キーナの魔法

小笠原慎二

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奴の名はサーガ

スターシャ

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気がついた頃にはすでに剣をふるって遊んでいた。
戦い、勝ち取ることが当たり前のことだった。
戦場に出られるようになるのが、一人前の証だった。
男の子達は早く戦場に出たいと夢を見る。
そして敵と戦って、殺して、戦利品を持ち帰る。
それが当たり前のことだった。



「初陣の奴はなあ、一人づつ連れて行かれるんだ。何故か分かるか?」

キーナがフルフルと頭を振る。

「俺も、初陣出るまでは分からなかったよ…」



「いいか、サーガ。戦は遊びじゃねえ。舐めたら死ぬぞ」

育ての親のクラウダーがサーガに言って聞かせる。

「うん!」

サーガの顔は紅潮していた。

(やった! 初めての戦だ! これで俺も一人前だ!)

浮かれていた。
分かっていなかったのだ。
戦というものが、殺し合いなのだということを。
人を殺すということが、どういうことなのかを…。



あちらこちらで人が斬って斬られて、死んでゆく。
入り乱れる人、人、人。
とにかく目の前にある敵を斬る事しか考えない。
だが敵だっておとなしく斬られてくれるわけではない。
一人の男がサーガに斬りかかった。
受けるサーガ。
だが子供の力では返すこともできず、じりじりと押されていく。

(だめだ…、やられる…!)

始めて死の恐怖というものを感じた。
逃れられない恐怖。
しかし、

ズバ!

「ぐあ!」

男を後ろから斬り割く者があった。
クラウダーだった。
男の温かい血がサーガの顔に飛んだ。

「止めをさせ、サーガ」

「う…」

男はまだ生きていた。
必死にもがいて逃げようとしている。

(とどめ…?)

サーガの心に迷いが生まれる。
目の前で人が死にかけている。
自分は人を殺さなければならない。
死にかけているのに?
殺さねばならないのに?

「殺れ!!」

クラウダーが叫んだ。
その言葉にビクッとなる。
サーガは剣を構えた。
手が震える。
そして、一気に剣を振り下ろした。



その日、
戦の意味と、
人の命の重みを知った…。



血まみれになって呆然となったまま、サーガが村に帰って来た。
村中のみんなは温かく祝福してくれた。
これで一人前になったと。
そして、一人の女の子が近づいてきた。

「優しくしてやってくれ」

クラウダーが言った。

「はい」

目を向けると、黒い真っ直ぐな髪の、少し大人びた感じの少女が目の前にいた。
スターシャだった。



その夜は、震えが止まらなかった。



「初陣に出たその夜に、一人前になった証として女をあてがわれるのかと思ってた。もちろんその意味もあるんだろうが…、違うんだ」

少し言葉を切る。

「寝れねえんだよ…、独りじゃ…」



人を殺した感触。
生暖かい血の感触。
戦場の音。
鉄を連想させる血の匂い。
すべてが抜けきらず、忘れ去ることができない。
罪悪感なのか、嫌悪感なのか、いろいろな感情に押しつぶされそうになる。
恐くて…
恐くて…
震えながらスターシャを抱いて寝た。
温かく柔らかな存在が、凍える心を温めてくれているようで。
いつの間にか震えも収まり、眠っていた。
何故この世界に女がいるのか。
その夜、初めてわかった気がした。



「その日からスターシャを抱いて寝るようになった。最初の頃はただ抱いて寝るだけだった。あの頃は純朴で何すりゃいいのか分からなかったからな。そのうち慣れてきて、戦から帰って来たらって、習慣がついちまったが」

(ん? 何かするの?)

お祝いごとかなにかかしら?
キーナにはまだ分からない。
サーガちゃん、何気に大人だったのね…。



男たちが戦に出ている間、女達は身を売って稼いでいた。
長い戦いになれば何日も帰ってこないこともざらだったからだ。
その間の生活費を稼ぐためにも、女達は体を売るしかなかった。
もちろん、スターシャもだ。
それが当たり前で、女は寝るために必要なもの。
サーガの中ではそれが常識になっていた。
執着なんて、ましてや愛なんて、感じていないと思っていた。
だから、スターシャがああ言った時も…。

「へ?」

「あたしがあんたを愛してるって言っても、あんたは信じないんでしょうね」

「なんだよ? 突然」

「なんでもないわ」

いつもの情事の後、スターシャが口にしたのだった。

「愛だのなんだの言ってられっかよ。俺は明日死ぬかもしれないのに…」

死と隣合わせの男。
複数の男に抱かれる女。
愛なんて語ったところで、嘘臭くしか聞こえない。



「そう思うだろ?」

サーガが肩をすくめた。
キーナは黙って聞いていた。
というより、半分位理解できていないっぽい顔をしている。
だろうな。



そして事件は起きた。
男達が一戦終えて帰って来た時…。

「大変だ!」

先に帰り着いていた一団の一人が駆けてきた。

「村が襲われて、女達が攫われた!」

男達のいない時を見計らって、盗賊が村を襲ったのだ。
サーガ達が村に急いで駆けつけると、変わり果てた村の姿があった。
小屋は潰され、女達は攫われ、力のない者達の変わり果てた姿が転がっていた…。

「やられたか…」

クラウダーがつぶやいた。
サーガが自分の小屋へ急いだ。
しかし、そこも周りと同じく壊され、スターシャの姿はなかった。

「スターシャ…」



「それから盗賊団を追って、方々探しまわって、やっと見つけて盗賊たちを倒したけど、…スターシャは、死んでた」



サーガ
もう少し早ければ…
ずっと…
ずっとスターシャは…
待ってたのに…
もう少し早ければ…
スターシャは…
あんたの…




温かいものが手に触れる。
ギクッとなって、気づくとキーナの手だった。

「大丈夫?」

暗い顔をしたまま固まってしまったサーガを心配したのだった。

「ごめんね。無理に聞いちゃって」

ニブチンキーナも思うところがあったらしい。

「あ、ああ…」

珍しく真面目に話してしまった自分に、サーガも少し戸惑っていた。

「別に。構わねぇよ。もう昔のことだ…」

昔の…。
そう言った顔も、少し悲しみに曇っていた。
昔と言ったってそんなに大昔のことでもない。
吹っ切るにはまだまだ時間が必要だろう。
そんな憂いを振り払うかのようにサーガは伸びをした。

「さて! 飯でも食いに行くか!」

と大欠伸。ところが、

「もう? 早いんじゃない?」

「あ?」

いつもなら目覚めた途端に飯飯と騒ぎ立てる奴が…?

「まだ夜明け前だよ」

‥‥‥‥‥‥。

言われて外を見ると、真っ暗。
この部屋からでは月は見えないらしい…。ではなく。

「なんで起きてんだよ!」

「寝言がうるさかったからじゃん!」

ひと騒動。
まあまだ時間も有り余るほどにあるし、ということで、再び就寝した二人。
キーナはすぐさま寝息を立て始めた。
サーガは…、思い出していた。
あの時のことを。

あの日、あの時、女達を見つけ、その奥でひっそりと横たえられた見慣れた人影。
薄汚れてはいたが白い布を顔に被せられ、身動き一つしない。

死んでいる。

一目で分かってしまった。
もう彼女は、二度と起き上がることもない。
抱きしめることも、キスをすることも、話すこともできない。
少し控えめに微笑むあの笑顔も、二度と見ることはないのだ。
分かってしまった。
分かりすぎるほどに。
戦場で幾多の死を目にしていたせいか。
それとも、遠目にもわかるほどに、生気を感じさせない肌の色のせいか。
呆然となるサーガに、女達は言った。

スターシャは最後の最後まで、サーガを待っていたと。
つい昨日までは生きていたのに、もう少し早ければ死に目に会えたかもしれないと。
そして、スターシャと仲の良かったレイシャという女が言った。

「スターシャはあんたの子を孕んでたのよ」

「俺の…子?」

初めて知った。
スターシャが妊娠していたなど。

「スターシャはここ半年程あんた以外の男には抱かれてないわよ。あたしが保証するわ」

「なん…で…?」

「スターシャはあんたのために生きたいって言ってたわ」

スターシャの言葉が思い出された。



あたしがあんたを愛してるって言っても、あんたは信じないんでしょうね



「愛を証明するんだなんてバカなことを言って、村にいる限り体を売らなきゃ生きていくのも大変だっていうのに、ぱったり男を取るのもやめて、細々と頑張ってたのよ。攫われて来てからも頑なに拒んで、そのせいで奴らにひどい扱いを受けてね…。それで流産しちゃって…。頑張ってはいたけど、体も心もボロボロになってね…」

レイシャの目から涙がこぼれる。

「スターシャからあんたに遺言。『あんたはあんたの幸せを見つけて…』」



俺の…幸せ…
暗闇で目を凝らしても、暗闇しか見えない。
未だに…見つかってない…
身じろぐこともできず、なぜか思い出してしまう。
あの頃のこと。



『あんたはあんたの幸せを見つけて…』



スターシャが最後に自分に残した言葉。
サーガは決意する。

「サーガ、本当にこのまま行くのか?」

クラウダーが後ろから声をかける。

「ああ」

盗賊達を全滅させ、女達を助け出し、村へ帰ろうとしていたところで、サーガは旅立ちを決意した。
スターシャが最後に残した言葉の通り、自分の幸せを見つけるために。
それがなんなのかは分からないが。

「俺は俺の幸せを見つける。今まで世話になっときながら、こんなワガママ…すまない」

「いや…」

クラウダーの瞳に責める色などはない。

「いつでも帰ってこい」

「気が向いたらな」

そして、二人は背を向けて歩き始めた。
一人はみんなと村へ。
一人は、誰が待つとも分からない広い世界へ。






幸せ…、俺の、幸せ…

ただ一つ残された約束のために。

戦うこと
酒を飲むこと
女と寝ること
……?
俺の幸せって…
なんだ?

答えのない答えを探しに、サーガは旅立った。














「・・・・」

どこからか声が聞こえた。

「・・ーガ」

名前を呼ばれた気がして、サーガは目を開けた。

(白い…空間?)

上も下も右も左も、どこまでも白い白い、空間。
そのただ中にサーガは浮かんでいた。

「サーガ」

呼ばれて振り向くと、そこにいたのは、

「スターシャ?」

真っ直ぐな黒髪の、少し控えめに微笑む、スターシャがいた。
白いふわりとしたワンピースを着ている。

「スターシャ…」

ゆっくりとスターシャは近づいてくると、優しくサーガの唇に口づけをした。
サーガもスターシャを優しく抱きとめ、二人は長い間口づけを交わした。
そして、ゆっくりと唇が離れる。
余韻を味わうかのような密やかな時が流れる。
サーガが口を開いた。

「スターシャ…夢でもいい…、ずっと…、ずっと言いたかったことがある…」

スターシャの耳元に唇を近づけ、

「愛してる…」

押し殺したような、それでいて強い意志を持った一言を発した。

「今更言っても、どうしようもないのにな…」

サーガの悲しげな顔に、スターシャの瞳も悲しげな色を宿す。
スターシャが口を開いた。

「サーガ、私も、ずっと言いたかった」

サーガの頬に優しく手を添える。

「あんたに会えて、私は幸せだった。あんたを愛せて、私は幸せだった」

「スターシャ…」

サーガの胸がつまる。

「だから、あんたはあんたの幸せを見つけて」

そして、ゆっくりとスターシャの体が離れていく。

「あたしはもう、与えられないから…」

「スターシャ?」

離れまいとするサーガの腕の中から、するりとスターシャの体が抜けていってしまう。
追いかけようにも、何故か届かない。

「あんたの幸せを、見つけて…」

スターシャが左腕を真っ直ぐ横にあげた。
何かを指差しているようだった。

(何を…?)

白い空間には何もない。

「あたしは大丈夫よ。一人じゃないから」

「え?」

(一人じゃない?)

「どういう…」

ことかと言おうとして、サーガはそれに気づいた。
いつの間に現れたのか、スターシャの足元に、少しくすんだ黄色というより茶に近い髪の、やはり少しくすんだ黄色い色の瞳を持った男の子が、こちらの様子を伺うように、顔を覗かせていた。
その顔は、まるで…。

その男の子を、スターシャは愛おしげに抱き上げた。
スターシャに抱かれた男の子は、それは嬉しそうに、こちらを振り返った。
その顔は、幼い頃のサーガに瓜二つであった。

「その子は…」


















チュン、チュンチュン。
窓の外から小鳥達の声が聞こえてくる。
いつの間にか朝になっていた。

(…夢、か…)

強ばっていた手足を伸ばし、ゴロリと右を向く。

「不思議な夢だったな…」

幸せそうな微笑みを浮かべたスターシャの顔。
言葉。
そして、幻のような男の子。
確証はないが、あれは多分、生まれることのできなかったサーガの子。
いろいろなことをグルグルと思い出していると、余計に頭が冴えてきた。
薄目を開けると、未だに寝こけるキーナが見えた。
ふと思い出す。
スターシャは左手を指差していた。
その先にあるものは…?
サーガから見て右側にあるもの…。

……。

右側にあるものは、キーナ…。

……。

こいつ…か?

サーガの頭が真っ白になった。
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