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不器用すぎてクズな男とそんな男を嫌いになれない僕
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「そんなに美形が好きならお前の理想の美形と付き合えばいい!」
恋人のヌジャンの言い分に耐えきれなくなったミバはヌジャンの鼓膜を破る勢いで怒鳴った。たいしてヌジャンはいつもと変わらない態度で「わかった」と言った。
ヌジャンと初めて会ったのは王都にある中高一貫の学校で高校に上がったばかりの頃だ。ミバが通っていた学校は王都の中でも指折りの名門校ということもあり、騎士学科と魔法学科に特化したクラスがある。そのこともあり外部から高校受験で毎年何人か入学してくる。
その中に騎士学科希望のヌジャンがいたのだ。
ヌジャンは誰もが振り返るような目鼻立ちの整った顔とそれにつりあう恵まれた体格をもっていた。適当になでつけられた鮮やかなピンク色の髪に少しつり上がった若草色の瞳は優しい色合いをしているが、キリのいい声音もあって優しさよりもすがすがしく感じてしまう。
難関学科である騎士学科を志望していただけあってヌジャンは頭も運動神経もよく、剣の技術や礼儀作法の飲み込みも早かった。当然そんなヌジャンをまわりが放っておくことはなく、あっという間に学校一の人気者になった。
しかし、完璧に等しいヌジャンはとにかく面食いだった。自分好みの綺麗な顔をしていれば男女問わず付き合いセックスをした。一方で非常に飽き性で付き合っている間も好みの顔をした相手から告白されれば平気で浮気していたせいか一ヶ月も続くものはいなかった。それでもヌジャンを悪く言うものはおらず、つねに誰かに告白され、恋人がいない日がなかった。
たいしてミバは魔法学科に属していた。学科が違ってもヌジャンの噂はミバの耳にも入ってきた。あまりにもまわりがヌジャンヌジャンと騒ぐため興味本位で見に行ったのが今に思えば運の尽きだった。
他人の容姿に興味ないミバでさえ、遠目からみたヌジャンの浮世離れした立ち姿に思わず目を奪われたものだ。けれど、学科も違うこともあってヌジャンと関わることはまずないと思っていた。
「ミバの使い魔が逃げたぞ!!」
高校一年の春、魔法学科を選んだ生徒が自分の使い魔を召喚する日。ミバは高位の魔物を召喚できた反面、現れた魔物の圧に屈してしまった。魔物は教師が念のために張った結界すら破って逃げた。すぐに教師が魔物を追いかけたものの高位な魔物だけあって見つからなかった。
これではほかの生徒にも被害が出てしまうことからほかの教師も探すはめになり大事になった。ミバは教師に叱られ、学園内は不安と恐怖とミバに対する辛辣な空気が満ちた。
だが、終わりはあっさりとやってきた。寮の方からこの世のものとは思えないほどの絶叫が上がり、少ししてヌジャンが逃げ出した魔物を抱えてミバと教師が待機していた教員室へとやってきたのだ。
「失礼します。寮の庭で暴れ回っていたので、とりあえず気絶させておきました」
大きなあくびとともに肩に担いでいた魔物を床に投げ捨てると、あっけにとられている教師を見ることもなく出て行こうとする。ミバは間近でみるヌジャンの気迫に目を奪われたものの、慌てて立ち上がると声を上げた。
「あ、あのっ、ありがとう!」
緊張で声が震え、裏返ってしまった。ヌジャンは足を止めてミバの方を振り返った。ほんの数秒ミバを見つめた後「どういたしまして」と事務的に言い返すと教員室をでていった。
その日からミバは口にこそださないものの、無意識のうちにヌジャンを目で追うようになった。結局、自分もまわりと同じようにヌジャンに惚れてしまったとあきれる一方で、自分から告白するつもりはこの時はなかった。
というのも、ヌジャンが美形が好きな面食いというのを知っていたのだ。
そして、ミバの顔はお世辞にも美形とは言えない。艶のない枯れ草色の髪に泥色の瞳はつねに世の中を憎んでいると揶揄されるほど目つきが悪い。おまけにそばかすだらけで眉もボサボサな上に小太りだった。
今まで自分の容姿に無頓着だったが、ヌジャンの好みとは正反対な自分を毎度鏡で見るたびに次第に嫌になった。
せめてヌジャンの目に少しでもとどまれたら。
そんな思いで体を鍛えはじめ、眉や肌を整えたり、不気味に思われない綺麗な笑顔の練習をしたりと見た目にも気をつけるようにした。その努力もあってか高校最後の年である四年生になる頃には女生徒から声をかけられるようになった。
「ミバくんって高一の頃と雰囲気変わったねー」
「そうかな?」
「そうだよー、清潔感がでたし、前は怖いなって思ってたけど最近はこわかわいいって感じるようになったよ」
「こわかわいい?」
女生徒の特有の言語に疑問符が浮かぶもののあえて追求しないことにした。
寮の自室に戻ると、使い魔召喚の日に逃げ出した使い魔――ダエルが宙に浮いていた。
「おっかえり~。ミババ、なんだか嬉しそうだねえ」
「さっき同じ学科の女子に雰囲気変わったって言われたんだ」
「まあ小汚い子豚から清潔感ある鹿に進化すれば、まわりの見る目も変わるでしょ~」
ミバの前にダエルが下りてくると切れ長の目を細めて笑った。ダエルの皮肉にムッと眉を寄せると、すかさずダエルの指が眉間をグリグリと押してくる。
「眉間にしわを寄せたらだめだって、不細工な顔になってるよ。そんなんじゃ、ヌジャンにいつまで経っても告白を受けてもらえないよ」
「うるさいなあ。あーあ、僕もダエルみたいに綺麗だったらなあ」
正規に使い魔となった後、ダエルは仮の姿として人型をとるようになった。灰色の髪は艶があるせいか銀色に見え、切れ長の大きめなつり目にまっすぐな鼻筋は計算されたかのように見事なバランスだ。中性的なダエルの容姿はまさにミバの理想そのものだった。
ベッドに寝転がってため息をつくミバにダエルは再び宙に浮くと、うつ伏せの姿勢でフワフワとミバの真上にきた。
「今のミババなら地味だけど平凡くらいあるから自信もちな。それにミババには声っていう最強の武器があるじゃん」
「声なんてどうでもいいだろ」
「いやいや、声は大事だよ~? 聴覚は時になによりも相手を刺激するんだよ。特にミババの声は顔に反して柔らかくて聞き取りやすいし、高位な俺がほかの魔物を押しのけて召喚に応じちゃったぐらいだから自信持ちなって」
「だーかーらー、ヌジャンは声じゃなくて見た目重視だから意味ないんだって……」
ダエルの言うようにミバの声はいい声なのか、一部の生徒に人気なのは知っている。それでもミバにとって大事なのは容姿だ。一時期は整形も考えたが、親からもらった顔をいじるのはどうにも気が引けたためその考えは取りやめた。
「明日で最後か……」
結局、ヌジャンと会話したのは後にも先にも教員室で出会ったときだけだ。最初こそ告白する気はなかったが、明日卒業式を迎えればそのまま王宮騎士となるヌジャンとは簡単に会うことはできないだろう。
ヌジャンの好みの顔じゃないため告白を受け入れてもらえないのはわかりきっている。それでもヌジャンの視界に映って、とりとめのない言葉を交わしたかった。
「ヌジャンが声を重視する人だったら、僕のこと好きになってくれたかな」
そんなもしの世界を考えながらミバはシャワーを浴びに行った。
翌日、卒業式にふさわしい晴れやかな空を迎えた。卒業式はあっという間に終わりあたりは卒業生に涙する生徒や「また会おうぜ」と再会の言葉を交わすクラスメイトもいた。
ミバはヌジャンに告白するために早足で校舎から少し離れた鳥かごのような温室へと向かった。中に入れば、ひとけはなく植物が天井を覆いつくさんばかりに伸びている。
あらかじめダエルにヌジャンの追跡を頼んでいこともあり、温室にヌジャンがいることはまだ誰にもバレていないようだ。少しはヌジャンと二人でいられる時間があると思うと嬉しい反面、緊張で胸が痛くなってくる。
植物をかき分けて壁と一体化しているドアをそっと押せば、ぐるんと扉が回転する。回転扉と気づくのが遅れて、そのままヌジャンがいるであろう部屋へと勢いよく倒れ込んでしまう。その際、顔面から転んだせいか、鼻の頭からピリッと痛みがした。
「いっ……」
「今のすげーな。鼻、大丈夫か」
見覚えのある影が差してハッと顔を上げれば、ヌジャンがすぐ目の前にいた。
奇妙なものでもみるかのような視線はいささか気になるが、それでも間近でヌジャンが見れた嬉しさに呼吸をするのを忘れそうになる。体が本能的に危機を察して、呼吸を思い出すと盛大に咳き込んだ。
ヌジャンはそんなミバの背をさすることもなく、ただじっと品定めするように眺めていた。その視線に緊張感がまた湧き出てくるものの深呼吸をしてなんとか落ち着くと、姿勢を正してヌジャンを見上げた。
「え、えっと。僕は魔法学科に所属していたミバっていいます。それで、あの。ヌジャン……さん、僕と付き合ってくれませんか」
「顔が俺好みじゃないから無理」
考える間もなくきっぱりとヌジャンは言った。しかし、ヌジャンの回答は想定通りだ。がっくりと肩を落としそうになるものの、なんとか耐えて言葉を続けた。
「それじゃあ、せめて。一度だけ、僕とセ、セックス、してくれませんか?」
「さっきも言ったけど、顔が好みじゃないから無理だ」
「が、頑張ってご奉仕しますからっ」
とんでもないことを口走っているのはわかっている。それでもヌジャンと直接関わった証がほしかった。
ヌジャンはじっとミバを見つめた後、イスを引っ張ってきて腰を下ろした。
「そこまでいうならフェラしてくれ」
「わかりました……」
そろそろとヌジャンの足の間に近寄る。指先が震えるもののなんとか前を広げれば、そこには赤黒い雄があった。しぼんでいるもののそれでも目を見張る大きさにドキドキする。
そっと両手で支えて口を精一杯広げて咥える。歯を当てないように気をつけながら舌を動かす。チラッとヌジャンを見上げるもののヌジャンは顔色一つ変わらない。
どうすればいいかわからなくて、舌で舐めあげてみたり頬や上顎で刺激してみるがかすかに反応するもののほんの一瞬だ。ヌジャンを気持ちよくさせることが出来ない悔しさに自然と涙が浮かんでくる。
「んっ、ぅ、ぅう」
必死に押さえていた声も漏れてしまい、ますます情けなくなる。だが、今までピクリとも反応しなかったヌジャンのそれがかすかだが熱を帯びて膨らんだ。理由がまったくわからず混乱してしまう。
そうこうしている間にヌジャンの手が伸びてきておもむろに引き寄せられる。唐突に深く咥え込まされてえずきそうになるもののなんとか耐えた。
「んん゛っ、ふっ、ぅ」
ヌジャンの茂みが鼻先に触れる。息苦しさに声が勝手に漏れ、うまく舌を動かせない。それでも、あれほど反応がなかったのが嘘のように顎がつらいほどすっかりヌジャンのものは高ぶっていた。
理由がわからないもののヌジャンが反応してくれたことが嬉しくて、ミバの体も火照っていくのがわかる。
「口、離せ」
「ふぁぃ」
言われたとおり口からヌジャンの高ぶりを解放すると、ぶるんと勢いよく飛び出る。すっかり凶悪な形になっているそれに呆けていれば、ぺちぺちと頬を叩かれた。
「ご奉仕してくれた褒美に本番してやるよ。ほら、服脱げ」
「う、うん」
言われるがままに素肌になると、腕を捕まれて引っ張り起こされる。その勢いでヌジャンの膝の上にまたがされる。
「ふーん、体は悪くねえな」
ヌジャンのゴツゴツした大きな手がミバの体を確かめるように触ってくる。くすぐったさに眉を寄せて笑ってしまう。そんなミバにお構いなしと散々体を触ったヌジャンは尻を掴むと懐から潤滑草を取りだして秘部に押し込んでくる。
「ひっ、ぁ」
「ずいぶん柔らかいな。自分でいじってたのか」
「う、うん」
「そりゃ、よかった。面倒が省けて助かる」
中の熱で溶け出した潤滑草の効果が出てきたのか、ヌジャンの指が動くたびにぬちゅぬちゅと音が鳴る。自分でほぐしたおかげもあってか苦しくはないものの恥ずかしくて顔が熱くなる。
はじめてのセックスなのに、ヌジャンの指は的確にミバの弱いところを攻めてくる。
「ぁ、ぃくっ…、ぃくっ」
ヌジャンを見上げて告げれば、ヌジャンはすうっと目を細めて「いれるぞ」と言ってきた。頭が理解するよりも早く、ヌジャンの高ぶりが中に入ってきた。
「ん゛っ、くっ…ぃ、ぁ、ぁああっ!」
唐突な刺激に耐えきれず、ヌジャンの腰に足を絡めて体をのけぞらして達していた。その間もヌジャンの凶悪な高ぶりがゴリゴリと弱い場所を刺激してくる。圧迫感に眉を寄せるもののヌジャンと一つになったとわかれば、苦しさは薄まった。
「ま、へ…っ、ぃってるっ、ぁ、だめっ、へんっ、くるっ、きちゃ……~~~~ッ!」
未知の感覚に頭がパニックを起こす。しかし、ヌジャンの動きは止まるどころか追い立てるように刺激してくる。
ねっとりと抜き差しされる度に喉をのけぞらして何度も絶頂を迎える。体の中を暴れ狂う快感に何度も意識が飛びかけて足の先をこれでもかと丸める。そして、ヌジャンが萎えないようにぐちゃぐちゃになった自分の顔を隠した。
「腕どかせ、顔隠すな」
「で、も……ぉ、んん゛ぅ」
戸惑っているとヌジャンが時間をかけて奥まで突き入れてくる。その刺激に中心から勢いよく熱が飛び出した。
「ごりごりっ、まってぇ゛…っ、ぁ、またぃくっ、ィくっ!」
「おいおい、俺の気に入りすぎだろ。……ま、いいか」
汗ばんだヌジャンの手が片手だけでミバの腰を支えると熱のこもった息を吐く。空いた片手でミバの腕を掴むなりあっさりはがされた。様々な体液で汚れた顔を見られたショックで目を見開いて硬直した。
だが、ヌジャンは気にしてないのか掴んだミバの腕を自分の肩へとのせた。
「ご奉仕してくれるんだろ」
「う、ん……」
「それならしっかり俺にしがみついて俺のを締め付けろ。あと声も抑えるな。好きなだけ喘げ」
「だ、けどっ、ぉ゛…っ!」
反論しかけたところで突き上げられて、濁った喘ぎ声が飛び出てしまう。恥ずかしくて涙がにじんでくる。たいしてヌジャンははじめて口角をつりあげた。
「ははっ、今のだらしねー声いいな。おら、もっと声あげろ。恥ずかしがるな」
宣言するなり再び追い詰めるように突き上げてくる。
「ァ、ィぐっ、ぁひっ…、だめだめっ、ィって、る! ぁ゛っ、~~~~ッ!」
はじめての快感と我慢するなと言われたこともあってあられのない声が勝手に漏れていく。ヌジャンの首に腕を回して言われたままに嬌声をあげていれば、ヌジャンの高ぶりが今までにないぐらい硬く膨らんで腰の動きも一段と荒々しくなる。
「ヌジャ…ンっ、ぁ、すきっ、すきっ! きもちいぃっ、だめっ、僕っ、頭変になっ、るぅ…ッ、ァ、ぃ、くっ…、ぃきゅっ、~~~~ッ!」
とろけきった思考で思ったことをそのまま叫べば、ヌジャンが奥歯を噛みしめてぶるりと体を震わした。叩きつけるように注がれる熱に腰から背中に向けてゾクゾクと快感が走って行く。
一滴も漏らさないように秘部を締め付けてヌジャンが引き抜くまで受け止めていれば、ぶるっとヌジャンの体が震えてゆっくりと熱のこもった息を吐いた。
「抜くぞ」
「う…ん……」
疲れて意識が朦朧する中、ヌジャンとの夢のような時間も終わりだと思うと涙がにじんだ。
ヌジャンのものが引き抜かれ、苦しさはなくなったもののそれ以上に寂しさが押し寄せてくる。
そう思ったのもつかの間、近くのテーブルにうつ伏せにさせられたかと思いきや、腰を捕まれた。
「え?」
二度目のセックスに困惑して肩越しにヌジャンの方へと振り向いた。すぐ間近にあるヌジャンと目が合うと、ぐんっと最奥まで挿入されそのまま覆い被さるように密着してくる。
「ひっ、ぅ……、ぁ」
ヌジャンの若草色の瞳に自分だけが映っていることに気づくと同時に唇が重なった。
「んんぅ、はっ…ぁ、ん」
無防備なミバの口を割ってヌジャンの舌が入り込んでくる。慣れた舌使いで口内をまさぐられながら最奥をこねられるたびに興奮と嬉しさで胸が苦しくなる。
背中に伝わるヌジャンの重さと腰を掴んでいた手がミバの手を包み込むように握りしめてくる。再び中に注がれて引き抜かれれば、ヌジャンが服を整えていた。
その様子から今度こそヌジャンとのセックスが終わった。その姿が滲んでいくのをぼんやりと眺めていると、ヌジャンはおもむろに懐からメモを取り出してミバの目の前に置いた。
体を起こしてメモをのぞくと住所のようだ。
「えっと、これ」
「俺の住所。お前、俺のことが好きなんだろ。体の相性があうからつきあってやる」
