257 / 296
光の宮三度
光の宮再々脱出
しおりを挟む
光の宮から大分離れた森の中。
ダンがいつも通りに地下に部屋を作り、ベッドにキーナとテルディアスの体を横たえた。
「姐さん達は寝てていいぜ」
夜明けが近い時間であったが、疲れたであろうメリンダとシア(女子供)は休ませる。
サーガはいつものように周りを巡回。ダンも中には入らず、外で待機することにした。念の為である。
朝日が差し始めた頃、テルディアスが目を覚ましたのか、不思議そうな顔をしながら地下から出て来た。前回と同じように目が覚めたら何も覚えておらず、何故か見慣れたダンの地下宿にいたのが不思議だったのだろう。
焚き火を囲むサーガとダンの側に腰を下ろし、
「…何があった?」
ちょっと決まり悪そうに聞いて来た。
「何があったか聞きたいのはこっちだ」
サーガが文句を言う。
ダンは用意していたお茶を湯飲みに入れ、テルディアスに手渡す。テルディアスはそれを素直に受け取る。
サーガがテルディアスがいなくなった後のことを話す。
ダンが結界を維持し、その中でメリンダが特大火球で攻撃。サーガは結界から出て光の者達を昏倒させていき、シアがその補助に入る。なんとも連携のとれたものであった。
「んで、お前は?」
テルディアスに話しを促す。
テルディアスは少し考えて、光の結界が張られた部屋までのことを話した。そして、
「それから…覚えていない」
扉を壊そうととにかく手を変え攻撃し続けていたのは覚えている。しかし、その後どうなったのか全く覚えていない。気付けば地下宿で寝ており、キーナもベッドで安らかに眠っていた。起きてすぐにキーナの様子を確認し、何事もないようでほっとしたのであるが、如何せんどうしてこうなったのか全く分からない。で、外に出て来たというわけであった。
「お前が分からなけりゃ俺達が分かる訳ねーだろが」
サーガがテルディアスが階段から出て来てからのことをつらつらと話した。
またあの異様な雰囲気になっていたこと。すぐにそれは薄れ、意識を失って倒れたこと。そしてここまで運んで来たこと。
なんとなくではあるが、サーガにはある程度察しはついてはいたが。
東の果ての都でも光の枷に捕らわれていたはずなのに、キーナがあの変態王に口づけされた次の瞬間、何故か枷を外していつの間にかベッドの前にいた。そして王を殴り倒し、キーナを抱えて1人で飛んで行ってしまった。
あの時もあの異様な雰囲気を纏っていた。
つまり今回も扉を開けることが出来ず、焦りと怒りからあの時と同じような状態になったのだと考えられる。そして無理矢理扉をこじ開け、その光の者はどうなったかは知らないが、キーナを無事に取り返してきたのだろう。
あくまでそうであろうという想像でしかなく、確証はないので特に口に出しはしないけれども。
「姐さん達が目覚める頃にはキーナも目ぇ覚ますだろ。そしたらまた移動すればいい」
誰も事の詳細を知ることはないが、とにかくキーナが無事であろうことなので特に問題は無い。その後ダンとサーガも少し仮眠を取り、体を休めた。
テルディアス?さっきまで気絶して休んでいたでしょ。
キーナが眼を覚ました。
(あり? ここどこだっけ?)
およそ丸一日寝ていたので頭がぽんやりしている。しかしキーナにはそんなこと分からない。必死に寝る前のことを思い出す。
(ああそっか。お婆さんの家に行って、お茶飲んだらダンが飲むなって…)
それからサーガに吐き出せと言われ、え?どうやって?と思った辺りから記憶が無い。それから何がどうなってベッドで寝ることになったのか。
ダンが珍しく声を張り上げ、サーガが珍しく切羽詰まったような顔で迫って来た。となれば、何かあったのかもしれない、ということは流石のキーナでも察しがつく。
体を起こして周りを見る。いつも見るベッドの群れ。そこに人影はない。
明かりの為の炎が奥で小さく揺れ、階段上の出入り口が開いているのか、そこから光が差し込んでくる。上から声も聞こえてきているので、皆上にいるのだろう。
お腹が空腹を訴えてくる。どれくらい寝ていたのか分からないが、これまでの経験からしてこの空腹具合は大体1日くらい食事を取っていないくらいかと考える。お婆さんの家に入ったのはお昼をまだ食べる前だった。そして入り口から差し込む光の具合からして、大体昼くらいかと察しを付ける。
事情は分からないが多分あのお婆さんに薬を盛られ、眠らされていたのだとキーナは考えた。
珍しく当たり。珍しくキーナが冴えている。
とにかく、1人でいても寂しいし、お腹は空腹を訴えているので、上に行こうとキーナはベッドから下りた。階段を上り、陽の光の中に体を進ませる。少し光が眩しかった。
「おう。起きたか」
相変わらず人が近づく事などには察しが良いサーガが一番に声を掛けてくる。
「おはようキーナちゃん。体の具合はどう?」
メリンダが心配そうに近寄って来た。メリンダに問われ、キーナが改めて自分の体を確認する。特に違和感はない。
「うん、大丈夫そうだよ」
メリンダがほっとした顔をした。これはまた何か不味いことが起きていたのかも知れない、とキーナは思う。メリンダはキーナに何かがあると殊更に心配してくれるのだ。
気遣いは嬉しい。でもメリンダに悲しそうな顔はさせたくない。しかしキーナ自身がその原因を作ってしまっているので難しい所である。
「キーナ、大丈夫か?」
もう1人キーナにいつも過剰な心配を寄せるテルディアスが声を掛けてくる。
微妙に腰が浮き掛けているのは、キーナの元へ行きたいがなんとなくメリンダもいるし行きづらい、ということなのだろうか。それとも何か別の心配でもしているのだろうか?
「うん、大丈夫だよ」
にっこり笑って、いつも通りにテルディアスの隣に腰を下ろす。その隣にメリンダも腰を下ろす。火に掛けられていた鍋からダンが椀に掬って、キーナに差し出して来た。こういう所はダンは察しが良い。
「ありがとう」
素直に受け取って食べ始めるキーナ。
「よく寝ていらっしゃいましたわね」
若干呆れた声でシアが声を掛けた。
「うん。それで、何かあった?」
キーナがそう声を掛けると、何故か皆がシアを睨み付けた。いや、シアが何も言わなくとも聞こうとは思っていたのだけれども。
不味いことを言ったのかとシアがしゅんとなる。もう少しいろいろ経験が必要だね。
「いや、あの、さすがにね、何かあったって分かるからね」
一応フォローに入るキーナ。皆が何やら目配せしている。誰が話すかとでも目で合図しているのだろうか。
しかしそうなると、話しの上手いサーガに役目は回ってくるものである。全員の視線を集め、サーガが溜息を吐いた。
サーガがそれまでの経緯を簡潔に話し始めた。光の宮と聞いてキーナの顔が青くなった。話の途中でもう一度自分の体を確認し始めるキーナ。特におかしな感じはない。
(え、眠ってた時って、分かるのかしら? やっぱり何かあったら何かおかしなこと感じるはずだよね?)
記憶の無い間の事が途端に不安になってくる。光の宮でされたことは思い出したくもないが、未だにあの時の恐怖はこびり付いている。
「キーナちゃん、特に着衣に乱れとか見られなかったし、体におかしな具合がなければ大丈夫(のはず)よ」
キーナが顔を青くしているのを見て、メリンダが優しく声を掛ける。
連れ去られて儀式が始まる前に何かあったとは考えたくもないが、儀式にあれだけ時間が掛かっていたこと、光の力を集めて御子を産ませる事にこだわっていたことから考えるに、儀式の前に何かしたとは考えにくい。儀式の後はすぐにテルディアスが救出に向かったので、時間的に考えても何かあったとは思えない。
着衣に乱れもなく、キーナが体に異変を感じていなければ大丈夫のはずだ。
「だ、大丈夫だよね、メリンダさん」
「大丈夫よ! キーナちゃん!」
2人は両手を繋ぎ合わせて見つめ合う。ユリの園が出来ておる。
「大丈夫だろ。んな臭いもせんし」
サーガが言った。
なんのこっちゃと全員が視線を向ける。
「いやほら、した後ってその、臭いが絡みつくというか。相手の臭いも若干分かるというか。キーナの臭いしかしてねーから、ほとんど何もせずに終わったんじゃね?」
まあちょっと深掘りすると、もし中で放たれていたとしたら、そんな臭いをサーガの鼻は嗅ぎ取っているはずである。まずそんな臭いはまったくしない。相手の汗などが付いていたとしたら、その臭いもするはずである。それもない。ということでほぼ何もなかったのだとサーガは結論付いていた。
「ほ、本当? 本当にそう言えるの?!」
メリンダが食いついてくる。
「言えます。何故なら」
サーガが何かメリンダに耳打ちした。メリンダの顔が瞬間的に赤くなる。
「お馬鹿!」
「にゃぜ?!」
何故か張っ倒されるサーガ。何を言ったかは、作者も知らないということで。
「キーナちゃん、とりあえずサーガの鼻だけは信用出来るから、大丈夫よ!」
気を取り直してキーナに向き合うメリンダ。
「そ、そうだよね! うん!」
明るく笑うキーナ。
その隣でテルディアスがもの凄いほっとした顔をしているのは、見ないでおいてあげよう。
ダンがいつも通りに地下に部屋を作り、ベッドにキーナとテルディアスの体を横たえた。
「姐さん達は寝てていいぜ」
夜明けが近い時間であったが、疲れたであろうメリンダとシア(女子供)は休ませる。
サーガはいつものように周りを巡回。ダンも中には入らず、外で待機することにした。念の為である。
朝日が差し始めた頃、テルディアスが目を覚ましたのか、不思議そうな顔をしながら地下から出て来た。前回と同じように目が覚めたら何も覚えておらず、何故か見慣れたダンの地下宿にいたのが不思議だったのだろう。
焚き火を囲むサーガとダンの側に腰を下ろし、
「…何があった?」
ちょっと決まり悪そうに聞いて来た。
「何があったか聞きたいのはこっちだ」
サーガが文句を言う。
ダンは用意していたお茶を湯飲みに入れ、テルディアスに手渡す。テルディアスはそれを素直に受け取る。
サーガがテルディアスがいなくなった後のことを話す。
ダンが結界を維持し、その中でメリンダが特大火球で攻撃。サーガは結界から出て光の者達を昏倒させていき、シアがその補助に入る。なんとも連携のとれたものであった。
