キーナの魔法

小笠原慎二

文字の大きさ
223 / 296
シゲール襲来編

兆し

しおりを挟む
朝、テルディアスはいろいろ気持ちの整理をつけたようで、少し張り切っている様子だった。
まあぽんやりしていなければどうでも言い気がする。
街へ向かう道すがら、「慣れる為」とキーナがテルディアスに恋人繋ぎを提案。なんだか2人共ギクシャクしている気がする。
ダンはとにかく事が良い方向へ進んでいそうなのでキーナ達のことは置いておくことにした。問題はメリンダの方だ。
2人の後を歩いていると、のほほんとした声が聞こえてくる。

「テル、ごめんね」
「何が?」
「その、恋人役にしちゃったこと」

ダンはそれを聞いて首を傾げる。何故謝る必要があるのか。
テルディアスも首を傾げているようだ。

「だってさ、恋人って好きな人同士がなるものでしょ?」

ますます訳が分からない。ダンは耳をそばだてる。

「好きでもないのにこんな役やって、テル、迷惑じゃない?」

迷惑どころか嬉しさで舞い上がっているようにしか見えなかったのだが。
ダンは目をぱちくりさせながら2人の様子を見る。

「め、迷惑、ではないぞ…」

心なしか、テルディアスの声に失望の色が混ざっている気がする。後ろ姿なうえにフードとマントを羽織っているのではっきりとは分からない。

「だったらいいけど。この街にいる間・・・・・・・だけ・・のことだから、少しの間だけどよろしくね」
「…ああ…」

テルディアスの声にあからさまにガッカリ感が出ている。
無表情と名高いダンも、思わず口元を抑えた。

(ここまであからさまなのに、キーナは分かっていないのか…)

心の中では文章を喋れるダン君。
恋愛には疎いと自他共に認めるダンでさえ、テルディアスの想いには気付いていた。
自分を越える鈍さを備えたキーナにまさに驚愕。
さすがにテルディアスが可哀相すぎて、哀れみの視線を向けてしまった。
しかしテルディアスは背を向けているので気付いてはいなかった。














朝よりもなんだか元気がなくなったテルディアスと、いつもと変わらないキーナと見送って、ダンはいつものように迷いに迷いながら食材を買い込む。
無駄になるかもしれないと溜息を吐きつつ、心なし重くなった足を向ける。
いつものように森の中に入り、いつものように目隠しの壁を潜り抜け、いつものように地の結界を通り、いつものように風の結界をすり抜けた。

「あーう」
「そうそう。はい、あーん」

今までとは違った声が聞こえてきた。
メリンダの声のようだったが、唸り声ではない。
ダンが足を早めてサーガの元へ向かうと、焚き火の前でメリンダにご飯を食べさせるサーガの姿があった。

「よっ」

サーガが振り向いて挨拶をする。

「ふぇ…」
「あ~あ~、大丈夫大丈夫。怖くないよ~。大丈夫だよ~」

まるで赤子をあやすかのように、サーガがメリンダの頭を撫でる。

「おい、立ってねえでしゃがめ! 姐さんが怖がる!」

ダンが慌てて身を屈めた。四つん這いでサーガに近づく。

「ほ~れ、怖くないだろ~? 大丈夫でちゅよ~」
「あー?」

メリンダがまるで赤子のような反応をしている。
ダンはメリンダとサーガを交互に見つめた。はっきり言って状況が全く分からない。

「とりあえずそこで縮こまってろ。もうすぐ姐さんの飯が終わる」

言われたとおりにダンは縮こまって、メリンダが食べ終えるのを待った。

「よ~しよし、よく食べたな~。美味かったろ~?」
「あ~」

メリンダが幼子のような屈託のない笑顔をサーガに向けている。唖然としているダン。

「よ~し、お腹が膨れたら眠くなったろ~? お兄さんが子守唄歌ってやるから、ちょっと早いがお昼寝してようか~」

メリンダが言われている事が分からないのか、サーガの顔を不思議そうに見上げた。
サーガが優しくメリンダの頭を撫でる。
そして歌い出した。









「おい! おい! なんでてめえも寝てんだよ!」

肩を揺さぶられ、ダンがはっと目を覚ました。
慌てて姿勢を正す。見れば、メリンダの姿がない。キョロキョロしていると、

「姐さんは小屋の中に寝かして来たよ」

呆れたようにサーガが言った。
サーガが腰を下ろし、報告会を始める。
ダンはキーナ達の事をどう話したら良いのか、説明に困った。

「カツラ、つけた、人気、なった。テルディアス、怒った。恋人、やる。機嫌、治った。落ち込んだ」
「お前、報告する気あんのか?」

さすがに全く状況が分からない。
その後もなんとか状況を掴もうとサーガが質問するも、ダンは余計に言葉を詰まらせてしまい、余計に分からなくなってしまったのだった。

「もういい。とにかく大丈夫そうではあるんだな?」

ダンがこくこくと頷く。もう、はいかいいえで答えた方が早いかもしれない。
詳細を知ることは諦め、とにかく問題が起こってなければいいかとサーガは投げた。なにせサーガはメリンダのことで手一杯だ。あちらはテルディアスに任せるしかない。

