23 / 23
UNISON (DEEPENING THE MIND)
極東決戦編その23(終)
しおりを挟む
五月二十九日
東京の病院で目を覚ますと金さんが席に座ったまま寝ていた。目線をあげると水無瀬水鳥の姿があった。
「気付きましたか?どこか痛む場所はありますか?」
「水無瀬・・・金さんはずっと看病してくれていたのか?」
「そうですよ。コタン副宮長は交代ですると言ったのに金城さんだけはずっと看病していました。こんな純粋な人を疑ってしまって申し訳ないです。」
少しうつむいて苦い表情を浮かべた。完璧超人の水無瀬水鳥もこんな顔をするのだと思った。
「三江くんに話しておきたいことがあります。私は幼少の頃から英才教育を受けてきました。同い年の人を追い抜き、いつしか気にもせずに過ごしていました。普通の人とは違って当たり前に強くあらねばならないと思っていました。明ちゃんに出会う前までは・・・」
水無瀬水鳥は光星明に出会ってからいろいろあったのだろう。おそらく鋭い考察力を持つ彼女ならば十二宮学園の秘密と魔法の真実について近づいているのではないだろうか。
「水無瀬に調べて欲しいことがあるのだ。」
「はい。何でしょうか?」
「金さんの入学年が五九三六年だと思うのだ。それを確かめて欲しい。」
「そんな昔なのですか?戦前ですよね。分かりました。できる限り調べてみます。」
「それと、ハンス・ルーデル、リュドミラ・パヴリチェンコ、フナサカという人物の消息を調べて欲しい。学園は絶対に俺たちに隠していることがある!」
「そうです。私も気付いていながら気付いていないふりをしていたと思います。」
「それと魔法についてだが、『ハーメルンの声』って何だか分かるか?」
「魔法使いならば必ず親から習うことです・・・魔法を悪用しようとする心の声のことです。」
「邪心みたいなもの?その声に従ってしまうとどうなるのだ?」
「それは・・・」
「いや、やっぱり答えなくていいや。想像が付いた。」
魔法には俺達の知らない何かがあるのだ。ユニゾンとか関係あるのだろうか?そういえば、なぜ俺だけ大怪我しているのだろうか?
「水無瀬、ユニゾンの後に俺だけ怪我したのはなぜだ?」
「私も詳しく分かりませんが、ユニゾンした後に魔力が弱い方に反動が全部いくみたいです。魔法使いでない三江くんならばなおさら。」
ユニゾンとはそういう仕組みなのか?学園はなぜこのことを隠している?コタン副宮長ですらユニゾンを初めて見たと言っていた。金さんに聞けばすぐに分かるのだろうか?いや、ユニゾンをしたときに金さんの考えていることは把握した。金さんは魔法の真実のことは知らないのだ。現在の魔法社会には何か欠点でもあるのだろうか?魔法使いと魔法使いではない人との違いのためだろうか?
「ダメだ。考えてもよく分からない。水無瀬、悪いけどさっきのことを学園に戻ったら調べておいてくれ。頼む。」
「はい。分かりましたよ。」
金さんに負けない満面の笑みで俺に応えてくる憧れの彼女は本当にきれいな人だ。勘違いかもしれないが俺と水無瀬水鳥の距離は縮まったのではないだろうか。
「んあ~、風翔!目が覚めたなら起こしてよ!」
「ごめん、金さんが寝ているのを邪魔したら悪いかな、って思ったから・・・看病してくれてありがとう。」
「んあ~、ウチと風翔の仲じゃない。このくらい当たり前よ。それにウチの過去のこと知っちゃたんだよね?」
うつむいた笑顔の金さんのおでこを左手で指パッチンすると金さんはさらに笑った。
「ふふ、金さんって歳いくつだよ?」
「んあ~、レディに歳のことは聞かないの!」
ハヤテ、光星明、コタン副宮長、ククルも病棟に来てくれた。その後は六人と一匹でたわいもない話で盛り上がった。久しぶりに全員で本当の笑顔になった。学園都市に帰る日程は水無瀬水鳥が用意してくれた安全な飛行艇ですぐに移動できるという。宗教連の飛行艇は東京の郊外から学園都市まで二,三日で着くという。往路の鉄路よりはるかに速い。俺の怪我は水無瀬水鳥とコタン副宮長の治癒魔法のおかげで明日には退院できる。とにかく早く学園都市に帰りたい。帰って風璃と両親に会いたい。
五月三十日
病院を退院し宗教連の本部に戻るとハヤテ達が帰りの身支度をしていた。
「コンサートで押収できるだけ押収しました。」
「ハヤテ、この大量の武器は?」
「コンサート会場でラヒム一曹が住民から押収した武器じゃ。食料と物々交換した。」
東京の住民はこの大量の武器はどこから手に入れたのだろうか。大体の予想は付くが、今は考えないようにしておこう。
「金さん達は?」
「部屋で身支度しているけど、例によって明とハンナが喧嘩しているらしい。くいなが仲裁している。」
「ここに来ても仲が悪いことに感心するよ。俺達も手伝った方がいいのでは?」
「三江、そんなことだから空気が読めないと言われるのじゃ。女性の身支度は女性がするものじゃ。」
「はぁ。」
その後も彼女たちの部屋からは騒々しい声が聞こえたが夕方頃には片が付いたようである。そして、Kの荷馬車で六日間過ごした東京をあとにした。郊外の飛行艇乗り場では見覚えのある飛行艇があった。エールシュタットに居た铃玉(リンユー)の父親の霄漢(ショウカン)であった。そういえば彼の働いている『華鉱社(かこうしゃ)』は水無瀬家の個人資産になる予定である。予定どころか水無瀬水鳥のことだから殆どの株式は既に買収してしまったのでないだろうか。こうして東京から学園都市まで送ってくれるということはきっとそうなのだろう。夜遅くに出発した飛行艇で西を目指して飛行を始めた。来るときに歩いた場所も飛行艇で行くとあっという間である。俺と金さんはククルをと一緒に操縦室に行くと霄漢さんに聞いておきたかったことを聞くことにした。舵を取っている霄漢さんにククルを介して話しかけてみた。
「霄漢さん、リベラさんが言っていた魔法のことですけど・・・」
「リベラはそんなことも話していたのか。その意味を知るのにはお前らはまだ若いな。」
「んあ~、ウチが思うのですが心と心が通じ合うユニゾンが魔法の醍醐味では?」
「少しは成長したようだな。だが違う。」
飛行の邪魔をしてはいけないのでこれぐらいにして話を切り上げた。魔法とは一体何なのだろうか。光星明は分かっているような、いないような感じであった。今日はあまり深く考えずに就寝した。
五月三十一日
今日から学園の時間割通りの生活である。一般教養をおこない、俺とハヤテはコタン副宮長のもとで白羊宮の訓練をおこなった。飛行艇の中でも甲板を走り回るのはきつかった。しばらく体を本格的に動かさなかったのでなまっていることを実感した。訓練が一息つくと水無瀬水鳥が調べたことを聞こうと思ったが、今日は疲れてしまった。学園に帰ってから改めて聞こう。
六月一日
風の魔法で速い速度で学園都市に向かっているようだが、雲の上だと景色が変わらず退屈である。夕方に学園都市に近づき降下を開始するか霄漢さんが訪ねてきたがその必要はない。上空から風の魔法で降下すればよい。
「んあ~、ウチの初ライブの記念に写真を撮っておきたい!」
そう言って金さんはククルの写真機能を起動させて俺に持ってきた。
「はい。じゃあ撮るよ。」
「んあ~、風翔も写真に入るのよ!」
「分かったよ。ハヤテに撮ってもらおうか?」
するとハヤテは六人で写真を撮ることを提案してきた。すると金さんと光星明が喧嘩を始めた。
「んあ~、何であんたがウチの記念写真に写るのよ!」
「あたしだって一緒に撮りたくない!写真にはハヤテとくいながいれば十分だ。」
「嘘つけ。あんた絶対にハヤテのこと好きだろ。」
「な、何を!」
急にハヤテと光星明の顔面が真っ赤になった。
「ウチは記憶操作の魔法使いなのだから隠すことはできないのよ。」
「あんたは母さんの形見(光の核石)があるから、あたしの心だけは読めないはずよ!」
