5 / 5
初ニャンジョン長毛種の髭!
しおりを挟む
私の名はアテラ。ニャンジョンの街のとある道具屋の一人娘です。
今朝も早くからニャンジョンへと潜ります。断わっておきますが私は探索者ではありません。
探索者ではない者でも安心して潜れるニャンジョン。この中にはお宝が転がっているのです。
それは普通のダンジョンで取れる魔石や魔道具や宝石のようなものではありません。このニャンジョンのお宝は、ズバリ! 猫の髭! なのです!
何故猫の髭が、とは思いますよね?
それは昔、とある探索者さんがたまたま猫の髭が落ちているのを見つけて拾ったところから来ています。ダンジョン内では抜け毛などもダンジョンに吸収されてしまうので、本当に見つけたのは運が良かったのでしょう。
猫好きの習慣なのか、たかが髭なのに拾って大事に仕舞っておいたそうです。そしてたまたまその後行った近くのダンジョンで、これまたレアな魔道具を発見する事になり、大金を掴んだそうです。
その人は「猫の髭のおかげに違いない!」と吹聴し、その後ニャンジョンに潜る人も一時的に増加したそうです。しかし猫の髭などそれこそ余程の幸運でもなければ見つけられるものでもなく、すぐに猫の髭を探索するよりダンジョンを探索した方が金になると、いつもの感じに戻ったそうですが。
その後もたまたま運良く猫の髭に巡り会った探索者が、やはりレアな魔道具を手にするということがまたあり、猫の髭はニャンジョンで取れる唯一のお宝となりました。
一時期無理矢理引っこ抜いたり切り落としたりという事件も発生しましたが、そんな者は発見次第ボコボコにされ、ついでに何故か無理矢理取ったものはダンジョンの外に出ると消えてしまうということがあり、無理矢理事件もなくなりました。
今でも猫の髭はとても貴重なものとして、時折探しに来る者がいるそうです。そしてその1人が私です。
入場料を払い、ダンジョンの中へと入っていきます。
「にゃあん」
入り口に一番近いところを縄張りにしているらしいシロちゃんがまずお出迎えしてくれます。この子は密かに初心者殺しと呼ばれています。ニャンジョンに初めて訪れた探索者をメロメロにしてしまうからだそうです。
「おはよう、シロちゃん。君は後の人からももらうだろうから、ちょっと控えめにね」
と少しだけおやつを与えます。
「にゃう」
ちょっとふくよか気味のお腹を撫でさせてもらって、さらに奥へと進みます。
他にも何匹かに挨拶しておやつを配りつつ、私は奥の大部屋へとやって来ました。ここが私の目指す場所なのです。
「おはよう皆。今日も元気かな?」
「「「みゃーう」」」
何匹かの猫が返事してくれます。すっかり顔馴染みになっているので皆だらけきった格好で出迎えてくれます。
朝飯とばかりに何匹か群がって来ます。
「はいはい。少しだけですよ~」
後から探索者さん達が来てご飯をあげるのを楽しみにしているのも知ってます。いつもは少しだけご飯を配るのですが、今日は鞄をごそごそ漁って、目当ての物を出します。
「今回は多く獲れましたからね~。皆さん、どうぞお楽しみ下さい」
そう言って籠を持ち上げ、蓋を外して一気に中身をぶちまけます。
「「「「ちゅうう!!」」」」
何匹ものネズミが宙を舞い、ある者は宙で掴まり、ある者は着地と同時に掴まり、ある者はそのまま部屋の中を逃げ回ります。
「にゃあん!」
皆が目の色を変えて獲物を追い始めます。
ニャンジョンがあるせいなのか、猫が少ないこの街ではネズミが多く繁殖し、皆困っています。それを掴まえて猫にあげれば喜ぶのでは? と考えた私はネズミを捕まえる罠を考え、あちらこちらのお店に仕掛けさせてもらっています。ネズミが減って人は喜び、猫も喜ぶとてもいい方法かと思ってます。
「さて、一仕事」
皆がネズミを追いかけている間に、私は猫達の寝床を探ります。
この大部屋はもはやダンジョンの部屋と言うより、猫の遊び部屋と言った感じになっています。
猫好きの探索者さんが猫のためにと置いた猫ベッドがきっかけと聞いています。
固い床で眠るより柔らかい寝床がいいだろうと考えたどこかの探索者さんが、特注で作ってニャンジョンのこの部屋に置いたのが始まりだそうで、その後我も我もといろんな探索者さんが猫ベッドを置くようになったそうです。
今でも時折古くなっているから交換したいと買いに来る方もいるので、この街の道具屋では猫ベッドも取り扱っております。猫ベッドだけでなく、猫用品全般ですね。
猫ベッドを一個一個調べていくと、
「あったー!」
やっと1本見つけました! 猫の髭です!
