アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯

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飛竜の里編

コンパウンドエルブンボウ

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 翌朝早くにミリアさんに起こされボア狩りに付き合わされた。森の中を二人で歩いている。
「‥‥‥爽やかな朝です。狩りにはうってつけですね」
「まだ日も昇ってないから朝じゃないじゃん、約束したとは言え早すぎません?」

「何事も経験ですよ、勇者様」
「その勇者様ってのはやめてくれない? 俺勇者じゃないんで」

「‥‥‥そんな!?」
「いや、なんで驚くのよ?」
 すごい表情になった。エルフはどちらかというと表情固い人が多いのに。

「あんなにお強いのに‥‥‥?」
「いや、アレは時間限定だからね? ほんの少しの時間だけ強くな‥‥‥」
「しっ! ‥‥‥いました、ボアです」

 前方から何か歩いている音がしてる。音で聞き分け出来るのか。
 ミリアは静かにコンパウンドエルブンボウに矢をつがえ、そのまま構える。

 左前方からボアが現れる。待ち構えていたミリアが矢を放った。

 ボアに見事に命中した。
 ボアの眉間に矢が深々と突き刺さっている。ボアはしばらくの間のたうち回った後、倒れた。

 次の矢をつがえて構えていたミリアさんはやはり驚いていた。弓を戻して、矢を背中に担いでいる矢筒に戻した。

「‥‥‥驚きました。ここまでの威力とは‥‥‥」
「そんなに威力が違うの?」

「‥‥‥当たりどころが良くても仕留めるのに二、三発は必要です。そもそも一番堅い眉間の骨部分を貫くなど通常の我々の弓でも有り得ません」
 なるほど、そういうものか。

 キラキラと消滅して肉と皮と魔石がドロップした。これは大当たりだな。

「‥‥‥早速持って帰りましょう。肉と魔石はほぼ確実にドロップするのですが皮までドロップするのは少ない手数で仕留めたからでしょうね」

 なるほどな、特に今回は眉間を一撃だし。
 俺が竜の秘薬を使ってぶん殴ったら爆散しちゃうから皮も肉もほとんどドロップしないだろうからな。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 隠れ里に帰還した。ミリアさんが興奮気味にボアを仕留めた様子をみんなに伝える。
「見事だ、ミリア。勇者様、宴をやり直してもよろしゅうございますか?」

「えー、別にやらなくてもいいんだけど‥‥‥」
と本音を溢したら、長老が目に見えてガッカリしてるものだから
「あー、是非! 是非そのボア肉を食べたいなぁ!!」
 と言わざるを得なかった。

「アルよ、空気読んで欲しいものじゃの」
 ソフィアにそう言われた。
 いや、お前が言うな!!

「早速ご用意致します。狩りでお疲れでしょう、部屋でお寛ぎください。用意出来次第お迎えに上がりますので‥‥‥」
 いや、狩場まで歩いて行っただけだし、疲れてないけどな。
 また何か言うと面倒そうなのでやめといた。


 案内される部屋に向かうとまた工房の前を通る。すると親方が待ち伏せしていた。

「聞いたぞ、勇者様! あの弓はすごい威力なんだってな? 強い弓は狩りの効率が良くなるし、周囲への抑止力にもなる。是非ワシに作らせてくれないか?」
「別に俺のものってわけでもないから、好きに作ればいいんじゃないか?」

 合成スキルでたまたま出来ただけだからな。
 親方は喜びながら奥に引っ込んで行った。
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