異世界に転生したはずなのに、こうなるんですね

第1章

どうやら歓迎されてはいないようです。⑤

「よし！」

と、鏡の前で意気込んで見る。
とりあえず着てみたけれど、ドレスに着られてる感じがすごい…。

そして何より、これ合ってるの？

鏡の前で何度もおかしなところがないか確認する。

「失礼します。」

と言い、入ってきたのは朝とは違うメイドさんだった。メイドさんは私を見ると、すぐに顔を顰めた。

何か変なところがあったのだろうかと思い、

「あ、あの……」

勇気を出して声をかけてみた。

「ご案内します。」

しかし、その声は彼女には届かなかったようで、すぐにまた出て行ってしまった。

急いで追いかけるが、もうすでに廊下の角を曲がるところだった。

「は、はやいよ……。」

メイドさんって歩くのはやいんだなぁ。
いつも置いていかれてしまう。

そんなことをのんきに考えながら、角を曲がる。

けれど、やっぱりさっきのメイドさんの姿はなく、かわりに部屋の中から話し声や笑い声が聞こえてきた。

そっとその部屋の中を覗くと、朝のメイドさんと知らないメイドさん3人がお掃除をしている最中だった。