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奴の名はサーガ
奴の名はサーガ
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ミドル王国の街を、疾風のごとく駆けていく影があった。
バビュンッ!
その姿を視線に捉えることも許さぬような勢いで、その影は走り続けた。
影の名はキーナ。
自分を置いて先に旅立ってしまったテル、ことテルディアスを追って、ミドル王国を駆け抜ける。
ただひたすらに、会いたい、と思いながら。
ミドル王国を出ると、東西南北に伸びる道がある。
その道はどれも例外なく、少し行くと森の中へと伸びていく。
広大な大地は深い森で覆われ、街道と呼ばれる道で、国々を、街をつないでいた。
街道には結界が張ってあり、妖魔は近づけにようになっていた。
つまり、街道を出てしまえば、妖魔には好きなだけ出会えるというわけで。
まあそんな物好き滅多にいないが。
北に伸びる街道の、森の始まる木の傍で、寝転ぶ一つの影。
でっけー大欠伸をして、目に涙を貯めて、
「ふぁ~~~、いいカモが通らねぇかなぁ…」
と呟く者があった。
その目の前を、
バビュンッ!
疾風のごとく駆け抜ける影があった。
ヒラッ………
葉っぱが一枚舞って、落ちた。
「なんだぁ?! 今のガキ?!」
かろうじて見えたらしい。
「こっから先ガキの一人歩きはやべえぞ!」
枕がわりに置いておいた剣を掴むと、駆け抜けていくキーナを追って走り始めた。
運命の歯車は動き出す。
「おい! 待てーーーーー!!!」
欠伸をこいていた男が、ひたすらに走り続けるキーナを追って走る。
なぜにこんなに足が速いのか。
男の走りも遅いわけではないのに、なかなかキーナに追いつけなかった。
「ま」
手を伸ばす。
「ち」
狙うは襟首。
「や」
指先が髪をかすめた。
「が」
襟首に指が触れた。
「れ」
指をひっかける。
「つってんだろがーーー!!」
よっとどっこいなんとか襟首を掴んでキーナを止めることに成功した。
「ピ―――――!!!」
突然に動きを制御され、キーナが悲鳴(?)を上げた。
ぜはぜはぜは
息を整えて。
「あんた誰。何の用」
キーナの瞳が疑わしげに、迷惑げに男を見つめる。
黄色い瞳に黄色い髪。これで黄色い服でも着てたらまっきっきやね、などと思うキーナ。
他に考えることないんかい。
ちなみに、水色に近い爽やかなシャツ、それに少し緑を足したようなズボンを履いていた。
そしてその上に、胸部、肩、腰の辺りの急所に軽装な鎧をつけている。
年はあまりキーナと変わらなそうな、少し上くらいか?
見た目では若く見えるが、こっちの世界でのそういう感覚って、どんな基準になってるのだろう? などと首をひねる。
「俺はサーガ。こっからガキの一人歩きは危険だ。俺が護衛してやる。はした金で」
つまり用心棒になってやるっつーことか。
「いらない。そんじゃ」
さっさか歩きだそうとするキーナ。
「ちょい待て!」
それを止めるサーガ。
「まじでやべぇんだって! こっから先はオールやグールやドールの大群がわんさかと出てくる道で・・・」
「大丈夫、僕強いから」
必死になって止めるサーガに、至極迷惑そうに答えるキーナ。
というか思い上がりすぎでないか?
貧弱なガキンチョにしか見えないキーナを本気で心配しているサーガ君。
「だ~か~ら~」
物分りの悪いガキだと頭を抱える。
なんと説明してもキーナにはわからんと思うが。
その時、キーナの後ろで、カサリと木の葉の擦れ合う音がした。
振り向くと、一体のドールが街道の向こうに姿を現していた。
ちなみにドールとは、地系の力を持つ妖魔。
グールは水系の力、オールは風系の妖魔となる。
妖魔もそれぞれに属性を持っているのである。
街道には普通は妖魔は近づけないのだが、街道の力が弱まっていたり、それなりの力を持った妖魔であれば、近づくことも街道に入ることも可能である。
そしてキーナの歩いている(走っている?)道は、街道の結界の力が弱まっているところであり、そこそこの力のある妖魔であれば容易に近づくことができるようになってしまっている道であった。
つまり、サーガ君の言う通り、大群が出やすい場所となっている。
そして、一体かと思ったドールであったが、
カサリ
カサリ
ガサリ…
見る間に数が増えていった。
いつの間にかすっかり囲まれてしまっている。
「にゃ、にゃ、にゃ…」
「だから言ったろう!」
サーガが剣をスラリと抜き放ち身構えた。
「ぼ、僕は強いもん!」
言うなり、手のひらに意識を集中する。
「炎球!」
ゴウ!