「んでまあ、姐さんのことだが…」

サーガがう~んと唸る。

「俺も良く分からんが、朝起きたらああなってた」

簡潔に説明した。
ダンが微妙な目を向ける。

「仕方ねえだろ。俺にもさっぱりなんだから」

とりあえず状況を説明し出す。










朝、メリンダが起きる気配がしたので近寄ってみた。すると、

「あー?」

今までと違う反応が聞こえてくる。
恐る恐る中を覗いてみた。
メリンダと目が合った。
すると、みるみるメリンダの目に涙が溜まり、

「あーーーーーーーーーーん」

泣き出した。

「えええええ…」

今までと全く違う反応にサーガも困る。
どうすれば良いのかと焦って、剥いたばかりの果物を皿に載せてメリンダに見せた。

「ほら~、果物だぜ~? 食べな~い?」

とにかく何か食べてくれれば…と出したのだが、果物を目にし、メリンダが少し泣き止んだ。

「う~?」

メリンダが不思議そうに果物を見つめる。

「美味いぜ~? ほれ。んぐんぐ。あー美味し」

サーガが殊更美味そうに果物を頬張った。
それを見て興味を惹かれたように、メリンダが果物に手を伸ばした。一つ掴んで口に運ぶ。
そして、食べた。
サーガの目が驚きに見開かれた。
一つ食べ終わると気に入ったのか、もう一つと手を伸ばして来た。

「おお、おお! どうぞどうぞ! お好きに食べて!」

皿に盛っていた果物を、メリンダはペロリと平らげた。
サーガは嬉しさのあまり叫び出したがったが、メリンダが目の前にいるので我慢する。
ただ、小さくガッツポーズを何度もしていた。

「あーう」

もっととでも言うように皿に手を乗せ、サーガを見つめるメリンダ。その瞳にはハッキリとサーガを映している。

「あ、ああ! もっと食いたいのか?! よしよし、もっと持ってくるぜ!」

サーガが外に飛び出す。
果物を手に取り、急いで皮を剥いていると、メリンダが四つん這いでのそのそと小屋から出て来た。

「ね、姐さん?」
「あー。あー」

一定の距離以上は縛ってあるので進めない。

「姐さん、それ以上はちょっと…」
「う・・・」
「う…?」
「ああーーーーーーん」
「分かった分かった!」

サーガは腰の縄以外は解いてやり、腰の縄もサーガ手に持ってそこそこ自由にうごけるようにしてやった。
動けるようになったメリンダは果物を頬張り、お粥に興味を示した。なのでそれも少し温めて、サーガが食べさせてやっていたのだった。

「てなところだよ。俺だって訳が分からないんだから」

突然赤子のようになってしまったメリンダ。これも闇の力の後遺症なのだろうか?

「まあ、食ってくれるようにはなったから、良かった、のかな?」

サーガが嬉しそうに笑った。
















メリンダが寝ている間にサーガを休ませる。
いつもより穏やかな顔をして寝ている気がした。ずっと気が張っていたのだ、無理もないだろう。
ダンもやはり少し明るい兆しが見えたせいか、いつもよりも炊事洗濯掃除を張り切った。

「いや、作りすぎじゃね?」

張り切りすぎたようで、料理を作りすぎた。眼を覚ましたサーガに突っ込まれた。
なにせやっとメリンダが食べるようになってくれたので…。
一部はお持ち帰りすることになった。

サーガが目を覚ましてすぐにメリンダも目覚めた。
ダンが少し様子を見ていると、赤子のようになってしまってはいるが、食欲はあるようだ。
良かったと胸を撫で下ろす。しかしダンが怖いのか、メリンダが少し怯えたような目を向けるのがちょっと傷ついた。
帰る時もできるだけ低姿勢を保ってその場を離れた。

「キーナ達によろしく!」

サーガが明るい笑顔を向けて手を振った。















足取り軽く仮宿へ帰り、いつもより張り切って掃除を済ませる。
そして夕食の準備だが、今日はサーガの所で作りすぎてしまった物を温めるのと少し作るだけだ。
なんだか嬉しくて体が軽いのに、やることがないと残念だ。
ふと思い、ダンが適当な木を拾って来てなにやら削り始めた。何かを作るようだ。
そうこうしているうちに、キーナ達が帰って来た。

「ただいま~ダン!」

いつも通りに元気なキーナ。手を繋いできたのかテルディアスと並んでいる。
なんとなくテルディアスがまたぽんやりしているように見えるのは気のせいだろうか。
作っていた物を脇に置き、夕飯の準備を始める。

「なんか今日豪勢?」

キーナが準備された食事を見て首を傾げた。
一見無表情だが、よく見ればどことなく嬉しそうなダンが頷いた。

「メリンダ、少し、良くなった」
「本当?!」

キーナが飛び上がって喜ぶ。

「お見舞いに行けそう?!」

目を輝かせてダンに問うが、そこは首を横に振らざるを得ない。

「そっか…」

キーナが肩を落とした。

「せっかくなら明日のデートで行こうかと思ったのに…」

なんだか耳慣れない言葉が聞こえ、ダンがキーナを見た。
しかしキーナはそんな視線に気付かずに、食事の仕度を手伝う。
食事が始まると、やはりどこかぽんやりしているように見えるテルディアス。いや、ソワソワしている?
キーナが尋ねてくるので、メリンダの様子を話す。と言ってもダンである。

「元気になったの?」

首を傾げる。あの状態を元気になったと言えるのだろうか。

「飯、食うようになった」
「ご飯は食べられるのね」

今まで全く食べなかったのだ。大きな進歩である。

「早く会いたいなぁ…」

キーナが少し遠い目をする。
思い返してみれば、キーナは攫われた時以降、まともにメリンダの姿を見ていない。これだけ離れているのも初めてのことだ。
キーナにとってはメリンダは頼りになるお姉さんだ。テルディアスでは埋められない不安を埋めてくれる人なのだろう。
次はキーナ達の報告なのだが、

「んとね、明日デートすることになったの」

なにがどうしてそうなった。

テルディアスがどことなくソワソワしているのはそれが原因なのだろう。
とにかく順を追って説明を求める。













お店では交代で休みがある。キーナも休まなければならないのだが、暇になると嫌なことを考えてしまう、と働かせて貰っていた。この世界ではそこまで労働基準法がしっかりしているわけではないので連勤しても誰も文句を言わない。
しかしやはり従業員は定期的に休ませなければと、責任者のミラが休むことを命令。

「せっかくだから、デートでもしてきたら?」

となったらしい。
これに同僚のレイファとチナが同意。

「2人の仲の良さを街中に見せつけて来なさい!」

となったのだそうな。
というわけで、明日急遽お休みを貰い、テルディアスとデートすることになったのである。
で、迎えに来たテルディアスにそのことを話すと、この状態になったのだそうな。

「ただね、問題があるの…」

そのキーナの言葉に、テルディアスもこくりと頷いた。

「2人共、デートというものがどういうものか分からなくて…」

組んだ手の上に顎を乗せ、キーナが真剣な表情で呟く。
帰り道、デートについて話しをして来たのだが、2人共そういう経験は全くない。そして知識もない。
テルディアスがどことなくソワソワしているのはキーナとデート出来る、ということが嬉しいのだろう。しかし昨日よりぽんやりしていないのは、やはりデートというものがよく分からないからなのだろう。
始終一緒にいるのだ、今更デートも何もないだろう。

と、そういうことは置いといて。明日は見せつける為にも街中でいちゃいちゃしなければならないのだ。
いちゃいちゃ…。出来るのかこの2人?
ダンも考える。しかし、ダンもそういう経験は乏しい。
う~んと3人で頭を付き合わせて考えるも、そのデートとはいかなるものなのかよく分からない。
そこでダンがふと思いつく。丁度作り始めたあれに、とある材料が必要なので2人に買ってきてもらえば良いのでは?と。
少し珍しい物なのでどこに店があるのかダンには分からない。多分街中にそれ用の店はあると思うのだが、今まで食材関連の店しか見ていないので探し回らなければならないと思っていた所である。
で、それを提案してみた。

「買い物か。いいね!」

デートと聞いてキーナが思い浮かべていた物は、映画館や遊園地。しかしこの世界にそんなものは存在しない。それ以外に何があると思っていたが、買い物だったらデートになり得るのではないかと思う。多分。

「そうしよう」

他に何も思い浮かばないテルディアスも賛成した。
ということで、2人は明日デートという名目の買い物をすることになったのだった。
いや、デートだよね?










キーナが風呂に入っている間に、2人はメリンダの様子について話す。

「メリンダ…、赤子みたいになった」
「赤子?」

テルディアスが首を傾げる。
辿々しく話すダンの言葉を、テルディアスは我慢強く聞く。
ダンは話したいことは頭の中にあるのだが、それを言葉にするのが下手なだけだ。落ち着いて時間をかければそこそこ分かる言葉になる。

しかし風の気質のサーガは少しせっかちなので、そんなダンの言葉を待っていられず、早く話せとダンを追い立てる。そうなると余計に緊張してしまい、ダンは言葉が出なくなってしまう。悪循環。

テルディアスはダンの気質を理解しているのか、辛抱強くダンの言葉を待ってくれる。なのでダンも幾分落ち着いて話しをすることが出来た。

「赤ん坊返りか? 闇の力の後遺症か?」

テルディアスも同じような結論に辿り着いたようだ。

「なんにせよ、良い兆しが見えたのは僥倖だ。ダン、すまんがこれからも頼むぞ」

ダンが頷く。

「しかし…、赤ん坊から、成長するのか?」

もしメリンダが赤子のままの状態で回復しなかったら…。
いやいや結論を出すのはまだ早いと、2人は首を振った。









今日も今日とてベッドに潜り込むと、枕元に置いてある火の宝玉にキーナは祈る。

(メリンダさん。早く良くなってね。メリンダさんとまたいっぱいお話ししたいよ…)

そしてキーナの意識は微睡みの中へ落ちて行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...