33 / 36
番外編
実家 その2【直真 視点】
夕飯が終わると、ホッとしたように有里が俺の手を握った。
「帰りましょう!!!早く!」
せっかく実家にきたっていうのに慌てなくてもいいだろ?と思いながら。俺は席を立った。
そんなに帰りたいのか?
それが少し嬉しかった。
普通は実家の方がいいもんだろうと思っていると―――
「待ちな。有里」
お義母さんの制止の声に有里が『ううっ』とうめいた。
「これ、持って行きなさい」
「い、いりません!絶対に!」
「わざと忘れても伊吹に届けさせるからね!」
「有里、諦めろ。木村家総司令官の命令には逆らうな」
伊吹は紙袋を有里に差し出した。
「また青汁じゃないですかあああ」
「ありがとうございます。有里にちゃんと青汁を飲ませますから」
「直真さんは本当にできた旦那様だねえ」
今回もお義母さんの称賛を受けて、木村家の夕食会は無事終了した。
有里の方は紙袋を見て『こんなにたくさん青汁が……』と半泣きだったが。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
マンションに帰ると有里は青汁の箱を並べて呻いていた。
それが嫌なら、観念して野菜を食えよ。
俺の皿に黙って野菜を入れやがって。
「野菜は好きなんですけどねー」
「なら、食えよ」
「一日の許容量があるんですよ。私の体には。それを守っています!」
「お前が守るべきなのは野菜の一日の摂取基準だろ!」
まともに相手をすると疲れるな。
水でも飲むかと冷蔵庫を開けるとコーラやジンジャーエール、サイダーが並んでいた。
ご当地サイダーには、わざわざ『有里』と名前が書いてある。
―――飲まねえよ。
「お前の大好きなコーラにでも混ぜて飲めよ」
皮肉のつもりで言うと、有里は真顔で答えた。
「神聖なコーラに毒を入れないでください」
「なにが毒だ!お前の体を心配して言ってるんだろうが!」
まったく、こいつは!
青汁の袋を破り、リンゴジュースに溶かした。
「直真さんも飲むんですか?いい心がけですねー」
なにがいい心がけだ。
減ってよかったと顔に書いてある。
青汁を一口飲んだが、俺は大丈夫だった。
まずくはない。
「有里」
「なんですか?おいしいですか?」
「ああ」
にっこり笑うと有里は何かを察知したのか『えっ!』と言って後ずさったのを見逃さず、有里の腕をつかむと抱き寄せた。
「ま、ま、待ってください!」
口に一口含むと唇を重ね、有里に飲ませると、拒めずに飲み込んだ。
「まだあるぞ」
黙らせるのに二口目も飲ませた。
有里は顔を赤らめ、軽く咳き込むと涙目で俺を見た。
「うまいか?」
「ひ、ひどっ!」
『ほら、飲めよ』と差し出すと、有里は慌ててコップを奪い取り、悔しそうに青汁を飲んでいた。
最初から黙って、飲んでおけよ。
お前の体を心配してくれているんだろうが―――後から後悔しても遅い。
一瞬、母の顔が浮かんだ。
あの人は芯は強いが、どこか儚げな人だった。
母になにもできず、俺は―――ドンッと体当たりされた。
「有里、お前」
「飲みましたよ」
ほらっと空のコップを見せた。
仕返しか?
そう思っていると、有里からキスをされた。
「これが本当のキスってやつですよ」
「どこがだ」
本当のキスはお前からやるにはまだ早い。
けど、嫌じゃない。
有里だけは―――な。
「帰りましょう!!!早く!」
せっかく実家にきたっていうのに慌てなくてもいいだろ?と思いながら。俺は席を立った。
そんなに帰りたいのか?
それが少し嬉しかった。
普通は実家の方がいいもんだろうと思っていると―――
「待ちな。有里」
お義母さんの制止の声に有里が『ううっ』とうめいた。
「これ、持って行きなさい」
「い、いりません!絶対に!」
「わざと忘れても伊吹に届けさせるからね!」
「有里、諦めろ。木村家総司令官の命令には逆らうな」
伊吹は紙袋を有里に差し出した。
「また青汁じゃないですかあああ」
「ありがとうございます。有里にちゃんと青汁を飲ませますから」
「直真さんは本当にできた旦那様だねえ」
今回もお義母さんの称賛を受けて、木村家の夕食会は無事終了した。
有里の方は紙袋を見て『こんなにたくさん青汁が……』と半泣きだったが。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
マンションに帰ると有里は青汁の箱を並べて呻いていた。
それが嫌なら、観念して野菜を食えよ。
俺の皿に黙って野菜を入れやがって。
「野菜は好きなんですけどねー」
「なら、食えよ」
「一日の許容量があるんですよ。私の体には。それを守っています!」
「お前が守るべきなのは野菜の一日の摂取基準だろ!」
まともに相手をすると疲れるな。
水でも飲むかと冷蔵庫を開けるとコーラやジンジャーエール、サイダーが並んでいた。
ご当地サイダーには、わざわざ『有里』と名前が書いてある。
―――飲まねえよ。
「お前の大好きなコーラにでも混ぜて飲めよ」
皮肉のつもりで言うと、有里は真顔で答えた。
「神聖なコーラに毒を入れないでください」
「なにが毒だ!お前の体を心配して言ってるんだろうが!」
まったく、こいつは!
青汁の袋を破り、リンゴジュースに溶かした。
「直真さんも飲むんですか?いい心がけですねー」
なにがいい心がけだ。
減ってよかったと顔に書いてある。
青汁を一口飲んだが、俺は大丈夫だった。
まずくはない。
「有里」
「なんですか?おいしいですか?」
「ああ」
にっこり笑うと有里は何かを察知したのか『えっ!』と言って後ずさったのを見逃さず、有里の腕をつかむと抱き寄せた。
「ま、ま、待ってください!」
口に一口含むと唇を重ね、有里に飲ませると、拒めずに飲み込んだ。
「まだあるぞ」
黙らせるのに二口目も飲ませた。
有里は顔を赤らめ、軽く咳き込むと涙目で俺を見た。
「うまいか?」
「ひ、ひどっ!」
『ほら、飲めよ』と差し出すと、有里は慌ててコップを奪い取り、悔しそうに青汁を飲んでいた。
最初から黙って、飲んでおけよ。
お前の体を心配してくれているんだろうが―――後から後悔しても遅い。
一瞬、母の顔が浮かんだ。
あの人は芯は強いが、どこか儚げな人だった。
母になにもできず、俺は―――ドンッと体当たりされた。
「有里、お前」
「飲みましたよ」
ほらっと空のコップを見せた。
仕返しか?
そう思っていると、有里からキスをされた。
「これが本当のキスってやつですよ」
「どこがだ」
本当のキスはお前からやるにはまだ早い。
けど、嫌じゃない。
有里だけは―――な。
あなたにおすすめの小説
結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる
狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。
しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で………
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。
理想の『女の子』を演じ尽くしましたが、不倫した子は育てられないのでさようなら
赤羽夕夜
恋愛
親友と不倫した挙句に、黙って不倫相手の子供を生ませて育てさせようとした夫、サイレーンにほとほとあきれ果てたリリエル。
問い詰めるも、開き直り復縁を迫り、同情を誘おうとした夫には千年の恋も冷めてしまった。ショックを通りこして吹っ切れたリリエルはサイレーンと親友のユエルを追い出した。
もう男には懲り懲りだと夫に黙っていたホテル事業に没頭し、好きな物を我慢しない生活を送ろうと決めた。しかし、その矢先に距離を取っていた学生時代の友人たちが急にアピールし始めて……?
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
私の意地悪な旦那様
柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。
――《嗜虐趣味》って、なんですの?
※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話
※ムーンライトノベルズからの転載です