床に落ちるとダンジョンに吸収されてしまいますが、猫ベッドの上ならば消えずに残っていることが多いのです。それを察した私はいつも朝早くにニャンジョンを訪れているのです。他の人はまだ誰も気付いていないようなので、秘密です。
その後も調べると、2本も見つかりました! 大収穫です!
「白い髭2本、黒い髭1本。今日は運がいい!」
黒い髭はこれまたなかなか見つからないのでレアもの扱いされています。
ネズミ達も猫がすっかり掴まえたようで、姿が見えなくなっています。私は甘えてくる猫達の頭を撫でつつ、荷物を背負い直します。
「ありがとうね。ちょっと今日は噂の2階層に行ってみようと思ってるんだ」
「にゃん」
言っていることを理解しているのかしていないのか、可愛いお返事をしてくれました。
名残惜しそうにお見送りしてくれる猫達を後に、噂のボス部屋へと足を進めます。ボス部屋に入ると、部屋の真ん中に石が置かれて文字が書いてありました。きっと子猫達の世話をしたというケビンさんが置いたのでしょう。
『アル、イスナ、ウルミ、エスト、オルファ、ここに眠る』
私は石にそっと黙祷を捧げ、2階層へと続く階段を降りていきました。
「うわ…、本当に毛が長い…」
「みゃあん」
降りてすぐに見つけた茶虎の毛長ちゃん。モフモフが倍になってます。
「うはあ、この尻尾…たまらん…」
おもわず仕事を忘れてモフってしまうほど。
「いかんいかん。今日はまあ様子見ということで」
おやつを少しだけあげて、奥へと進みます。探すのは1階層のように猫がたむろっている大部屋。そこの方が髭が落ちている可能性も高まります。
まだ地図が完成されていないので、自分で探さなければなりません。ニャンジョンでは探索者さん達が会う猫会う猫に挨拶などしているので、マッピングが捗らないそうです。
そういう私も会う猫会う猫に挨拶してしまうので、やはり足が進みません。
「はあ…。やっぱり情報を待った方がいいですかね」
毛長の子達も皆人懐っこくて可愛くて、いちいちモフらせてくれるのでついモフってしまいます。
「ん?」
黒白の白多めの毛長ちゃんをモフっている時でした。石の床に見慣れた白い太い毛が転がっていました。
「こ、これは…髭?!」
思わずモフっている毛長ちゃんの毛と見比べて見ますが、明らかに体の毛よりも太い。確かに髭のようです!
「初! 長毛種の髭!!」
思わず大声を上げてしまったせいで、ビックリして黒白ちゃんはどこかへすっ飛んで行ってしまいました。悪い事をしました。
「うへへ~。まさか初日にゲット出来るとは思いませんでした。今日はこのくらいにして帰りますか」
お店は父と母が開けていてくれています。私は朝は髭採取にニャンジョンに潜るのが日課です。
大部屋探索は今日は諦めて、お店に戻ることにしました。
しかし、初長毛種の髭です。一体いくらになるのでしょうか?
「本当に長毛種の髭?」
「本当です。別に信じてくれなくてもいいですけど」
「いや。この店ではぱちもんは出さないって評判だから信じるけど…」
髭が入荷しないかと時折顔を見せる探索者さんが、たまたま本日訪れてきました。
日頃からひいきにしてもらっているので、今日収穫出来た短毛種の髭の他に長毛種の髭もお見せしました。しかし見ただけではその違いは分かりません。
「うう~ん」
悩んでいるようです。
短毛種の髭でさえ、そのレアさから値段が1本10万もするのです。そして今回初長毛種の髭ということで、お値段もちょっとお高めの20万にしています。簡単に手が出るものではありません。
「いや! 初物だし! ここは買ってみよう!」
「毎度あり!」
お買い上げとなりました。
その後の噂で、その探索者は狙っていた魔道具を発見するに至ったとか。
その後、短毛種の髭はレアな魔道具を見つけられるラッキーアイテム、長毛種の髭はお目当てのレア物を見つけられる願いの叶うラッキーアイテムという噂が広まって行くのであった。
今朝も早くからニャンジョンへと潜ります。断わっておきますが私は探索者ではありません。
探索者ではない者でも安心して潜れるニャンジョン。この中にはお宝が転がっているのです。
それは普通のダンジョンで取れる魔石や魔道具や宝石のようなものではありません。このニャンジョンのお宝は、ズバリ! 猫の髭! なのです!
