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3章 覚醒

37 もふもふ…名前をつけました

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  「こら、やめろって。ソラ」
ソラは嬉しいのか、俺にスリスリと大きな顔を擦り寄せた。しっぽは、めちゃ振っていた。

「カケル! 大丈夫か!?」
ザッ! と一緒に調査に来た、騎士達が集まった。
「あ、先輩!」
そろそろ合流しようとしてたから、良かった。俺はソラの顔を撫でて先輩の方を見た。

「皆! カケルを助けろ!」
「デカい! 囲んで仕留めろ!」「カケルにケガはなさそうだが、魔獣に気をつけろ!」

 先輩方は俺が魔獣……、ソラに襲われていると勘違いをしている! 早く誤解を話さないと!
 ソラはしっぽを振るのをやめて、いつでも飛びかかれる態勢をしていた。警戒をしている。
「先輩、待って下さい!」

 今にもソラに斬りかかりそうだった。
「ソラも待って。味方だ」
「クゥン……」
 俺がソラに言うと、警戒心をゆるめた。

「先輩! この子は俺と友達になりました!」
俺はソラの頭を撫でた。
「「「えっ!?」」」
ソラの頭を撫でると、スリスリと俺に顔を擦り寄せた。

 先輩達は驚いて剣を構えたまま、固まっている。
「魔獣だけど、むやみに襲っては来ませんでした。こちらの言葉がわかるようですし、竜のように魔力を食べるみたいで害はありません!」
 俺が先輩達に経緯を説明をすると剣を納めた。

「信じられん……! こんな大きな魔獣なのに」
先輩達はジリジリとこちらへ、近づいてきた。
「グルッ!」
「ひっ!」
 ソラの首を優しくポンポンと叩いた。
「大丈夫だよ。仲間の先輩達は優しいよ」
ソラに言うと、ぺろっと俺の頬を舐めた。

「本当に、大丈夫そうだな……」
「近寄って大丈夫か?」
恐る恐る先輩達は、側まで来てくれた。
「大丈夫です! ソラって名前をつけました」
にっこり笑って、ニック先輩に話しかけた。

「えっ! 名前をつけたのか!? ……それは、その魔獣を従えることになったぞ」
「へ? 従える?」
名前をつけることが、そんな意味があることなんて知らなかった。だって動物と家族になるなら、名前をつけるだろう……?

「お前、知らなかったのか?」
「はい……」
 俺は従わせるようなことを、するつもりはないけれどな。
「まあ。害がないなら、いいだろう。調査目的の『魔のモノでも襲ってこないタイプ』が見つかった。調べるにはちょうといい、魔獣だ」

「調べる……って、ソラを拘束するつもりですか?」
嫌な予感がして、先輩に聞いてみた。
「お城に連れて帰るなら拘束は必要だ。いつ我々に襲いかかってくるか、わからないからな」
 ザッ! とソラは脚に力を入れた。

「待って下さい! ソラは襲って来なければ、襲いません! たぶん……竜と同じ、頭が良い魔獣で言葉を理解し、魔力をご飯にしてできるタイプかと思う!」
俺はソラの体に触れて、先輩騎士さん達に話した。……分かってくれないだろうか?

 もしもソラを、無理やり拘束するならば俺は……。
「あ――! 分かった分かった! こちらから、ちょっかい出さなければ大丈夫なんだな? 竜と同じく」
 なるほど! と周りにいる、先輩騎士さん達は言った。
「は、はい! そうです!」

「ならば。カケルが全責任を持って、面倒をみてくれ。あと……調査のために、お前と一緒にて調べさせてくれ」
 仕方ないなとニック先輩は、ため息をつきながら言った。
「はい!」

 良かった。ソラを拘束しなくて、お城に連れて帰れそうだ。
「じゃあ、皆! 調査終了! 帰るぞ!」
「はい!」
 調査終了の合図とともに隊になり、森から帰ることになった。

「でも……こんなに大きいと、お城の皆が怖がって攻撃してこないかな? 大丈夫かな……」
 俺はソラを心配して話しかけた。
調査隊の一番後ろについて、俺とソラは歩いていた。

「もう少し、小さければ怖がられないのにな」
歩きながらソラの頭を撫でた。
「え?」
 ピカッ! ソラが光った……。淡い光に包まれて、ソラの体が縮んでいった。

「ええっ!?」
淡い光が消える頃、ソラは大型犬位の大きさまで縮んだ。……そんなことができるなんて。
「ええぇ――!?」
 騎士さん達は一斉に叫んだ。……そうだよね。

 でもこれで、魔獣のソラを怖がる人はいなくなったと思う。
「ソラは賢いな!」
 わしゅわしゅ! と全身を撫でてやる。ふわふわの白い毛で抱きしめられる良いサイズになって嬉しい。
「わん!」

「本当に言葉を理解している……。これは大発見かも」
ニック先輩は呟いたが、俺はソラをモフっていたので聞こえてなかった。
 ソラはまた、しっぽを激しく左右に振って喜んでいた。
 
 「ソラ! モフモフ……! 幸せ……」
「わん!」
 
 
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