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黒い穴編
噂話
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キーナはふと目が覚めた。
よくあることだ。特に気にはしない。
これでダンの作った地下宿であるならば、皆の寝息を聞きながら再び眠りに落ちるところであったのだが…。
今夜は久々の宿だった。メリンダともベッドは別になっている。
横を見れば、メリンダもベッドでぐっすりと眠り込んでいる。メリンダの寝息がすうすうと聞こえてくる。それだけでも大丈夫だったのだが…。
やはりなんとなく物足りない。キーナはそっとベッドから抜け出した。
扉を開けて、テルディアスの部屋の前へとやって来る。扉に手を掛けると、普通に開いた。結界が張ってあるはずなのに、キーナはそれも素通りしてしまう。
テルディアスが悲鳴を上げるのも分かる気がする。
もぞもぞと何の躊躇いもなくテルディアスの横に入って行く。
少しは躊躇え。
これまでのようにテルディアスに寄り添い、その温かさを堪能する。
(なんだかこういうのも久しぶりだな)
実際にそうだった。地の一族の村を発ってからというもの、ずっとダンの作る地下宿で過ごしていたのだ。
地下宿では皆一緒の空間で寝るので、キーナも特に不安に思うことなく眠れていた。夜中に目覚めても、向かいにテルディアスが寝ているのだ。移動せずとも安心出来た。
そこでキーナ、ふと気付いた。
(風の宝玉を手に入れたら、テルはいなくなっちゃう?)
風の宝玉を手に入れたら、テルディアスは元の姿に戻る。となればもうテルディアスに旅を続ける理由は無い。
(つまり、そこでお別れ?)
キーナは不安に襲われる。この世界に来てからほぼずっと一緒にいてくれた人がいなくなる…。これだけ側にいて安心出来る人も他にいない。
キーナは額をテルディアスの腕に押しつけた。この温もりがなくなってしまう…。
(僕が旅をする理由は…)
対となる相手、闇の御子を探す為だ。まだそれらしき人は見つかっていない。
どこかにいるだろうことは確信がある。だがどこにいるのか御子のくせにさっぱり分からない。
(御子なのに、探す力もないのかな…)
そもそも、キーナは本当に御子なのだろうか…。闇の宮を訪れてから、ふと湧いた疑問が頭を過ぎる。次に現れるのは「男」御子らしいのだが、キーナはれっきとした女の子である。
1度不安に思うと次から次へと不安なことが湧いてくる。
キーナは本当に御子なのか?
ならば何故光の力をきちんと使えない?
そも何故男と言われていたものが女になっているのか?
その疑問も「あの人」に出会えれば全て分かるはず、なのだが肝心の「あの人」がどこにいるのやも分からない。
いや、もしもその「あの人」が、闇の魔女であったなら…。
最初に出会ったあの女が本当の闇の御子だったなら…。
あの女が闇の御子であっても不思議はないのだ。次代の闇の御子は女性であるという条件はクリアしている。そして御子と覚しき力も持っている。
では何故あの女は光の御子を探そうとはしていなかったのだろう?
御子ならば記憶も受け継ぐはずなので、自分のやるべきことは分かっているはずだ。しかしそんな風には見えなかった。ただ自分が面白いと思うことだけしていたように見えた。
そしてキーナは、彼女に何も感じなかった。
まだきちんと目覚めていなかったからなのだろうか?それともキーナが偽物だったから…?
(僕がもし偽物だったとしても、どうしてわざわざ異世界から偽物を召喚する必要があるの?)