「そうだけどさ、あんたの視線はハヤテの顔ばかり追いかけている。」
「明ちゃん、そうなのですか?」
急に水無瀬水鳥が間に入ってきた。水無瀬水鳥は非常に困った顔である。
「水鳥、ウチはあなたの心は分かっているから。そうだ。風翔とハヤテの心をこの際、ハッキリと教えようか?」
「ちょっと待った!」×2
俺とハヤテが同時に待ったをかけた。
「あなた達がハッキリしないからでしょう!」×3
女性陣から一斉に批判を浴びた。3人は俺とハヤテの顔に迫ってきた。俺達五人は顔を見合わせると全員が笑い始めた。
「金さんの魔法はこういう使い方はしないでね。本当に必要なときが必ず来るよ。」
「うわ~、風翔に言われるとキモいよ。まぁ、でも悪い気分はしない。」
五人でコタン副宮長を呼びに行くと写真に入ることを承諾してくれた。ククルの自動写真機能を設定して六人笑顔で写真を撮った。
学園都市の防空識別圏に入ると、学園側は魔力でコタン副宮長と水無瀬水鳥がいるのが分かったようである。夜遅くに学園都市の上空に着くと俺とハヤテ、水無瀬水鳥と光星明、金さんとククル、コタン副宮長の順に風の魔法で降下した。飛行艇が着陸できる場所が少ないことと時間短縮のために風の魔法で一気に学園都市の総宮棟の前に降り立った。
「帰ってきました~。」
光星明が大声を出すと、コタン副宮長に叱られていた。しかし、叫びたくなるほど懐かしく感じる光景である。俺も早く帰宅して風璃を安心させてやりたい。風璃に手術が出来ることを報告しないといけない。そして、今までよりより良い学園生活にしよう。勉強、訓練を頑張ると決めた。ハヤテと水無瀬水鳥に声をかけやすくなったのは大きい。分からないことは取りあえず二人に聞けば良いのだから。こんなにやる気に満ちたのは入学試験勉強以来だろう。
「ワシは帰還連絡をしてくる。おのおのの宮に出向き指示を仰げ。」
「分かりました。」
俺、ハヤテ、水無瀬水鳥は敬礼をして、遅れることなく金さんと光星明は深々とお辞儀をした。
とりあえず宮長への報告が怖いので五人と一匹で順番に所属している宮に報告しに行った。まずは、金さんの双子宮だ。宮長室に入ると暗い室内にモニターの明かりがポツンとあった。人の姿は見えない。
「帰ってきたか、ハンナ・ノルン・金城。」
「んあ~、その声はタマ宮長!」
「大正解!今は攻略中のゲームで手一杯だ。手短に済ますぞ。あ~、少し売名できたからって調子に乗るな、ビッチ。お前みたいな生意気な奴は大人専用番組に出演させてやる手もあるのだ。」
「お、大人専用・・・」
「んあ~、風翔のエッチ!」
「ハヤテ、何を想像しているのですか?」
「ハヤテも男の子なのだな。」
女性陣が一斉に批判の嵐を俺とハヤテに向けてきた。それにも構わず、タマ宮長が話を続けた。
「お前らガキどもが想像も付かないあんなプレイやこんなプレイに出演させてやることもできるのだ。つまり、東京で名前が知れたくらいで調子に乗るなよ。」
「んあ~、分かりました。タマ宮長!」
こうして双子宮をあとにした。しかし、金さんに対するタマ宮長の口調は何なのだろうか。金さんのことを考えているのだと思うのだが。
「金さん、タマ宮長のあれってセクハラじゃないか?」
「んあ~、いつも女の子にはセクハラしているみたいだから。」
全く動じない金さんに俺とハヤテは感心していた。次に金牛宮の宮長室に入るとプレイアデス・スバル宮長が資料整理をしていた。
「あら、おかえりなさい。全員元気そうであらへんより。そういえば、おとといの流星はあんたらがおこしたみたいやなあ。」
立ち上がり俺に近づいてきた。氷のように冷たい瞳をしたスバル宮長はとても怖い。俺の耳元で冷たい声でささやいた。
「誤認逮捕してかんになあ。反省しています。せやけど、あんたが惚れている水鳥に手ぇ出したら許さへんさかい。そこのとこよろしく。」
逮捕されたときのことを思い出すと背筋が凍る。俺が水無瀬水鳥を好いていることはこの宮長には見破られているようだ。怖すぎる。
「そういえば、まだE-ウォッチ付けたままなのやね。もうすぐええ情報得られそうやわ。」
学園に帰還したのにE-ウォッチは付けたままであった。いい情報が得られるとはどういうことだろうか?そのとき、コタン副宮長が音を立てて扉を開けると部屋の中に堂々と入り込んできた。
「あらあら、どないしたん?そないに慌てて。」
「スバル、貴様はかったな!」
「何のことやら?」
「お前らはワシの会話を聞いておったか?」
俺達の方を鬼の様相でにらみつけるコタン副宮長だが何のことだか分からない。
「わたしやったら聞いとっても聞いてへんと答えるわぁ。どっちにして、その小さいロボットには全員の会話記録されているのちゃうかしら。それに、あんたがE-ウォッチを取り外すのを忘れたせいやろう。」
しばらく部屋に沈黙が流れたが、コタン副宮長が重い口を開いた。
「さっき連絡があった。イデアル領内で巨大な骨が発見された。ワシの推測では古代の生き物か大戦中の兵器だ。おとといの流星の一部が塊でイデアル領内に落下した。その衝撃で地下深くから姿を現したようじゃ。」
「恐竜とかですか?」
光星明がふいに口にした。恐竜と言えば一億七千万年前に絶滅した太古の生き物だが、さてそれがどうしたというのだろうか。
「そいつのDNAマップから筋組織などを調査して、学園都市で巨大な兵器を創る予定だ。聞いておるのだろ双葉テン!」
ククルが学園に帰ってきたと言うことは双葉テンの研究室から遠隔操作が可能だ。もしかして、学園都市の通信網に入った時点からずっとククルは双葉テンの基にあったのではないだろうか。E-ウォッチも同様である。すべてのE-ウォッチはリンクしているだけでなく双葉テンの研究室ともリンクしている可能性が高い。
「貴様たちも宝瓶宮にもワシら白羊宮の軍事機密がダダ漏れだったということか?」
コタン副宮長がククルに向けて虎杖丸を向けた。
「まあまあ、ここは穏便にうちらと白羊宮、宝瓶宮で協力しましょうか。その方が手間少ないやろ?あんたの失態も隠せるし。」
「相変わらず喰えない女だな。プレイアデス・スバル!」
「と、とりあえず落ち着いてください。コタン副宮長。スバル宮長は白羊宮と事を荒立てたくありませんから。」
「水無瀬副宮長、お前を信用しているが、プレイアデス・スバル宮長は信用しておらん。水無瀬副宮長、ハヤテ、三江でイデアルの発掘場所に向かう。ククルもまた使わせてもらうぞ。」
またややこしい話になってきた。遠出するのは好きではないがコタン副宮長の命令では仕方が無い。
「コタン副宮長、とりあえず帰っていいですか?」
「ああ。じゃが、余計なことは喋るな。お前ら五人はせいぜい、後ろに気を付けて生活しろ。」
こうして金さんの東京での初ライブは無事に終わり学園都市に帰還した。風璃に早く会いたいが、また金さんは着いてくるのだろうか?ハヤテ達と別れて金さんと自宅へ歩き始めた。
「金さんは学園の寮に帰らないの?」
「今日は風璃ちゃんに手術が出来ることを報告しないと。それに無事に帰ってこられて本当に良かった。」
金さんは俺の歩く前に小走りで出てきて満面の笑みで微笑んだ。それは俺が全く見たことのない笑顔である。すると不意に俺と金さんは涙が出てきた。
「ウチは・・・風翔のこと守ってあげられなくて・・・ごめん。風翔が警察に捕まったとき・・・本当はこうなるのだと知っていた。」
「・・・き、金さん」
「ウチは・・・好きなの・・・」
「き・・・」
「さぁ、帰ろう。」
こうして東京での戦い(?)は終わった。何にせよ学園生活は俺達にとって良い方向へと向かっていると感じた。しかし――
その後、俺と金さんは想像を絶する戦いに巻き込まれていくことになる。それは魔法とこの世界の『真実』に迫るものであることをこのときはまだ知らなかった。
