御伽の国

素うどん

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翔(しょう)の国編

第1話 青樹翔の国

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「おめでとうございます、ユズハ様。これで、2人の王子を救う事が出来ましたね!」
「でも、私何もしてないし…」
「いえ。そんな事はありません。姫様のおかげで、皆さんは勇気を得たのです!」
「そうかな…」
「では、姫様がどのような力を使えるか試してみますか?」
「え?試せるの?」
「はい。一応練習場はあります。」
「試してみたいっ!」
「分かりました、ではこちらです」
「うん!」

黒羽の後をついて行くと、教会に似ている部屋に着いた。
「ステンドグラスが綺麗…」
うっとりと眺めていると、黒羽は忘れ物に気付いたらしく慌てていた。
「すみません、姫様。忘れ物をしたので、少しここで待っていて下さい。」
「あ、うん!」
「すぐ戻ります!」
走って黒羽は教会の部屋から出て行った。

ユズハがキョロキョロと辺りを見回して歩いていると、ドアが開いた。
「ユズハ?」
「あ、翔…なの?」
「うん。ここに来るなんて珍しいね。王子2人助けたって事かな」
「え…、何で分かるの?」
「水晶占いで見た。ユズハがここに来る事は見えなかったけど。」
「水晶占い?皆それぞれ凄い力持ってるんだね!」
「うん。」
「他には、どんな力があるの?」
「何も。」
フイッと視線を逸らし、スタスタと机の近くに行った。
「翔?」
「何?」
「いつもここに来てるの?」
「うん。ここは、憩いの場所だから」
「ねぇ、翔の国の事教えてくれる?」
「何で?」
「救いたいの。」
「ふーん」
翔は興味が無いと言うように流し、机のすぐ前に座り跪き祈った。
「…」
余りにも儚く、消えてしまいそうな雰囲気が漂っていた。
「お祈り終わったから、じゃあね」
「え!?」
「まだ何か?」
「いや…」
「無いなら帰るね。」

最初に会った時とは、全然雰囲気が違う王子たちに戸惑いを隠せなかった。
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