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とある街にて
とある街
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思いもかけず、自分の故郷に帰る羽目になったテルディアス。
そこで知った自分の出生と、両親の想い。
今まで埋まることのなかった何かが、満たされたように感じた。
そして、今まで目を背けていた…、いや、気付かないフリをしてきた自分の気持ちに、ハッキリと気付いてしまい…。
より一層、苦難の日々を、送る羽目になっていた…。
そして今朝も、テルディアスの悲鳴が響き渡る。
そんな男の様子を察する…、2つの影が。
「ごめんねぇ、キーナちゃん。ちょろ~~~~っとテルディアスと相談したいことがあるのよ」
(何故縛る?!)
相談したいことがあるからと部屋に呼ばれたら、無理矢理椅子に座らせられて、何故か後ろ手に縛られたテルディアス。
メリンダがしたいことは相談ではない…。脅迫か?
「ちょっと頼りないかもしれないけど、サーガと散歩でもしてきて?」
「うん分かった!」
聞き分けの良いキーナ。にっこり笑って頷く。
「頼りないは余計でない?」
サーガ微妙な顔。
そんなに俺って信用ないのかしら?と悩む。
「サーガ」
「あによ?」
「分かってるわよね?」
そういうと、掌に炎が現れる。
「も、もちろんです!!」
つい股間をかばってしまう。
キーナにもしものことがあったらば、男としての命はないと…。
思ったより重要な任務に、冷や汗タラリ。
いや、キーナに何事もなければいいのだ。そうなのだ。
「いってらっしゃ~い」
メリンダの言葉に送られながら、キーナとサーガは散歩に出かけるのであった。
もちろん、何も起きないわけがない。
部屋の扉を閉め、テルディアスに向き直る。
「何故縛る?!」
テルディアスがもがいていた。
「あんたが逃げ出すかもしれないから」
「話すだけなら逃げることはないだろう!」
「あたしもそう思うわ」
そしてに~~っこり笑うと、
「一応最初に言っといてあげるけど、窓とドアに火の結界張ったから、下手に触ると灰《・》になるわよ」
そこは火傷《・・》では…。
ふと気づくと、後ろにある窓のほうから熱気が漂ってきた。
本当に灰《・》になるかもしれない。
テルディアスはもがくのをやめた。というか色々諦めた。
「まあ、話ってのもなんだけど」
そう言ってメリンダベッドに腰かけた。
そして単刀直入、
「あんた、キーナちゃんのこと好きなんでしょ?」
テルディアスの顔が一瞬にして赤くなる。
「な、な、な、な、…」
「あんたの故郷に寄ってから後、キーナちゃんに対しての態度があからさまなのよ、あんた」
テルディアスこけそうになる。
(あからさま…)
そんなに態度に出ていたのだろうか…。
考え込んでいるところへ、
「あんたってさ~、一見無表情に見えるけど、結構正直に表に出るわよね」
ズダン!
こけた。
一応ポーカーフェイスを装っていたのだけれども…。正直?
『自分がどんだけ素直な奴か…』
アスティの言葉が思い浮かぶ。
自分はそんなに分かり易い奴だったのか…。
落ち込む。
しかしメリンダの追撃はまだ終わっていないかった。
「それで? 告白しないの?」
ズベシャ!
起き上がりかけていたテルディアス、再び床に落ちた。
「ででで、できるわけないだろう!!」
縛られたままでなんとか体を起こす。
「それって、キーナちゃんが光の御子だから?」
「そ、そうだ…」
赤面した顔を隠すかのように下を向くテルディアス。
(そうなのよね~。忘れそうになるけど、キーナちゃんは二神精霊の加護を持つ、かなり特殊で特異で特別な存在なのよね~…)
あまりにも普通…、―ちょっと常識がないけれども―、過ぎて、キーナが特別な存在だということを普段は忘れ去っているメリンダ。
本人もそんなこと気にしてないし。
というか、自覚がない?