何故猫の髭が、とは思いますよね?
それは昔、とある探索者さんがたまたま猫の髭が落ちているのを見つけて拾ったところから来ています。ダンジョン内では抜け毛などもダンジョンに吸収されてしまうので、本当に見つけたのは運が良かったのでしょう。
猫好きの習慣なのか、たかが髭なのに拾って大事に仕舞っておいたそうです。そしてたまたまその後行った近くのダンジョンで、これまたレアな魔道具を発見する事になり、大金を掴んだそうです。
その人は「猫の髭のおかげに違いない!」と吹聴し、その後ニャンジョンに潜る人も一時的に増加したそうです。しかし猫の髭などそれこそ余程の幸運でもなければ見つけられるものでもなく、すぐに猫の髭を探索するよりダンジョンを探索した方が金になると、いつもの感じに戻ったそうですが。
その後もたまたま運良く猫の髭に巡り会った探索者が、やはりレアな魔道具を手にするということがまたあり、猫の髭はニャンジョンで取れる唯一のお宝となりました。
一時期無理矢理引っこ抜いたり切り落としたりという事件も発生しましたが、そんな者は発見次第ボコボコにされ、ついでに何故か無理矢理取ったものはダンジョンの外に出ると消えてしまうということがあり、無理矢理事件もなくなりました。
今でも猫の髭はとても貴重なものとして、時折探しに来る者がいるそうです。そしてその1人が私です。
入場料を払い、ダンジョンの中へと入っていきます。
「にゃあん」
入り口に一番近いところを縄張りにしているらしいシロちゃんがまずお出迎えしてくれます。この子は密かに初心者殺しと呼ばれています。ニャンジョンに初めて訪れた探索者をメロメロにしてしまうからだそうです。
「おはよう、シロちゃん。君は後の人からももらうだろうから、ちょっと控えめにね」
と少しだけおやつを与えます。
「にゃう」
ちょっとふくよか気味のお腹を撫でさせてもらって、さらに奥へと進みます。
他にも何匹かに挨拶しておやつを配りつつ、私は奥の大部屋へとやって来ました。ここが私の目指す場所なのです。
「おはよう皆。今日も元気かな?」
「「「みゃーう」」」
何匹かの猫が返事してくれます。すっかり顔馴染みになっているので皆だらけきった格好で出迎えてくれます。
朝飯とばかりに何匹か群がって来ます。
「はいはい。少しだけですよ~」
後から探索者さん達が来てご飯をあげるのを楽しみにしているのも知ってます。いつもは少しだけご飯を配るのですが、今日は鞄をごそごそ漁って、目当ての物を出します。
「今回は多く獲れましたからね~。皆さん、どうぞお楽しみ下さい」
そう言って籠を持ち上げ、蓋を外して一気に中身をぶちまけます。
「「「「ちゅうう!!」」」」
何匹ものネズミが宙を舞い、ある者は宙で掴まり、ある者は着地と同時に掴まり、ある者はそのまま部屋の中を逃げ回ります。
「にゃあん!」
皆が目の色を変えて獲物を追い始めます。
ニャンジョンがあるせいなのか、猫が少ないこの街ではネズミが多く繁殖し、皆困っています。それを掴まえて猫にあげれば喜ぶのでは? と考えた私はネズミを捕まえる罠を考え、あちらこちらのお店に仕掛けさせてもらっています。ネズミが減って人は喜び、猫も喜ぶとてもいい方法かと思ってます。
「さて、一仕事」
皆がネズミを追いかけている間に、私は猫達の寝床を探ります。
この大部屋はもはやダンジョンの部屋と言うより、猫の遊び部屋と言った感じになっています。
猫好きの探索者さんが猫のためにと置いた猫ベッドがきっかけと聞いています。
固い床で眠るより柔らかい寝床がいいだろうと考えたどこかの探索者さんが、特注で作ってニャンジョンのこの部屋に置いたのが始まりだそうで、その後我も我もといろんな探索者さんが猫ベッドを置くようになったそうです。
今でも時折古くなっているから交換したいと買いに来る方もいるので、この街の道具屋では猫ベッドも取り扱っております。猫ベッドだけでなく、猫用品全般ですね。
猫ベッドを一個一個調べていくと、
「あったー!」
やっと1本見つけました! 猫の髭です!
