キーナの魔法

小笠原慎二

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闇の宮編

閑話~これまでの道程~

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闇の宮を出て、また森の中を歩いて行く。
街道、つまりきちんと整備された道に出るにはまだ時間がかかるらしく、途中で陽が暮れだした。
しかしキーナ達一行にはそんなことお構いなし。今日も今日とてダン無双が始まる。

なんと便利なダン君でしょう。是非一家に一人、標準装備。
とアホな事は置いてといて、いつものように食事を取り、いつものように地下の部屋へと入っていく。
今日はテルディアスとサーガも中に入るらしい。

「んで、この先の予定だけど」

どうやら話し合いをするようだ。

「とりあえず北西の方で戦があるかもしれないっつーからそこへ向かうんで良いな?」
「はいな」
「ああ」
「分かったわ」

頷き。

いや、喋れよ!

「しっかし、眉唾もんだった宝玉を本当に3つも集めちまうとはな~」

噂、伝説、言い伝え。本当にあるかどうかも分からない伝説のような物が、今現在この場所に3つも揃っている。

「いろいろあったねぇ…」
「そうだな…」

キーナとテルディアスが揃って遠い目をする。
一番最初の水の宝玉も、簡単には手に入らなかった。

「水の宝玉のこと教えてくれたのはサーガだったよね」
「ふふん、俺に感謝してくれ」
「してるよ、もちろん」

ド直球に微笑まれ、赤面するサーガ。いつもアホな冗談で返されているので、素直に喜ばれるとなんだかむず痒い。

「水の宝玉も大変だったよね、テル」
「そうだな…」
「どんなことがあったの?」

メリンダが興味津々で聞いてくる。
キーナが語り始めた。

水の都に着いてから、その情報を集めたこと。宝玉は男が触ることができないので、キーナも行かなければならなかったこと(実はガセだったが)。内部の図面を手に入れて、二人で侵入したこと。なんとか宝玉の間に辿り着いたと思ったら落とし穴に落ち、暗い穴の底でテルディアスと力を合わせて脱出したこと。

途中何故かキーナが赤面したが、メリンダはテルディアスを軽く睨むだけで特になにも突っ込まなかった。

脱出したと思ったらすぐに捕まってしまい、キーナが水巫女の試練を受けなければならなくなったこと。

「酷い水着だった…」
「そうだな…」

キーナが遠い目をし、テルディアスが赤面する。
どんな水着だったのだろうとメリンダとサーガはいろいろ妄想した。
結果は大成功。きちんと試練をクリアして、宝玉を快く水の王国から借り受けられたこと。

「終わったらちゃんと返しに行くって、約束したの」
「そうなのね」

メリンダにっこり微笑む。

「そうなると、火の宝玉も簡単じゃなかったんだろ?」

サーガが尋ねる。

「うん。そもそも火の村の噂もほとんど聞けなくて」
「情報を集めることに苦労したな」

火の村がどこかにある。という話しは聞けたものの、その村がどこにあるか、という話しは全く出てこない。
何か手掛かりはないかと探していたところで、メリンダと出会った。

「あの頃のあたしはすぐには一緒に行けなかったのよね」

しみじみとメリンダが思い出しながら言う。

街を狙っていたシュバルティー一家に睨みをきかせるために、メリンダは街を離れることができなかった。かといってメリンダの案内がなければ火の村へは辿り着けなかっただろう。

「殺されかけたしな…」

ボソリとテルディアスが呟いた。

「あ、あれは、だって…!」

ダーディンの姿を見たメリンダは、テルディアスがキーナを食い殺そうとしていると早合点。キーナを助けるためと、テルディアスを殺そうとしたのだった。

「でもそこで、キーナちゃんが、あの御子の姿になってね…。なんか、ときめいちゃった」

両手を頬に当て、赤くなるメリンダ。
あの時、キーナに一目惚れしてしまったのだ。いや、恋愛感情ではなくてね…。
その後、遊び人のレオちゃんが現われ、メリンダの問題も解決。火の村へと共に行くことになったのだった。

「でもあたし、実は掟を破って村落ちしてたのよね…」

火の一族は戦争の為に狩られた時代があった。その為に人里遠く離れた山の中で暮らしていた。
火の一族を守るため、村から出ることは一部の行商に出る者以外は禁じられていた。もちろん、場所が知れたらまた狩られるからだ。
しかしメリンダは幼い頃から村から出たがっていた。そしてある時迷い込んで来た旅人と連れ立って、村落ちしたのである。

「なかなかいい男でね。あたしの初めての人だったんだけど…」

優しい男だった。村の外を知らないメリンダに色々な事を教えてくれた。だがしかし、ある日突然消えた。

「【ごめん。君が重い】っていう置き手紙を残して、宿から消えちゃったの」

用事が済んで宿へ戻ってみると、男は置き手紙を残して消えていた。メリンダは慌てて男を捜し回るも、男は見つからなかった。

「途方に暮れてたあたしの前に、ちょっと軽そうな男が近づいて来てね」

傷ついていたメリンダは、その男の優しい言葉に縋り付いてしまった。誘われるままに男の後を着いていった。

「後から知ったんだけど、あいつ女衒だったのよね。で、品定めされて、娼館に売られたの」

そこは高級娼館だった。そこで働くに相応しいと見定められたらしい。
実際にメキメキと力をつけたメリンダは、1番を争う程の売れっ子になっていった。

「そんなら、娼館にいたほうが安全でもっと稼げたんじゃ…」

サーガが首を傾げる。
低級な娼館では下手をすれば使い捨てのような扱いもされるが、高級娼館ならばお客は皆太客である。しかもメリンダは年齢的にもまだまだ稼げる。何故そんなところを出たのかとサーガは疑問に思った。

「それがねぇ…」

メリンダが困ったように笑った。

「焼いちゃったの。とあるお客さんの、ア・レ」

男共が青ざめた。
キーナは首を傾げている。

「嫌な客がいてさ~。サドの奴でね。入りたての大人しい子がそいつに選ばれちゃったのよ。で、最中に女の子がたまらず部屋の外に逃げて来て、たまたまあたしが居合わせちゃったのよね」

大人しい女の子も我慢ならないプレイを強制され、思わず部屋を飛び出してしまった。そして飛び込んだのが目の前をたまたま歩いていたメリンダの腕の中。

「で、そいつが結構身分がいい奴で」

大人しくそいつを渡せだの、ここは教育がなっとらんだの、むちゃくちゃを言って難癖をつけてくる。元々そいつにムカついていたメリンダ。そのあまりにも奢った発言を聞いて、ぷっちんしてしまった。

「気付いたら、そいつが炎に包まれてたわ」

てへぺろ。で済む問題ではない。
サーガが無意識に手を合わせた。

「いや、殺してないから」

死んではいない。

ただし全身に軽いヤケドを負い、ついで一番酷かったあそこは使い物にならなくなってしまったらしい。
で、メリンダの身の安全と娼館を助けるため、メリンダはこっそり(という名目で)娼館から(形式的には)逃げ出したのだった。
実際は静かではあったが手厚い見送りがあったりする。

「そして国をまたいで辿り着いたのが、キーナちゃん達と出会ったあの街なのよ」
「メリンダさんもいろいろあったんだねぇ」

どこまで理解出来ているのか、キーナがうんうんと頷いている。

「客を燃やすとか…。怖。俺も気をつけよう」
「そうね、あんたは特に気をつけた方が良いわね」

実際何度か焼かれてるしね。
ダンも青ざめている。いや、ダンは余程の事がなければ燃やされることはないと思うよ。

「そして火の村に一緒に行ったんだよね」
「そうね! あたしもまさか里帰りできるとは思ってなかったわ」

村落ちしたメリンダを、火の一族は苦笑いしながら受け入れた。元々脱走癖のあったメリンダが外に出たと知って、皆はやっぱりな、と思ったらしい。帰って来たのは流石に想定外だったらしいが。
その頃火の一族の宝玉の力を操る今代の巫女の体調がすこぶる悪く、時代の巫女を見付けなければならなかったのだが、村の中に適正者はいなかった。
そこへのこのこ帰って来たメリンダは、まさに丁度良いところだったわけだ。

「火の巫女の試練を受けるんで、丁度良いから二人と一緒に入ったのよね」
「中は凄かったよ!」

キーナがマグマの海やマグマの飛沫が飛んでくる一本道のことを嬉々として語る。
聞いている方は青ざめている。

「まさか宝玉にあたしが選ばれるとは思ってもみなかったけどね~」

結局、メリンダは宝玉に選ばれ、宝玉はその姿を現わした。

「そのまま黙って二人に逃げて貰うつもりだったんだけど…」

洞から出たら二人に飛んで逃げて貰うつもりだった。空を飛ぶのが苦手な火の一族ならば追いつくことはできないだろうし、メリンダも二人を逃がすためにいろいろする覚悟ではいた。

「でも、大婆様にはバレてたみたいで」

洞を出てすぐにメリンダはとっ捕まり、二人は攻撃を受けた。

「で、またキーナちゃんが奇跡を起こして~」

火の女神がキーナに降り、顕現。村の者達を説得してなんとか丸く収まった。

「火の宝玉も借り物だから、ちゃんと返しに行くよ」
「ありがとう、キーナちゃん」

メリンダがキーナに微笑みかける。

「で、メリンダさんは帰るの?」
「う~ん…。どうしようかしらね…」

火の巫女に選ばれたメリンダは、本当ならば村から出ることはできない。掟をいきなり変えることも難しいため、メリンダは逃走したという形になっている。

「まあ、いつかは帰らなきゃとは思ってるわ」

それがいつになるかは分からないが。

「うん。いいんじゃないかな」

キーナの笑顔にメリンダもほっこりする。

「姐さんらしいや…」
「なんか言った?」
「イイエ、ナニモイッテマセンワ」

サーガの呟きはメリンダの耳にきちんと届かなかったようである。

「その後、サーガにまた会ったんだよね」

古代遺跡の魔獣の街で、ばったり出会ったサーガ。しかもお互いの依頼主がいがみ合っている状態で。

「なんか出会い頭にテルディアスに斬りかかられたしなぁ」

とサーガがテルディアスを睨むも、テルディアスはそっぽを向いている。

「あの時はあんた、風の一族って自覚なかったわよね」
「はい。知りませんでした」

そういう一族がいるということはサーガも耳にしてはいた。しかし実際に自分がそうとは思ってもいなかった。

「風の習得だけやたら得意だったんだよな」
「その時点で気付いて欲しかったわね」

1度キーナとテルディアスと別れ、改めて修行に身を入れたサーガ。ある時呪文を使わずに風の力を使えることに気付いた。

「俺天才なんだって思ってたのに」
「風の一族ならそれくらいは当たり前にできるわよね」

今では呼吸をするように風の力を操ることができる。いや、自覚していなかっただけで昔から使えていたのかも知れない。
そして一行にサーガが加わり、何処にあるとも知れないサーガの村を探すことになったのだった。

「なんとなく、だけど、北西のいざこざは当たりな気がするんだよ」
「なんで?」
「なんつーか、臭い?」

風を操るサーガは臭いにも敏感だ。

「懐かしい臭いがする気がする」

確信はないらしい。

「まあでも、ここまで来たらもうその場所しか残ってないんだけどね」
「そーねー」

大体ではあるが、この大陸の南西から南東は横断してしまった。あとは北、特に北西の方を見ていないだけだ。
ちなみに北東の方は未開地が広がっているのであまり関係ないはずだ。

「サーガが加わってからもいろいろあったねぇ」

キーナが何を思いだしたのか、溜息を一つ。

(((その諸々はキーナ(ちゃん)が原因だけど…)))

保護者3人は同じ事を思った。
宝玉に関わることももちろんあったが、ナトとアディのことやら、男娼の館のことやら、首を突っ込むまたは無理矢理引き摺り込まれるなどの原因は大体がキーナだ。
3人は小さく溜息を吐いた。

「ああ、そういえば、地底宮で見付けたアレ」

メリンダがサーガを見る。

「これ?」

サーガがあの黒い球を取り出す。重いのでサーガに持たせていたのだ。
荷物持ち要員か。

「ダン、これ元々地の一族の物になるのかしら? だったら返しておいた方がいい?」

地の村ではすっかり忘れてしまっていた。まあ、いろいろあったからね。いろいろ。

サーガがダンに差し出す。ダンがそれを掴み上げ、しげしげと観察する。

「…宝玉の代わりに置いておいた物。特に意味はない」

ほい、とばかりにサーガに返そうとする。

「いや、それ持ってても売れねーし」

あまりにも質が良すぎるうえに、あまりにも大きすぎるので何処も買い取ってくれない代物。となるとただの邪魔な石である。
ダンは訳が分からず首を傾げる。

「そのままだと大きすぎて買い取りしてくれないのよ。せめて小さくできないかしら?」

割ってみようという話しになったことはあったのだが、下手に割るのも怖くて微妙に手が出せなかったのである。値打ち物あるある。

と、ダンがこくりと頷いた。
球の天辺に指を乗せる。
何をするのかと皆が注視すると、なんと球がぱっかり8等分に割れた。

「これ?」

キレイな半月型になった黒い石をメリンダに差し出す。
思わず手に取るメリンダ。

「な、なんでこんなにキレイに割れるのよーーー!!」

キーナ達が思っていたことを、メリンダが代わりに叫んだ。

「地。簡単」

地の一族の者ならば、それくらい簡単に出来る、と言いたいらしい。

「地の力って便利だね…」

キーナぼそりと呟く。
この言葉にメリンダとサーガがちょっと傷ついた。

(どうせ、あたしは暖めることとか、燃やすことしか出来ないもん!)
(俺は探索系の力に優れてるからいいもん!)

心の中で負け惜しみを呟く二人。

「そういえば、テルの故郷にも行ったよね」

キーナがテルディアスを振り見た。
テルディアスが渋い顔をする。

「そうだな~、くまちゃんとかくまちゃんとかくまちゃんとか…」
「貴様、切られたいか…」
「面白い話しいっぱい聞けたわよね」
「そうだね~」

ダンにも分かるように、キーナが事細かに説明し始める。
顔を両手で覆って項垂れるテルディアス。もうやめたげて。
アスティの話しになって、キーナがちょっとまごついた。

「あの人は…、なんだか不思議な人だったねぇ」
「そう? 普通に良い人だったけど」
「あんにゃろ…、俺結局勝負してないんだよな…」

三者三様である。
そしてテルディアスの故郷を後にし、またいろいろあって、東の果ての都に辿り着いた。

「あそこは…まあ…」
「うん、まあね」

キーナもメリンダも歯切れが悪い。

「そしてすぐに森に入って~…」

誤魔化した。

「そういえば、おかしな木の家に住む女の人がいたね」
「ああ、あの人ね。どうしてあんな辺鄙なところに住んでたのかしら?」

二人が首を傾げる。
テルディアスの顔が少し曇っているのはそっとしておいてあげよう。

「風の、賢者」

ダンが呟いた。

「え?」
「ええ?」
「はい?」

キーナ、メリンダ、サーガがダンの顔を見る。テルディアスも驚いたようにダンを見つめた。

「風の賢者。時折物資運んでた」

衝撃の事実。

「いや、賢者って、そんな、簡単に会えるものか?」

サーガが疑問を口に出す。
いや、ただ一人火の賢者と呼ばれる者だけはミドル王国で謁見の申し込みをすれば会えることはあるよ?
だがしかし、その他の3賢者は居所が知れていない。

「賢者とは…」

テルディアス、何故頭を抱えるのか…。
まあ、テルディアスが知っている賢者の一人は女たらし、新たに賢者と知った者は己を襲おうとして来た者(下ネタ的に)…。無理もないか。

「知れる、うるさい、森の中、静」

居所が知れるといろいろうるさいので、森の中で静に暮らしているのだそうだ。確かに、出会った時も何かの実験をしていたようだった。

「まあ、師匠もいろいろ客が来てうるさがってはいたな…」

火の賢者と呼ばれていたレオナルド・ラオシャス。この人の所にも実は会いたいとひっきりなしに人が訪れていた。
しかしそこは王宮という場所と立場を利用して、殆どをお断りしていたのだった。
のわりには街に出て遊んでいたようだが…。
考えないでおこう。

森の中だけでは物資が足りなくなるので、時折地の一族が行商などに回っていたらしい。
あの看板はその為だったのかと4人は納得したのだった。

「そして、ダンに会ったんだよね!」

頷くダン。

「俺はまたしても襲われたがな」

根に持っているのだろうか。
しかし考えてみると、サーガにも出会い頭に剣を抜かれ、メリンダにも炎で焼かれそうになり、ダンにも鉈で頭をかち割られそうになったのだ。
改めて魔女への憎しみが湧き出すテルディアス。どうどう。

「まあでも、すぐに引っ込めてくれたじゃない」

キーナが慰める。
助けようとした子供が反対にダーディンを庇い始めたので、ダンは訳が分からなくなったのだった。ついでにやって来たメリンダとサーガにも驚いた。

「…!」

ダンがテルディアスに頭を下げる。

「いや、もういい」

もう諦めている。いろいろ。
なにせ初見で信じてくれたのはキーナだけだ。
信じてくれないことが当たり前になってしまっている。
改めて魔女への憎しみが…。

「まあまあ、テル」

キーナが慰める。

「でも、ダンが加わってくれたのは、かなり有り難いわね」
「そうだよね」

メリンダとキーナが頷き合う。
それまでの旅路とは打って変わって快適な旅路。なにせ野宿もへいへいのちゃらちゃらだ。
毎日温かくて美味しい物が食べられて、寝る時もふっわふわのベッド。お風呂にも入れてトイレも完備。なんという贅沢。

「「野宿じゃない…」」

男達の呟きは聞こえなかったことにされたようだ。

「宝玉4つ揃えたら、テルは元の姿に戻れるんだよね!」
「ああ、そう聞いてはいる…」

本当に元の姿に戻れるのだろうか。しかし確かに宝玉からは凄い力を感じる。
あと1つ。あと1つを手に入れたら、元の姿に戻れるかも知れないのだ。
そして、その時は多分、近い。

「ちょっと楽しみだな~テルの人間姿」
「化粧したのとはやっぱり違うのよね?」

あーだこーだと話し合う女性達。

「んなことは別にどーでもいーんだが…」

ぼそりと呟き、キーナをちらりと見るサーガ。
この少女が自分の幸せの鍵を握っているはずなのだが、いまだに何の進展もない。メリンダとの進展はありすぎるほどにあるのだが。
そして、テルディアスが元に戻ったら、その先はどうなるのだろうともちょっと思う。

テルディアスもサーガと同じように、元の姿に戻ったらどうなるのかと思う。

(元の姿に戻ったら…)

一抹の不安を残しつつも、やはり元の姿の戻りたいと願うのだった。












就寝後、仄かな明かりが灯る中、キーナもベッドの中で考える。

(テルが元の姿に戻ったら…。もう一緒に旅は出来なくなっちゃうのかな…)

テルディアスが元の姿に戻るのはやはりキーナも嬉しい。しかし、その先は?
キーナは頭を振って、その先は考えないようにした。
今から不安がっていてもしょうがないのだ。
まだ風の宝玉は手に入れていないのだから。





しかし、その時は近いのかも知れない・・。
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