「え?」
ぽかんと口を開けているミバの方を向くなり、額に張り付いている前髪を脇にどかしてちゅっとキスをしてきた。
いまだに理解できないままヌジャンはすでに決定事項だというように続けた。
「どうせならいつでもセックスできるように一緒に暮らそうぜ。家事は頼んだ」
「う、ん……」
まさかの事態に飲み込めないもののヌジャンと付き合えるということに照れくささと嬉しさが溢れてミバは頷いた。
最初は些細なことでも嬉しかった。だが、付き合いだして二週間でヌジャンは浮気した。最初こそ控えめだったミバもその後、何度も浮気されればいくら付き合う前からわかっていたといえど限界が来る。
たいしてヌジャンは浮気相手とは長く続かず何食わぬ顔でミバのところに帰ってきては比較するように抱いた。そして抱いた後決まって「顔以外はいいんだけどな」とぼやくのだ。
その言葉に毎度胸がえぐられる痛みを覚えるものの、最後は必ず自分のところに戻ってくる嬉しさから嫌いになりきれずはじめてセックスした日から一年が経った。
そして、痛みは好意を上回るほど蓄積され、ついに爆発した。
「そんなに美形が好きならお前の理想の美形と付き合えばいい!」
散々好き勝手に抱かれてヘトヘトだったが、それ以上に悔しさと怒りが強かった。ミバが意識を失っている間にさっさとシャワーを済まし終えたヌジャンはいつもと変わらない態度で答えた。
「わかった。じゃあ、エルマのところに行ってくる」
エルマとは付き合ってからも好みの顔だとよく話していた幼馴染みの男のことだ。一度だけ会ったことがあるが、エルマはヌジャンが話していたとおり目鼻立ちの整った中性的な男でその立ち振る舞いからも穏やかな人柄で自分とは真逆だとミバは思った。
ヌジャンは早々に家を出て行ったようだ。とっさに口にしてしまったといえど考えることもなく出て行ったことにミバの胸がまた痛んだ。
「なあ、ダエル。薄々察してはいたけどさ、もしかして僕、ヌジャンにとっては恋人じゃなくて家事をするついでに性欲処理もできる都合のいい相手なのかな」
「そんなことないって。ヌジャンはやり方がクソだけど、ミバを愛してるよ。俺が保証するって」
「本当に好きなら浮気なんかしないだろ」
自分で言っておいて情けなくてますます気分が落ち込む。ごろりと横になってミバはそのまま寝ることにした。
翌日、ほんの少し期待していたもののヌジャンは帰ってきていなかった。がっくりと肩を落とし、風呂に入って体を綺麗にした後、気分転換もかねて食料を買いに外に出た。
町は相変わらず賑やかでいつも通りなのが嫌になる。付き合った頃は料理が出来なかった。けれど、騎士であるヌジャンにとって体は資本だ。出来合いのものが悪いとは思わないが、せっかくだから自分の手で作りたいと思ったのだ。
最初こそ微妙な味付けも今ではバランスよくヌジャンからもおいしいと言ってもらえるようになった。それだけでミバは飛び跳ねたくなるぐらい嬉しかったのだ。結局、これも惚れた弱みというものだ。
市場を見て回り、安くなった野菜や肉を買っていく。それをダエルの空間魔法の中にいれて、ほかに必要なものがないかあたりをもう一度見渡せば、狭い路地の間にヌジャンとエルマがお互い向き合って話していた。それだけならミバだって気にとめなかっただろう。
「ヌジャン、あんな風に笑えたんだ……」
向かいにいるエルマにヌジャンはミバに見せたことない優しい笑みを浮かべていた。無感情ではないが、基本的にヌジャンはつねに真顔だ。たまに唇の端をつりあげて笑うことはあっても、目尻を下げて笑うなど付き合って一年経つが一度もない。
「やっぱり僕の顔じゃだめなんだ」
わかってはいた。告白したときだってヌジャンはミバの顔が好みではないと言った。それをセックスでつなぎ止めていただけだ。
屈託なく笑い合う二人を見たくなくて早足で家へ向かう。家に着くなり、ダエルを呼んだ。
「どうしたの、ミババ。あ、買ってきた材料だすの? なに取り出せばいい?」
「ダエル、お前なら僕の顔を魔法で変えることぐらい造作もないだろ?」