「んで、お前は?」
テルディアスに話しを促す。
テルディアスは少し考えて、光の結界が張られた部屋までのことを話した。そして、
「それから…覚えていない」
扉を壊そうととにかく手を変え攻撃し続けていたのは覚えている。しかし、その後どうなったのか全く覚えていない。気付けば地下宿で寝ており、キーナもベッドで安らかに眠っていた。起きてすぐにキーナの様子を確認し、何事もないようでほっとしたのであるが、如何せんどうしてこうなったのか全く分からない。で、外に出て来たというわけであった。
「お前が分からなけりゃ俺達が分かる訳ねーだろが」
サーガがテルディアスが階段から出て来てからのことをつらつらと話した。
またあの異様な雰囲気になっていたこと。すぐにそれは薄れ、意識を失って倒れたこと。そしてここまで運んで来たこと。
なんとなくではあるが、サーガにはある程度察しはついてはいたが。
東の果ての都でも光の枷に捕らわれていたはずなのに、キーナがあの変態王に口づけされた次の瞬間、何故か枷を外していつの間にかベッドの前にいた。そして王を殴り倒し、キーナを抱えて1人で飛んで行ってしまった。
あの時もあの異様な雰囲気を纏っていた。
つまり今回も扉を開けることが出来ず、焦りと怒りからあの時と同じような状態になったのだと考えられる。そして無理矢理扉をこじ開け、その光の者はどうなったかは知らないが、キーナを無事に取り返してきたのだろう。
あくまでそうであろうという想像でしかなく、確証はないので特に口に出しはしないけれども。
「姐さん達が目覚める頃にはキーナも目ぇ覚ますだろ。そしたらまた移動すればいい」
誰も事の詳細を知ることはないが、とにかくキーナが無事であろうことなので特に問題は無い。その後ダンとサーガも少し仮眠を取り、体を休めた。
テルディアス?さっきまで気絶して休んでいたでしょ。
キーナが眼を覚ました。
(あり? ここどこだっけ?)
およそ丸一日寝ていたので頭がぽんやりしている。しかしキーナにはそんなこと分からない。必死に寝る前のことを思い出す。
(ああそっか。お婆さんの家に行って、お茶飲んだらダンが飲むなって…)
それからサーガに吐き出せと言われ、え?どうやって?と思った辺りから記憶が無い。それから何がどうなってベッドで寝ることになったのか。
ダンが珍しく声を張り上げ、サーガが珍しく切羽詰まったような顔で迫って来た。となれば、何かあったのかもしれない、ということは流石のキーナでも察しがつく。
体を起こして周りを見る。いつも見るベッドの群れ。そこに人影はない。
明かりの為の炎が奥で小さく揺れ、階段上の出入り口が開いているのか、そこから光が差し込んでくる。上から声も聞こえてきているので、皆上にいるのだろう。
お腹が空腹を訴えてくる。どれくらい寝ていたのか分からないが、これまでの経験からしてこの空腹具合は大体1日くらい食事を取っていないくらいかと考える。お婆さんの家に入ったのはお昼をまだ食べる前だった。そして入り口から差し込む光の具合からして、大体昼くらいかと察しを付ける。
事情は分からないが多分あのお婆さんに薬を盛られ、眠らされていたのだとキーナは考えた。
珍しく当たり。珍しくキーナが冴えている。
とにかく、1人でいても寂しいし、お腹は空腹を訴えているので、上に行こうとキーナはベッドから下りた。階段を上り、陽の光の中に体を進ませる。少し光が眩しかった。
「おう。起きたか」
相変わらず人が近づく事などには察しが良いサーガが一番に声を掛けてくる。
「おはようキーナちゃん。体の具合はどう?」
メリンダが心配そうに近寄って来た。メリンダに問われ、キーナが改めて自分の体を確認する。特に違和感はない。
「うん、大丈夫そうだよ」
メリンダがほっとした顔をした。これはまた何か不味いことが起きていたのかも知れない、とキーナは思う。メリンダはキーナに何かがあると殊更に心配してくれるのだ。
気遣いは嬉しい。でもメリンダに悲しそうな顔はさせたくない。しかしキーナ自身がその原因を作ってしまっているので難しい所である。
「キーナ、大丈夫か?」
もう1人キーナにいつも過剰な心配を寄せるテルディアスが声を掛けてくる。
微妙に腰が浮き掛けているのは、キーナの元へ行きたいがなんとなくメリンダもいるし行きづらい、ということなのだろうか。それとも何か別の心配でもしているのだろうか?
「うん、大丈夫だよ」
にっこり笑って、いつも通りにテルディアスの隣に腰を下ろす。その隣にメリンダも腰を下ろす。火に掛けられていた鍋からダンが椀に掬って、キーナに差し出して来た。こういう所はダンは察しが良い。
「ありがとう」
素直に受け取って食べ始めるキーナ。
「よく寝ていらっしゃいましたわね」
若干呆れた声でシアが声を掛けた。
「うん。それで、何かあった?」
キーナがそう声を掛けると、何故か皆がシアを睨み付けた。いや、シアが何も言わなくとも聞こうとは思っていたのだけれども。
不味いことを言ったのかとシアがしゅんとなる。もう少しいろいろ経験が必要だね。
「いや、あの、さすがにね、何かあったって分かるからね」
一応フォローに入るキーナ。皆が何やら目配せしている。誰が話すかとでも目で合図しているのだろうか。
しかしそうなると、話しの上手いサーガに役目は回ってくるものである。全員の視線を集め、サーガが溜息を吐いた。
サーガがそれまでの経緯を簡潔に話し始めた。光の宮と聞いてキーナの顔が青くなった。話の途中でもう一度自分の体を確認し始めるキーナ。特におかしな感じはない。
(え、眠ってた時って、分かるのかしら? やっぱり何かあったら何かおかしなこと感じるはずだよね?)
記憶の無い間の事が途端に不安になってくる。光の宮でされたことは思い出したくもないが、未だにあの時の恐怖はこびり付いている。
「キーナちゃん、特に着衣に乱れとか見られなかったし、体におかしな具合がなければ大丈夫(のはず)よ」
キーナが顔を青くしているのを見て、メリンダが優しく声を掛ける。
連れ去られて儀式が始まる前に何かあったとは考えたくもないが、儀式にあれだけ時間が掛かっていたこと、光の力を集めて御子を産ませる事にこだわっていたことから考えるに、儀式の前に何かしたとは考えにくい。儀式の後はすぐにテルディアスが救出に向かったので、時間的に考えても何かあったとは思えない。
着衣に乱れもなく、キーナが体に異変を感じていなければ大丈夫のはずだ。
「だ、大丈夫だよね、メリンダさん」
「大丈夫よ! キーナちゃん!」
2人は両手を繋ぎ合わせて見つめ合う。ユリの園が出来ておる。
「大丈夫だろ。んな臭いもせんし」
サーガが言った。
なんのこっちゃと全員が視線を向ける。
「いやほら、した後ってその、臭いが絡みつくというか。相手の臭いも若干分かるというか。キーナの臭いしかしてねーから、ほとんど何もせずに終わったんじゃね?」
まあちょっと深掘りすると、もし中で放たれていたとしたら、そんな臭いをサーガの鼻は嗅ぎ取っているはずである。まずそんな臭いはまったくしない。相手の汗などが付いていたとしたら、その臭いもするはずである。それもない。ということでほぼ何もなかったのだとサーガは結論付いていた。
「ほ、本当? 本当にそう言えるの?!」
メリンダが食いついてくる。
「言えます。何故なら」
サーガが何かメリンダに耳打ちした。メリンダの顔が瞬間的に赤くなる。
「お馬鹿!」
「にゃぜ?!」
何故か張っ倒されるサーガ。何を言ったかは、作者も知らないということで。
「キーナちゃん、とりあえずサーガの鼻だけは信用出来るから、大丈夫よ!」
気を取り直してキーナに向き合うメリンダ。
「そ、そうだよね! うん!」
明るく笑うキーナ。
その隣でテルディアスがもの凄いほっとした顔をしているのは、見ないでおいてあげよう。
0
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる