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第2章
37 この町で過ごす最後の日(2)
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南方のリュザール王国から、大切なお客様がやってくるとあって、運河の船から、花火がたくさん打ち上げられた。
運河の水面に花火の光がきらめく。
生まれて初めて見た花火は、ジグルズ様と一緒に歩きながら、運河沿いの道から眺めた。
花火はドンッと大きな音を立て、一瞬で大きな花の形を作り、夜の闇にすうっと溶けていく。
「とても綺麗ですね」
「花火を見せると約束したからな」
以前、ジグルズ様は私に『それなら、今度、大きな花火を打ち上げよう』と言っていたのを思い出した。
なにげない会話の中で出たもので、約束と呼べるほどのものではなかった。
――覚えていてくださったなんて……
私がシャルク・ホジャの夜を過ごせるのは、これで最後だから、花火を見せてくれたのかもしれない。
明日、この時間には、もう私はここにいないのだと実感してしまい、お礼を言いたいのに、うまく言葉が出てこなかった。
船着き場まで歩き、リュザール王国からのお客様を出迎えたら、シャルク・ホジャの夜が終わる。
私とジグルズ様、少し離れて護衛たちがついてくる。
今ごろ、イーザック様もお屋敷から、花火を見ているだろうか。
一緒に行きたそうな顔をしていたのに、結局、意地を張って来なかった。
リュザール王国は南方の国々の一つで、グランツエルデ王国と同じくらい長い歴史を持つ国らしい。
でも、イーザック様の言い分だと――
『領土の広さと格式は、グランツエルデ王国のほうが上だ』
――そんな見栄を張らなくても。
グランツエルデ王国が大国になれたのは、気候も穏やかで農作物の収穫も安定しており、運河と海があったからだ。
ジグルズ様は厳しい気候の土地を治めるリュザール王家を尊敬し、自分たちよりも知恵と結束力があるのだと言っていた。
だから、何度も戦ってきたリュザール王国であっても、ジグルズ様は敬意をこめて『友人』と呼ぶ。
イーザック様はジグルズ様の話を聞いて、迷っていたけれど、王という肩書と頑固な性格が邪魔をして、『一緒に行く』とは言えなかったようだ。
――せっかくの花火とシャルク・ホジャの夜。あと少ししかいられないなら、なおさら暗い気持ちにならず、楽しもう。
「ジグルズ様、ありがとうございました」
「うん?」
「お屋敷の人たちの協力のおかげで、帰る前に地図が完成してよかったです」
「ああ。俺のほうこそ礼を言う。短い間だったが、レフィカは俺の想像以上に、よくやってくれた」
ぐすっとハリルの泣く声が後ろから聞こえてくる。
運河沿いの道には、ゼリヤとハリル、数人の配下が護衛のため、私たちの後方を歩いている。
「本当に……レフィカ様、帰っちゃうんだ……」
「ハリル、レフィカ様が困るでしょ。いい加減、泣き止みなさい」
周りの護衛たちはハリルをかばった。
「ゼリヤ、ハリルはいつも泣くのを我慢しているんだ」
「お前がいる時くらい泣かせてやれよ」
「あなたたちは、ハリルに甘すぎます!」
そう言いながら、ゼリヤはハリルの顔を布で拭いてやり、手を繋ぐ。
今のゼリヤは、男装の麗人でもなく、商人でもなく、ハリルのお母さんだった。
そんなゼリヤを眺め、私とジグルズ様は微笑んだ。
「ハリル。私が王宮へ戻ったら、遊びにきてください」
「王宮になんて入れないよ……」
「私とハリルはもうお友達です。生きているのに、もう会えないなんて寂しいでしょう?」
「レフィカ様……」
私の言葉は、ハリルの涙を止めるどころか、涙を誘い、目から大粒の涙がこぼれていく。
「俺も寂しくなるな」
ジグルズ様がそんなことを言うとは思わず、驚いて足を止めた。
「ジグルズ様は王宮へ来られないのですか?」