炎がドールたちを焼き尽くす。
「やた!」
どんなもんだいと喜ぶキーナ。
「後ろ!!」
「え?」
ズドッ!
いつの間にか忍び寄ってきていたドールを、サーガが一閃する。
「油断してんなよガキ」
「ガキじゃないもん!」
そんな押し問答をしながらも、増え続けるドールを二人は殲滅していった。
ぜいぜい
ふうふう
やっとこドール達の出てこなくなった街道で、二人は荒い呼吸を整えていた。
「多すぎ…」
「だから言ったろう」
精も根も尽き果てるとまではいかないが、さすがに疲れたキーナ。
この先も同じような状況が続くとしたら、さすがに一人ではやばいかもしれない。
う~んとしばらく考えて、妥協することにした。
「んでは…」
と一日の用心棒代について話し合われる。
といってもキーナがそんなこと知るわきゃない。
そんなこと知るわきゃないとサーガが知るわきゃない。
どうせガキだからとサービス料金を提示。
それでいいでしょうと知ったかぶりするキーナ。
他にもなんやかんやと話し合い、
「んじゃ、もろもろの経費入れて一日1リルね。期限はテルが見つかるまで」
実はお金の単位もまだ良く分かっていないキーナであったが、
「しゃーないからそれで手を打とう」
そんなこと知るわきゃないサーガはかなりお安い値段であったが受け入れることにした。
てなわけで話し合いも無事に終わったので、
「ほんじゃ急ごう」
とまたキーナは
どどどどどど
と全力で走り始めた。どこにそんな体力残ってんだ?
「ちょっとまてーーーー!!」
置いていかれたサーガがキーナの後を追って走り出す。
走れるだけ走って日が暮れて、や~まのお寺♪ はこの世界にはないので、鐘の音がなるはずもないわけで。
そんなことは置いといて、日が暮れたので二人は野宿をすることになった。
黒い球に羽の生えた、キーナに『キューちゃん』と名付けられた変な生き物が、キーナの横で羽を休めている。
二人は夕食をとっていた。
「ハ~ン」
疑わしげ~な目をして、お肉を丸めて簡単に焼いたものをほおばっているサーガ。
「うあ?! 信じれないにゃ?!」
こちらはもう少し上等そうなお肉の塊を少し焼いたものをほおばっているキーナ。
「たりめーだろ」
今までの事の次第をかいつまんでサーガに説明していたのである。
「異世界から来ただの、ダーディンにされただの、んな話あるわけねーだろ」
「本当のことだもん」
本当のことでも突拍子過ぎて普通の人には理解不能である。
「へいへい、ご主人様の仰せのままに~」
思ってもいないことを口にしやがられますと、
プチ
と切れる音がしたりなんかして。
「やっぱりあんたなんかいらないーーー!!!」
とそうなるのだな。
「途中解約は契約違反だぞう!!」
とりあえずの金づるのご機嫌を取らなければならないサーガだった。
「んじゃ火の番しっかりよろしく!」
とりあえず途中解約はなくなったらしい。
「へいへい、おこちゃまはさっさと寝な」
ブチッ
何か切れる音がしました。
次の瞬間には、頭にたんこぶを生やしているサーガがおりました。
これを自業自得といいます。
「おやすみっ!」
マントをしっかりとかけて、横になるキーナ。
少し木の葉を集めて下に敷いてはいるが、やはりゴツゴツする。
でも大丈夫。キーナはどこでも安らかに寝られるという特技があるのだ。
よかったね。
(テルがいればこんな変な奴と一緒にいなくてすむのに…)
なかなか寝付けない夜というものはある。
(テル…どこにいるの? 夢でもいいから会いたいよ…)
この日ばかりはキーナもなかなか…、なかなか…、寝付けないわけでもなかった。
意識はすぐに眠りの淵へと誘われた。
ほんとに寝付きのいい子だなぁ。
バビュンッ!
その姿を視線に捉えることも許さぬような勢いで、その影は走り続けた。
影の名はキーナ。
自分を置いて先に旅立ってしまったテル、ことテルディアスを追って、ミドル王国を駆け抜ける。
ただひたすらに、会いたい、と思いながら。
ミドル王国を出ると、東西南北に伸びる道がある。
その道はどれも例外なく、少し行くと森の中へと伸びていく。
広大な大地は深い森で覆われ、街道と呼ばれる道で、国々を、街をつないでいた。
街道には結界が張ってあり、妖魔は近づけにようになっていた。
つまり、街道を出てしまえば、妖魔には好きなだけ出会えるというわけで。
まあそんな物好き滅多にいないが。
北に伸びる街道の、森の始まる木の傍で、寝転ぶ一つの影。
でっけー大欠伸をして、目に涙を貯めて、
「ふぁ~~~、いいカモが通らねぇかなぁ…」
と呟く者があった。
その目の前を、
バビュンッ!
疾風のごとく駆け抜ける影があった。
ヒラッ………
葉っぱが一枚舞って、落ちた。
「なんだぁ?! 今のガキ?!」
かろうじて見えたらしい。
「こっから先ガキの一人歩きはやべえぞ!」
枕がわりに置いておいた剣を掴むと、駆け抜けていくキーナを追って走り始めた。
運命の歯車は動き出す。
「おい! 待てーーーーー!!!」
欠伸をこいていた男が、ひたすらに走り続けるキーナを追って走る。
なぜにこんなに足が速いのか。
男の走りも遅いわけではないのに、なかなかキーナに追いつけなかった。
「ま」
手を伸ばす。
「ち」
狙うは襟首。
「や」
指先が髪をかすめた。
「が」
襟首に指が触れた。
「れ」
指をひっかける。
「つってんだろがーーー!!」
よっとどっこいなんとか襟首を掴んでキーナを止めることに成功した。
「ピ―――――!!!」
突然に動きを制御され、キーナが悲鳴(?)を上げた。
ぜはぜはぜは
息を整えて。
「あんた誰。何の用」
キーナの瞳が疑わしげに、迷惑げに男を見つめる。
黄色い瞳に黄色い髪。これで黄色い服でも着てたらまっきっきやね、などと思うキーナ。
他に考えることないんかい。
ちなみに、水色に近い爽やかなシャツ、それに少し緑を足したようなズボンを履いていた。
そしてその上に、胸部、肩、腰の辺りの急所に軽装な鎧をつけている。
年はあまりキーナと変わらなそうな、少し上くらいか?
見た目では若く見えるが、こっちの世界でのそういう感覚って、どんな基準になってるのだろう? などと首をひねる。
「俺はサーガ。こっからガキの一人歩きは危険だ。俺が護衛してやる。はした金で」
つまり用心棒になってやるっつーことか。
「いらない。そんじゃ」
さっさか歩きだそうとするキーナ。
「ちょい待て!」
それを止めるサーガ。
「まじでやべぇんだって! こっから先はオールやグールやドールの大群がわんさかと出てくる道で・・・」
「大丈夫、僕強いから」
必死になって止めるサーガに、至極迷惑そうに答えるキーナ。
というか思い上がりすぎでないか?
貧弱なガキンチョにしか見えないキーナを本気で心配しているサーガ君。
「だ~か~ら~」
物分りの悪いガキだと頭を抱える。
なんと説明してもキーナにはわからんと思うが。
その時、キーナの後ろで、カサリと木の葉の擦れ合う音がした。
振り向くと、一体のドールが街道の向こうに姿を現していた。
ちなみにドールとは、地系の力を持つ妖魔。
グールは水系の力、オールは風系の妖魔となる。
妖魔もそれぞれに属性を持っているのである。
街道には普通は妖魔は近づけないのだが、街道の力が弱まっていたり、それなりの力を持った妖魔であれば、近づくことも街道に入ることも可能である。
そしてキーナの歩いている(走っている?)道は、街道の結界の力が弱まっているところであり、そこそこの力のある妖魔であれば容易に近づくことができるようになってしまっている道であった。
つまり、サーガ君の言う通り、大群が出やすい場所となっている。
そして、一体かと思ったドールであったが、
カサリ
カサリ
ガサリ…
見る間に数が増えていった。
いつの間にかすっかり囲まれてしまっている。
「にゃ、にゃ、にゃ…」
「だから言ったろう!」
サーガが剣をスラリと抜き放ち身構えた。
「ぼ、僕は強いもん!」
言うなり、手のひらに意識を集中する。
「炎球!」
ゴウ!
炎がドールたちを焼き尽くす。
「やた!」
どんなもんだいと喜ぶキーナ。
「後ろ!!」
「え?」
ズドッ!
いつの間にか忍び寄ってきていたドールを、サーガが一閃する。
「油断してんなよガキ」
「ガキじゃないもん!」
そんな押し問答をしながらも、増え続けるドールを二人は殲滅していった。
ぜいぜい
ふうふう
やっとこドール達の出てこなくなった街道で、二人は荒い呼吸を整えていた。
「多すぎ…」
「だから言ったろう」
精も根も尽き果てるとまではいかないが、さすがに疲れたキーナ。
この先も同じような状況が続くとしたら、さすがに一人ではやばいかもしれない。
う~んとしばらく考えて、妥協することにした。
「んでは…」
と一日の用心棒代について話し合われる。
といってもキーナがそんなこと知るわきゃない。
そんなこと知るわきゃないとサーガが知るわきゃない。
どうせガキだからとサービス料金を提示。
それでいいでしょうと知ったかぶりするキーナ。
他にもなんやかんやと話し合い、
「んじゃ、もろもろの経費入れて一日1リルね。期限はテルが見つかるまで」
実はお金の単位もまだ良く分かっていないキーナであったが、
「しゃーないからそれで手を打とう」
そんなこと知るわきゃないサーガはかなりお安い値段であったが受け入れることにした。
てなわけで話し合いも無事に終わったので、
「ほんじゃ急ごう」
とまたキーナは
どどどどどど
と全力で走り始めた。どこにそんな体力残ってんだ?
「ちょっとまてーーーー!!」
置いていかれたサーガがキーナの後を追って走り出す。
走れるだけ走って日が暮れて、や~まのお寺♪ はこの世界にはないので、鐘の音がなるはずもないわけで。
そんなことは置いといて、日が暮れたので二人は野宿をすることになった。
黒い球に羽の生えた、キーナに『キューちゃん』と名付けられた変な生き物が、キーナの横で羽を休めている。
二人は夕食をとっていた。
「ハ~ン」
疑わしげ~な目をして、お肉を丸めて簡単に焼いたものをほおばっているサーガ。
「うあ?! 信じれないにゃ?!」
こちらはもう少し上等そうなお肉の塊を少し焼いたものをほおばっているキーナ。
「たりめーだろ」
今までの事の次第をかいつまんでサーガに説明していたのである。
「異世界から来ただの、ダーディンにされただの、んな話あるわけねーだろ」
「本当のことだもん」
本当のことでも突拍子過ぎて普通の人には理解不能である。
「へいへい、ご主人様の仰せのままに~」
思ってもいないことを口にしやがられますと、
プチ
と切れる音がしたりなんかして。
「やっぱりあんたなんかいらないーーー!!!」
とそうなるのだな。
「途中解約は契約違反だぞう!!」
とりあえずの金づるのご機嫌を取らなければならないサーガだった。
「んじゃ火の番しっかりよろしく!」
とりあえず途中解約はなくなったらしい。
「へいへい、おこちゃまはさっさと寝な」
ブチッ
何か切れる音がしました。
次の瞬間には、頭にたんこぶを生やしているサーガがおりました。
これを自業自得といいます。
「おやすみっ!」
マントをしっかりとかけて、横になるキーナ。
少し木の葉を集めて下に敷いてはいるが、やはりゴツゴツする。
でも大丈夫。キーナはどこでも安らかに寝られるという特技があるのだ。
よかったね。
(テルがいればこんな変な奴と一緒にいなくてすむのに…)
なかなか寝付けない夜というものはある。
(テル…どこにいるの? 夢でもいいから会いたいよ…)
この日ばかりはキーナもなかなか…、なかなか…、寝付けないわけでもなかった。
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ほんとに寝付きのいい子だなぁ。
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