床に落ちるとダンジョンに吸収されてしまいますが、猫ベッドの上ならば消えずに残っていることが多いのです。それを察した私はいつも朝早くにニャンジョンを訪れているのです。他の人はまだ誰も気付いていないようなので、秘密です。
その後も調べると、2本も見つかりました! 大収穫です!
「白い髭2本、黒い髭1本。今日は運がいい!」
黒い髭はこれまたなかなか見つからないのでレアもの扱いされています。
ネズミ達も猫がすっかり掴まえたようで、姿が見えなくなっています。私は甘えてくる猫達の頭を撫でつつ、荷物を背負い直します。
「ありがとうね。ちょっと今日は噂の2階層に行ってみようと思ってるんだ」
「にゃん」
言っていることを理解しているのかしていないのか、可愛いお返事をしてくれました。
名残惜しそうにお見送りしてくれる猫達を後に、噂のボス部屋へと足を進めます。ボス部屋に入ると、部屋の真ん中に石が置かれて文字が書いてありました。きっと子猫達の世話をしたというケビンさんが置いたのでしょう。
『アル、イスナ、ウルミ、エスト、オルファ、ここに眠る』
私は石にそっと黙祷を捧げ、2階層へと続く階段を降りていきました。
「うわ…、本当に毛が長い…」
「みゃあん」
降りてすぐに見つけた茶虎の毛長ちゃん。モフモフが倍になってます。
「うはあ、この尻尾…たまらん…」
おもわず仕事を忘れてモフってしまうほど。
「いかんいかん。今日はまあ様子見ということで」
おやつを少しだけあげて、奥へと進みます。探すのは1階層のように猫がたむろっている大部屋。そこの方が髭が落ちている可能性も高まります。
まだ地図が完成されていないので、自分で探さなければなりません。ニャンジョンでは探索者さん達が会う猫会う猫に挨拶などしているので、マッピングが捗らないそうです。
そういう私も会う猫会う猫に挨拶してしまうので、やはり足が進みません。
「はあ…。やっぱり情報を待った方がいいですかね」
毛長の子達も皆人懐っこくて可愛くて、いちいちモフらせてくれるのでついモフってしまいます。
「ん?」
黒白の白多めの毛長ちゃんをモフっている時でした。石の床に見慣れた白い太い毛が転がっていました。
「こ、これは…髭?!」
思わずモフっている毛長ちゃんの毛と見比べて見ますが、明らかに体の毛よりも太い。確かに髭のようです!
「初! 長毛種の髭!!」
思わず大声を上げてしまったせいで、ビックリして黒白ちゃんはどこかへすっ飛んで行ってしまいました。悪い事をしました。
「うへへ~。まさか初日にゲット出来るとは思いませんでした。今日はこのくらいにして帰りますか」
お店は父と母が開けていてくれています。私は朝は髭採取にニャンジョンに潜るのが日課です。
大部屋探索は今日は諦めて、お店に戻ることにしました。
しかし、初長毛種の髭です。一体いくらになるのでしょうか?
「本当に長毛種の髭?」
「本当です。別に信じてくれなくてもいいですけど」
「いや。この店ではぱちもんは出さないって評判だから信じるけど…」
髭が入荷しないかと時折顔を見せる探索者さんが、たまたま本日訪れてきました。
日頃からひいきにしてもらっているので、今日収穫出来た短毛種の髭の他に長毛種の髭もお見せしました。しかし見ただけではその違いは分かりません。
「うう~ん」
悩んでいるようです。
短毛種の髭でさえ、そのレアさから値段が1本10万もするのです。そして今回初長毛種の髭ということで、お値段もちょっとお高めの20万にしています。簡単に手が出るものではありません。
「いや! 初物だし! ここは買ってみよう!」
「毎度あり!」
お買い上げとなりました。
その後の噂で、その探索者は狙っていた魔道具を発見するに至ったとか。
その後、短毛種の髭はレアな魔道具を見つけられるラッキーアイテム、長毛種の髭はお目当てのレア物を見つけられる願いの叶うラッキーアイテムという噂が広まって行くのであった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件
やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる