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最終章~光の御子と闇の御子~
元の世界へ
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レオナルドにも別れを告げ、2人は穴へと入る。空間の狭間に入り込み、2人きりになる。
テルディアスが時の狭間の魔女の家にと繋げようとしていると、キーナがその腕を引いた。
「テル…」
「? キーナ?」
テルディアスがキーナを見ると、キーナは顔を下げたまま、
「ちょっとだけ…。抱きしめて…」
テルディアスが目を細め、キーナの体に腕を回す。キーナもテルディアスの体に腕を回し、その腕に力を込めた。
「テル…」
「ん?」
「…帰りたくないよぅ…」
テルディアスが腕に力を込める。少しの間、キーナが鼻をすする音がしていた。
落ち着いたのか、キーナの腕から力が抜ける。
「ごめん。もう大丈夫」
キーナが体を離そうとするが、テルディアスが離そうとしない。
「テル?」
「ここにいるか?」
「え?」
「この狭間にいればそこまで世界に影響しないかもしれない。俺が本物を見付けなければ、あちらが目覚めることもない。そうしたら…」
「駄目だよ、テル」
キーナがテルディアスの顔を見上げる。
「それに、僕、お日様の下を歩きたいよ?」
キーナが微笑んだ。
「キーナ…」
テルディアスがキーナの唇に自分の唇を重ねる。キーナもそれを受け入れる。
しばしお互いの温もりを感じ合い、名残惜しむように唇を離した。
「テル、もう時間だよ。メリンダさん達にもお別れ言いたいし」
「ああ…」
テルディアスがゆっくりと腕の戒めを解く。キーナもゆっくりと体を離した。
「約束した通り、見付けてあげてね、この世界の僕。僕も、見付けるから」
「ああ…」
テルディアスがノロノロと空間を繋げる。穴が開き、時の狭間の魔女の家が見えた。
「キーナちゃん!!」
待っていたのか、キーナが降り立つとメリンダが飛びかかって来た。
「め、メリンダさん…」
「キーナちゃん! キーナちゃん! キーナちゃん! お別れなんて嫌よおおおおお!!」
大号泣である。辛うじて顔を背けて窒息を防いだキーナであったが、苦しいことに変わりない。
「姐さん、キーナが死ぬ」
「は! ごめんなさいキーナちゃん!」
「う、うん…」
なんとか生き残った。
「メリンダさん、本当に、今までありがとうね」
「ギーナぢゃあんんんん!」
泣きすぎてそれ以上言葉が出てこないようだ。なんとか手を離して貰い、サーガに向き直る。
「サーガも、ありがとうね」
「ああ…。ま、元気でな」
キーナが差し出して来た手を握り返しつつ、顔を背ける。少し目が潤んでいるように見えるのはキーナの気のせいかもしれない。
「最後に一発思い出を残してくれてもいいけど」
「一発?」
テルディアスの剣がサーガに向かって伸び、サーガが体を反らしてギリギリで避ける。
「俺が一発ぶっ叩いて思い出を作ってやろう」
「てめえのなんざいらんわ!」
何故か喧嘩が始まった。メリンダは泣いているので役に立たない。放っておくことにした。
「ダンも、すんごいお世話になりました。ありがとう」
ダンとも握手を交わす。
「元気で」
こくりと頷き、返事を返す。ダンの瞳も潤んでいる。
シアに向き直る。シアは気まずそうに目を逸らしている。
「シアも、ありがとうね。元気で」
キーナが差し出した手を、シアがおずおずと握り返した。
「っ。キーナさんも…、元気で…」
堪えきれなかったのか、シアの目から涙が溢れ出る。
よしよしとシアの頭を撫でてやる。
「ありがとう。僕の為に泣いてくれて」
「泣いてるんじゃありまぜんわ。目がら汗が出でるんでずわ」
ずびずび言いながらおかしな言い訳をするシア。ダンが側に寄り、その肩に手を置くと、ダンにしがみついて泣き出した。
「ぎ、ギーナぢゃん…」
「メリンダさん、美人が台無しだよ」
寄ってきたメリンダを慰める。泣きすぎたのか目が真っ赤である。
「別れは済んだのかい?」
お婆さんの声がして、テルディアスとサーガも動きを止めた。
「…はい」
「なら、こっちへおいで」
お婆さんが家の中へと入っていった。
「キーナ」
テルディアスが走り寄ってくる。
「キーナちゃん…」
メリンダも頑張って涙を止めている。
キーナは皆の顔を順に見て、にっこり笑った。少し寂しそうな笑顔だった。
「みんな、本当にありがとうね」
そして、家の中へと足を向けた。
皆何も言えず、黙ってその後に付いて行く。
「これに着替えておいで」
「こ、これって…」
キーナが手渡されたものを見て驚く。この世界に来た時に着ていた服であった。
「どうやって…」
「あたしに聞かれても分からんよ」
よく分からないけれども、部屋に入りその服に着替える。
「成長してたんだ…」