(かたやこいつは闇の呪いを受けてるだけで、ただの人だし…)
そう、テルディアスは呪いがなければただの人、一般人である。
メリンダのように火の精霊の加護を持っているわけでもないし、サーガのように風の精霊の加護を持っているわけでもない。
(でもなぁ、キーナちゃんもまんざらではない気もするのよね…)
本人は自覚していないけれども、キーナもテルディアスのことが好きなはずだ。
あれだけベタベタしているのだし。
まあ、傍から見ると、仲のいい兄弟《・・》に見えなくもないんだけれど。
「それに…」
テルディアスが重そうに口を開く。
「あいつには運命の相手とやらがいるのだろう?」
「・・・・・・」
そうである。
この旅は、テルディアスの姿を元に戻すために、宝玉を集める傍ら、キーナの運命の人とやらを探す旅でもある。
忘れかけてるけれど。
運命の人。
この言葉から連想できるものは、もちろん、『運命の恋人』、のことであろう。
(そうよね~。それがあるのよね~。だからこそ言えない…、言わないってか。ま、そーなんだけどさ~~~~)
振られることが確実で、しかもその相手を探している最中。
言ったところでどうにもならないし、恋愛経験ほぼ0(この前アスティに告白された為、完全に0ではなくなった)のキーナに言ったところで、どうなるかは…、この前のアスティで実証済み。
「でもあんた、その想いを抱え込んで封じ込めたままで、キーナちゃんの側に居続けることができるわけ?」
テルディアスが少し考えこみ、溜息を吐いた。
「俺は…」
「おいキーナ。あんまし離れんなよって…」
サーガが話している間にも、キーナはサーガを置いてあちらこちらの屋台に顔を突っ込んでいく。
「言ってる側からてめえ…」
「うにゃにゃにゃあん」
サーガに首筋を掴まれて、足を止めるキーナ。
「一人で行くな。一人で」
「はいな」
元気よく返事したと思ったら、
「突撃――――!!!」
「コラ――――!!!」
いきなりダッシュ!
「待ちやがれ―――!!!」
「ウキャキャキャキャ!!」
追いかけっこが始まった。
そんな二人の様子を、とある建物の屋上から見下ろす影があった。
足はサーガのほうが早い。
然程行かぬうちにサーガに捕まるキーナ。
「お前…、遊んでんだろ?」
「分かった?」
マントを掴まれ、ちょっと首が締まって苦しいキーナ。
なら逃げるな。
「だってさ~。サーガと二人きりってのも、久しぶりじゃん?」
とにっこり。
思わず、マントを掴む手が緩んでしまうサーガ。
「だから追っかけっこ♪」
その隙を逃さず、再びダッシュ!
「って、やめい!!」
何故追いかけっこ?!
見失う前にサーガがキーナを再び捕まえる。
今度はマントをしっかり掴み、離さない。
「放してよう」
「ダメだ」
マントを引っ張りながら街を歩く二人。
周りの人が不思議そうな顔をして二人を見るが、気にしていられない。
これまでの経験からも、キーナを一人にしたらどんなことになるか。
メリンダも怖いが、サーガもキーナを危険に晒したくはなかった。
なんか、保護欲をくすぐられるというか…。
と、路地からこちらを伺う一人の女性。
少し濃い化粧と、こちらを誘うような目つき。
(む、好み)
こらこら。
サーガと目が合うと、その女性はふらりと側に寄ってきて、サーガの空いている方の腕にしなだれかかった。
「ちょいと、お兄さん」
「うおっと?」
「今あたしのこと、好みだって思ったろ?」
「あ、わかった?」
さすがプロ。
「うふ。分かるわよ。あたしもお兄さん結構好みなのよ。少し遊んでいかない?」
綺麗なお姉さんにすり寄られ、ついつい顔が綻ぶサーガ。
「いや~、そいつは嬉しい申し出だけど、今ちょっと立て込んでて…」
と手に力を籠めると、マントの感触がない。
「って、いねえ!!!」
一瞬の間に、キーナが消えていた。
「や、本当ごめん! 連れを探さねーといけねぇから」
「あ…」
とお姉さんの腕を振り切った。
「また暇な時によろしく~!」
そう言ってサーガは走り去っていった。
まだ近くにいるだろうと思うキーナを探しに。
その後ろ姿に舌を出し、
「またなんてあるかバーカ」
良さそうな客だと思ったのに、とお姉さんは再び路地へと戻っていった。
そこで知った自分の出生と、両親の想い。
今まで埋まることのなかった何かが、満たされたように感じた。
そして、今まで目を背けていた…、いや、気付かないフリをしてきた自分の気持ちに、ハッキリと気付いてしまい…。
より一層、苦難の日々を、送る羽目になっていた…。
そして今朝も、テルディアスの悲鳴が響き渡る。
そんな男の様子を察する…、2つの影が。
「ごめんねぇ、キーナちゃん。ちょろ~~~~っとテルディアスと相談したいことがあるのよ」
(何故縛る?!)
相談したいことがあるからと部屋に呼ばれたら、無理矢理椅子に座らせられて、何故か後ろ手に縛られたテルディアス。
メリンダがしたいことは相談ではない…。脅迫か?
「ちょっと頼りないかもしれないけど、サーガと散歩でもしてきて?」
「うん分かった!」
聞き分けの良いキーナ。にっこり笑って頷く。
「頼りないは余計でない?」
サーガ微妙な顔。
そんなに俺って信用ないのかしら?と悩む。
「サーガ」
「あによ?」
「分かってるわよね?」
そういうと、掌に炎が現れる。
「も、もちろんです!!」
つい股間をかばってしまう。
キーナにもしものことがあったらば、男としての命はないと…。
思ったより重要な任務に、冷や汗タラリ。
いや、キーナに何事もなければいいのだ。そうなのだ。
「いってらっしゃ~い」
メリンダの言葉に送られながら、キーナとサーガは散歩に出かけるのであった。
もちろん、何も起きないわけがない。
部屋の扉を閉め、テルディアスに向き直る。
「何故縛る?!」
テルディアスがもがいていた。
「あんたが逃げ出すかもしれないから」
「話すだけなら逃げることはないだろう!」
「あたしもそう思うわ」
そしてに~~っこり笑うと、
「一応最初に言っといてあげるけど、窓とドアに火の結界張ったから、下手に触ると灰《・》になるわよ」
そこは火傷《・・》では…。
ふと気づくと、後ろにある窓のほうから熱気が漂ってきた。
本当に灰《・》になるかもしれない。
テルディアスはもがくのをやめた。というか色々諦めた。
「まあ、話ってのもなんだけど」
そう言ってメリンダベッドに腰かけた。
そして単刀直入、
「あんた、キーナちゃんのこと好きなんでしょ?」
テルディアスの顔が一瞬にして赤くなる。
「な、な、な、な、…」
「あんたの故郷に寄ってから後、キーナちゃんに対しての態度があからさまなのよ、あんた」
テルディアスこけそうになる。
(あからさま…)
そんなに態度に出ていたのだろうか…。
考え込んでいるところへ、
「あんたってさ~、一見無表情に見えるけど、結構正直に表に出るわよね」
ズダン!
こけた。
一応ポーカーフェイスを装っていたのだけれども…。正直?
『自分がどんだけ素直な奴か…』
アスティの言葉が思い浮かぶ。
自分はそんなに分かり易い奴だったのか…。
落ち込む。
しかしメリンダの追撃はまだ終わっていないかった。
「それで? 告白しないの?」
ズベシャ!
起き上がりかけていたテルディアス、再び床に落ちた。
「ででで、できるわけないだろう!!」
縛られたままでなんとか体を起こす。
「それって、キーナちゃんが光の御子だから?」
「そ、そうだ…」
赤面した顔を隠すかのように下を向くテルディアス。
(そうなのよね~。忘れそうになるけど、キーナちゃんは二神精霊の加護を持つ、かなり特殊で特異で特別な存在なのよね~…)
あまりにも普通…、―ちょっと常識がないけれども―、過ぎて、キーナが特別な存在だということを普段は忘れ去っているメリンダ。
本人もそんなこと気にしてないし。
というか、自覚がない?
(かたやこいつは闇の呪いを受けてるだけで、ただの人だし…)
そう、テルディアスは呪いがなければただの人、一般人である。
メリンダのように火の精霊の加護を持っているわけでもないし、サーガのように風の精霊の加護を持っているわけでもない。
(でもなぁ、キーナちゃんもまんざらではない気もするのよね…)
本人は自覚していないけれども、キーナもテルディアスのことが好きなはずだ。
あれだけベタベタしているのだし。
まあ、傍から見ると、仲のいい兄弟《・・》に見えなくもないんだけれど。
「それに…」
テルディアスが重そうに口を開く。
「あいつには運命の相手とやらがいるのだろう?」
「・・・・・・」
そうである。
この旅は、テルディアスの姿を元に戻すために、宝玉を集める傍ら、キーナの運命の人とやらを探す旅でもある。
忘れかけてるけれど。
運命の人。
この言葉から連想できるものは、もちろん、『運命の恋人』、のことであろう。
(そうよね~。それがあるのよね~。だからこそ言えない…、言わないってか。ま、そーなんだけどさ~~~~)
振られることが確実で、しかもその相手を探している最中。
言ったところでどうにもならないし、恋愛経験ほぼ0(この前アスティに告白された為、完全に0ではなくなった)のキーナに言ったところで、どうなるかは…、この前のアスティで実証済み。
「でもあんた、その想いを抱え込んで封じ込めたままで、キーナちゃんの側に居続けることができるわけ?」
テルディアスが少し考えこみ、溜息を吐いた。
「俺は…」
「おいキーナ。あんまし離れんなよって…」
サーガが話している間にも、キーナはサーガを置いてあちらこちらの屋台に顔を突っ込んでいく。
「言ってる側からてめえ…」
「うにゃにゃにゃあん」
サーガに首筋を掴まれて、足を止めるキーナ。
「一人で行くな。一人で」
「はいな」
元気よく返事したと思ったら、
「突撃――――!!!」
「コラ――――!!!」
いきなりダッシュ!
「待ちやがれ―――!!!」
「ウキャキャキャキャ!!」
追いかけっこが始まった。
そんな二人の様子を、とある建物の屋上から見下ろす影があった。
足はサーガのほうが早い。
然程行かぬうちにサーガに捕まるキーナ。
「お前…、遊んでんだろ?」
「分かった?」
マントを掴まれ、ちょっと首が締まって苦しいキーナ。
なら逃げるな。
「だってさ~。サーガと二人きりってのも、久しぶりじゃん?」
とにっこり。
思わず、マントを掴む手が緩んでしまうサーガ。
「だから追っかけっこ♪」
その隙を逃さず、再びダッシュ!
「って、やめい!!」
何故追いかけっこ?!
見失う前にサーガがキーナを再び捕まえる。
今度はマントをしっかり掴み、離さない。
「放してよう」
「ダメだ」
マントを引っ張りながら街を歩く二人。
周りの人が不思議そうな顔をして二人を見るが、気にしていられない。
これまでの経験からも、キーナを一人にしたらどんなことになるか。
メリンダも怖いが、サーガもキーナを危険に晒したくはなかった。
なんか、保護欲をくすぐられるというか…。
と、路地からこちらを伺う一人の女性。
少し濃い化粧と、こちらを誘うような目つき。
(む、好み)
こらこら。
サーガと目が合うと、その女性はふらりと側に寄ってきて、サーガの空いている方の腕にしなだれかかった。
「ちょいと、お兄さん」
「うおっと?」
「今あたしのこと、好みだって思ったろ?」
「あ、わかった?」
さすがプロ。
「うふ。分かるわよ。あたしもお兄さん結構好みなのよ。少し遊んでいかない?」
綺麗なお姉さんにすり寄られ、ついつい顔が綻ぶサーガ。
「いや~、そいつは嬉しい申し出だけど、今ちょっと立て込んでて…」
と手に力を籠めると、マントの感触がない。
「って、いねえ!!!」
一瞬の間に、キーナが消えていた。
「や、本当ごめん! 連れを探さねーといけねぇから」
「あ…」
とお姉さんの腕を振り切った。
「また暇な時によろしく~!」
そう言ってサーガは走り去っていった。
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