分からない事が増えていく。
余計な事を考えすぎてしまったようで、なんだか目が冴えて来てしまった。
(1度、闇の魔女についてしっかり調べないといけないかもしれない…)
闇の魔女のことならば、きっとミドル王国のおじいさんが詳しいだろう。何れ機を見て訪れようと思った。
もしかしたら、テルディアスが元の姿に戻ったら、そこまでは一緒に行けるかもしれない。とすれば、それまでは一緒にいられるかもしてない。
ちょっとだけ希望の光が灯った。
(寝なきゃ。明日もいっぱい歩くんだし…)
キーナはテルディアスに余計に体をひっつけて、目を瞑った。
テルディアスの寝息を聞いているうちに、いつしか眠りに落ちていた。
翌朝、久しぶりにテルディアスの悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。
「これからも時々宿に泊まった方がいいと思うんだけど」
「「「え?」」」
3人の声が重なった。
ダンは顔を向けただけだった。
「いや、なんというか、テルとサーガが時々普通の野宿をする意味が分かった気がするから…」
テルディアスとサーガの顔がなるほど、というようになるが、その表情は対照的だった。
「いや、俺は反対だ」
今朝も久々にキーナにベッドに忍び込まれて悲鳴を上げたテルディアスは反対の声を上げた。理由はさもありなん。
「あたしはいいと思うわ」
メリンダはまた宿に泊まる口実を探していたので渡りに船。キーナの意見に賛成する。
「俺もいいと思う」
サーガもまた、メリンダの訓練、そしていろいろ発散させるためにも偶には宿に泊まりたいと思っていた。
ダンは、何か自分がいけなかったのだろうかと涙目になっている。
キーナがダンの表情に気付いて慌てて弁明をする。
「ダンのせいじゃないんだよ。その、ね、あまりに良い環境に身を置きすぎるのも…、まずいんだなということがなんとなく分かったというか…」
時代に置き換えれば、昭和の初めの頃に令和の技術を持ってきたというところだろうか。ダンのお宿は快適すぎるのだ。だがしかし、世間一般は昭和の技術。慣れすぎると後には戻れない。
「ダンの宿は快適過ぎるの。でもほら、普通はそうじゃないでしょ? 普通じゃないことに慣れ過ぎると、後で支障が出そうな気がするから」
その説明でダンもなんとなく納得出来たらしい。頷いた。
「いやしかし、その方が節約出来て良いのではないのか?」
「別にいいじゃない。あんたのおかげで今は余裕があるんだし」
テルディアスがぐっと黙り込む。こんな所でそんなことになるとは。巻き上げすぎたかと少し後悔した。
「うん、いんじゃね? 俺も時々泊まりたいなと思ってたし」
ということで、賛成4、反対1で可決になりましたとさ。
テルディアスはその後もしばらく苦い顔をしていた。
いくつめかの村や街を通り過ぎた頃、サーガが可笑しな噂を拾って来た。
少し閑散とし始めた朝食の席でのこと、
「なんか変な話を聞いたぜ」
と切り出してきた。
昨夜も「宿に泊まる日」だったので、今朝も相変わらずテルディアスの悲鳴が響き渡った。
最初は驚いていたダンもいろいろ察したのか既に慣れたようだった。周りのお客さんには迷惑だろうが。
昨夜もいろいろあった後に、ふらりと酒場に行ったサーガ。寝しなに一杯引っ掛けるつもりで軽く腰を下ろした。
そこにその話が聞こえて来たのだそう。
「なんでも、ここより北の方にある村で、変な穴が出来てそれが日に日にでかくなってるんだと」
「穴?」
メリンダが聞き返した。
穴と言われて思い浮かべたのは、地面に開いた丸い穴。それが大きくなっていく、となると蟻地獄のように周りが崩れていっているのだろうかと考える。
「その穴ってのがさ、空中にあるんだと」
「え? 穴が浮かんでるの?」
「穴なのに浮かんでるってのもなんか変だけどな。最初はこんくらいの小さな穴だったらしい」
とサーガが両手で丸を作る。
「それが今は大きくなって、村を飲み込むほどになったとか」
「え? 穴が村を?」
「らしいぜ。だからそっちの方面は通行止めになってるんだと」
ついでとばかりに地図を広げた。すっかりサーガがナビ役になっている。
「ここから本当は北に向かった方が近道っぽいんだけど、そっちは通行止めになってるから南に1度向かわなきゃならんかも」
と指で指し示した。
「ううん。行こう、そこ」
キーナが口出ししてきた。
「あ? 通行止めされてるって話だぜ?」
「行こう。なんとしても」
キーナの顔が珍しく真剣だ。これはただ事ではないとサーガも察する。
「キーナ? 何故そんなに行きたがる」
テルディアスが一応止めてみる。止まらないことは分かってはいたが。
「なんとなく。話聞いてて思った。これ、僕の仕事だ」
キーナの目に常とは違う光が灯っていることにテルディアスも気付いた。仕事《・・》とは御子の役割のことを言っているのだろう。
「分かった…」
これは絶対に止まらない。テルディアスはキーナが暴走しないように見張ることにする。
「その穴ってのは大層危険なものらしいぜ。試しに色んなものを投げ込んでみたが、何を入れても戻ってこない。入れた物を取り出そうとして人が腕を入れたら、入れた分だけ腕が消えたらしい。さすがに入るような猛者はいなかったらしいが」
何もかもを取り込んでしまう不思議な穴。
もしかしたらこれもはぐれ闇の仕業なのかもしれないとテルディアス達は思った。ならばキーナが反応するのも納得がいく。
目的地をその村に定め、キーナ達一行は早々とその街を後にしたのだった。
よくあることだ。特に気にはしない。
これでダンの作った地下宿であるならば、皆の寝息を聞きながら再び眠りに落ちるところであったのだが…。
今夜は久々の宿だった。メリンダともベッドは別になっている。
横を見れば、メリンダもベッドでぐっすりと眠り込んでいる。メリンダの寝息がすうすうと聞こえてくる。それだけでも大丈夫だったのだが…。
やはりなんとなく物足りない。キーナはそっとベッドから抜け出した。
扉を開けて、テルディアスの部屋の前へとやって来る。扉に手を掛けると、普通に開いた。結界が張ってあるはずなのに、キーナはそれも素通りしてしまう。
テルディアスが悲鳴を上げるのも分かる気がする。
もぞもぞと何の躊躇いもなくテルディアスの横に入って行く。
少しは躊躇え。
これまでのようにテルディアスに寄り添い、その温かさを堪能する。
(なんだかこういうのも久しぶりだな)
実際にそうだった。地の一族の村を発ってからというもの、ずっとダンの作る地下宿で過ごしていたのだ。
地下宿では皆一緒の空間で寝るので、キーナも特に不安に思うことなく眠れていた。夜中に目覚めても、向かいにテルディアスが寝ているのだ。移動せずとも安心出来た。
そこでキーナ、ふと気付いた。
(風の宝玉を手に入れたら、テルはいなくなっちゃう?)
風の宝玉を手に入れたら、テルディアスは元の姿に戻る。となればもうテルディアスに旅を続ける理由は無い。
(つまり、そこでお別れ?)
キーナは不安に襲われる。この世界に来てからほぼずっと一緒にいてくれた人がいなくなる…。これだけ側にいて安心出来る人も他にいない。
キーナは額をテルディアスの腕に押しつけた。この温もりがなくなってしまう…。
(僕が旅をする理由は…)
対となる相手、闇の御子を探す為だ。まだそれらしき人は見つかっていない。
どこかにいるだろうことは確信がある。だがどこにいるのか御子のくせにさっぱり分からない。
(御子なのに、探す力もないのかな…)
そもそも、キーナは本当に御子なのだろうか…。闇の宮を訪れてから、ふと湧いた疑問が頭を過ぎる。次に現れるのは「男」御子らしいのだが、キーナはれっきとした女の子である。
1度不安に思うと次から次へと不安なことが湧いてくる。
キーナは本当に御子なのか?
ならば何故光の力をきちんと使えない?
そも何故男と言われていたものが女になっているのか?
その疑問も「あの人」に出会えれば全て分かるはず、なのだが肝心の「あの人」がどこにいるのやも分からない。
いや、もしもその「あの人」が、闇の魔女であったなら…。
最初に出会ったあの女が本当の闇の御子だったなら…。
あの女が闇の御子であっても不思議はないのだ。次代の闇の御子は女性であるという条件はクリアしている。そして御子と覚しき力も持っている。
では何故あの女は光の御子を探そうとはしていなかったのだろう?
御子ならば記憶も受け継ぐはずなので、自分のやるべきことは分かっているはずだ。しかしそんな風には見えなかった。ただ自分が面白いと思うことだけしていたように見えた。
そしてキーナは、彼女に何も感じなかった。
まだきちんと目覚めていなかったからなのだろうか?それともキーナが偽物だったから…?
(僕がもし偽物だったとしても、どうしてわざわざ異世界から偽物を召喚する必要があるの?)
