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五章 二十歳×三十歳
46 ゼロウス視点③
しおりを挟む母国を攻め込まれて、親も親しかった友も暮らしていた場所も街も皆、みんな……焼かれてしまった。
俺を連れて国から逃げてくれたニニのおかげで、離れてしまったけれど何とか生き延びてこれた。
道中は酷い目にあったけれど、優しいシスターに拾われて命の危機を救われた。
そして、クラストに出会った。
白と黒に見えていた世界が、クラストに出会って色がついて輝いて見えるようになった。
それまでどんよりとした何も感情のない風景が、俺に光と色彩と香りまで与えてくれた。
あきらめて手放そうとした命を、もっとこの人の側に居たいと思って一生懸命に取り戻した。
クラストに好かれたくて、追いつきたくて追い越したかった。憧れたこの人に、少しでもそばに居たくて甘えてみた。
『仕方が無いな』と言いつつ、俺を受け入れてくれた。
憧れが、いつの間にか恋になって。早いうちにクラストの心も体も全部求めたくなって、愛に変わったと自覚した。
クラストにとって俺は、ずっと養い子で……。
どれだけ愛を囁いてもそれは、親を慕う愛情と勘違いをしていた。
歯がゆかった。
いっそのこと、体だけでも……と考えたことは数え切れない位あったが、それではクラストの心までは俺の手には入らないと……わかっていた。少しずつ、手は出してはいたが。
クラストは快楽に弱い。酒にも弱い。
警戒していたが、アスバル陛下にすんでの所でもっていかれそうだったので危なかった。許さない。
クラストの兄、ウェイダー国現王にはやられた。
五年もクラストと離された。都合の良い、厄介払いだった。まあ、剣の腕も体も成長出来たので良かった。
それにクラストは気が付いてなかったが、王から爵位と領地を贈ろうと言っていたが、どうせ王都からずっと離れた領地を賜ることになるはずだ。
あの王のことだ。今度は断ろう。
王にも、子が出来たのでクラストは自由になって良いはずだ。っていうか、もう体も心も俺のものになったのだから離さないし、離したくない。
隣に眠るクラストの髪に指を通し、サラリと手触りの良い感触を確かめる。
――昨日は夢中になってクラストを貪ってしまった。
クラストの唇は柔らかくて甘く、何度も互いの唇を重ねた。赤く腫れた唇は、また俺を誘ってきてキリが無かった。
細い首は色気を放ち、無防備に晒した喉は俺に差し出したかのようだった。
胸の淡い二つの飾りは、瑞々しい果実のようにピンと立っていてずっと弄っていた。口に含んでみると美味しかった。
クラストの体は、細いがしなやかで綺麗だった。
上気した顔を涙で濡らし、嬌声を漏らすクラストは色っぽかった。こんな顔をみせたのは俺にだけ。
俺の腕枕で眠るクラスト。
朝の光に照らされてキラキラと輝いている。生まれながらの気品漂う、元王子様。本人は自覚がない。
チュッ、と頬にキスをする。
「ん……」
起きるか? 昨日は無理をさせてしまった。
サワサワとしっぽを触り始めた。ねぼけている。
養子になって、一緒に寝ている時も無意識で触っていた。しっぽや耳に触れる意味を知らなくても知っても、触りたいらしい。
こちらの事情も分かって欲しい。
触られると、いやらしい気分になるのに。恋人同士や夫婦だとしっぽや耳を触る意味は『Hをしたい・しよう』と誘う合図。
サワサワ。
「……っ!」
昨日の……といっても、先ほどまで繋がっていた余韻が冷めてないのに。
ちゅ……っ。深いキスから首筋に舌を這わす。
「ん……」
片手で背中から腰に触れて、なだらかな尻を撫でる。
起きたらたぶん抵抗されるだろう。
起きる前に再び……。
「ん、あ……」
くちゅり……。
まだ柔らかいソコに指を入れると、中は蠢いていた。
たまらず横向きのクラストの脚をぐいっと上げて、張り詰めた自分のモノを突き刺した。
「あ……っ!?」
さすがにクラストは目が覚めたようで、中に入った俺のアレを締め付けた。
「あっ……」
朝の光に浮かぶクラストの裸体は、滑らかな肌が艶めかしくてさらに中に入った俺のアレが大きくなってしまった。
「ゼロウス……っ!」
止められない。だって十年も待った。
その胸の淡い色のぷっくりとした乳首も、引き締まった尻も、気持ち良くてタラリと垂れた体液を出しているクラストのアレも、気持ちいいアソコも……俺のモノだ。
「あん……っ! ああっん! あっ、あん!」
声も好きだ。気持ち良くなって、蕩けた顔もいやらしくて好きだ。
「クラスト、愛している」
さらに深く奥に進み、グリグリと可愛がるとクラストは先にイッた。
「あん、あん、あ――っ!」
「くっ!」
俺もたまらず、二、三回腰を揺らしてクラストの奥へ吐き出した。夜中あんなにクラストの中に出したのに、まだまだ足りない。
ピクピクと震えてクラストは、くたりと俺に抱きついてきた。体は綺麗に拭いていたが、また汗をかいてしまった。
クラストの体臭はキツくなく、薄い方だ。汗をかくと香りが強くなるけど、不快ではなくてむしろずっと嗅いでいたい香りだ。
クラストに言うと嫌がると思うから言わない。俺だけの楽しみ。
ペロリと首を舐めると愛しさが更にこみ上げる。
おでこ、頭にキスをする。手を取り、指輪をしている指にもキスを贈る。
二人でずっとこうしていたい。
けれど、邪魔が入るだろう。
今は二人だけ。
クラストをぎゅっと抱きしめながら、幸せを感じてもう少し目をつぶって眠る。
「愛している。クラスト」
聞こえてないかもしれないけれど、俺はクラストに愛を囁く。
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