旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり

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バーバラ

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 ある日、久方ぶりに返ってきた旦那様が無体な事を言い出しました。

「この部屋を引き払うから、悪いが親父のところに行ってくれないか」

 いったいどういうことでしょう。
 部屋を引き払うなんて、旦那様は仕事を辞めたとでも言うのでしょうか。

「ここは夫婦が暮らすための部屋だ。なのにお前ひとりが住んでいる。市内の部屋に比べれば家賃はほとんどかからないこの部屋を、使いたいという団員は多いんだ」

 私は混乱しました。旦那様の話している言葉の意味が理解を超えていて、いえ、話している内容は分かるのですけれど、なぜ私がここに一人で住んでいる事になっているのでしょうか。

 どうしてと旦那様に尋ねても、我儘を言うなと言われてしまいました。私はただ明確な答えが知りたいだけなのです。

「俺は騎士団の宿舎の方にも部屋を持っている。いくら百騎長の一人とは言え、あちらこちらに部屋を持っていると他の団員が煩いんだ」

 けれど旦那様は他の誰かのせいになさって、ちっとも本当の事を言ってはくださらない。

「俺は忙しいんだ。とにかくこの部屋は明け渡す事になっている。お前も荷物があるだろうから、一週間時間を貰った。親父には連絡を入れておくから、親父のところに行ってくれ」

 あまりの言い様に、私はポカンとしてしまいました。確かにこの部屋には私の荷物しかありません。

 なぜなら旦那様は忙しい、忙しいとそればかりで、ここに来ることがあっても、いつも用件だけを告げて帰ってしまいます。案の定、言いたいことだけ言った旦那様は、さっさと出て行ってしまいました。

 なんということでしょう。

 あの分ですと、お義父様おとうさまの領地に行くのは私だけのようです。
 リカルド様は騎士団のお仕事もありますので、こちらに残るおつもりなのでしょう。

 私は深く息を吐きました。

 これでは夫婦なんてお世辞でも言うことはできないでしょう。
 きっとお義父様おとうさまも、突然私が屋敷に着たら、何があったと驚いてしまうはず。お義父様おとうさまに連絡を入れておくとは言ってくださったけれど、いったいどんな説明をされるのかと思うと心配になってしまいました。

 でも仕方がありません。

 私は一つ心に決めました。

 リカルド様の意見は必要ないでしょう。


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