然程変わっていない気もしていたが、丈が少し短くなり、ウエストが少しきつい。捨てたはずの下着まであるのがちょっと怖い。もちろん着替える。心なしかブラが合っていない気がする。こちらも成長していたか。
部屋を出ると皆食堂で待っていた。着替えたキーナを見て皆不思議そうな顔をする。
「それがキーナちゃんの世界の服なのね」
「動きやすそうでいいな」
「地味ですわ」
「・・・・・・」
なんか言え。
テルディアスは少し懐かしそうな顔をしていた。
あの魔法陣の描かれていた部屋に入る。描かれている魔法陣が変わっていることに気付いた。
「今回は難しい事はない。あたしは合図を送るだけじゃからな」
二神精霊は言っていた。
「あのお婆さんがやり方を知っているから。合図が来たらすぐ迎えに行くわ」
と。
「真ん中に立ちなさい」
お婆さんの言葉通りに、キーナが歩き出そうとして足を止める。壁に並んだテルディアスに振り向き、足早に近づいて、抱きついた。
「キーナ…」
テルディアスも抱きしめ返す。
ほんの数秒、抱き合った。
「ん! もう大丈夫!」
キーナがテルディアスの体を押し返す。テルディアスの悲しそうな瞳と目が合った。
「さよなら、テル」
顔を背け、魔法陣の真ん中へと向かう。
「キーナ…」
テルディアスが足を踏み出しそうになる。いつの間にか隣に来ていたサーガがそれを押し止めた。
「アホな事はするなよ」
サーガの言葉に足を止めるテルディアス。しかし、重心が前に乗っている。今にも走り出しそうだ。
キーナが魔法陣の真ん中に立つと、お婆さんが魔法陣に魔力を流し始めた。魔法陣が光出す。
「キーナ!」
「ダン! 手伝え!」
予想していたのか、ダンもテルディアスの側に寄り、サーガと共に走り出しそうなテルディアスの体を後ろから羽交い締めにする。
「キーナ…!」
テルディアスが手を伸ばす。
キーナが皆の顔を見渡し、最後にテルディアスの顔を見てにっこり笑う。
「さよなら」
声は聞こえなかったが、そう口が動いたのが見て取れた。
そして、光の中にキーナの姿は消えた。
暗いような明るいような、また不思議な空間。落ちているのか浮いているのか分からないまま、キーナはただ流れに身を任せる。
気がつくと、秋菜は河原に立っていた。地面には魔法陣もどきが書かれていて、すぐ側にそれを書いていた棒が落ちている。少し離れた所に母親から買い物を頼まれた醤油が置いてあった。
「僕…」
陽が落ちかけた空は赤みを残しつつ、暗い青が広がって行っている。
体を見ても服に違和感はない。ふと気付き、右耳に手を当てるとそこにはイヤリングがついていた。家から出る前にはついていなかった物。
「テル…」
秋菜は暮れゆく空を見上げた。その目から涙が零れた。
テルディアスが時の狭間の魔女の家にと繋げようとしていると、キーナがその腕を引いた。
「テル…」
「? キーナ?」
テルディアスがキーナを見ると、キーナは顔を下げたまま、
「ちょっとだけ…。抱きしめて…」
テルディアスが目を細め、キーナの体に腕を回す。キーナもテルディアスの体に腕を回し、その腕に力を込めた。
「テル…」
「ん?」
「…帰りたくないよぅ…」
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落ち着いたのか、キーナの腕から力が抜ける。
「ごめん。もう大丈夫」
キーナが体を離そうとするが、テルディアスが離そうとしない。
「テル?」
「ここにいるか?」
「え?」
「この狭間にいればそこまで世界に影響しないかもしれない。俺が本物を見付けなければ、あちらが目覚めることもない。そうしたら…」
「駄目だよ、テル」
キーナがテルディアスの顔を見上げる。
「それに、僕、お日様の下を歩きたいよ?」
キーナが微笑んだ。
「キーナ…」
テルディアスがキーナの唇に自分の唇を重ねる。キーナもそれを受け入れる。
しばしお互いの温もりを感じ合い、名残惜しむように唇を離した。
「テル、もう時間だよ。メリンダさん達にもお別れ言いたいし」
「ああ…」
テルディアスがゆっくりと腕の戒めを解く。キーナもゆっくりと体を離した。
「約束した通り、見付けてあげてね、この世界の僕。僕も、見付けるから」
「ああ…」
テルディアスがノロノロと空間を繋げる。穴が開き、時の狭間の魔女の家が見えた。
「キーナちゃん!!」
待っていたのか、キーナが降り立つとメリンダが飛びかかって来た。
「め、メリンダさん…」
「キーナちゃん! キーナちゃん! キーナちゃん! お別れなんて嫌よおおおおお!!」
大号泣である。辛うじて顔を背けて窒息を防いだキーナであったが、苦しいことに変わりない。
「姐さん、キーナが死ぬ」
「は! ごめんなさいキーナちゃん!」
「う、うん…」
なんとか生き残った。
「メリンダさん、本当に、今までありがとうね」
「ギーナぢゃあんんんん!」
泣きすぎてそれ以上言葉が出てこないようだ。なんとか手を離して貰い、サーガに向き直る。
「サーガも、ありがとうね」
「ああ…。ま、元気でな」
キーナが差し出して来た手を握り返しつつ、顔を背ける。少し目が潤んでいるように見えるのはキーナの気のせいかもしれない。
「最後に一発思い出を残してくれてもいいけど」
「一発?」
テルディアスの剣がサーガに向かって伸び、サーガが体を反らしてギリギリで避ける。
「俺が一発ぶっ叩いて思い出を作ってやろう」
「てめえのなんざいらんわ!」
何故か喧嘩が始まった。メリンダは泣いているので役に立たない。放っておくことにした。
「ダンも、すんごいお世話になりました。ありがとう」
ダンとも握手を交わす。
「元気で」
こくりと頷き、返事を返す。ダンの瞳も潤んでいる。
シアに向き直る。シアは気まずそうに目を逸らしている。
「シアも、ありがとうね。元気で」
キーナが差し出した手を、シアがおずおずと握り返した。
「っ。キーナさんも…、元気で…」
堪えきれなかったのか、シアの目から涙が溢れ出る。
よしよしとシアの頭を撫でてやる。
「ありがとう。僕の為に泣いてくれて」
「泣いてるんじゃありまぜんわ。目がら汗が出でるんでずわ」
ずびずび言いながらおかしな言い訳をするシア。ダンが側に寄り、その肩に手を置くと、ダンにしがみついて泣き出した。
「ぎ、ギーナぢゃん…」
「メリンダさん、美人が台無しだよ」
寄ってきたメリンダを慰める。泣きすぎたのか目が真っ赤である。
「別れは済んだのかい?」
お婆さんの声がして、テルディアスとサーガも動きを止めた。
「…はい」
「なら、こっちへおいで」
お婆さんが家の中へと入っていった。
「キーナ」
テルディアスが走り寄ってくる。
「キーナちゃん…」
メリンダも頑張って涙を止めている。
キーナは皆の顔を順に見て、にっこり笑った。少し寂しそうな笑顔だった。
「みんな、本当にありがとうね」
そして、家の中へと足を向けた。
皆何も言えず、黙ってその後に付いて行く。
「これに着替えておいで」
「こ、これって…」
キーナが手渡されたものを見て驚く。この世界に来た時に着ていた服であった。
「どうやって…」
「あたしに聞かれても分からんよ」
よく分からないけれども、部屋に入りその服に着替える。
「成長してたんだ…」
然程変わっていない気もしていたが、丈が少し短くなり、ウエストが少しきつい。捨てたはずの下着まであるのがちょっと怖い。もちろん着替える。心なしかブラが合っていない気がする。こちらも成長していたか。
部屋を出ると皆食堂で待っていた。着替えたキーナを見て皆不思議そうな顔をする。
「それがキーナちゃんの世界の服なのね」
「動きやすそうでいいな」
「地味ですわ」
「・・・・・・」
なんか言え。
テルディアスは少し懐かしそうな顔をしていた。
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「今回は難しい事はない。あたしは合図を送るだけじゃからな」
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と。
「真ん中に立ちなさい」
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「キーナ…」
テルディアスも抱きしめ返す。
ほんの数秒、抱き合った。
「ん! もう大丈夫!」
キーナがテルディアスの体を押し返す。テルディアスの悲しそうな瞳と目が合った。
「さよなら、テル」
顔を背け、魔法陣の真ん中へと向かう。
「キーナ…」
テルディアスが足を踏み出しそうになる。いつの間にか隣に来ていたサーガがそれを押し止めた。
「アホな事はするなよ」
サーガの言葉に足を止めるテルディアス。しかし、重心が前に乗っている。今にも走り出しそうだ。
キーナが魔法陣の真ん中に立つと、お婆さんが魔法陣に魔力を流し始めた。魔法陣が光出す。
「キーナ!」
「ダン! 手伝え!」
予想していたのか、ダンもテルディアスの側に寄り、サーガと共に走り出しそうなテルディアスの体を後ろから羽交い締めにする。
「キーナ…!」
テルディアスが手を伸ばす。
キーナが皆の顔を見渡し、最後にテルディアスの顔を見てにっこり笑う。
「さよなら」
声は聞こえなかったが、そう口が動いたのが見て取れた。
そして、光の中にキーナの姿は消えた。
暗いような明るいような、また不思議な空間。落ちているのか浮いているのか分からないまま、キーナはただ流れに身を任せる。
気がつくと、秋菜は河原に立っていた。地面には魔法陣もどきが書かれていて、すぐ側にそれを書いていた棒が落ちている。少し離れた所に母親から買い物を頼まれた醤油が置いてあった。
「僕…」
陽が落ちかけた空は赤みを残しつつ、暗い青が広がって行っている。
体を見ても服に違和感はない。ふと気付き、右耳に手を当てるとそこにはイヤリングがついていた。家から出る前にはついていなかった物。
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