東京の病院で目を覚ますと金さんが席に座ったまま寝ていた。目線をあげると水無瀬水鳥の姿があった。
「気付きましたか?どこか痛む場所はありますか?」
「水無瀬・・・金さんはずっと看病してくれていたのか?」
「そうですよ。コタン副宮長は交代ですると言ったのに金城さんだけはずっと看病していました。こんな純粋な人を疑ってしまって申し訳ないです。」
少しうつむいて苦い表情を浮かべた。完璧超人の水無瀬水鳥もこんな顔をするのだと思った。
「三江くんに話しておきたいことがあります。私は幼少の頃から英才教育を受けてきました。同い年の人を追い抜き、いつしか気にもせずに過ごしていました。普通の人とは違って当たり前に強くあらねばならないと思っていました。明ちゃんに出会う前までは・・・」
水無瀬水鳥は光星明に出会ってからいろいろあったのだろう。おそらく鋭い考察力を持つ彼女ならば十二宮学園の秘密と魔法の真実について近づいているのではないだろうか。
「水無瀬に調べて欲しいことがあるのだ。」
「はい。何でしょうか?」
「金さんの入学年が五九三六年だと思うのだ。それを確かめて欲しい。」
「そんな昔なのですか?戦前ですよね。分かりました。できる限り調べてみます。」
「それと、ハンス・ルーデル、リュドミラ・パヴリチェンコ、フナサカという人物の消息を調べて欲しい。学園は絶対に俺たちに隠していることがある!」
「そうです。私も気付いていながら気付いていないふりをしていたと思います。」
「それと魔法についてだが、『ハーメルンの声』って何だか分かるか?」
「魔法使いならば必ず親から習うことです・・・魔法を悪用しようとする心の声のことです。」
「邪心みたいなもの?その声に従ってしまうとどうなるのだ?」
「それは・・・」
「いや、やっぱり答えなくていいや。想像が付いた。」
魔法には俺達の知らない何かがあるのだ。ユニゾンとか関係あるのだろうか?そういえば、なぜ俺だけ大怪我しているのだろうか?
「水無瀬、ユニゾンの後に俺だけ怪我したのはなぜだ?」
「私も詳しく分かりませんが、ユニゾンした後に魔力が弱い方に反動が全部いくみたいです。魔法使いでない三江くんならばなおさら。」
ユニゾンとはそういう仕組みなのか?学園はなぜこのことを隠している?コタン副宮長ですらユニゾンを初めて見たと言っていた。金さんに聞けばすぐに分かるのだろうか?いや、ユニゾンをしたときに金さんの考えていることは把握した。金さんは魔法の真実のことは知らないのだ。現在の魔法社会には何か欠点でもあるのだろうか?魔法使いと魔法使いではない人との違いのためだろうか?
「ダメだ。考えてもよく分からない。水無瀬、悪いけどさっきのことを学園に戻ったら調べておいてくれ。頼む。」
「はい。分かりましたよ。」
金さんに負けない満面の笑みで俺に応えてくる憧れの彼女は本当にきれいな人だ。勘違いかもしれないが俺と水無瀬水鳥の距離は縮まったのではないだろうか。
「んあ~、風翔!目が覚めたなら起こしてよ!」
「ごめん、金さんが寝ているのを邪魔したら悪いかな、って思ったから・・・看病してくれてありがとう。」
「んあ~、ウチと風翔の仲じゃない。このくらい当たり前よ。それにウチの過去のこと知っちゃたんだよね?」
うつむいた笑顔の金さんのおでこを左手で指パッチンすると金さんはさらに笑った。
「ふふ、金さんって歳いくつだよ?」
「んあ~、レディに歳のことは聞かないの!」
ハヤテ、光星明、コタン副宮長、ククルも病棟に来てくれた。その後は六人と一匹でたわいもない話で盛り上がった。久しぶりに全員で本当の笑顔になった。学園都市に帰る日程は水無瀬水鳥が用意してくれた安全な飛行艇ですぐに移動できるという。宗教連の飛行艇は東京の郊外から学園都市まで二,三日で着くという。往路の鉄路よりはるかに速い。俺の怪我は水無瀬水鳥とコタン副宮長の治癒魔法のおかげで明日には退院できる。とにかく早く学園都市に帰りたい。帰って風璃と両親に会いたい。
五月三十日
病院を退院し宗教連の本部に戻るとハヤテ達が帰りの身支度をしていた。
「コンサートで押収できるだけ押収しました。」
「ハヤテ、この大量の武器は?」
「コンサート会場でラヒム一曹が住民から押収した武器じゃ。食料と物々交換した。」
東京の住民はこの大量の武器はどこから手に入れたのだろうか。大体の予想は付くが、今は考えないようにしておこう。
「金さん達は?」
「部屋で身支度しているけど、例によって明とハンナが喧嘩しているらしい。くいなが仲裁している。」
「ここに来ても仲が悪いことに感心するよ。俺達も手伝った方がいいのでは?」
「三江、そんなことだから空気が読めないと言われるのじゃ。女性の身支度は女性がするものじゃ。」
「はぁ。」
その後も彼女たちの部屋からは騒々しい声が聞こえたが夕方頃には片が付いたようである。そして、Kの荷馬車で六日間過ごした東京をあとにした。郊外の飛行艇乗り場では見覚えのある飛行艇があった。エールシュタットに居た铃玉(リンユー)の父親の霄漢(ショウカン)であった。そういえば彼の働いている『華鉱社(かこうしゃ)』は水無瀬家の個人資産になる予定である。予定どころか水無瀬水鳥のことだから殆どの株式は既に買収してしまったのでないだろうか。こうして東京から学園都市まで送ってくれるということはきっとそうなのだろう。夜遅くに出発した飛行艇で西を目指して飛行を始めた。来るときに歩いた場所も飛行艇で行くとあっという間である。俺と金さんはククルをと一緒に操縦室に行くと霄漢さんに聞いておきたかったことを聞くことにした。舵を取っている霄漢さんにククルを介して話しかけてみた。
「霄漢さん、リベラさんが言っていた魔法のことですけど・・・」
「リベラはそんなことも話していたのか。その意味を知るのにはお前らはまだ若いな。」
「んあ~、ウチが思うのですが心と心が通じ合うユニゾンが魔法の醍醐味では?」
「少しは成長したようだな。だが違う。」
飛行の邪魔をしてはいけないのでこれぐらいにして話を切り上げた。魔法とは一体何なのだろうか。光星明は分かっているような、いないような感じであった。今日はあまり深く考えずに就寝した。
五月三十一日
今日から学園の時間割通りの生活である。一般教養をおこない、俺とハヤテはコタン副宮長のもとで白羊宮の訓練をおこなった。飛行艇の中でも甲板を走り回るのはきつかった。しばらく体を本格的に動かさなかったのでなまっていることを実感した。訓練が一息つくと水無瀬水鳥が調べたことを聞こうと思ったが、今日は疲れてしまった。学園に帰ってから改めて聞こう。
六月一日
風の魔法で速い速度で学園都市に向かっているようだが、雲の上だと景色が変わらず退屈である。夕方に学園都市に近づき降下を開始するか霄漢さんが訪ねてきたがその必要はない。上空から風の魔法で降下すればよい。
「んあ~、ウチの初ライブの記念に写真を撮っておきたい!」
そう言って金さんはククルの写真機能を起動させて俺に持ってきた。
「はい。じゃあ撮るよ。」
「んあ~、風翔も写真に入るのよ!」
「分かったよ。ハヤテに撮ってもらおうか?」
するとハヤテは六人で写真を撮ることを提案してきた。すると金さんと光星明が喧嘩を始めた。
「んあ~、何であんたがウチの記念写真に写るのよ!」
「あたしだって一緒に撮りたくない!写真にはハヤテとくいながいれば十分だ。」
「嘘つけ。あんた絶対にハヤテのこと好きだろ。」
「な、何を!」
急にハヤテと光星明の顔面が真っ赤になった。
「ウチは記憶操作の魔法使いなのだから隠すことはできないのよ。」
「あんたは母さんの形見(光の核石)があるから、あたしの心だけは読めないはずよ!」
「そうだけどさ、あんたの視線はハヤテの顔ばかり追いかけている。」
「明ちゃん、そうなのですか?」
急に水無瀬水鳥が間に入ってきた。水無瀬水鳥は非常に困った顔である。
「水鳥、ウチはあなたの心は分かっているから。そうだ。風翔とハヤテの心をこの際、ハッキリと教えようか?」
「ちょっと待った!」×2
俺とハヤテが同時に待ったをかけた。
「あなた達がハッキリしないからでしょう!」×3
女性陣から一斉に批判を浴びた。3人は俺とハヤテの顔に迫ってきた。俺達五人は顔を見合わせると全員が笑い始めた。
「金さんの魔法はこういう使い方はしないでね。本当に必要なときが必ず来るよ。」
「うわ~、風翔に言われるとキモいよ。まぁ、でも悪い気分はしない。」
五人でコタン副宮長を呼びに行くと写真に入ることを承諾してくれた。ククルの自動写真機能を設定して六人笑顔で写真を撮った。
学園都市の防空識別圏に入ると、学園側は魔力でコタン副宮長と水無瀬水鳥がいるのが分かったようである。夜遅くに学園都市の上空に着くと俺とハヤテ、水無瀬水鳥と光星明、金さんとククル、コタン副宮長の順に風の魔法で降下した。飛行艇が着陸できる場所が少ないことと時間短縮のために風の魔法で一気に学園都市の総宮棟の前に降り立った。
「帰ってきました~。」
光星明が大声を出すと、コタン副宮長に叱られていた。しかし、叫びたくなるほど懐かしく感じる光景である。俺も早く帰宅して風璃を安心させてやりたい。風璃に手術が出来ることを報告しないといけない。そして、今までよりより良い学園生活にしよう。勉強、訓練を頑張ると決めた。ハヤテと水無瀬水鳥に声をかけやすくなったのは大きい。分からないことは取りあえず二人に聞けば良いのだから。こんなにやる気に満ちたのは入学試験勉強以来だろう。
「ワシは帰還連絡をしてくる。おのおのの宮に出向き指示を仰げ。」
「分かりました。」
俺、ハヤテ、水無瀬水鳥は敬礼をして、遅れることなく金さんと光星明は深々とお辞儀をした。
とりあえず宮長への報告が怖いので五人と一匹で順番に所属している宮に報告しに行った。まずは、金さんの双子宮だ。宮長室に入ると暗い室内にモニターの明かりがポツンとあった。人の姿は見えない。
「帰ってきたか、ハンナ・ノルン・金城。」
「んあ~、その声はタマ宮長!」
「大正解!今は攻略中のゲームで手一杯だ。手短に済ますぞ。あ~、少し売名できたからって調子に乗るな、ビッチ。お前みたいな生意気な奴は大人専用番組に出演させてやる手もあるのだ。」
「お、大人専用・・・」
「んあ~、風翔のエッチ!」
「ハヤテ、何を想像しているのですか?」
「ハヤテも男の子なのだな。」
女性陣が一斉に批判の嵐を俺とハヤテに向けてきた。それにも構わず、タマ宮長が話を続けた。
「お前らガキどもが想像も付かないあんなプレイやこんなプレイに出演させてやることもできるのだ。つまり、東京で名前が知れたくらいで調子に乗るなよ。」
「んあ~、分かりました。タマ宮長!」
こうして双子宮をあとにした。しかし、金さんに対するタマ宮長の口調は何なのだろうか。金さんのことを考えているのだと思うのだが。
「金さん、タマ宮長のあれってセクハラじゃないか?」
「んあ~、いつも女の子にはセクハラしているみたいだから。」
全く動じない金さんに俺とハヤテは感心していた。次に金牛宮の宮長室に入るとプレイアデス・スバル宮長が資料整理をしていた。
「あら、おかえりなさい。全員元気そうであらへんより。そういえば、おとといの流星はあんたらがおこしたみたいやなあ。」
立ち上がり俺に近づいてきた。氷のように冷たい瞳をしたスバル宮長はとても怖い。俺の耳元で冷たい声でささやいた。
「誤認逮捕してかんになあ。反省しています。せやけど、あんたが惚れている水鳥に手ぇ出したら許さへんさかい。そこのとこよろしく。」
逮捕されたときのことを思い出すと背筋が凍る。俺が水無瀬水鳥を好いていることはこの宮長には見破られているようだ。怖すぎる。
「そういえば、まだE-ウォッチ付けたままなのやね。もうすぐええ情報得られそうやわ。」
学園に帰還したのにE-ウォッチは付けたままであった。いい情報が得られるとはどういうことだろうか?そのとき、コタン副宮長が音を立てて扉を開けると部屋の中に堂々と入り込んできた。
「あらあら、どないしたん?そないに慌てて。」
「スバル、貴様はかったな!」
「何のことやら?」
「お前らはワシの会話を聞いておったか?」
俺達の方を鬼の様相でにらみつけるコタン副宮長だが何のことだか分からない。
「わたしやったら聞いとっても聞いてへんと答えるわぁ。どっちにして、その小さいロボットには全員の会話記録されているのちゃうかしら。それに、あんたがE-ウォッチを取り外すのを忘れたせいやろう。」
しばらく部屋に沈黙が流れたが、コタン副宮長が重い口を開いた。
「さっき連絡があった。イデアル領内で巨大な骨が発見された。ワシの推測では古代の生き物か大戦中の兵器だ。おとといの流星の一部が塊でイデアル領内に落下した。その衝撃で地下深くから姿を現したようじゃ。」
「恐竜とかですか?」
光星明がふいに口にした。恐竜と言えば一億七千万年前に絶滅した太古の生き物だが、さてそれがどうしたというのだろうか。
「そいつのDNAマップから筋組織などを調査して、学園都市で巨大な兵器を創る予定だ。聞いておるのだろ双葉テン!」
ククルが学園に帰ってきたと言うことは双葉テンの研究室から遠隔操作が可能だ。もしかして、学園都市の通信網に入った時点からずっとククルは双葉テンの基にあったのではないだろうか。E-ウォッチも同様である。すべてのE-ウォッチはリンクしているだけでなく双葉テンの研究室ともリンクしている可能性が高い。
「貴様たちも宝瓶宮にもワシら白羊宮の軍事機密がダダ漏れだったということか?」
コタン副宮長がククルに向けて虎杖丸を向けた。
「まあまあ、ここは穏便にうちらと白羊宮、宝瓶宮で協力しましょうか。その方が手間少ないやろ?あんたの失態も隠せるし。」
「相変わらず喰えない女だな。プレイアデス・スバル!」
「と、とりあえず落ち着いてください。コタン副宮長。スバル宮長は白羊宮と事を荒立てたくありませんから。」
「水無瀬副宮長、お前を信用しているが、プレイアデス・スバル宮長は信用しておらん。水無瀬副宮長、ハヤテ、三江でイデアルの発掘場所に向かう。ククルもまた使わせてもらうぞ。」
またややこしい話になってきた。遠出するのは好きではないがコタン副宮長の命令では仕方が無い。
「コタン副宮長、とりあえず帰っていいですか?」
「ああ。じゃが、余計なことは喋るな。お前ら五人はせいぜい、後ろに気を付けて生活しろ。」
こうして金さんの東京での初ライブは無事に終わり学園都市に帰還した。風璃に早く会いたいが、また金さんは着いてくるのだろうか?ハヤテ達と別れて金さんと自宅へ歩き始めた。
「金さんは学園の寮に帰らないの?」
「今日は風璃ちゃんに手術が出来ることを報告しないと。それに無事に帰ってこられて本当に良かった。」
金さんは俺の歩く前に小走りで出てきて満面の笑みで微笑んだ。それは俺が全く見たことのない笑顔である。すると不意に俺と金さんは涙が出てきた。
「ウチは・・・風翔のこと守ってあげられなくて・・・ごめん。風翔が警察に捕まったとき・・・本当はこうなるのだと知っていた。」
「・・・き、金さん」
「ウチは・・・好きなの・・・」
「き・・・」
「さぁ、帰ろう。」
こうして東京での戦い(?)は終わった。何にせよ学園生活は俺達にとって良い方向へと向かっていると感じた。しかし――
その後、俺と金さんは想像を絶する戦いに巻き込まれていくことになる。それは魔法とこの世界の『真実』に迫るものであることをこのときはまだ知らなかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる