40 / 98
飛竜の里編
コンパウンドエルブンボウ
しおりを挟む
翌朝早くにミリアさんに起こされボア狩りに付き合わされた。森の中を二人で歩いている。
「‥‥‥爽やかな朝です。狩りにはうってつけですね」
「まだ日も昇ってないから朝じゃないじゃん、約束したとは言え早すぎません?」
「何事も経験ですよ、勇者様」
「その勇者様ってのはやめてくれない? 俺勇者じゃないんで」
「‥‥‥そんな!?」
「いや、なんで驚くのよ?」
すごい表情になった。エルフはどちらかというと表情固い人が多いのに。
「あんなにお強いのに‥‥‥?」
「いや、アレは時間限定だからね? ほんの少しの時間だけ強くな‥‥‥」
「しっ! ‥‥‥いました、ボアです」
前方から何か歩いている音がしてる。音で聞き分け出来るのか。
ミリアは静かにコンパウンドエルブンボウに矢をつがえ、そのまま構える。
左前方からボアが現れる。待ち構えていたミリアが矢を放った。
ボアに見事に命中した。
ボアの眉間に矢が深々と突き刺さっている。ボアはしばらくの間のたうち回った後、倒れた。
次の矢をつがえて構えていたミリアさんはやはり驚いていた。弓を戻して、矢を背中に担いでいる矢筒に戻した。
「‥‥‥驚きました。ここまでの威力とは‥‥‥」
「そんなに威力が違うの?」
「‥‥‥当たりどころが良くても仕留めるのに二、三発は必要です。そもそも一番堅い眉間の骨部分を貫くなど通常の我々の弓でも有り得ません」
なるほど、そういうものか。
キラキラと消滅して肉と皮と魔石がドロップした。これは大当たりだな。
「‥‥‥早速持って帰りましょう。肉と魔石はほぼ確実にドロップするのですが皮までドロップするのは少ない手数で仕留めたからでしょうね」
なるほどな、特に今回は眉間を一撃だし。
俺が竜の秘薬を使ってぶん殴ったら爆散しちゃうから皮も肉もほとんどドロップしないだろうからな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
隠れ里に帰還した。ミリアさんが興奮気味にボアを仕留めた様子をみんなに伝える。
「見事だ、ミリア。勇者様、宴をやり直してもよろしゅうございますか?」
「えー、別にやらなくてもいいんだけど‥‥‥」
と本音を溢したら、長老が目に見えてガッカリしてるものだから
「あー、是非! 是非そのボア肉を食べたいなぁ!!」
と言わざるを得なかった。
「アルよ、空気読んで欲しいものじゃの」
ソフィアにそう言われた。
いや、お前が言うな!!
「早速ご用意致します。狩りでお疲れでしょう、部屋でお寛ぎください。用意出来次第お迎えに上がりますので‥‥‥」
いや、狩場まで歩いて行っただけだし、疲れてないけどな。
また何か言うと面倒そうなのでやめといた。
案内される部屋に向かうとまた工房の前を通る。すると親方が待ち伏せしていた。
「聞いたぞ、勇者様! あの弓はすごい威力なんだってな? 強い弓は狩りの効率が良くなるし、周囲への抑止力にもなる。是非ワシに作らせてくれないか?」
「別に俺のものってわけでもないから、好きに作ればいいんじゃないか?」
合成スキルでたまたま出来ただけだからな。
親方は喜びながら奥に引っ込んで行った。
「‥‥‥爽やかな朝です。狩りにはうってつけですね」
「まだ日も昇ってないから朝じゃないじゃん、約束したとは言え早すぎません?」
「何事も経験ですよ、勇者様」
「その勇者様ってのはやめてくれない? 俺勇者じゃないんで」
「‥‥‥そんな!?」
「いや、なんで驚くのよ?」
すごい表情になった。エルフはどちらかというと表情固い人が多いのに。
「あんなにお強いのに‥‥‥?」
「いや、アレは時間限定だからね? ほんの少しの時間だけ強くな‥‥‥」
「しっ! ‥‥‥いました、ボアです」
前方から何か歩いている音がしてる。音で聞き分け出来るのか。
ミリアは静かにコンパウンドエルブンボウに矢をつがえ、そのまま構える。
左前方からボアが現れる。待ち構えていたミリアが矢を放った。
ボアに見事に命中した。
ボアの眉間に矢が深々と突き刺さっている。ボアはしばらくの間のたうち回った後、倒れた。
次の矢をつがえて構えていたミリアさんはやはり驚いていた。弓を戻して、矢を背中に担いでいる矢筒に戻した。
「‥‥‥驚きました。ここまでの威力とは‥‥‥」
「そんなに威力が違うの?」
「‥‥‥当たりどころが良くても仕留めるのに二、三発は必要です。そもそも一番堅い眉間の骨部分を貫くなど通常の我々の弓でも有り得ません」
なるほど、そういうものか。
キラキラと消滅して肉と皮と魔石がドロップした。これは大当たりだな。
「‥‥‥早速持って帰りましょう。肉と魔石はほぼ確実にドロップするのですが皮までドロップするのは少ない手数で仕留めたからでしょうね」
なるほどな、特に今回は眉間を一撃だし。
俺が竜の秘薬を使ってぶん殴ったら爆散しちゃうから皮も肉もほとんどドロップしないだろうからな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
隠れ里に帰還した。ミリアさんが興奮気味にボアを仕留めた様子をみんなに伝える。
「見事だ、ミリア。勇者様、宴をやり直してもよろしゅうございますか?」
「えー、別にやらなくてもいいんだけど‥‥‥」
と本音を溢したら、長老が目に見えてガッカリしてるものだから
「あー、是非! 是非そのボア肉を食べたいなぁ!!」
と言わざるを得なかった。
「アルよ、空気読んで欲しいものじゃの」
ソフィアにそう言われた。
いや、お前が言うな!!
「早速ご用意致します。狩りでお疲れでしょう、部屋でお寛ぎください。用意出来次第お迎えに上がりますので‥‥‥」
いや、狩場まで歩いて行っただけだし、疲れてないけどな。
また何か言うと面倒そうなのでやめといた。
案内される部屋に向かうとまた工房の前を通る。すると親方が待ち伏せしていた。
「聞いたぞ、勇者様! あの弓はすごい威力なんだってな? 強い弓は狩りの効率が良くなるし、周囲への抑止力にもなる。是非ワシに作らせてくれないか?」
「別に俺のものってわけでもないから、好きに作ればいいんじゃないか?」
合成スキルでたまたま出来ただけだからな。
親方は喜びながら奥に引っ込んで行った。
111
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる