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新居編
片付け問題
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「それではみなさん、今後ともよろしくです」
ムーはスーッと消えていった。
「ど、ど、どうしよう‥‥‥、アル」
怯えた子犬のような表情のルーナに腕を掴まれる。力加減が出来ていないらしく正直言って痛い。
「どうしようって何が? あと腕が痛いから手を離してくれ」
「ア、アタイ片付けとか出来ないんだよぅ。ムーの奴、怒らせたら怖そうだし‥‥‥」
「‥‥‥我もじゃ。永らく長であったので自分で片付けるという事自体をやった覚えがなくての‥‥‥。あの家精霊には戦っても勝てなそうじゃし‥‥‥」
ソフィアも同じく賛同した。ソフィアの強さをもってしても家精霊の住まう敷地内では敵わないらしい。
「ルーナが片付け出来ないってのは本当ですよ」
「ある種の病気に近いのかと思うっす」
アリウスとジャックからまさかの援護発言。
「片付けが出来ないなど甘えではのないですか? アル様の妻であるワタクシはその辺は完璧ですわ」
ミリアが二人を嗜める。
「そういやおめーがアルの妻だなんて誰が決めたんだ!? アルと出会ったのはアタイの方が先だからな?」
「そんな事は関係ないですわ。そもそもアナタはアル様と出会ったその時に剣を向けたそうですわね?」
酔った時にルーナが話していた事をミリアは覚えていたようだ。
「そ、それとコレとは話が別だ! それを言うならおめーだって弓矢を構えて実際に撃ったそうじゃねーか!」
「そ、それはエルフ族の里の決まりで‥‥‥! 今は心から愛していますもの」
ぎゃーぎゃーうるさい。
そこでソフィアがすっと立ち上がった。
さすがは元飛竜の里の長、二人を仲裁してくれるのだろう。
「これこれ、お主たち少し落ち着け」
いいぞ、ソフィア。
「間をとって我がアルの嫁になると言うのはどうじゃろか?」
うぉい! お前まで混じるな!
「ソフィア様は黙っててくださいまし」
「年寄りはすっこんでろよ」
「あぁん!? お主ら我に喧嘩売ってるのか? 買ってやろうではないか!!」
買うな!
ジャックとアリウスは我関せずという表情だ。もう俺が止めるしかない。
「わーったからやめろ。お前らみんな論点がズレてるぞ。部屋の片付けをどうするかの話だったはずだろ?」
女三人はそうだったという表情。
「そ、そうでしたわね。片付け出来ないのは物が多すぎるからですわ、お二人とも」
エルフのミリアは確かに荷物が少なかった。
ん? あれ? 違うな。
ミリアは空間魔法を使えるじゃないか。
「ミリアよ、お主は空間魔法を使って物をしまい込んでいるだけではないのかの?」
ミリアの体がビクついた。図星だったらしい。
「ったく、偉そうな事言って自分は魔法を使ってしまいこんでるだけなんじゃねーかよ」
「ぐぬぬ‥‥‥」
自分から言ってきた事なのにルーナに論破されて悔しそうなミリア。
「ミリア、みんなの私物も空間収納にしまってやれば?」
「アル様、パーティの共通のアイテムなら構いませんが個人の私物は預かれませんわ。そういうトラブルが以前あったそうなので‥‥‥」
なるほど、そういうものなのか。
うーん、ならばどうしようか?
ムーはスーッと消えていった。
「ど、ど、どうしよう‥‥‥、アル」
怯えた子犬のような表情のルーナに腕を掴まれる。力加減が出来ていないらしく正直言って痛い。
「どうしようって何が? あと腕が痛いから手を離してくれ」
「ア、アタイ片付けとか出来ないんだよぅ。ムーの奴、怒らせたら怖そうだし‥‥‥」
「‥‥‥我もじゃ。永らく長であったので自分で片付けるという事自体をやった覚えがなくての‥‥‥。あの家精霊には戦っても勝てなそうじゃし‥‥‥」
ソフィアも同じく賛同した。ソフィアの強さをもってしても家精霊の住まう敷地内では敵わないらしい。
「ルーナが片付け出来ないってのは本当ですよ」
「ある種の病気に近いのかと思うっす」
アリウスとジャックからまさかの援護発言。
「片付けが出来ないなど甘えではのないですか? アル様の妻であるワタクシはその辺は完璧ですわ」
ミリアが二人を嗜める。
「そういやおめーがアルの妻だなんて誰が決めたんだ!? アルと出会ったのはアタイの方が先だからな?」
「そんな事は関係ないですわ。そもそもアナタはアル様と出会ったその時に剣を向けたそうですわね?」
酔った時にルーナが話していた事をミリアは覚えていたようだ。
「そ、それとコレとは話が別だ! それを言うならおめーだって弓矢を構えて実際に撃ったそうじゃねーか!」
「そ、それはエルフ族の里の決まりで‥‥‥! 今は心から愛していますもの」
ぎゃーぎゃーうるさい。
そこでソフィアがすっと立ち上がった。
さすがは元飛竜の里の長、二人を仲裁してくれるのだろう。
「これこれ、お主たち少し落ち着け」
いいぞ、ソフィア。
「間をとって我がアルの嫁になると言うのはどうじゃろか?」
うぉい! お前まで混じるな!
「ソフィア様は黙っててくださいまし」
「年寄りはすっこんでろよ」
「あぁん!? お主ら我に喧嘩売ってるのか? 買ってやろうではないか!!」
買うな!
ジャックとアリウスは我関せずという表情だ。もう俺が止めるしかない。
「わーったからやめろ。お前らみんな論点がズレてるぞ。部屋の片付けをどうするかの話だったはずだろ?」
女三人はそうだったという表情。
「そ、そうでしたわね。片付け出来ないのは物が多すぎるからですわ、お二人とも」
エルフのミリアは確かに荷物が少なかった。
ん? あれ? 違うな。
ミリアは空間魔法を使えるじゃないか。
「ミリアよ、お主は空間魔法を使って物をしまい込んでいるだけではないのかの?」
ミリアの体がビクついた。図星だったらしい。
「ったく、偉そうな事言って自分は魔法を使ってしまいこんでるだけなんじゃねーかよ」
「ぐぬぬ‥‥‥」
自分から言ってきた事なのにルーナに論破されて悔しそうなミリア。
「ミリア、みんなの私物も空間収納にしまってやれば?」
「アル様、パーティの共通のアイテムなら構いませんが個人の私物は預かれませんわ。そういうトラブルが以前あったそうなので‥‥‥」
なるほど、そういうものなのか。
うーん、ならばどうしようか?
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