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18 その男は。
「あー、危なかった」
姫愛ちゃんのおかげで命拾いしたと言ってもいい。
今日、外食に行くことになっていたのは本当だけど、殺気立った直真さんと一緒にいたら何をされるかわからない。
あの蛇みたいに執念深い性格を考えたら、絶対、酷い目にあう。
蛇は蛇でも毒蛇だよ。
直真さんは。
「コンビニ行こうっと」
家政婦の衣早子さんに夕飯いらないって言っちゃったしなー。
財布とスマホを持ってコンビニに行くと、新作ポテチとコーラ、チョコレートとからあげを買った。
無意識に四天王……。
恐ろしいわ、我が習慣。
週刊誌の棚にちらりと『班目』の文字が見えて手にとった。
「へー、有名だったんだ」
『班目ファンドのイケメン社長!』『女優やモデルと交際の噂』
「うっわ!モテモテだし」
ふむ。なになに?
プライベートヴィラでモデルのDさんと過ごしたと―――ほうほう!
なかなかの人物みたいね。
もしかして、私に近づいたのも直真さんの妻だから?
あり得る。
直真さんの弱点を調べるためかもしれない。
敵を攻略するためには弱点を探るのは当たり前のことだし。
記事には続きがあり
『班目竜成という男はただの投資家ではない。企業の経営に対する自分なりの異を唱えるべく、大株主となり、発言権を持つ。若いゆえに自信家だが、その自信は実績と経験に裏打ちされた―――』
そこまで読むと横からひょいっと週刊誌を奪われた。
「俺に興味あるのか?有里?」
げっ!
思わず、声を出しかけたのをこらえ、週刊誌を手にした男―――竜成を見た。
嬉しそうに週刊誌の記事に視線を向け、まるで他人事のように言った。
「かなり前の話だからな。今は誰とも付き合ってないから、安心してくれ」
悪い人じゃないけど、素直すぎる。
それにまた勘違いされると困る。
今度は正座じゃすまないよ!
「誤解を招くようなこと言わないでくれる!?私は竜成に恋愛感情はないっ!」
ドキッパリ言ってやった。
たとえ、なんらかの思惑を持って近づいてきているとしてもよ?
ハッキリしておかないとね。
「厳しいな。でも、なんとも思ってないなら、記事を読まないよな?」
「ただの野次馬根性だよ!」
「それでも嬉しい」
キラキラした目でこっちを見てくる。
ピュアだ。
くっと目頭を押さえた。
何か裏があるんじゃないの?なんて疑ってごめんなさい。
自分がいかに汚れた人間なのか、思い知らされたわ。
いや、わかってたけど。
「それ、夕飯か?」
「え?ま、まあ」
手元のコーラやポテチをじいっと見ていた。
「今日はたまたま直真さんがご飯いらないからで、いつも食べてるわけじゃないから!」
言い訳っぽくなることをわかっていて言った。
でも、言わずにはいられない我が身の悲しさよ……。
「わかってるって。今、旦那の八木沢専務が誰といるか知ってるのか?」
「もちろん」
「瀧平社長の娘と二人で楽しそうに食事をしていたぞ。有里にはそんなもの食べさせて、自分は社長の娘と高級店で食事なんておかしいだろう?有里。俺と一緒に食事に行こう?」
そっ、そんなものだとー!?
数あるコンビニアイテムの中から選び抜かれたメンバー達になんて暴言を。
ちょっとカロリー的にヤバイかなって遠慮してもらった生クリームとカスタードクリームのダブルシュークリームさんにそれ言えるの!?
しかも、直真さん不在時しか食べられない特別な物なのに―――全否定ときたか。
胸に悲しみが広がった。
ぐっと拳を握り、声を張り上げた。
「直真さんを信んじているから、誰とご飯食べようが気にならないし、私が食べたいから、買ってるんだよっ!!放って置いて!」
そう言い捨てて、ダッシュでコンビニを出た。
「有里!」
後ろから、名前を呼ぶ声が聞こえたけど、振り切って逃げた。
なんなんだよ!
だいたい私はこれから、本業の時間なのに一緒に食事?
行くわけがない!
直真さんが帰るまではがっつりプレイするんだからね。
それにしても、コーラとポテチを否定するとは。
はあ……、まったく。
これだから素人は困る。
手にしたレジ袋の中には新作ポテチの袋が見えて、それを確認すると心が落ち着き、思わず、笑みがこぼれたのだった。
姫愛ちゃんのおかげで命拾いしたと言ってもいい。
今日、外食に行くことになっていたのは本当だけど、殺気立った直真さんと一緒にいたら何をされるかわからない。
あの蛇みたいに執念深い性格を考えたら、絶対、酷い目にあう。
蛇は蛇でも毒蛇だよ。
直真さんは。
「コンビニ行こうっと」
家政婦の衣早子さんに夕飯いらないって言っちゃったしなー。
財布とスマホを持ってコンビニに行くと、新作ポテチとコーラ、チョコレートとからあげを買った。
無意識に四天王……。
恐ろしいわ、我が習慣。
週刊誌の棚にちらりと『班目』の文字が見えて手にとった。
「へー、有名だったんだ」
『班目ファンドのイケメン社長!』『女優やモデルと交際の噂』
「うっわ!モテモテだし」
ふむ。なになに?
プライベートヴィラでモデルのDさんと過ごしたと―――ほうほう!
なかなかの人物みたいね。
もしかして、私に近づいたのも直真さんの妻だから?
あり得る。
直真さんの弱点を調べるためかもしれない。
敵を攻略するためには弱点を探るのは当たり前のことだし。
記事には続きがあり
『班目竜成という男はただの投資家ではない。企業の経営に対する自分なりの異を唱えるべく、大株主となり、発言権を持つ。若いゆえに自信家だが、その自信は実績と経験に裏打ちされた―――』
そこまで読むと横からひょいっと週刊誌を奪われた。
「俺に興味あるのか?有里?」
げっ!
思わず、声を出しかけたのをこらえ、週刊誌を手にした男―――竜成を見た。
嬉しそうに週刊誌の記事に視線を向け、まるで他人事のように言った。
「かなり前の話だからな。今は誰とも付き合ってないから、安心してくれ」
悪い人じゃないけど、素直すぎる。
それにまた勘違いされると困る。
今度は正座じゃすまないよ!
「誤解を招くようなこと言わないでくれる!?私は竜成に恋愛感情はないっ!」
ドキッパリ言ってやった。
たとえ、なんらかの思惑を持って近づいてきているとしてもよ?
ハッキリしておかないとね。
「厳しいな。でも、なんとも思ってないなら、記事を読まないよな?」
「ただの野次馬根性だよ!」
「それでも嬉しい」
キラキラした目でこっちを見てくる。
ピュアだ。
くっと目頭を押さえた。
何か裏があるんじゃないの?なんて疑ってごめんなさい。
自分がいかに汚れた人間なのか、思い知らされたわ。
いや、わかってたけど。
「それ、夕飯か?」
「え?ま、まあ」
手元のコーラやポテチをじいっと見ていた。
「今日はたまたま直真さんがご飯いらないからで、いつも食べてるわけじゃないから!」
言い訳っぽくなることをわかっていて言った。
でも、言わずにはいられない我が身の悲しさよ……。
「わかってるって。今、旦那の八木沢専務が誰といるか知ってるのか?」
「もちろん」
「瀧平社長の娘と二人で楽しそうに食事をしていたぞ。有里にはそんなもの食べさせて、自分は社長の娘と高級店で食事なんておかしいだろう?有里。俺と一緒に食事に行こう?」
そっ、そんなものだとー!?
数あるコンビニアイテムの中から選び抜かれたメンバー達になんて暴言を。
ちょっとカロリー的にヤバイかなって遠慮してもらった生クリームとカスタードクリームのダブルシュークリームさんにそれ言えるの!?
しかも、直真さん不在時しか食べられない特別な物なのに―――全否定ときたか。
胸に悲しみが広がった。
ぐっと拳を握り、声を張り上げた。
「直真さんを信んじているから、誰とご飯食べようが気にならないし、私が食べたいから、買ってるんだよっ!!放って置いて!」
そう言い捨てて、ダッシュでコンビニを出た。
「有里!」
後ろから、名前を呼ぶ声が聞こえたけど、振り切って逃げた。
なんなんだよ!
だいたい私はこれから、本業の時間なのに一緒に食事?
行くわけがない!
直真さんが帰るまではがっつりプレイするんだからね。
それにしても、コーラとポテチを否定するとは。
はあ……、まったく。
これだから素人は困る。
手にしたレジ袋の中には新作ポテチの袋が見えて、それを確認すると心が落ち着き、思わず、笑みがこぼれたのだった。
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