165 / 296
地底宮の冒険
罠罠罠
しおりを挟む
「ニャーーーーーーー!!!」
すべりすべりこすべりだい。
暗い穴の中、止まることなく滑り降りていくキーナの悲鳴が響き渡る。
行く手にやっと出口らしき光が見えてきた。
その穴が次第に大きくなり、キーナは勢いよくその穴へと飛び込んでいく。
明るい開けた所に出た、と思った瞬間、
ゴン!
止まることなく滑ったキーナは、勢いよく柱にぶつかった。
顔面その他諸々を強打したキーナは、痛さのあまり転がる。
痛さのあまり悲鳴も出ない。
なんとか精神を集中し、治癒の魔法をかけ始める。
この時ほど、詠唱なしで魔法が使えることに感謝したことはないだろう。
「なんでこんな所に良い具合に出っ張りがあるんだい!」
ある程度回復して叫んだ台詞であった。
まあ柱だから。
柱…。
キーナの居る所は通路であるらしかった。
前にも後ろにも道が延びている。
そしてよくよく見ると、壁の他の柱はそれ程出っ張っていない。
なのに、何故かキーナがぶつかった柱だけ、奇妙に出っ張っていた。
そしてふと床を見ると、出て来た穴からその柱まで、何故かツルツルの良く滑りそうな石が敷き詰めてあった。
つまり穴から出て来た者が、その勢いを殺すことなく柱にぶつかっていくようになっている…。
「制作者の悪意を感じる…」
キーナが呟いた。
滑り台が終わり、テルディアスが穴から宙に放り出される。
器用に態勢を整え、地面に着地。
バシャリ
どうやら地下水でも染み出してきているのか、床に水が流れていた。
(随分落ちたな。キーナは無事か?)
双子石で確認してみるが、どうやらキーナは上階にでもいるらしい。
薄暗い通路を見回し、さてどちらへ進もうかと考えていると、
ゴトリ
何か、音が聞こえた。
「キャーーーーーー!!!」
抗うことも出来ず、滑り降りていくメリンダ。
しっかりスカートは押さえていた。
見る者もいないのだけれど。
やがて出口らしき穴が見え、そこへ突進していく。
穴から出た途端、態勢が崩れ、クルクルと回ってしまう。
体が横になったのが良かったのか、壁際にてなんとか止まることが出来た。
「んもう…、何なのよ一体…」
体を起こし、体中を調べる。
擦り傷、打撲などはまあしょうがない。特に大きな怪我がないのは幸いか。
「やだ…もう、下、砂?」
なんだかお尻の下がザラザラする。
横になった時にも体中についたらしく、なんだか身体中がザラザラした。
そんな時、
「…・・・ぁぁぁああああああ!!」
メリンダが出て来た穴から別の悲鳴が聞こえてきた。
何事かと思い穴を見ていると、勢いよく黄色い頭が飛び出して来た。
そのまま真っ直ぐ、メリンダの足の間に飛び込んで来ると、
どべっ
ストライク。
スカートの中に頭が突っ込みました。
メリンダとサーガ、しばらく二人共動かなかった。
やがて、ゆっくりとサーガが体を起こし、
「コホン」
軽く咳をして、真面目な顔をすると、
「断じて、わざとではない」
キリッといい顔でそう告げた。
その答えは、
バチコン!
「ギャフン!」
綺麗な右平手打ちだった。
左を見る。
真っ直ぐ通路が延びている。
右を見る。
やはり真っ直ぐ通路が延びている。
「どっち?」
聞いても答えが返ってくる訳では無い。
(双子石は下…)
左耳に付いた双子石は、下を指し示しているが、
「ったって、行き方分かんないんじゃ下に行けないやい!」
石に八つ当たり。
「いやいや、まてまて、迷った時こそ冷静に…」
そこでふと思い出す。
『山で迷った時は無闇に歩き回らず、その場に留まりましょう』
「山じゃないやい!」
突っ込んでる場合か。
とりあえず今はテルディアスと合流を果たすべき、そうは分かっているのだけれども。
「直感で歩き出してみるべきか?! だがしかし、こういう所って罠がつきもの…」
イ○ディー・ジョーン○でもこういう所は罠が満載で下手をすると命がヤバいはず。
その時、キーナは意識が澄みだしていくのを感じた。
(この感じ…、前にも…)
そう、これは、水の都での時と同じ感覚。
「と、とにかく、キーナだけでも早く見つけねーと」
両頬を赤く腫らしたサーガが、衣服を整えながら言った。
それを睨み付けていたメリンダ。
「そうね。キーナちゃんだけでも…?」
壁に寄りかかり、良い感じに何故か出っ張っていた岩に、何気なく肘を付いた。
ガコン
岩が下に移動する。
「!」
サーガがメリンダに飛びついた。
「姐さん!」
「キャッ!」
シュッ
すんでの所でサーガの頭を掠め、矢が壁に刺さった。
それを見て、冷や汗を流す二人。
「そこら辺の物に無闇に触んなよ。どんな罠があるか分かりゃしねーんだから」
「はい」
サーガに睨まれ、素直に頷くメリンダだった。
サーガが立ち上がり、メリンダに手を貸す。
「なんていうか、さすが地底宮…う?」
立ち上がり掛けたメリンダのお尻が、壁に当たった。
と思ったら、その壁が一部壁の中にめり込む。
ガコッ
「え…」
咄嗟にメリンダを引っ張りながら、後ろに跳ぶ。
「キャ!」
ズン!
天井から天井の一部が今まで居た場所に落ちてきた。
「姐さん…」
「ゴメンナサイ…」
「壁に触るな」
「はい」
さすがにしおらしく頷くメリンダだった。
立ち上がり、体についた砂を払う。
「しっかし、よくもまあ器用に…」
カチ
メリンダの足元で音がした。
見れば、メリンダの右足が、床の一部を踏み抜いている。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「次々と罠にかかってくれること…」
サーガが苦笑いしながらメリンダを睨む。
「わざとじゃないわよ~」
半泣きになるメリンダ。
わざとでなくても凄い遭遇率だと思うが。
ズズン
「何だ?!」
「何?!」
今までと比べものにならないくらいの大きな音。
どこかで大がかりな罠が発動したのだろう。
そこでサーガ、何かに気付いたようにハッとなる。
「姐さん!」
「きゃ!」
有無を言わさず、メリンダを抱えて走り出す。
「何?! 何?! 何なの?!」
「悠長に正体突き止めてたら潰されんぞ!」
「潰される?」
何のことか分からないメリンダ。
サーガは風の流れで何かを感じ取ったらしい。
何なのだろうとメリンダが首を傾げていると、遠くからその音が聞こえてきた。
…・・・ゴロゴロゴロゴロゴロ
何かが転がって来ている音。
音の方、サーガが走るのとは反対の背後へと顔を向けると、通路の奥から、通路いっぱいの大きさの大きな岩が転がって来ているのが見えた。
あんな物に追いつかれたら…。
考えなくても分かる。
「逃げて! 逃げて! 逃げて!」
「逃げてる! 逃げてる! 逃げてる!」
メリンダを抱えながらも必死に走るサーガ。
メリンダを下ろしゃいいじゃねーかと思うが、メリンダはハイヒールを履いているので、走ると遅いのだ。
サーガが抱えて走った方が早いのである。
なので必死に走るサーガ。頑張れ。
「は、そうか、あたしの力でぶっ壊せば…」
メリンダがふと気づき、手を岩に向けて伸ばす。
「わー! やめろ!」
慌ててサーガがそれを止める。
「何でよ?!」
「仮に出来たとしても、こんな所じゃ下手したら生き埋めになる!!」
下手に爆発が大きくなったりしようものなら、天井などなどがついでに崩れてくることもあり得るわけで。
「そか」
メリンダそこまで考えてなかった。
しかしこのままでは、いつか追いつかれてしまう。
軽く下り坂になっているため、岩の速度はどんどん上がってきている。
と、通路の先に脇道が見えた。
「あそこあそこ! 脇道!」
「分かってる!」
さすがに直角に岩が曲がることもあるまい。
サーガ必死に足を動かす。
ゴロゴロという音がすぐ側まで迫ってくる。
体を傾け、脇道に走り込む。
ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・……
岩が背後を通過し、そのまま通路を転がっていった。
「ほ…。逃げ切れた…」
安堵して通路を少し進んだ。
バタン!
「あ?」
床が消えた。
幅3メートルはあろうかと思える落とし穴だった。
「んなあ?!」
「!!!」
重力に従い落ちて行きそうになる体。
「ぎ…」
必死に集中して、足元に空気の固まりを作る。
ダン!
それを足場に跳ぶがまだ足りない。
ダン! ダン!
もう二つ作って跳んで、やっと落とし穴を回避して床に降りることができた。
ヘナヘナと床に崩れ落ちる。
「お、落ちるかと思った…」
メリンダと二人で、やっと息をついた。
ここまで罠罠罠の連続だった。
さすがに今はもう無いことを祈る。
「今なんで飛ばなかったの?」
メリンダがふと疑問を口にする。
「あん? 気付いてなかった? 魔力が弱ってるの」
「え?」
メリンダまさかと魔力を集め、火を呼び出してみる。
「多分、虹石だと思うけど、鉱脈が近くにあるのか、素材として使われてるのか」
メリンダの掌に現われた炎も、やっとマッチ棒の先くらいの炎しか出なかった。
「いずれにせよ、ここででけえ魔法は使えねーよ」
虹石と呼ばれている石がある。
その名の通り、虹色に光る石なのであるが、その石が側にあると、何故か魔法が上手く使えなくなるということが分かっていた。
精霊との繋がりが弱くなるとか、魔力が分散されてしまうせいだとか色々言われているが、真相は解明されていない。
「虹石って、魔力を封じるっていう、あの?」
「そ。でなきゃ、俺が穴に落ちるわけねーじゃん」
「…そうね」
言われてメリンダ気付いた。
サーガが穴から落ちてきたという違和感に。
通常ならば、それは絶対にあり得ないことなのだ。
「てなわけで」
サーガがメリンダを睨み付ける。
「探知能力もいつもより鈍ってるから、あんましそこかしこに触らないようにお願いします」
「……善処します…」
メリンダ、申し訳なさそうに頷いた。
すべりすべりこすべりだい。
暗い穴の中、止まることなく滑り降りていくキーナの悲鳴が響き渡る。
行く手にやっと出口らしき光が見えてきた。
その穴が次第に大きくなり、キーナは勢いよくその穴へと飛び込んでいく。
明るい開けた所に出た、と思った瞬間、
ゴン!
止まることなく滑ったキーナは、勢いよく柱にぶつかった。
顔面その他諸々を強打したキーナは、痛さのあまり転がる。
痛さのあまり悲鳴も出ない。
なんとか精神を集中し、治癒の魔法をかけ始める。
この時ほど、詠唱なしで魔法が使えることに感謝したことはないだろう。
「なんでこんな所に良い具合に出っ張りがあるんだい!」
ある程度回復して叫んだ台詞であった。
まあ柱だから。
柱…。
キーナの居る所は通路であるらしかった。
前にも後ろにも道が延びている。
そしてよくよく見ると、壁の他の柱はそれ程出っ張っていない。
なのに、何故かキーナがぶつかった柱だけ、奇妙に出っ張っていた。
そしてふと床を見ると、出て来た穴からその柱まで、何故かツルツルの良く滑りそうな石が敷き詰めてあった。
つまり穴から出て来た者が、その勢いを殺すことなく柱にぶつかっていくようになっている…。
「制作者の悪意を感じる…」
キーナが呟いた。
滑り台が終わり、テルディアスが穴から宙に放り出される。
器用に態勢を整え、地面に着地。
バシャリ
どうやら地下水でも染み出してきているのか、床に水が流れていた。
(随分落ちたな。キーナは無事か?)
双子石で確認してみるが、どうやらキーナは上階にでもいるらしい。
薄暗い通路を見回し、さてどちらへ進もうかと考えていると、
ゴトリ
何か、音が聞こえた。
「キャーーーーーー!!!」
抗うことも出来ず、滑り降りていくメリンダ。
しっかりスカートは押さえていた。
見る者もいないのだけれど。
やがて出口らしき穴が見え、そこへ突進していく。
穴から出た途端、態勢が崩れ、クルクルと回ってしまう。
体が横になったのが良かったのか、壁際にてなんとか止まることが出来た。
「んもう…、何なのよ一体…」
体を起こし、体中を調べる。
擦り傷、打撲などはまあしょうがない。特に大きな怪我がないのは幸いか。
「やだ…もう、下、砂?」
なんだかお尻の下がザラザラする。
横になった時にも体中についたらしく、なんだか身体中がザラザラした。
そんな時、
「…・・・ぁぁぁああああああ!!」
メリンダが出て来た穴から別の悲鳴が聞こえてきた。
何事かと思い穴を見ていると、勢いよく黄色い頭が飛び出して来た。
そのまま真っ直ぐ、メリンダの足の間に飛び込んで来ると、
どべっ
ストライク。
スカートの中に頭が突っ込みました。
メリンダとサーガ、しばらく二人共動かなかった。
やがて、ゆっくりとサーガが体を起こし、
「コホン」
軽く咳をして、真面目な顔をすると、
「断じて、わざとではない」
キリッといい顔でそう告げた。
その答えは、
バチコン!
「ギャフン!」
綺麗な右平手打ちだった。
左を見る。
真っ直ぐ通路が延びている。
右を見る。
やはり真っ直ぐ通路が延びている。
「どっち?」
聞いても答えが返ってくる訳では無い。
(双子石は下…)
左耳に付いた双子石は、下を指し示しているが、
「ったって、行き方分かんないんじゃ下に行けないやい!」
石に八つ当たり。
「いやいや、まてまて、迷った時こそ冷静に…」
そこでふと思い出す。
『山で迷った時は無闇に歩き回らず、その場に留まりましょう』
「山じゃないやい!」
突っ込んでる場合か。
とりあえず今はテルディアスと合流を果たすべき、そうは分かっているのだけれども。
「直感で歩き出してみるべきか?! だがしかし、こういう所って罠がつきもの…」
イ○ディー・ジョーン○でもこういう所は罠が満載で下手をすると命がヤバいはず。
その時、キーナは意識が澄みだしていくのを感じた。
(この感じ…、前にも…)
そう、これは、水の都での時と同じ感覚。
「と、とにかく、キーナだけでも早く見つけねーと」
両頬を赤く腫らしたサーガが、衣服を整えながら言った。
それを睨み付けていたメリンダ。
「そうね。キーナちゃんだけでも…?」
壁に寄りかかり、良い感じに何故か出っ張っていた岩に、何気なく肘を付いた。
ガコン
岩が下に移動する。
「!」
サーガがメリンダに飛びついた。
「姐さん!」
「キャッ!」
シュッ
すんでの所でサーガの頭を掠め、矢が壁に刺さった。
それを見て、冷や汗を流す二人。
「そこら辺の物に無闇に触んなよ。どんな罠があるか分かりゃしねーんだから」
「はい」
サーガに睨まれ、素直に頷くメリンダだった。
サーガが立ち上がり、メリンダに手を貸す。
「なんていうか、さすが地底宮…う?」
立ち上がり掛けたメリンダのお尻が、壁に当たった。
と思ったら、その壁が一部壁の中にめり込む。
ガコッ
「え…」
咄嗟にメリンダを引っ張りながら、後ろに跳ぶ。
「キャ!」
ズン!
天井から天井の一部が今まで居た場所に落ちてきた。
「姐さん…」
「ゴメンナサイ…」
「壁に触るな」
「はい」
さすがにしおらしく頷くメリンダだった。
立ち上がり、体についた砂を払う。
「しっかし、よくもまあ器用に…」
カチ
メリンダの足元で音がした。
見れば、メリンダの右足が、床の一部を踏み抜いている。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「次々と罠にかかってくれること…」
サーガが苦笑いしながらメリンダを睨む。
「わざとじゃないわよ~」
半泣きになるメリンダ。
わざとでなくても凄い遭遇率だと思うが。
ズズン
「何だ?!」
「何?!」
今までと比べものにならないくらいの大きな音。
どこかで大がかりな罠が発動したのだろう。
そこでサーガ、何かに気付いたようにハッとなる。
「姐さん!」
「きゃ!」
有無を言わさず、メリンダを抱えて走り出す。
「何?! 何?! 何なの?!」
「悠長に正体突き止めてたら潰されんぞ!」
「潰される?」
何のことか分からないメリンダ。
サーガは風の流れで何かを感じ取ったらしい。
何なのだろうとメリンダが首を傾げていると、遠くからその音が聞こえてきた。
…・・・ゴロゴロゴロゴロゴロ
何かが転がって来ている音。
音の方、サーガが走るのとは反対の背後へと顔を向けると、通路の奥から、通路いっぱいの大きさの大きな岩が転がって来ているのが見えた。
あんな物に追いつかれたら…。
考えなくても分かる。
「逃げて! 逃げて! 逃げて!」
「逃げてる! 逃げてる! 逃げてる!」
メリンダを抱えながらも必死に走るサーガ。
メリンダを下ろしゃいいじゃねーかと思うが、メリンダはハイヒールを履いているので、走ると遅いのだ。
サーガが抱えて走った方が早いのである。
なので必死に走るサーガ。頑張れ。
「は、そうか、あたしの力でぶっ壊せば…」
メリンダがふと気づき、手を岩に向けて伸ばす。
「わー! やめろ!」
慌ててサーガがそれを止める。
「何でよ?!」
「仮に出来たとしても、こんな所じゃ下手したら生き埋めになる!!」
下手に爆発が大きくなったりしようものなら、天井などなどがついでに崩れてくることもあり得るわけで。
「そか」
メリンダそこまで考えてなかった。
しかしこのままでは、いつか追いつかれてしまう。
軽く下り坂になっているため、岩の速度はどんどん上がってきている。
と、通路の先に脇道が見えた。
「あそこあそこ! 脇道!」
「分かってる!」
さすがに直角に岩が曲がることもあるまい。
サーガ必死に足を動かす。
ゴロゴロという音がすぐ側まで迫ってくる。
体を傾け、脇道に走り込む。
ゴロゴロゴロゴロ・・・・・・……
岩が背後を通過し、そのまま通路を転がっていった。
「ほ…。逃げ切れた…」
安堵して通路を少し進んだ。
バタン!
「あ?」
床が消えた。
幅3メートルはあろうかと思える落とし穴だった。
「んなあ?!」
「!!!」
重力に従い落ちて行きそうになる体。
「ぎ…」
必死に集中して、足元に空気の固まりを作る。
ダン!
それを足場に跳ぶがまだ足りない。
ダン! ダン!
もう二つ作って跳んで、やっと落とし穴を回避して床に降りることができた。
ヘナヘナと床に崩れ落ちる。
「お、落ちるかと思った…」
メリンダと二人で、やっと息をついた。
ここまで罠罠罠の連続だった。
さすがに今はもう無いことを祈る。
「今なんで飛ばなかったの?」
メリンダがふと疑問を口にする。
「あん? 気付いてなかった? 魔力が弱ってるの」
「え?」
メリンダまさかと魔力を集め、火を呼び出してみる。
「多分、虹石だと思うけど、鉱脈が近くにあるのか、素材として使われてるのか」
メリンダの掌に現われた炎も、やっとマッチ棒の先くらいの炎しか出なかった。
「いずれにせよ、ここででけえ魔法は使えねーよ」
虹石と呼ばれている石がある。
その名の通り、虹色に光る石なのであるが、その石が側にあると、何故か魔法が上手く使えなくなるということが分かっていた。
精霊との繋がりが弱くなるとか、魔力が分散されてしまうせいだとか色々言われているが、真相は解明されていない。
「虹石って、魔力を封じるっていう、あの?」
「そ。でなきゃ、俺が穴に落ちるわけねーじゃん」
「…そうね」
言われてメリンダ気付いた。
サーガが穴から落ちてきたという違和感に。
通常ならば、それは絶対にあり得ないことなのだ。
「てなわけで」
サーガがメリンダを睨み付ける。
「探知能力もいつもより鈍ってるから、あんましそこかしこに触らないようにお願いします」
「……善処します…」
メリンダ、申し訳なさそうに頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる