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王都学院 編
とんでもない新人
しおりを挟む俺はブライアン。王都ギルドのギルドマスターだ。長年冒険者をやっていたが年齢的に第一線はキツくなってきたので現役を引退し、推薦されて今の立場にいる。元はAランクだ。ギルド内の平和と秩序を守るのが俺の一番の仕事だ。
だからたまに勘違いしてやってくる奴らには正しい人生を送れるようになって欲しいから現実を見せてやる。根性のある奴は残るから鍛えてやるし、ない奴は別の人生を歩めば良い。ずっとそうやってきた。
今日やって来た奴は変わってた。痛い目に遭わないように勧めた鑑定検査を断って模擬戦を希望してきた。見てくれから魔術師だろう、こんな細腕じゃ杖は持てても剣は振れない。
訓練所で少し説教したら聞き飽きたって顔してやがる。さてと少年に現実を見せてやるか。
ナタリーに号令を掛けさせる。腕を下げ剣を体の横に構える。警戒区域での構えだ、これで生き残ってきたんだ。
「はじめ!」
パン‼︎
⁉︎
あ…ありのまま今起こった事を話す。俺はナタリーが号令を掛けたと思ったら、いつのまにか木剣が砕けていた。何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか不意打ちだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。
「おい、今何をした?」
「水魔法で攻撃しました」
「木剣の先が砕け散ったんだが」
「そういう威力なので」
「木剣を狙ったのか?」
「じゃないとケガじゃ済まないので」
ーーーーネロ視点ーーーー
「「‥‥‥」」
二人とも沈黙だ。埒があかないので俺が聞く。
「‥で、どうしたら良いですか?」
「合格だ、ナタリー、手続きを進めてくれ」
「わかりました」
「すまん、俺は少し休む」
どうやら合格のようだ、良かった。
「それと‥‥‥コイツには下手に手を出さないように冒険者全員に言っておけ」
「わかりました」
カウンターに戻り手続きを進める。
「では問題なく冒険者証の発行をしまーす。このカードに血を一滴お願いしまーす。ありがとうございまーす。はい、コレが冒険者証になりまーす。無くさないでくださいね~」
語尾が伸びる独特の口調に戻ってる。カウンター仕様なのか?
「依頼は受けますか~?」
「ちょっと見てみますね」
掲示板に依頼内容が貼ってある。これを持ってくれば依頼受注、仕事をして依頼主にサインをもらえば依頼完了だ。討伐依頼は魔石を持ってくれば良い。
出来そうな依頼はこの辺か。
ドブさらい 5m 100C 200m
ゴブリン討伐 一匹50C 完了10匹
害虫駆除 マヌカ家 1000C
すぐ出来そうなのはドブとゴブだな。今は昼と夕方の間くらいだからどちらも出来そうだ。
「これとこれにします」
「はーい、依頼受注しました~。一人で大丈夫ですか~?」
「まぁボチボチやるんで」
「はーい、頑張ってくださーい」
ドブさらいは浄化ですぐ終わった。手を翳して200m歩いただけ。ゴブ狩りは森を歩いて反射的に撃つだけの簡単なお仕事でした。
「戻りました」
「おかえり~、忘れ物~?」
「いえ、終わりました」
「⁉︎」
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(追記2018.07.02)
お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。
どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。
(追記2018.07.24)
お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。
今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。
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(追記2018.07.26)
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