金貨10枚程度だ。
だがせっかくまともに働く気になったのだ、払い終わったら正しい事を教えてやって差額の60枚は返してやるとしよう。
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