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黒猫と共に迷い込む
スタンピード
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それからは順調に進んだ。
いや、一度、お馴染み盗賊さんが現われた。
あと1日程で街に着くと言う所の森のカーブの所で、道を塞ぐように3人の男達がニヤニヤとしながら立っていた。
「あれは…!」
ハリムさんが目を見張った。
「盗賊であるな」
シロガネも歩を緩めた。
前を塞いでいる。ということは、まあ、後ろ、横にも待機してるんだろうな。
「ふむ。妾に任せてくりゃれ」
馬車を止めさせると、クレナイが降りて前に出た。
ハヤテも降りてきて、後ろを警戒している。
馬よりも前にクレナイが出て、男達をギロリと睨みつけた。
途端に、男達が白目になり、泡を吹き、失禁して、痙攣を起こして、バタバタと倒れ込んだ。
「・・・・・・」
皆言葉もない。
「軽く威圧しただけなのじゃがな。骨のない奴らじゃ」
ドラゴンに威圧されたら誰もがブルッちゃうでしょう。
余波を受けたのか、ハリムさんとカリムさんの顔が青くなってるよ。
で、どうすんの、あれ。
街に連れて行けば報償金も貰えるんだろうけど。
「臭そう…」
ボソリと呟いてしまう。
いや、だって、濡れてますよ。股間が。
あんなのと一緒に歩いて行かなきゃならないの?
「しかし、ここに置いて行くわけには…」
この辺りには灰色狼がいるらしく、下手に置いといたら食べられてしまうかもしれないと。
別に良いんじゃないかなと思ってしまった。だってねえ。悪者だしねえ。
え?だめ?人道的にどうだって?
だってさ、この人達、さんざん人の持ち物強奪して、多分女性なんかは、陵辱して人買いに売り払ったりしてるんだよ?
被害に遭った人達の心情を思えば、狼に食わせてしまったほうが良いのではないかと思うけど。
まあ、色々白状させなきゃいけないということで、縛り上げて連れて行こうという話しになりました。
まず、シロガネに水の玉を用意してもらい、それを全体にぶっかけてもらう。簡単に洗うのだ。風邪を引く?どうぞお引きになって下さい。
次にリンちゃんに縛り上げてもらって、いつもよりちょっと長めにしてもらう。
それを馬車の後方に巻き付け、馬車に合わせて走ってもらう。
その後ろからハヤテが、足を止めると容赦なく突っついてくるという仕組み。
後ろや横で待機していた勢力は、クレナイの力の余波でも受けたのか、出てこなかった。
仲間を捨てたね。
泣き言を言う盗賊達を思い切り無視して、あまりにうるさい時にはクレナイにちょっと睨んでもらって、やっとこさコーヒーの街が見えてきた。
あれ、なんかいやに門の所に人が多いような…。
街に近づくと、門の衛兵さんらしき人が駆け寄ってきた。
「ここは危ない! 早く街の中へ!」
何かあったのかしら?
「どうされました?」
ハリムさんが衛兵さんに尋ねる。
「スタンピードが確認されたのです。この街にもあと数十分で辿り着くでしょう。今は街の門を固めている最中です」
スタンピード?それってば、魔物暴走ですか?!
とにかく急いで街の中へ。盗賊達も衛兵さんに預ける。報償金はまた後でだ。
挨拶もそこそこに、ギルドへと急ぐ。
途中でこっそり、シロガネとハヤテに人化してもらう。宿屋に預けてる暇がなさそうなので。
またギルドの前に置き去りにして、人にたかられたら嫌だからね。追い払うのも大変なのよ。
ギルドに着くと、思ったより閑散としていた。
皆スタンピードで出払っているのだろう。
「すいません。これ、依頼票です。あと、スタンピードについての依頼をここで聞けと言われてきたのですけど」
茶色い髪のフワリとした感じの、やはり巨乳美女の受付のお姉さんに尋ねる。
「あ、はい。冒険者の方ですか。スタンピードの依頼出ています。料金はほとんどありませんが、点数が少し多めに付きます」
まあしょうがないね。
それくらいの恩恵はないとね。
護衛の依頼を片付けてもらって、何処へ行けば良いのかと尋ねる。
「あなたは、ご職業は…、従魔師、ですか?」
従魔師と言って良いのか分からないけど、他に特にこれと言った職業もないので、従魔師にしておこう。
「そうです」
「ペガサス? グリフォン? 妖精? ドラゴン?」
私の冒険者証を見て、受付のお姉さんが首を傾げている。
まあ珍しい従魔ではあると思う。
私の頭の上を見て、冒険者証を見て、妖精は納得したようだ。ペガサスとグリフォンは、今人化して私の後ろに控えてます。とも言えない。
「ええと、妖精がいるということは、癒やしの魔法を使えるということでしょうか?」
「はい。使えます」
リンちゃんはそのスペシャリストです。
「では、西の教会へ行って頂けますか? そこは怪我人の収容所になっておりますので。あと、ペガサス?とかは、前に出られますか?」
戦えるかなという意味だろうな。
「はい。大丈夫です」
後ろを見ると、クレナイ達がうんうんと頷いている。やる気満々のようです。
「では、その従魔達は西の門へ回して頂けますか? その後はそこにいる責任者に指示をもらってください」
ドラゴンは信じてないのかな?
ドラゴンが門の所に行ったら大騒ぎにならないかい?
とりあえず時間もないので、道を聞いて西の教会とやらに急ぐ。
「八重子、お主は教会でリンと共に怪我人の手当をしていろ。魔物達のことはハヤテ達に任せろ」
腕の中からクロが声を掛けてきた。
「確かに。主殿はリンとクロ殿と共に教会で待っておれ。妾達が食い止めようぞ」
「うむ。我らがいれば大丈夫であるぞ」
「だいじょうぶなのー」
クレナイとシロガネに手を繋がれたハヤテも声を上げる。
というか、この光景、親子にしか見えないんだが。似てない親子だね。
「分かった。皆、気をつけてね。特にハヤテ、無理しちゃダメだよ」
まだ子供だから、引き際が分からないんじゃないかと思う。
「うん。むりしないー」
あどけない笑顔が可愛い…。
頭をナデナデナデ。
おっと、時間がない。
人目のない所へ行き、人化を解く。クレナイはまだ人化したまま。シロガネの背に乗って、街の外に出てから元の姿に戻ると。うん、ここで大きくなったら家屋を破壊してしまうものね。
「気をつけてね!」
「吉報をまっておれ」
声を掛けると、クレナイがシロガネの背に乗って手を振り、3人?は西の門に向かって飛んで行った。
私は教会だ。
シロガネに預けていた荷物を背負い、ヨタヨタと歩き出す。
大分荷物が多くなってきたな…。
「仕方がないの」
お、ちょっと軽くなりましたよ。
クロがちょっと力を貸してくれているようです。ありがたや。
いや、一度、お馴染み盗賊さんが現われた。
あと1日程で街に着くと言う所の森のカーブの所で、道を塞ぐように3人の男達がニヤニヤとしながら立っていた。
「あれは…!」
ハリムさんが目を見張った。
「盗賊であるな」
シロガネも歩を緩めた。
前を塞いでいる。ということは、まあ、後ろ、横にも待機してるんだろうな。
「ふむ。妾に任せてくりゃれ」
馬車を止めさせると、クレナイが降りて前に出た。
ハヤテも降りてきて、後ろを警戒している。
馬よりも前にクレナイが出て、男達をギロリと睨みつけた。
途端に、男達が白目になり、泡を吹き、失禁して、痙攣を起こして、バタバタと倒れ込んだ。
「・・・・・・」
皆言葉もない。
「軽く威圧しただけなのじゃがな。骨のない奴らじゃ」
ドラゴンに威圧されたら誰もがブルッちゃうでしょう。
余波を受けたのか、ハリムさんとカリムさんの顔が青くなってるよ。
で、どうすんの、あれ。
街に連れて行けば報償金も貰えるんだろうけど。
「臭そう…」
ボソリと呟いてしまう。
いや、だって、濡れてますよ。股間が。
あんなのと一緒に歩いて行かなきゃならないの?
「しかし、ここに置いて行くわけには…」
この辺りには灰色狼がいるらしく、下手に置いといたら食べられてしまうかもしれないと。
別に良いんじゃないかなと思ってしまった。だってねえ。悪者だしねえ。
え?だめ?人道的にどうだって?
だってさ、この人達、さんざん人の持ち物強奪して、多分女性なんかは、陵辱して人買いに売り払ったりしてるんだよ?
被害に遭った人達の心情を思えば、狼に食わせてしまったほうが良いのではないかと思うけど。
まあ、色々白状させなきゃいけないということで、縛り上げて連れて行こうという話しになりました。
まず、シロガネに水の玉を用意してもらい、それを全体にぶっかけてもらう。簡単に洗うのだ。風邪を引く?どうぞお引きになって下さい。
次にリンちゃんに縛り上げてもらって、いつもよりちょっと長めにしてもらう。
それを馬車の後方に巻き付け、馬車に合わせて走ってもらう。
その後ろからハヤテが、足を止めると容赦なく突っついてくるという仕組み。
後ろや横で待機していた勢力は、クレナイの力の余波でも受けたのか、出てこなかった。
仲間を捨てたね。
泣き言を言う盗賊達を思い切り無視して、あまりにうるさい時にはクレナイにちょっと睨んでもらって、やっとこさコーヒーの街が見えてきた。
あれ、なんかいやに門の所に人が多いような…。
街に近づくと、門の衛兵さんらしき人が駆け寄ってきた。
「ここは危ない! 早く街の中へ!」
何かあったのかしら?
「どうされました?」
ハリムさんが衛兵さんに尋ねる。
「スタンピードが確認されたのです。この街にもあと数十分で辿り着くでしょう。今は街の門を固めている最中です」
スタンピード?それってば、魔物暴走ですか?!
とにかく急いで街の中へ。盗賊達も衛兵さんに預ける。報償金はまた後でだ。
挨拶もそこそこに、ギルドへと急ぐ。
途中でこっそり、シロガネとハヤテに人化してもらう。宿屋に預けてる暇がなさそうなので。
またギルドの前に置き去りにして、人にたかられたら嫌だからね。追い払うのも大変なのよ。
ギルドに着くと、思ったより閑散としていた。
皆スタンピードで出払っているのだろう。
「すいません。これ、依頼票です。あと、スタンピードについての依頼をここで聞けと言われてきたのですけど」
茶色い髪のフワリとした感じの、やはり巨乳美女の受付のお姉さんに尋ねる。
「あ、はい。冒険者の方ですか。スタンピードの依頼出ています。料金はほとんどありませんが、点数が少し多めに付きます」
まあしょうがないね。
それくらいの恩恵はないとね。
護衛の依頼を片付けてもらって、何処へ行けば良いのかと尋ねる。
「あなたは、ご職業は…、従魔師、ですか?」
従魔師と言って良いのか分からないけど、他に特にこれと言った職業もないので、従魔師にしておこう。
「そうです」
「ペガサス? グリフォン? 妖精? ドラゴン?」
私の冒険者証を見て、受付のお姉さんが首を傾げている。
まあ珍しい従魔ではあると思う。
私の頭の上を見て、冒険者証を見て、妖精は納得したようだ。ペガサスとグリフォンは、今人化して私の後ろに控えてます。とも言えない。
「ええと、妖精がいるということは、癒やしの魔法を使えるということでしょうか?」
「はい。使えます」
リンちゃんはそのスペシャリストです。
「では、西の教会へ行って頂けますか? そこは怪我人の収容所になっておりますので。あと、ペガサス?とかは、前に出られますか?」
戦えるかなという意味だろうな。
「はい。大丈夫です」
後ろを見ると、クレナイ達がうんうんと頷いている。やる気満々のようです。
「では、その従魔達は西の門へ回して頂けますか? その後はそこにいる責任者に指示をもらってください」
ドラゴンは信じてないのかな?
ドラゴンが門の所に行ったら大騒ぎにならないかい?
とりあえず時間もないので、道を聞いて西の教会とやらに急ぐ。
「八重子、お主は教会でリンと共に怪我人の手当をしていろ。魔物達のことはハヤテ達に任せろ」
腕の中からクロが声を掛けてきた。
「確かに。主殿はリンとクロ殿と共に教会で待っておれ。妾達が食い止めようぞ」
「うむ。我らがいれば大丈夫であるぞ」
「だいじょうぶなのー」
クレナイとシロガネに手を繋がれたハヤテも声を上げる。
というか、この光景、親子にしか見えないんだが。似てない親子だね。
「分かった。皆、気をつけてね。特にハヤテ、無理しちゃダメだよ」
まだ子供だから、引き際が分からないんじゃないかと思う。
「うん。むりしないー」
あどけない笑顔が可愛い…。
頭をナデナデナデ。
おっと、時間がない。
人目のない所へ行き、人化を解く。クレナイはまだ人化したまま。シロガネの背に乗って、街の外に出てから元の姿に戻ると。うん、ここで大きくなったら家屋を破壊してしまうものね。
「気をつけてね!」
「吉報をまっておれ」
声を掛けると、クレナイがシロガネの背に乗って手を振り、3人?は西の門に向かって飛んで行った。
私は教会だ。
シロガネに預けていた荷物を背負い、ヨタヨタと歩き出す。
大分荷物が多くなってきたな…。
「仕方がないの」
お、ちょっと軽くなりましたよ。
クロがちょっと力を貸してくれているようです。ありがたや。
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