分からない事が増えていく。
余計な事を考えすぎてしまったようで、なんだか目が冴えて来てしまった。
(1度、闇の魔女についてしっかり調べないといけないかもしれない…)
闇の魔女のことならば、きっとミドル王国のおじいさんが詳しいだろう。何れ機を見て訪れようと思った。
もしかしたら、テルディアスが元の姿に戻ったら、そこまでは一緒に行けるかもしれない。とすれば、それまでは一緒にいられるかもしてない。
ちょっとだけ希望の光が灯った。
(寝なきゃ。明日もいっぱい歩くんだし…)
キーナはテルディアスに余計に体をひっつけて、目を瞑った。
テルディアスの寝息を聞いているうちに、いつしか眠りに落ちていた。
翌朝、久しぶりにテルディアスの悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。
「これからも時々宿に泊まった方がいいと思うんだけど」
「「「え?」」」
3人の声が重なった。
ダンは顔を向けただけだった。
「いや、なんというか、テルとサーガが時々普通の野宿をする意味が分かった気がするから…」
テルディアスとサーガの顔がなるほど、というようになるが、その表情は対照的だった。
「いや、俺は反対だ」
今朝も久々にキーナにベッドに忍び込まれて悲鳴を上げたテルディアスは反対の声を上げた。理由はさもありなん。
「あたしはいいと思うわ」
メリンダはまた宿に泊まる口実を探していたので渡りに船。キーナの意見に賛成する。
「俺もいいと思う」
サーガもまた、メリンダの訓練、そしていろいろ発散させるためにも偶には宿に泊まりたいと思っていた。
ダンは、何か自分がいけなかったのだろうかと涙目になっている。
キーナがダンの表情に気付いて慌てて弁明をする。
「ダンのせいじゃないんだよ。その、ね、あまりに良い環境に身を置きすぎるのも…、まずいんだなということがなんとなく分かったというか…」
時代に置き換えれば、昭和の初めの頃に令和の技術を持ってきたというところだろうか。ダンのお宿は快適すぎるのだ。だがしかし、世間一般は昭和の技術。慣れすぎると後には戻れない。
「ダンの宿は快適過ぎるの。でもほら、普通はそうじゃないでしょ? 普通じゃないことに慣れ過ぎると、後で支障が出そうな気がするから」
その説明でダンもなんとなく納得出来たらしい。頷いた。
「いやしかし、その方が節約出来て良いのではないのか?」
「別にいいじゃない。あんたのおかげで今は余裕があるんだし」
テルディアスがぐっと黙り込む。こんな所でそんなことになるとは。巻き上げすぎたかと少し後悔した。
「うん、いんじゃね? 俺も時々泊まりたいなと思ってたし」
ということで、賛成4、反対1で可決になりましたとさ。
テルディアスはその後もしばらく苦い顔をしていた。
いくつめかの村や街を通り過ぎた頃、サーガが可笑しな噂を拾って来た。
少し閑散とし始めた朝食の席でのこと、
「なんか変な話を聞いたぜ」
と切り出してきた。
昨夜も「宿に泊まる日」だったので、今朝も相変わらずテルディアスの悲鳴が響き渡った。
最初は驚いていたダンもいろいろ察したのか既に慣れたようだった。周りのお客さんには迷惑だろうが。
昨夜もいろいろあった後に、ふらりと酒場に行ったサーガ。寝しなに一杯引っ掛けるつもりで軽く腰を下ろした。
そこにその話が聞こえて来たのだそう。
「なんでも、ここより北の方にある村で、変な穴が出来てそれが日に日にでかくなってるんだと」
「穴?」
メリンダが聞き返した。
穴と言われて思い浮かべたのは、地面に開いた丸い穴。それが大きくなっていく、となると蟻地獄のように周りが崩れていっているのだろうかと考える。
「その穴ってのがさ、空中にあるんだと」
「え? 穴が浮かんでるの?」
「穴なのに浮かんでるってのもなんか変だけどな。最初はこんくらいの小さな穴だったらしい」
とサーガが両手で丸を作る。
「それが今は大きくなって、村を飲み込むほどになったとか」
「え? 穴が村を?」
「らしいぜ。だからそっちの方面は通行止めになってるんだと」
ついでとばかりに地図を広げた。すっかりサーガがナビ役になっている。
「ここから本当は北に向かった方が近道っぽいんだけど、そっちは通行止めになってるから南に1度向かわなきゃならんかも」
と指で指し示した。
「ううん。行こう、そこ」
キーナが口出ししてきた。
「あ? 通行止めされてるって話だぜ?」
「行こう。なんとしても」
キーナの顔が珍しく真剣だ。これはただ事ではないとサーガも察する。
「キーナ? 何故そんなに行きたがる」
テルディアスが一応止めてみる。止まらないことは分かってはいたが。
「なんとなく。話聞いてて思った。これ、僕の仕事だ」
キーナの目に常とは違う光が灯っていることにテルディアスも気付いた。仕事《・・》とは御子の役割のことを言っているのだろう。
「分かった…」
これは絶対に止まらない。テルディアスはキーナが暴走しないように見張ることにする。
「その穴ってのは大層危険なものらしいぜ。試しに色んなものを投げ込んでみたが、何を入れても戻ってこない。入れた物を取り出そうとして人が腕を入れたら、入れた分だけ腕が消えたらしい。さすがに入るような猛者はいなかったらしいが」
何もかもを取り込んでしまう不思議な穴。
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