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男娼の館編
次に会う時は
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「で、何故ワシに連絡を?」
椅子にだらしなく座り、足を組みながら、赤い服を着た見事な髭を蓄えたその人物、レオナルド・ラオシャスが声を上げる。
「あれ? あなたが関わった事があるらしいと聞きましたので、報告も兼ねてお知らせしておこうかと」
皿の上で仄かに灯る炎から声がする。
そう見せかけて、実際はちょっと違うのであるけれど。
これは高度な通信魔法であり、目印となる物に向け、声を飛ばすというものである。
なので、若干タイムラグがあったりする。
「自治は既にお前らに任せてある。お前らで判断するが良い」
「はい」
皿の上の炎が小さく揺れる。
「取り急ぎ受け入れの支度をして、明日にでも迎えを派遣致しましょう」
「ああ、頼んだ」
「ラオシャス様はお変わりなくお元気ですか?」
ちょっと控えめに、炎が揺れる。
その炎を見つめながら、レオは少し目を細めた。
「ワシは、変わらんよ」
少し寂しげに、そう答えた。
「…そうですか」
心なしか、炎が小さくなったかに見えた。
「たまにはお顔を見せに来て下さいな」
元気づけるように、炎が揺らめく。
「ああ。近々行こうとは思ってるんだ…」
レオが顎をさすり、考えながら答えた。
すると、炎がボッと大きくなり、慌てたように猛り出す。
「本当ですか?! では、国を上げて歓迎の準備を…」
「やめてくれ!!!」
その後、猛る炎を、レオは一生懸命宥めるはめになった。
なんとか落ち着いてもらい、通信を終えたレオ。
溜息を吐きながら窓際に立ち、外を眺める。
「嬢ちゃんとテルディアスは、何やら派手な旅をしているようだのう」
口元にカップを付けようとしてふと気付く。
「ん? おっと、付けたままだったか」
そういうと徐に、ベリッと口元の髭を取ってしまった。
その付け髭をテーブルにポンと置く。
髭を外したその顔は、端正な顔立ちの青年であった。
赤茶の髪を後ろで一つに纏め、赤い服を着ているその人物。
実は巷で“遊び人のレオちゃん”と有名だったりするのだが。
彼は大いに謎に包まれた人物としても有名であった。
窓際に立ち、空を見上げる。
「目立つなと言っても、まあ無理なんだろうな」
その空の下にいる二人の事を思いながら、茶を啜る。
そして、遠い昔出会ったあの女性をふと思い出す。
「彼女でさえ、もう少し大人しかったぞ…?」
見上げた空は、既に赤みがかっていた。
朝の光が差し始める。
陽に照らされ、大地が次第に暖かくなっていく。
人々が活動をし始め、街にも活気が湧いてくる。
地面に寝転んでいた少年達も、ポツポツと眼を覚まし始めていた。
その時、空から5つの影が降りてきた。
5つの影は、少し集団から離れた空き地に降り立ち、既に眼を覚ましていたサーガとテルディアスに向かって頭を下げた。
「朝早くから失礼致します。私達はレオサークから参りました。迎えの使者にございます」
「早~な」
「ん~?」
サーガの足を枕にしていたメリンダも目覚めて体を起こす。
「むにゃ?」
テルディアスの足を枕にしていたキーナも目覚める。
サーガが5人に近づき、
「俺が風文を出したサーガだ」
と自己紹介。
「どうも。はじめまして」
代表らしき男が頭を下げる。
「それで、あの…」
となにやらモジモジとしながらサーガに問いかける。
「テルディアス様というのは、どちらの方でしょうか?」
「あ? あのフードの奴だが…?」
と親指でくいっと指さすと、何故か5人は猛ダッシュ。
「あなたが?!」
「テルディアス様ですか?!」
「ホホウ!」
とテルディアスに群がった。
テルディアスにひっついていたキーナが、その異様さに少し後退る。
するとそれを目敏く見つけた5人が、
「こちらはもしや、キーナ様?!」
(様?!)
と今度はキーナに群がった。
「ホウ! こちらが!」
「キーナ様!」
「ホホホウ!」
ますますキーナはテルディアスの影に隠れようとする。テルディアスもキーナを庇うように5人の前に立つ。
まあ、見るだけで何かしようとするわけではなかったのだが、じろじろ見られるというのも気味が悪い。
と、今度はメリンダを見つけた一人が、
「あ、あなた様がメリンダ様?!」
と叫ぶ。
「そ、そうだけど…」
メリンダが身構えるが、今度は何故か遠巻きにメリンダを眺める5人。
そして、女性二人はなにやらヒソヒソと話し合い、一人は頷き、一人は何やら思いを馳せ、一人はボンヤリとメリンダを見つめた。
なんなんだこいつら…?
テルディアスもキーナもメリンダも、得体の知れない5人の行動に、頭を捻る。
それで満足したのか、5人が静々とサーガの元へ戻る。
「失礼致しました。ちょっと諸事情で…」
と頭を下げる。
(俺だけ何もなし?!)
不気味であるけれど、何もないのもちょっとムカつくサーガであった。
「さっそく詳細についてご説明を…」
変な人達ではあったが、少年達をここに置いておくわけにも行かない。
サーガは説明を始めた。
メリンダがコソコソとテルディアスとキーナに近づき、小さな声で話し出す。
「なんなの? こいつら」
「悪い人達ではなさそうだけど…」
キーナから見ても、行動はおかしいが、おかしな気配は見当たらないので、信用できると思うのではあるが…。
何故かチラチラと、説明を受けてる男以外の人達が、こちらを見てくる。
それはもうチラチラとチラチラとチラチラと…。
((なんかすんごいチラ見されてるー!!))
よく分からない不気味さを、サーガが説明している間、三人はずっと感じていた。
地面に大きな魔法陣を描く作業が終わる。
その真ん中に、サーガがかっぱらってきた戦利品を置き、その周囲に少年達を集め始める。
「キーナ」
「タクト」
少年達の整理を手伝っていたキーナの元に、タクトがやって来た。
「元気でね! 頑張ってね!」
笑顔で対応するキーナ。
「ありがとう。君のおかげで僕達、自由になれて…。それと、その…」
タクトが言い淀み、視線を下に落とす。
「?」
キーナ以外の三人は、その雰囲気を敏感に察した。
でも一応素知らぬふりで、少年達の整理を続ける。
「あ、いや…、その、こんな僕がおこがましいとは…、ゴニョゴニョ…」
「?」
何か言い淀むタクト。分かっていないキーナ。横目でそれを見守る三人。
「何? どったの?」
空気を読まず、素直に疑問を口にするキーナ。
少しは察してやれ。
「いや、その…」
モゴモゴしていたタクトが、意を決したようにキーナに視線を向ける。
「その…、次に…、次に会う時には、立派な男になってるから!」
力を込めて言い切った。
顔が真っ赤になっている。
キョトンとした顔のキーナ。
少しは分かったのだろうか。
「その…、その時には…」
頑張って言葉を綴っていたタクトの前に、キーナがすっと手を差し出した。
「うん、また、会おうね」
そしてにっこりと笑った。
その笑顔を言い意味合いで取ったタクトが、嬉しそうにキーナの手を握り返した。
またいずれ。
そして二人は手を放した。
それを横目で窺っていた三人は、小さく溜息を零した。
(多分理解…)
(してねーな。ありゃ)
メリンダとサーガが目を合わせ、お互いに苦笑いした。
5人が唱和し始める。
「世界を巡る大いなる風よ 我らに集いて力を成せ」
風が魔法陣に集まり、その形を整えていく。
大きな風の結界が張られ、準備は整った。
「それでは失礼致します」
代表の男がキーナ達に頭を下げた。
「うん。皆をよろしく」
キーナが手を振って返す。
結界が浮き上がり、少年達が運ばれていく。
「サヨーナラー!」
タクトがキーナに向かって手を振り続けた。
「サヨーナラー! またねー!」
キーナも手を振り続けた。
結界はどんどん小さくなって、あっという間に見えなくなってしまった。
「行っちゃったね~」
「で? これからどうする?」
サーガがやっと終わったと肩を回す。
「そうね。まずは、街に行って宿を取って寝直す」
「賛成」
メリンダとサーガが目を光らせた。
何せ少年達を護りながら野宿していたので、まともに寝ていない。
というか、主に警護していたのはテルディアスとサーガなのだけれど。
「僕、服が欲しいです!」
屋敷で着替えた男物の服をずっと着込んでいたキーナ。
違和感ないんだけどな。
「そうね! 探しに行きましょ!」
満面の笑みで答えるメリンダ。
「着せ替えはやーよ?」
「……」
目を逸らすメリンダ。
やるつもりだったな。
「まあとにかく、一休みして英気を養ったら、次はいよいよファルトウンよ♡」
テルディアスが足を滑らせた。
そんなテルディアスの肩に手を乗せ、メリンダが呟く。
「サーガの足も治ったし、忘れてるんじゃないかとか思ってた?」
思ってました。
ガックリと項垂れるテルディアス。
諦めろ。
「そんな楽しそうな事忘れるわけ無いでしょ」
「僕も楽しみー!」
「俺も楽しみー!」
「黙れマヌケチビ」
「なんだと?! ミドリ野郎…」
「こんな所で喧嘩しない!!」
わやわやと言い合いながら、4人は街に向けて歩き出した。
今日もよく晴れそうで、空はとても青かった。
椅子にだらしなく座り、足を組みながら、赤い服を着た見事な髭を蓄えたその人物、レオナルド・ラオシャスが声を上げる。
「あれ? あなたが関わった事があるらしいと聞きましたので、報告も兼ねてお知らせしておこうかと」
皿の上で仄かに灯る炎から声がする。
そう見せかけて、実際はちょっと違うのであるけれど。
これは高度な通信魔法であり、目印となる物に向け、声を飛ばすというものである。
なので、若干タイムラグがあったりする。
「自治は既にお前らに任せてある。お前らで判断するが良い」
「はい」
皿の上の炎が小さく揺れる。
「取り急ぎ受け入れの支度をして、明日にでも迎えを派遣致しましょう」
「ああ、頼んだ」
「ラオシャス様はお変わりなくお元気ですか?」
ちょっと控えめに、炎が揺れる。
その炎を見つめながら、レオは少し目を細めた。
「ワシは、変わらんよ」
少し寂しげに、そう答えた。
「…そうですか」
心なしか、炎が小さくなったかに見えた。
「たまにはお顔を見せに来て下さいな」
元気づけるように、炎が揺らめく。
「ああ。近々行こうとは思ってるんだ…」
レオが顎をさすり、考えながら答えた。
すると、炎がボッと大きくなり、慌てたように猛り出す。
「本当ですか?! では、国を上げて歓迎の準備を…」
「やめてくれ!!!」
その後、猛る炎を、レオは一生懸命宥めるはめになった。
なんとか落ち着いてもらい、通信を終えたレオ。
溜息を吐きながら窓際に立ち、外を眺める。
「嬢ちゃんとテルディアスは、何やら派手な旅をしているようだのう」
口元にカップを付けようとしてふと気付く。
「ん? おっと、付けたままだったか」
そういうと徐に、ベリッと口元の髭を取ってしまった。
その付け髭をテーブルにポンと置く。
髭を外したその顔は、端正な顔立ちの青年であった。
赤茶の髪を後ろで一つに纏め、赤い服を着ているその人物。
実は巷で“遊び人のレオちゃん”と有名だったりするのだが。
彼は大いに謎に包まれた人物としても有名であった。
窓際に立ち、空を見上げる。
「目立つなと言っても、まあ無理なんだろうな」
その空の下にいる二人の事を思いながら、茶を啜る。
そして、遠い昔出会ったあの女性をふと思い出す。
「彼女でさえ、もう少し大人しかったぞ…?」
見上げた空は、既に赤みがかっていた。
朝の光が差し始める。
陽に照らされ、大地が次第に暖かくなっていく。
人々が活動をし始め、街にも活気が湧いてくる。
地面に寝転んでいた少年達も、ポツポツと眼を覚まし始めていた。
その時、空から5つの影が降りてきた。
5つの影は、少し集団から離れた空き地に降り立ち、既に眼を覚ましていたサーガとテルディアスに向かって頭を下げた。
「朝早くから失礼致します。私達はレオサークから参りました。迎えの使者にございます」
「早~な」
「ん~?」
サーガの足を枕にしていたメリンダも目覚めて体を起こす。
「むにゃ?」
テルディアスの足を枕にしていたキーナも目覚める。
サーガが5人に近づき、
「俺が風文を出したサーガだ」
と自己紹介。
「どうも。はじめまして」
代表らしき男が頭を下げる。
「それで、あの…」
となにやらモジモジとしながらサーガに問いかける。
「テルディアス様というのは、どちらの方でしょうか?」
「あ? あのフードの奴だが…?」
と親指でくいっと指さすと、何故か5人は猛ダッシュ。
「あなたが?!」
「テルディアス様ですか?!」
「ホホウ!」
とテルディアスに群がった。
テルディアスにひっついていたキーナが、その異様さに少し後退る。
するとそれを目敏く見つけた5人が、
「こちらはもしや、キーナ様?!」
(様?!)
と今度はキーナに群がった。
「ホウ! こちらが!」
「キーナ様!」
「ホホホウ!」
ますますキーナはテルディアスの影に隠れようとする。テルディアスもキーナを庇うように5人の前に立つ。
まあ、見るだけで何かしようとするわけではなかったのだが、じろじろ見られるというのも気味が悪い。
と、今度はメリンダを見つけた一人が、
「あ、あなた様がメリンダ様?!」
と叫ぶ。
「そ、そうだけど…」
メリンダが身構えるが、今度は何故か遠巻きにメリンダを眺める5人。
そして、女性二人はなにやらヒソヒソと話し合い、一人は頷き、一人は何やら思いを馳せ、一人はボンヤリとメリンダを見つめた。
なんなんだこいつら…?
テルディアスもキーナもメリンダも、得体の知れない5人の行動に、頭を捻る。
それで満足したのか、5人が静々とサーガの元へ戻る。
「失礼致しました。ちょっと諸事情で…」
と頭を下げる。
(俺だけ何もなし?!)
不気味であるけれど、何もないのもちょっとムカつくサーガであった。
「さっそく詳細についてご説明を…」
変な人達ではあったが、少年達をここに置いておくわけにも行かない。
サーガは説明を始めた。
メリンダがコソコソとテルディアスとキーナに近づき、小さな声で話し出す。
「なんなの? こいつら」
「悪い人達ではなさそうだけど…」
キーナから見ても、行動はおかしいが、おかしな気配は見当たらないので、信用できると思うのではあるが…。
何故かチラチラと、説明を受けてる男以外の人達が、こちらを見てくる。
それはもうチラチラとチラチラとチラチラと…。
((なんかすんごいチラ見されてるー!!))
よく分からない不気味さを、サーガが説明している間、三人はずっと感じていた。
地面に大きな魔法陣を描く作業が終わる。
その真ん中に、サーガがかっぱらってきた戦利品を置き、その周囲に少年達を集め始める。
「キーナ」
「タクト」
少年達の整理を手伝っていたキーナの元に、タクトがやって来た。
「元気でね! 頑張ってね!」
笑顔で対応するキーナ。
「ありがとう。君のおかげで僕達、自由になれて…。それと、その…」
タクトが言い淀み、視線を下に落とす。
「?」
キーナ以外の三人は、その雰囲気を敏感に察した。
でも一応素知らぬふりで、少年達の整理を続ける。
「あ、いや…、その、こんな僕がおこがましいとは…、ゴニョゴニョ…」
「?」
何か言い淀むタクト。分かっていないキーナ。横目でそれを見守る三人。
「何? どったの?」
空気を読まず、素直に疑問を口にするキーナ。
少しは察してやれ。
「いや、その…」
モゴモゴしていたタクトが、意を決したようにキーナに視線を向ける。
「その…、次に…、次に会う時には、立派な男になってるから!」
力を込めて言い切った。
顔が真っ赤になっている。
キョトンとした顔のキーナ。
少しは分かったのだろうか。
「その…、その時には…」
頑張って言葉を綴っていたタクトの前に、キーナがすっと手を差し出した。
「うん、また、会おうね」
そしてにっこりと笑った。
その笑顔を言い意味合いで取ったタクトが、嬉しそうにキーナの手を握り返した。
またいずれ。
そして二人は手を放した。
それを横目で窺っていた三人は、小さく溜息を零した。
(多分理解…)
(してねーな。ありゃ)
メリンダとサーガが目を合わせ、お互いに苦笑いした。
5人が唱和し始める。
「世界を巡る大いなる風よ 我らに集いて力を成せ」
風が魔法陣に集まり、その形を整えていく。
大きな風の結界が張られ、準備は整った。
「それでは失礼致します」
代表の男がキーナ達に頭を下げた。
「うん。皆をよろしく」
キーナが手を振って返す。
結界が浮き上がり、少年達が運ばれていく。
「サヨーナラー!」
タクトがキーナに向かって手を振り続けた。
「サヨーナラー! またねー!」
キーナも手を振り続けた。
結界はどんどん小さくなって、あっという間に見えなくなってしまった。
「行っちゃったね~」
「で? これからどうする?」
サーガがやっと終わったと肩を回す。
「そうね。まずは、街に行って宿を取って寝直す」
「賛成」
メリンダとサーガが目を光らせた。
何せ少年達を護りながら野宿していたので、まともに寝ていない。
というか、主に警護していたのはテルディアスとサーガなのだけれど。
「僕、服が欲しいです!」
屋敷で着替えた男物の服をずっと着込んでいたキーナ。
違和感ないんだけどな。
「そうね! 探しに行きましょ!」
満面の笑みで答えるメリンダ。
「着せ替えはやーよ?」
「……」
目を逸らすメリンダ。
やるつもりだったな。
「まあとにかく、一休みして英気を養ったら、次はいよいよファルトウンよ♡」
テルディアスが足を滑らせた。
そんなテルディアスの肩に手を乗せ、メリンダが呟く。
「サーガの足も治ったし、忘れてるんじゃないかとか思ってた?」
思ってました。
ガックリと項垂れるテルディアス。
諦めろ。
「そんな楽しそうな事忘れるわけ無いでしょ」
「僕も楽しみー!」
「俺も楽しみー!」
「黙れマヌケチビ」
「なんだと?! ミドリ野郎…」
「こんな所で喧嘩しない!!」
わやわやと言い合いながら、4人は街に向けて歩き出した。
今日もよく晴れそうで、空はとても青かった。
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