「王宮に出入りしないようにしている。イーザックが王だ。王位を捨てた王子が、頻繁に王宮に顔を出すのもおかしいだろう」
そういえば、ジグルズ様は王宮へほとんど来なかった。
来たのは、私とイーザック様の結婚式の日だけで、それも短い時間だけ――
「それでは……会えなくなりますね」
運河の黒い水面には、花火が映っていた。
すぐに消えていく儚くて、綺麗な光――しばらくの間、私とジグルズ様はその光を黙って眺めた。
「レフィカ、もし【契約】を無効にできたら……」
先に口を開いたのは、ジグルズ様だった。
けれど、その先を言う前に、ジグルズ様の視線は私でなく別のほうへ向けられた。
「全員、気をきかせすぎだ……」
水面を見ていた私は、なにが起きたのかと思い、顔を上げた。
気づくと、さっきまで、ゼリヤとハリル、大勢の護衛がいたのに、姿が見えなくなっていた。
「ゼリヤたちはどこへ? ジグルズ様の護衛は?」
「気をきかせたらしい」
「気を……?」
「二人きりで話をさせてやろうと思ったんだろう」
――最後だから。
ジグルズ様はそう言わなかったけれど、私は気づいた。
船着き場へ行くまでの短い時間、悔いのないお別れができるよう配慮してくれたのだ。
「お別れを言う時間をくれたんですね」
「しんみりするのは好きじゃない」
私は花火が上がっていてよかったと思った。
花火で町はいつもより賑やかで明るい。
お祭りのような空気がなかったら、私たちのお別れは暗いものになっていたはずだ。
私は微笑みを浮かべ、ジグルズ様に改めてお礼を言った。
「ジグルズ様、ありがとうございました」
「……お礼を言われるほどのことはしていない」
「そんなことはありません。私に希望をくれました。今日も私のために、お客様を招いたのでしょう?」
ジグルズ様は『そうだ』と口に出して答える代わりに、手を伸ばして、私に触れようとした。
その瞬間――
「兄上」
私たちの後を追いかけてきたイーザック様が、ジグルズ様の名を呼んで、その手を止めさせた。
「レフィカを殺す気か?」
――浮気は死。
ジグルズ様の手が離れ、じっと自分の手を見つめる。
「……悪い」
イーザック様は怒っていて、私の手を痛いくらいに強い力で引いて、ジグルズ様から遠ざける。
「レフィカを連れ戻しに来て正解だった。自分の【契約】をわかってるのか? このままだと、お前は死んでいたぞ!」
「……申し訳ありません」
「兄上、客人の出迎えは俺とレフィカがやる。レフィカのそばに、二度と近づかないでもらいたい」
いつもジグルズ様は余裕があり、イーザック様を笑ってかわすのに、その顔に笑みはなく。険しい顔をしていた。
「レフィカ、行くぞ」
イーザック様に手を引かれ、私はジグルズ様の表情を長く見ていられなかった。
同じ運河沿いの道で花火の音は続いているのに、さっきより遠く感じた。
私とイーザック様は無言で歩く。
つかまれた手が痛くても、なにも言えなかった。
イーザック様に手を引かれた瞬間、私はわかってしまった。
私の心臓が苦しかったのは、刻まれた【契約】のせいではない。
――私はジグルズ様を……
私がその先の答えを導き出す前に、どんっとイーザック様にぶつかった。
急にイーザック様が足を止めたせいだ。
そして、つかまれた手から、イーザック様の緊張が伝わってくる。
「あの……? イーザック様、いったいなにが……?」
うつむいていた顔を上げると、そこには黒づくめの男が数人立っていた。
「ようやく護衛がいなくなった」
「これで、依頼を果たせる」
彼らが纏っている空気が、ただのならず者たちとは違い、ピリピリしていた。
そう感じたのは、私だけでなく、イーザック様も同じだったようで、わずかに後ずさった。
気づけば私たちの背後に、同じ黒づくめの服装をした男が数人いて、私たちを囲んでいた。
「お前たち、俺の命を狙っているのか。どこの国の者だ!」
イーザック様が話していても、黒づくめの男たちはイーザック様を見ていない。
――彼らの狙いは私!?
「そこの女を殺してほしいと依頼された」
「その女を殺せば、依頼は終わる。死にたくないのであれば、ここから立ち去れ」
「レフィカを殺す依頼だと……? お前たちは暗殺者か」
イーザック様はただのゴロツキではなく、プロの暗殺者だと知り、動揺していた。
「まさか、本気でレフィカを殺すつもりで……? 本物の暗殺者を雇ったのか……?」
私を暗殺するよう命じた人間――それが誰なのか、イーザック様は知っているようだ。
イーザック様は大きく目を見開き、現れた暗殺者たちにショックを受け、茫然としていた。
「イーザック様。逃げてください」
「逃げる……だと?」
「あなたはグランツエルデ王国の王です。死んではいけません」
――生きるために頑張ってきたけれど、私の命はここまで。
最後の最後に私は恋を知り、幸せな日々を過ごせた。
どうせ死ぬのなら、あなたへの想いを口にしてから死にかった――ジグルズ様。
「さようなら、お別れしましょう」
微笑み、イーザック様の体をそっと手で押した。
運河の水面に花火の光がきらめく。
生まれて初めて見た花火は、ジグルズ様と一緒に歩きながら、運河沿いの道から眺めた。
花火はドンッと大きな音を立て、一瞬で大きな花の形を作り、夜の闇にすうっと溶けていく。
「とても綺麗ですね」
「花火を見せると約束したからな」
以前、ジグルズ様は私に『それなら、今度、大きな花火を打ち上げよう』と言っていたのを思い出した。
なにげない会話の中で出たもので、約束と呼べるほどのものではなかった。
――覚えていてくださったなんて……
私がシャルク・ホジャの夜を過ごせるのは、これで最後だから、花火を見せてくれたのかもしれない。
明日、この時間には、もう私はここにいないのだと実感してしまい、お礼を言いたいのに、うまく言葉が出てこなかった。
船着き場まで歩き、リュザール王国からのお客様を出迎えたら、シャルク・ホジャの夜が終わる。
私とジグルズ様、少し離れて護衛たちがついてくる。
今ごろ、イーザック様もお屋敷から、花火を見ているだろうか。
一緒に行きたそうな顔をしていたのに、結局、意地を張って来なかった。
リュザール王国は南方の国々の一つで、グランツエルデ王国と同じくらい長い歴史を持つ国らしい。
でも、イーザック様の言い分だと――
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ジグルズ様は厳しい気候の土地を治めるリュザール王家を尊敬し、自分たちよりも知恵と結束力があるのだと言っていた。
だから、何度も戦ってきたリュザール王国であっても、ジグルズ様は敬意をこめて『友人』と呼ぶ。
イーザック様はジグルズ様の話を聞いて、迷っていたけれど、王という肩書と頑固な性格が邪魔をして、『一緒に行く』とは言えなかったようだ。
――せっかくの花火とシャルク・ホジャの夜。あと少ししかいられないなら、なおさら暗い気持ちにならず、楽しもう。
「ジグルズ様、ありがとうございました」
「うん?」
「お屋敷の人たちの協力のおかげで、帰る前に地図が完成してよかったです」
「ああ。俺のほうこそ礼を言う。短い間だったが、レフィカは俺の想像以上に、よくやってくれた」
ぐすっとハリルの泣く声が後ろから聞こえてくる。
運河沿いの道には、ゼリヤとハリル、数人の配下が護衛のため、私たちの後方を歩いている。
「本当に……レフィカ様、帰っちゃうんだ……」
「ハリル、レフィカ様が困るでしょ。いい加減、泣き止みなさい」
周りの護衛たちはハリルをかばった。
「ゼリヤ、ハリルはいつも泣くのを我慢しているんだ」
「お前がいる時くらい泣かせてやれよ」
「あなたたちは、ハリルに甘すぎます!」
そう言いながら、ゼリヤはハリルの顔を布で拭いてやり、手を繋ぐ。
今のゼリヤは、男装の麗人でもなく、商人でもなく、ハリルのお母さんだった。
そんなゼリヤを眺め、私とジグルズ様は微笑んだ。
「ハリル。私が王宮へ戻ったら、遊びにきてください」
「王宮になんて入れないよ……」
「私とハリルはもうお友達です。生きているのに、もう会えないなんて寂しいでしょう?」
「レフィカ様……」
私の言葉は、ハリルの涙を止めるどころか、涙を誘い、目から大粒の涙がこぼれていく。
「俺も寂しくなるな」
ジグルズ様がそんなことを言うとは思わず、驚いて足を止めた。
「ジグルズ様は王宮へ来られないのですか?」
「王宮に出入りしないようにしている。イーザックが王だ。王位を捨てた王子が、頻繁に王宮に顔を出すのもおかしいだろう」
そういえば、ジグルズ様は王宮へほとんど来なかった。
来たのは、私とイーザック様の結婚式の日だけで、それも短い時間だけ――
「それでは……会えなくなりますね」
運河の黒い水面には、花火が映っていた。
すぐに消えていく儚くて、綺麗な光――しばらくの間、私とジグルズ様はその光を黙って眺めた。
「レフィカ、もし【契約】を無効にできたら……」
先に口を開いたのは、ジグルズ様だった。
けれど、その先を言う前に、ジグルズ様の視線は私でなく別のほうへ向けられた。
「全員、気をきかせすぎだ……」
水面を見ていた私は、なにが起きたのかと思い、顔を上げた。
気づくと、さっきまで、ゼリヤとハリル、大勢の護衛がいたのに、姿が見えなくなっていた。
「ゼリヤたちはどこへ? ジグルズ様の護衛は?」
「気をきかせたらしい」
「気を……?」
「二人きりで話をさせてやろうと思ったんだろう」
――最後だから。
ジグルズ様はそう言わなかったけれど、私は気づいた。
船着き場へ行くまでの短い時間、悔いのないお別れができるよう配慮してくれたのだ。
「お別れを言う時間をくれたんですね」
「しんみりするのは好きじゃない」
私は花火が上がっていてよかったと思った。
花火で町はいつもより賑やかで明るい。
お祭りのような空気がなかったら、私たちのお別れは暗いものになっていたはずだ。
私は微笑みを浮かべ、ジグルズ様に改めてお礼を言った。
「ジグルズ様、ありがとうございました」
「……お礼を言われるほどのことはしていない」
「そんなことはありません。私に希望をくれました。今日も私のために、お客様を招いたのでしょう?」
ジグルズ様は『そうだ』と口に出して答える代わりに、手を伸ばして、私に触れようとした。
その瞬間――
「兄上」
私たちの後を追いかけてきたイーザック様が、ジグルズ様の名を呼んで、その手を止めさせた。
「レフィカを殺す気か?」
――浮気は死。
ジグルズ様の手が離れ、じっと自分の手を見つめる。
「……悪い」
イーザック様は怒っていて、私の手を痛いくらいに強い力で引いて、ジグルズ様から遠ざける。
「レフィカを連れ戻しに来て正解だった。自分の【契約】をわかってるのか? このままだと、お前は死んでいたぞ!」
「……申し訳ありません」
「兄上、客人の出迎えは俺とレフィカがやる。レフィカのそばに、二度と近づかないでもらいたい」
いつもジグルズ様は余裕があり、イーザック様を笑ってかわすのに、その顔に笑みはなく。険しい顔をしていた。
「レフィカ、行くぞ」
イーザック様に手を引かれ、私はジグルズ様の表情を長く見ていられなかった。
同じ運河沿いの道で花火の音は続いているのに、さっきより遠く感じた。
私とイーザック様は無言で歩く。
つかまれた手が痛くても、なにも言えなかった。
イーザック様に手を引かれた瞬間、私はわかってしまった。
私の心臓が苦しかったのは、刻まれた【契約】のせいではない。
――私はジグルズ様を……
私がその先の答えを導き出す前に、どんっとイーザック様にぶつかった。
急にイーザック様が足を止めたせいだ。
そして、つかまれた手から、イーザック様の緊張が伝わってくる。
「あの……? イーザック様、いったいなにが……?」
うつむいていた顔を上げると、そこには黒づくめの男が数人立っていた。
「ようやく護衛がいなくなった」
「これで、依頼を果たせる」
彼らが纏っている空気が、ただのならず者たちとは違い、ピリピリしていた。
そう感じたのは、私だけでなく、イーザック様も同じだったようで、わずかに後ずさった。
気づけば私たちの背後に、同じ黒づくめの服装をした男が数人いて、私たちを囲んでいた。
「お前たち、俺の命を狙っているのか。どこの国の者だ!」
イーザック様が話していても、黒づくめの男たちはイーザック様を見ていない。
――彼らの狙いは私!?
「そこの女を殺してほしいと依頼された」
「その女を殺せば、依頼は終わる。死にたくないのであれば、ここから立ち去れ」
「レフィカを殺す依頼だと……? お前たちは暗殺者か」
イーザック様はただのゴロツキではなく、プロの暗殺者だと知り、動揺していた。
「まさか、本気でレフィカを殺すつもりで……? 本物の暗殺者を雇ったのか……?」
私を暗殺するよう命じた人間――それが誰なのか、イーザック様は知っているようだ。
イーザック様は大きく目を見開き、現れた暗殺者たちにショックを受け、茫然としていた。
「イーザック様。逃げてください」
「逃げる……だと?」
「あなたはグランツエルデ王国の王です。死んではいけません」
――生きるために頑張ってきたけれど、私の命はここまで。
最後の最後に私は恋を知り、幸せな日々を過ごせた。
どうせ死ぬのなら、あなたへの想いを口にしてから死にかった――ジグルズ様。
「さようなら、お別れしましょう」
微笑み、イーザック様の体をそっと手で押した。
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