御伽の国

珠樹(じゅき)の国編

第1話 黄瀬良珠樹の国

珠樹の国は、戦争が多発している国で女王も居ない。
何故なら、王は息子が産まれると女王を捨て後継者だけを育てるからだ。
珠樹はこの制度に反対する気も、下剋上を起こす気も全く無い。
ただ、戦争を止めさせ平和な国作りを望んでいる。

「順番こなければ良いのに…」
女王連れて来ました、お父上なんて言ったら殺されるに違いない。
寧ろ後継者を産んで捨てろなんて言われそうだ。
王は大の女嫌いで、女は後継者を産む為に生きているしか言わない。
母上との婚約話も聞かないし、産まれてもう1回も母上に会った事は無い。
「どうしようか」
女を連れて行く事は、自分にも相手にも被害が加わる。
戦争を速やかに終わらせ、かつ桜川に被害がいかない方法を考えなければ。
珠樹は、自室を後にし図書館へ向かった。


「そ、そうだよね…」
衝撃的な言葉を受け止め、飲み込んだ。
「はい。それも、王様が女嫌いらしくて、女を連れて来た男を滅したとか」
「ひぃぃぃ！！」
そんな怖いところで、ユズハは一体何が出来るのだろうと考えた。
「どうしましょう」
黒羽は、本を閉じ答えた。
「わ、私の力で何とか出来ないの？」
「出来ません。姫様の力は、国を安定させる為の力なのですから。」
「うぅ」
「ですから…。」
サッとサラシとピンを持ってきた。
「何々なに！？」
「男装しましょう」
「だ、だ、男装！？」
「はい。男装なら、ある程度バレないかと。」
「だけどさ。バレたら黄瀬良さんに迷惑かけちゃう…」
「大丈夫です。戦争を止めに行くだけですので、城には泊まらせません」
「そうなの？良かったっ」
「ですから、男装して言葉遣いや声などを練習しましょう？」
「はい…」
何処の国より厳しく指導される事は、もう既に分かっていた。

「お、わったぁ！！」
机に突っ伏すると、ため息がでた。
「疲れたー」
「お疲れ様です。」
黒羽も隣に座った。
「うんー」
「これで、今日の分は終わりです。」