放っておいてくれたら良かったのに

村上かおり

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「ぐふっ」

 18歳の誕生日を迎え、フリートディートの父であるフォルクハルト国王陛下と義母であるエレオノーラ王妃陛下、それと側妃腹で8歳になったばかりの弟ヘルムート、その母であるレオナ・ヘラ、フリートディートの婚約者マーシア・レスリー公爵令嬢とその両親、弟ヘルムートの婚約者筆頭であるエリザベート・ヘザー侯爵令嬢とその両親が一同に会した晩餐会ばんさんかいで、フリートディートは二皿目に提供された冷製スープを数口、口に含んだ途端、苦しそうに息を吐き、鳩尾と口元を抑えて豪奢な椅子から転がり落ちた。

 もちろん周囲にいたメイドや女性陣は、声にならない悲鳴を上げ、ガタガタとその場から立ち上がる。

「ぐ、ぐうぅ」

 胃の腑から込み上げてくる不快感と口の中に感じる血の味に、フリートディートは苦しく感じながらも、またかと思った。

 この手のことは枚挙に暇がない、とでも言おうか。

 柔らかな絨毯のおかげで、椅子から転がり落ちた割には痛みが少ないせいか、どこか冷静な自分が周囲へと意識を向けていた。

 父である国王陛下は、第一王子であるフリートディートが突然苦しみ出した事に、僅かな動揺を見せている。義母である王妃はやけに冷静だ。

 婚約者のマーシアは驚きすぎて反応ができないのか固まり、その両親は動揺を隠しきれずに席を立ったが、こちらもまた動けないでいるようだ。

 弟で第二王子でもあるヘルムートは既に泣き出していて、母である側妃レオナ・ヘラにへばりつき、レオナ・ヘラはヘルムートを宥めながらも、ねっとりとした視線をフリートディートに向けている。

 弟の婚約者候補筆頭のエリザベートも泣き叫びはしなくとも、蒼白になってぼろぼろと涙を零し両親に縋りいていた。その両親もまた顔面蒼白で、夫人の方が意識を失って倒れたようだ。

 なぜ、貴様が倒れるのか。

 毒を盛られたのはフリートディートで、もだえ苦しんでいるのもフリートディートだ。

 フリートディートはそんな夫人に不快感を覚えながらも、心の中で【キュア】を唱える。

 つくづく無詠唱を学んでいて良かった、と思った。

 おかげで身体を苛んでいた毒はすぐに解毒される。

 だが、まだ苦しんでいる風に見せなくてはならない。

 なぜならフリートディートは魔力を吸収する魔道具を身に着けているからだ。

 それは本来、魔法の訓練が始まる前の子供につけられる魔道具だが、18歳になった今でもフリートディートは身につけさせられている。

 理由としては、人にしては高すぎる魔力量をコントロール出来ないから。

 そんな理由でフリートディートは、両手に幾つものバングル、両足にはアンクレット、耳にはピアスと幾つもの魔道具をつけていて、襟足だけ伸ばした銀髪と赤と金のオッドアイという見た目も手伝って、どこか軽薄そうな印象を与えるようになってしまった。

 フリートディートとしては大変、不本意ではある。けれど、まあ、そこは貴族のご令嬢たちを寄せ付けない効果もあるので、そのままにしている。

 それに、フリートディートの持つ魔力量は年々増加の傾向にあり、つけている魔道具もあまり意味がないのだが、それを知っているものはほんの極わずかだ。

 その中にフリートディートの両親は含まれていない。

 なぜか。

 それはとても単純な話だ。

 フリートディートは両親すらも信用していないからだ。






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 フリートディート(18歳)

 銀髪(ウルフヘア)・赤金のオッドアイ・身長180くらい・細マッチョ
 アクセサリーをチャラチャラつけたチャラ男っぽい見た目
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