キーナの魔法

小笠原慎二

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闇の宮編

閑話~苦手関係~

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テルディアスが苦手な人物。
まずは女。とりあえず女性全般には苦手意識が働く。特にメリンダのような女性らしくて強気な女は余計に苦手だ。

ならばキーナも苦手か?と言われれば、そうではない。
まず、キーナは女性らしさ、というものがほぼ全く欠けている。
その行動はまさに子供。見た目も少年。テルディアスも助けた時には少年だと思っていた。
しかし水に濡れた衣服が示すその体の膨らみやらなんやらで、辛うじて女だと認識したのだった。
ひどい。

時折ドキッとさせられることはあるものの、すでにキーナはテルディアスにとって保護対象と認識してしまっているので、苦手という意識そのものが何処かへ飛んで行ってしまっている。

次にサーガのような軽薄な男。堅物の彼にとってサーガは理解しがたい者だった。
その行動も、その考えも。
自分とはまさに正反対の人物。故にサーガとはよく反発しあう。

ダンのような寡黙な男は嫌いではない。どことなく女性に怯えているような素振りは見せているものの、媚びへつらうわけではない。サーガのように下半身脳丸出しのような考えでもない。
故にダンにはそこそこ好意は抱いていた。恋愛の方ではなくて友情の方である。腐らせないで下さい。

しかし、ピロキン騒動の時に、酔ったダンに追いかけられてからというものの、若干ダンが苦手になっている。
ダンが言うには、彼は女性恐怖症であり、特にメリンダのような女性は怖いのだそうだ。
かろうじてキーナは大丈夫なのであるが、それはテルディアスと同じように女性を感じられないからでもあり、子供にしか見えないからでもあるらしい。
それと、ダンは強い男性に憧れを抱いていた。ダンは体はでかいのに気は小さい。父親のような強い男になるのが夢なのだそうだが、如何せん性格はそう簡単には治らない。
故にテルディアスはまさにダンの理想像そのものらしい。
なので、あの時酔った勢いでテルディアスを追いかけ回したのは、追いかけたい対象となる女性がおらず、憧れが度を超して表に出てしまったのだ、ということらしかった。

理屈は理解した。だがしかし、自分よりもガタイのいい大男に追いかけ回されるというのはちょっと、少し、かなり恐怖心を煽られるものであったので…。
ダンと2人きりになるのはやはり警戒してしまうのであった。










ダンは女性恐怖症である。
つまり女性全般苦手であり、怖い。
地の一族は女性が強い一族であり、気の小さいダンは幼い頃から女性が苦手であった。

ダンの母は幼い頃に父を亡くしたダンの気が小さいことを心配していた。ダンは村長だった父の跡を継ぎ、次の村長にならなければならない。(父亡き後はダンの母がとりあえず村長を務めている)
なので、ダンの母は荒療治を試みることにした。

彼が15を迎えた年、「お前もいい年だから、女の1つも知っておきな」と誕生日プレゼントとばかりに彼に女をあてがった。
小さな村だ。皆が皆の事を知っているような村だ。
ダンの相手に選ばれた女も、ダンがよく知っている馴染みの女だった。

ここで1つ注釈を入れておこう。
地の力とは、生命の誕生、命を司る力でもある。そのせいかなんなのか、地の一族の女性は男よりも性欲が強い。男達が村を離れて出稼ぎに行くのは単に稼ぎに行く街が遠い、ということもあるが、少し女性から離れて休みたい、という気持ちがあるとかなんとか…。
つまり、まあ、女性がとても元気なのである。

そんなところへ放り込まれた純情少年ダン。
翌朝、げっそりと搾り取られた顔をしたダンを見て、母は自分がちょっと間違えたかも知れないと冷や汗を垂らしたとか…。
その母の危惧した通り、ダンは余計に女性を怖がるようになってしまい、母は余計に頭を悩ませることになってしまったのだった。

というわけで、女性が怖いダン。特にメリンダのようなボンキュッボンで強気な女性は苦手である。
料理を手伝うと言われて最初はオドオドしていたものの、メリンダは地の一族の女性達のような横暴な振る舞いはしなかった。(メリンダは姉御肌ではあるが、面倒見の良い優しい性格なのですよ)
なので、相変わらず女性は苦手ではあるものの、村を離れ、今までと少し毛色の違う女性と接する事により、ダンは少しずつであるが恐怖症が和らいで来ていたりする。
このまま完治とまでは…まだまだいかないようではあるが。












サーガが苦手なのはお堅い男である。
今までであれば一番は「テルディアス!」と答えたであろうが、近頃仲間になったダンに、サーガは苦手意識を覚えていた。
コミュニケーション能力が一番高いであろう此奴が珍しいことである。

テルディアスも苦手な部類ではある。
男なのに「女はいらん」とかアホなことをほざくし、その割にはキーナのこととなると前後不覚になる。しっかりキーナの肌を見て顔を赤くしているくせに、「女など…」である。
サーガにとってテルディアスの頭の中身は理解不能だ。

しかし、それの上を行くのがダンである。
テルディアスはまだつつけば埃、ではなく反応がある。特にキーナの事に関しては如実に。
しかしダンは、話しかけても首を振る、またはカタコトで返してくる。表情もテルディアスに輪をかけた無表情。はっきり言って読めない。
キーナがその乏しい表情を何故かサーガよりもハッキリと読み取っているのがとても不思議であった。

今までに出会った人達は、ポンと言えばポンと返してくるのが普通で、ここまで反応が薄いのは初めて出会った。読み取ろうにも無表情なうえ、地の力を持っているせいなのか、なんとなくいろいろ読みにくい。
そして極めつけはピロキン騒動でテルディアスを追いかけ回していたこと。

ダンは女性恐怖症でテルディアスが憧れの対象だったから、と弁明していたが、それでなくとも男を追いかけ回すと言うことは、少なからずそういう気持ちがあったのではないか、とサーガは思っている。

サーガは女性が大好きなのであって、男は趣味ではない。
なので余計にダンが苦手になったのであった。
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