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港町編
捜索
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「く…」
テルディアスが体を捻り、人の波からズボッと抜け出す。
「ふう…」
思わず溜息が漏れる。
やっとこさ路地に辿り着くことができたのだ。
目の前には相も変わらず人の波、というか壁。
よくぞこんな中を、もがきながらも、かいくぐって来れたものだ。
そんな感傷は置いといて、右の耳の双子石に意識を集中させた。
キュリ~ン
と石特有の高音が聞こえてくる。
その音が指し示すは、人の壁とまさに反対方向。
「ったく! あいつはどこまで…!」
世話をかけさせるんだ!と心の中で呟いて、テルディアスは音の方向へと全速力で走り出した。
「キーナちゃん!」
人の波が少し薄れた辺りで、メリンダが声を大にして叫んでいる。
「キーナちゃーん!!」
答える声はない。
まだ残る人影も、急いで街の外を目指している。
「だめだ、この辺りに気配はねぇな…」
風の力で辺りを探していたサーガが呟く。
キーナが消えたと覚しき辺りから、門までの道の周りを探してみたが、その気配は全くない。
ついでにテルディアスの気配も見当たらないことから、テルディアスはキーナを追っていると考えられる。
それが唯一の救いではあるが…。
「どこに行ったのかしら?」
「さあな。うまく街の外に行ってりゃいいが…」
人の波に乗って、上手い具合に門の外へ吐き出されていればいいが、なんとなくそうは思えない。
そうであるならば、テルディアスから何かしらの合図があってもいいはずである。
「きゃーーー!!」
女性の甲高い悲鳴が響き渡った。
二人が声の方へ振り向くと、厳い男に頭を押さえられ、道端に伏している女性が見えた。
男はサーベルのような剣を手にしている。
「なかなかの上玉だな。もったいねぇが仕方ねぇ」
「いやあ!!」
女性は男の手から逃れようと暴れるが、男はものともせず、ニヤリと笑う。
「死ね!」
男の腕が上がり、剣が振り上げられた。
「え…?」
男の顔が、一瞬ポカンとなる。
そして、振り上げた右手を見ると、肘から先が消え、血が噴き出していた。
「ぎゃああああ!!!」
「もうこんな所まで来てやがるのか」
その側で、サーガが剣を鞘に収めていた。
(いつの間に?!)
メリンダが今まで隣にいたはずの男に目を凝らす。
ダッシュして間に合うという距離ではないはずだが?
そこはさすが風というべきか?
悲鳴を上げ続ける男を無視し、女性がサーガに軽く頭を下げ、去って行く。
メリンダはサーガに駆け寄った。
「ちょ、サーガ…」
いつの間にこんな離れた所へ来たのだ、と問おうとしたが、何故かサーガが怖い顔をしている。
「姐さん」
「何?」
「頼まれてくれ」
サーガが道の先を睨んでいる。
「捜索範囲を港町全域に伸ばしてみる。だから、その間、こいつらの相手してやってくれるか?」
先程の厳い男と似た服装をした男が三人、こちらにのそりと歩いて来ていた。
見かけで名付けるなら、デブと痩せと猫背か。
いずれも、女性には絶対にもてないだろう外観をしている。
メリンダの目も険しくなった。
「分かったわ。だから早く、キーナちゃんを見つけてよ」
「合点承知!」
サーガが目を閉じた。
サーガを中心に、風が広がっていく。
こんな広い街を本当に探せるのか、疑問ではあるが、そこはサーガを信頼するしかない。
「なんだぁ? 姉ちゃんが俺達の相手してくれるって~?」
「こりゃ楽しめそうだな」
うへへと男達が下品に笑う。
メリンダが腰の鞭を出し、ピシリと地面を叩いた。
「そうね。存分に、楽しめそうね」
メリンダが妖艶な微笑みを浮かべた。
「まずはお色気たっぷりに腰を振って貰おうか!!」
男達が剣を振り上げ、メリンダに迫る。
メリンダの鞭がしなる。
ビシビシっと、鞭が男達の目を打ち据えた。
「が?!」
「な…、目が…」
「うああ! 目が…くそっ!」
視界を奪われ、たたらを踏む男達。
そこに鞭が飛び、男達を一纏めに捕らえてしまう。
「な…!」
「しまった…!」
「女を舐めると、火傷するわよ」
言うが早いか、鞭に捕らわれた男達は、炎に包まれた。
きゃーーー!!
どこかから悲鳴が聞こえてくる。
ビクッとなるキーナ。
「なんか…、悲鳴が…」
どこから聞こえて来ているのかは分からないが、悲鳴が聞こえるというのがとても怖い。
思わず止めていた足に力を込め、先に進み出す。
「と、とにかく、あの大通りに戻って、テル達と合流しなきゃ!」
やっとテルディアス達と合流しなければと、考えるようになっていたが、すでに、道に迷いまくっていた。
風のように走るテルディアス。
キーナの気配は相変わらず、ちょこまか動いているようだ。
脇道から男が一人、出て来た。
「まだ生き残りがいたか!」
そう言って剣を振り上げる。
「邪魔だ」
一言残し、テルディアスはスピードを落とす事なく、その男の脇を通り過ぎた。
テルディアスが通り過ぎた後で、その男は力なく地面に突っ伏した。
(キーナ…!)
テルディアスの頭には、キーナの事しかない。
男達が炎に捲かれている。
「ぎゃああああ!!」
「熱いいいいい!!」
「助けてくれえええ!!」
男達の苦しそうな悲鳴が響き渡る。
その悲鳴に顔をしかめるメリンダ。
と、男達を取り巻いていた炎が、一瞬のうちに消え去った。
鞭の縛りも解け、男達が地面に膝をつく。
「ふん。これに懲りたら、もうこんなことはやめるのね」
そう言いながら、鞭を畳むメリンダ。
「た、助けてくれんのか?!」
痩せが顔を上げた。
「さ、早く消えなさい」
メリンダがしっしと手を払う。
男がニヤリと笑った。
「それは…、甘え話だ!!」
剣を振り上げ、メリンダに迫った。
てっきり逃げるものと思っていたメリンダは、反応が遅れる。
男の剣が振り下ろされ…る前に、メリンダの前に飛び込んで来る人影。
「まったくだ」
黄色い髪のその男は、痩せを袈裟懸けに切りつけ、絶命させた。
「だから実践慣れしてない奴は、足手まといなんだっつーんだ」
前を睨んだまま、サーガが呟いた。
倒れた男を見ながら、デブがサーガを睨み付ける。
「くそ…! この、チビッ!」
「チビ?」
チビという単語にサーガがピクリと反応する。
「誰がチビだ――――!!」
「ギャ――――!!」
ズバッと一閃。デブの男も絶命させた。
(あ~、一応気にしてるんだ…)
テルディアスとの言い合いの祭にも、チビだのミドリ野郎だの言い合っているのは聞いている。
メリンダはちなみに、言った事はない。
メリンダからすれば、些細な事でもあるし、自分がでかい事も分かっているので。
サーガがメリンダの方を振り返り、
「トドメはちゃんと刺さねーと…」
などと説明を始めた途端、残った猫背がサーガに襲い来る。
分かっていたのか、サーガはそれを油断なく受け止め、払う。
そして、脳天から男を切りつけた。
「返り討ちにあうだろ」
猫背も地面に横たわった。
いつものらりくらりとしている男の、いつもと違う一面を見て、少し恐ろしさを感じるメリンダ。
「ま、だとは思ったけどな」
「え?」
その呟きはどういう意味だ?
「んじゃ、周りを警戒しててくれ。まだ探し途中なんだ」
メリンダに何も言わせず、また風を繰り、捜索にかかり出すサーガ。
そんなサーガを見て、メリンダは思う。
(たしか、四大精霊の中で、一番残酷な気性を持つのが…、風)
メリンダの周りにも、風が舞っていた。
テルディアスが体を捻り、人の波からズボッと抜け出す。
「ふう…」
思わず溜息が漏れる。
やっとこさ路地に辿り着くことができたのだ。
目の前には相も変わらず人の波、というか壁。
よくぞこんな中を、もがきながらも、かいくぐって来れたものだ。
そんな感傷は置いといて、右の耳の双子石に意識を集中させた。
キュリ~ン
と石特有の高音が聞こえてくる。
その音が指し示すは、人の壁とまさに反対方向。
「ったく! あいつはどこまで…!」
世話をかけさせるんだ!と心の中で呟いて、テルディアスは音の方向へと全速力で走り出した。
「キーナちゃん!」
人の波が少し薄れた辺りで、メリンダが声を大にして叫んでいる。
「キーナちゃーん!!」
答える声はない。
まだ残る人影も、急いで街の外を目指している。
「だめだ、この辺りに気配はねぇな…」
風の力で辺りを探していたサーガが呟く。
キーナが消えたと覚しき辺りから、門までの道の周りを探してみたが、その気配は全くない。
ついでにテルディアスの気配も見当たらないことから、テルディアスはキーナを追っていると考えられる。
それが唯一の救いではあるが…。
「どこに行ったのかしら?」
「さあな。うまく街の外に行ってりゃいいが…」
人の波に乗って、上手い具合に門の外へ吐き出されていればいいが、なんとなくそうは思えない。
そうであるならば、テルディアスから何かしらの合図があってもいいはずである。
「きゃーーー!!」
女性の甲高い悲鳴が響き渡った。
二人が声の方へ振り向くと、厳い男に頭を押さえられ、道端に伏している女性が見えた。
男はサーベルのような剣を手にしている。
「なかなかの上玉だな。もったいねぇが仕方ねぇ」
「いやあ!!」
女性は男の手から逃れようと暴れるが、男はものともせず、ニヤリと笑う。
「死ね!」
男の腕が上がり、剣が振り上げられた。
「え…?」
男の顔が、一瞬ポカンとなる。
そして、振り上げた右手を見ると、肘から先が消え、血が噴き出していた。
「ぎゃああああ!!!」
「もうこんな所まで来てやがるのか」
その側で、サーガが剣を鞘に収めていた。
(いつの間に?!)
メリンダが今まで隣にいたはずの男に目を凝らす。
ダッシュして間に合うという距離ではないはずだが?
そこはさすが風というべきか?
悲鳴を上げ続ける男を無視し、女性がサーガに軽く頭を下げ、去って行く。
メリンダはサーガに駆け寄った。
「ちょ、サーガ…」
いつの間にこんな離れた所へ来たのだ、と問おうとしたが、何故かサーガが怖い顔をしている。
「姐さん」
「何?」
「頼まれてくれ」
サーガが道の先を睨んでいる。
「捜索範囲を港町全域に伸ばしてみる。だから、その間、こいつらの相手してやってくれるか?」
先程の厳い男と似た服装をした男が三人、こちらにのそりと歩いて来ていた。
見かけで名付けるなら、デブと痩せと猫背か。
いずれも、女性には絶対にもてないだろう外観をしている。
メリンダの目も険しくなった。
「分かったわ。だから早く、キーナちゃんを見つけてよ」
「合点承知!」
サーガが目を閉じた。
サーガを中心に、風が広がっていく。
こんな広い街を本当に探せるのか、疑問ではあるが、そこはサーガを信頼するしかない。
「なんだぁ? 姉ちゃんが俺達の相手してくれるって~?」
「こりゃ楽しめそうだな」
うへへと男達が下品に笑う。
メリンダが腰の鞭を出し、ピシリと地面を叩いた。
「そうね。存分に、楽しめそうね」
メリンダが妖艶な微笑みを浮かべた。
「まずはお色気たっぷりに腰を振って貰おうか!!」
男達が剣を振り上げ、メリンダに迫る。
メリンダの鞭がしなる。
ビシビシっと、鞭が男達の目を打ち据えた。
「が?!」
「な…、目が…」
「うああ! 目が…くそっ!」
視界を奪われ、たたらを踏む男達。
そこに鞭が飛び、男達を一纏めに捕らえてしまう。
「な…!」
「しまった…!」
「女を舐めると、火傷するわよ」
言うが早いか、鞭に捕らわれた男達は、炎に包まれた。
きゃーーー!!
どこかから悲鳴が聞こえてくる。
ビクッとなるキーナ。
「なんか…、悲鳴が…」
どこから聞こえて来ているのかは分からないが、悲鳴が聞こえるというのがとても怖い。
思わず止めていた足に力を込め、先に進み出す。
「と、とにかく、あの大通りに戻って、テル達と合流しなきゃ!」
やっとテルディアス達と合流しなければと、考えるようになっていたが、すでに、道に迷いまくっていた。
風のように走るテルディアス。
キーナの気配は相変わらず、ちょこまか動いているようだ。
脇道から男が一人、出て来た。
「まだ生き残りがいたか!」
そう言って剣を振り上げる。
「邪魔だ」
一言残し、テルディアスはスピードを落とす事なく、その男の脇を通り過ぎた。
テルディアスが通り過ぎた後で、その男は力なく地面に突っ伏した。
(キーナ…!)
テルディアスの頭には、キーナの事しかない。
男達が炎に捲かれている。
「ぎゃああああ!!」
「熱いいいいい!!」
「助けてくれえええ!!」
男達の苦しそうな悲鳴が響き渡る。
その悲鳴に顔をしかめるメリンダ。
と、男達を取り巻いていた炎が、一瞬のうちに消え去った。
鞭の縛りも解け、男達が地面に膝をつく。
「ふん。これに懲りたら、もうこんなことはやめるのね」
そう言いながら、鞭を畳むメリンダ。
「た、助けてくれんのか?!」
痩せが顔を上げた。
「さ、早く消えなさい」
メリンダがしっしと手を払う。
男がニヤリと笑った。
「それは…、甘え話だ!!」
剣を振り上げ、メリンダに迫った。
てっきり逃げるものと思っていたメリンダは、反応が遅れる。
男の剣が振り下ろされ…る前に、メリンダの前に飛び込んで来る人影。
「まったくだ」
黄色い髪のその男は、痩せを袈裟懸けに切りつけ、絶命させた。
「だから実践慣れしてない奴は、足手まといなんだっつーんだ」
前を睨んだまま、サーガが呟いた。
倒れた男を見ながら、デブがサーガを睨み付ける。
「くそ…! この、チビッ!」
「チビ?」
チビという単語にサーガがピクリと反応する。
「誰がチビだ――――!!」
「ギャ――――!!」
ズバッと一閃。デブの男も絶命させた。
(あ~、一応気にしてるんだ…)
テルディアスとの言い合いの祭にも、チビだのミドリ野郎だの言い合っているのは聞いている。
メリンダはちなみに、言った事はない。
メリンダからすれば、些細な事でもあるし、自分がでかい事も分かっているので。
サーガがメリンダの方を振り返り、
「トドメはちゃんと刺さねーと…」
などと説明を始めた途端、残った猫背がサーガに襲い来る。
分かっていたのか、サーガはそれを油断なく受け止め、払う。
そして、脳天から男を切りつけた。
「返り討ちにあうだろ」
猫背も地面に横たわった。
いつものらりくらりとしている男の、いつもと違う一面を見て、少し恐ろしさを感じるメリンダ。
「ま、だとは思ったけどな」
「え?」
その呟きはどういう意味だ?
「んじゃ、周りを警戒しててくれ。まだ探し途中なんだ」
メリンダに何も言わせず、また風を繰り、捜索にかかり出すサーガ。
そんなサーガを見て、メリンダは思う。
(たしか、四大精霊の中で、一番残酷な気性を持つのが…、風)
メリンダの周りにも、風が舞っていた。
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