のんびりしたダエルの声をなかば遮るように尋ねる。ダエルはパチパチと目をしばたかせた後、眉を寄せた。
「そりゃ、俺ならそのぐらい寝てても出来るけどさ」
「なら、ダエルの魔法で僕の顔をヌジャン好みの顔に変えてくれ」
「ミババ、ちょっと落ち着きなって。ヌジャンのために顔を変える必要なんてないよ。それにあいつだって告白したときはともかく今は」
「頼む、ダエル。こんな頼み、お前にしかできないんだ」
声が震え、視界が涙でぼやけていく。耐えようと思ったが、ついには嗚咽まで漏れてしまう。
「頼むよ、ダエル。僕も一度でいいからヌジャンに笑いかけてほしいんだ」
「……わかった。それじゃあ、目を閉じて」
ダエルに言われたとおり目を閉じる。ふわりと薄いベールのようなものが顔にかけられた不思議な感触が伝わってくる。それはゆっくりと染みこんでやがて違和感は消えた。
「さ、目を開けて確認してみて」
「う、うん」
そっと目蓋を持ち上げて差し出された手鏡を受け取る。
そこにはまさにヌジャン好みでありミバが憧れていた顔が映っていた。世界を憎んでるようだと言われた目つきは少しつり目がちのぱっちりとした瞳に変わり唇の形も色艶もよくなっている。極めつけはそれらのパーツが計算された位置にあり、どの角度から見ても我ながら見とれるほどだ。
「ほんとにできたんだ」
「そりゃ、俺は高位な魔物だしね。姿を変えさせることぐらい簡単さ」
ふわふわとミバの隣で浮きながらふふんとダエルは笑ってみせる。
理想の顔に変わったことでヌジャンに笑いかけてもらえると思うと気持ちもだいぶ楽になった。
「僕のわがままを聞いてくれてありがとう、ダエル」
「俺はミババの使い魔だからね。ご主人様の喜びが俺の喜びだよ」
くしゃくしゃと細長い繊細な指が頭を撫でてくる。まだ顔は慣れないもののダエルに微笑めば、ダエルは眉を下げて笑った。
次の日、朝帰りしてくるであろうヌジャンのために朝食を作っていた。新しい顔に見慣れなくて鏡を見たときは思わず声を上げてしまったが、やっとヌジャンに笑いかけてもらえると料理をする手が軽くなる。
予想通り窓から朝日が差し込む頃、聞き慣れた足音とドアが開く音がした。火を止めていつも通り振り返って「おかえり」と告げようとすれば、鋭い空気をまとったヌジャンが腰に下げている剣の柄に手を当てていた。
「お前は誰だ」
「ヌジャン、落ち着いて! 僕だよ、ミバだよ!」
はじめて感じる騎士としての一面に縮み上がり、声が震える。ヌジャンはミバの声を聞いてかすかに目を見開くと、柄から手を離して大股で近寄ってくる。
「その顔、どうした」
「ダエルに頼んで魔法で変えてもらったんだ」
ミバの知るいつものヌジャンに戻ったことでほっと息をつく。真顔で凝視してくるヌジャンにやっと笑いかけてもらえると期待でドキドキしながらそっと見上げて微笑んだ。
「これで僕はヌジャンの理想になれたかな?」
「戻せ」
「え?」
「今すぐもとの顔に戻せ」
まさかの返答にミバは頭が追いつかなかった。ダエルによって今のミバの顔は文字通りヌジャン好みのはずだ。それはヌジャンを見てきたミバが一番わかっている。
「なんで? この顔、ヌジャンの好みだろ? それとも、もう少し垂れ目のほうがよかった?」
ヌジャンの理想の顔になって笑いかけてもらえると考えていたのに、空気が震えるのがわかるほど怒っているヌジャンに困惑する。
しかし、ヌジャンは「元に戻せ」と唸るように言うだけだ。
「変身魔法ならかけたやつが解けば元に戻るんだろ」
「でもっ、僕の本来の顔じゃヌジャンは満足できないんだろっ?! だから、浮気だってするし、セックスし終わった後、いつも……、いつも、顔以外はいいんだけどなって言ってたんだろ!!」
「それは……」
ミバの叫びにヌジャンは視線だけ落とした。わかりやすい反応にやっぱりと思う一方でそうであってほしくなかったという気持ちがわきあがる。
溢れそうになる涙をぐっとこらえて、引き結んでいた唇をむりやりつり上げて微笑んだ。
「なら、これでいいじゃん。今はまだ慣れないと思うけど、そのうちヌジャンも顔を変えてくれてよかったって思うようになるよ」
「……ミバ。お前さ、いつまで一年前言ったことにこだわってんだよ」
「こだわってない! 僕はっ」
「こだわってるだろ。確かに俺はお前と付き合ってからも好みの顔を見かけりゃ付き合ったりしたけど、でも、お前が一番好きだってことがわからねえんだよ」
「だったらなんで浮気するんだ、このクズっ! 馬鹿っ!」
売り言葉に買い言葉を返せば、ヌジャンは耳の先まで真っ赤にするとばつが悪そうにガシガシと頭をかいた。
「あれは浮気じゃねえよ」
「誰がどう見ても浮気だろ!」
ヌジャンのめちゃくちゃな言い分にますます腹が立ってくる。
ヌジャンはちらっとミバを見て、ため息をついた。
「とにかくあれは浮気じゃない」
「…………わかった。浮気かどうかはこの際おいとくとして、それならどうして他の人のところに行くんだよ」
「それは……。俺がミバのところに帰ってくると決まって泣きそうなのに嬉しそうに「おかえり」って笑うから。その顔がどんな顔より綺麗でグッとくるんだよ」
「最悪だなっ。じゃあ、なんで顔以外はいいんだけどって言ってたんだよ」
そんな理由で今まで浮気されていたと思うと自分の悩みはなんだったのかとなる。唇をかみしめて睨んでいれば、ヌジャンは腕を組んだ。
「俺は顔で付き合ってるんじゃないって自分に言い聞かせてただけだ。つーか、ミバだって俺の容姿が好きであって俺自身には興味ないだろ」
ヌジャンがそう言い切ると子供のようにそっぽを向いた。ヌジャンのまさかの告白にミバはあっけにとられた。
「僕、セックスの時いつも好きって言ってたんだけど」
「好き、だけだろ。具体的に言ってねえし」
「具体的って……。セックスしてる時なんてヌジャンを感じるだけでいっぱいいっぱいなのに具体的にいえないよ」
「そのわりにはもっと激しくしてーとかキスしてーとかいうだろ」
「それは本能から来るやつというか……」
浮気されて傷心だらけの自分がどうして責められなければいけないのか。理不尽な状況に再びムカムカしてくる。
「ともかくヌジャン好みの顔になったからいいでしょ?」
「よくねえ、確かに造形は俺好みだけど、今まで通り本来のお前でいいんだよ」
思いのほかきっぱりと言い切るヌジャンにあっけにとられた。
「……じゃあ、戻したらもう浮気しない?」
「だから浮気じゃないって言ってるだろ」
「ヌジャンにとっては浮気じゃなくても僕にとっては浮気なんだよ。守ってくれないなら別れる」
結局、顔を変えても笑いかけてもらえなかった。あげくのはてには、誰が見ても浮気なのに浮気はしてないの一点張りだ。いくらヌジャンが好きでもさすがに愛想が尽きるというものだ。
うなだれたミバにヌジャンはハッとすると、少し視線をさまよわせた後、絞り出すように答えた。
「わかった、二度とほかのやつには手を出さない。だから、これからも俺だけを見てくれ、ミバ」
「僕はヌジャンを好きになったときからヌジャンしか見てないよ」
眉を下げて降参するように両手をあげるヌジャンがなんだかおかしくて目尻に浮かんだ涙を拭ってはにかめば、ヌジャンの目が見開かれ若草色の瞳を優しく細めて微笑んだ。
「やっぱりもとの顔が一番だな」
「え?」
ヌジャンの指摘に驚いて慌ててテーブルの上に置いてあった手鏡を見れば、元の顔に戻っていた。いつのまにダエルが魔法を解いていたことに驚きつつも、文句を言おうとあたりを見渡すがうまく隠れているのか感知できない。
そうこうしている間に背後から忍び寄ってきたヌジャンに思いっきり抱きしめられた。
「ミバ、今すぐ抱き合いたい」
「だ、だめだってっ、朝食の続きを、作らないと……」
いつになくかすれて熱のこもった声で求められて流されそうになるものの、理性を全力で動かしてなんとかヌジャンを押し返そうと試みる。わかってはいたが、鍛えられた体はピクリとも動かない。それどころか抱きしめる腕は強まり、尻に押しつけられる中心はこれでもかとズボンを押し上げているのがわかる。
ミバの体を服越しになで回しながら、首筋を舐められたり甘噛みされれば、途端に抵抗感は失せて一人で立っていられなくなる。
「あとで俺が適当に買ってくるからいいだろ」
「でも、ヌジャンは体が資本なんだか、……んっ」
最後まで言い切る前に顎を捕まれて上を向かされると唇が塞がれた。慣れた手つきでミバの前を広げると、ヌジャンの温かくてゴツゴツした手があらわになった下腹部を愛おしげに撫でてくる。
「んむぅ、ぅ、ふーっ……、んっ、ぅ」
優しい手つきに反して口内を蹂躙する舌に息が上がっていく。フーフーと鼻息が荒くなってしまうのが恥ずかしいがどうしようもできない。
たっぷりと下腹部をなで回した後、下着ごとズボンを下ろされた。無防備になった下半身にぶるりと体が震えれば、ヌジャンの目がかすかに細まる。
キスしてる時にヌジャンの目が細まる時は決まってミバの弱点を突く前触れだ。そうわかってしまうほどたくさんヌジャンとセックスしてきた。
このままでは本当に危険だ。顔をよじって巧みなヌジャンのキスから逃げる。それでもなお、キスしようとするヌジャンに顔が火照るのを感じながら言葉を絞り出した。
「だ、だめ。ヌジャン、まてって」
「待たないし待てない」
ヌジャンが無慈悲に言い切ると、首筋や耳の裏にキスをしてくる。片手をミバの体に回したまま、もう片手で懐から半透明の小さな玉を取り出して秘部の中に押し込んできた。
「んっ、なに?」
「潰せばわかるぜ」
ぐりぐりと中程まで押し込まれてしまう。つるっとした表面は薄い膜に覆われており、確かに少し力をいれればあっけなく割れてしまうだろう。けれど、中に入っているものがわからない以上恐ろしくて潰せない。
「ヌジャン、ねえ、なにいれたか教えてってば」
「だから、潰せばわかるって。ほら、いつも俺のを締め付けてるみたいに、な?」
下腹部をなで回しながら、やけに熱のこもったかすれた声で促される。ここまでいうからにはミバに害のないものだろう。
戸惑いが残りつつも思い切って締め付ければ、中に入っていた玉はパチュッと音を立ててあっけなく割れた。同時にいつも使っている潤滑草よりもねっとりとして妙に中が熱くなっていく。
「なに、これ? なんか、腹まわりがへ、ん……っ」
「もう効果でてきたのかよ。さすがエルマだな」
なぜエルマの名前が出てきたのかわからず、熱を帯びていく体に困惑しながらヌジャンを見上げるといっそう下腹部が熱くなった。ヌジャンの瞳には今までにないほど欲情と興奮が滾っていた。
「ぅ、ヌジャン。ほんとに、なにした…っ、ん、だよ?」
「ミバが絶対喜ぶこと」
ちゅっちゅっとミバの額や頬にキスをしながら手際よく前を広げると、限界まで張り詰めているヌジャンの高ぶりが滴を散らしながらミバの尻を叩く。それだけでひくっと喉が震え、期待に胸が震えてしまう。
「ミバ、腹の中落ち着いたか?」
「落ち着いたかも」
さっきまで熱の塊を突っ込まれたのかと錯覚するほど熱くてしょうがなかったが今はなんともない。いったいなんだったのかと思っていれば、腹に回っていたヌジャンの腕が解け、かわりに壁に押さえつけられる。
「できたばかりだから初めての感覚でびびるかもしれねえけど、すぐに慣れるからな」
「どういう…、っ?!」
壁とヌジャンの間に挟まれて戸惑っていれば、ぬるっと秘部の中にヌジャンの高ぶりが押し入ってくる。何度受け入れてもいまだに慣れることはないのはもちろんのこと、驚くべきなのは潤滑草もなしにスムーズに奥に向けて進んでくるのだ。
「ぁ、あっ、なん、で?」
「そりゃ、ミバの中が濡れてるからに決まってるから、だろっ」
「――っ?!」
ぐんっと突き入れられた瞬間、今までよりも強い痺れが腰から脳に向けて駆け抜けていく。理解が出来ないあまりに声すらあがらなかったものの、ミバの中はいつも以上にきゅうきゅうとヌジャンの高ぶりを締め付けた。
目の前が何度も弾け、ぴったりとヌジャンの先端がいつもとは違う位置にくっついているだけで何度も緩い絶頂を繰り返してしまう。
「ぅ、ぁ…、ァ、体が……へんっ、ぃくのっ、とまんなっ、ぃ」
「いきなり子宮を刺激するのははえーかなって思ったけど、その調子なら問題ねえな」
「し、きゅう?」
ヌジャンの口から自分にはあるはずのない器官の名称がでてきたことにますます混乱する。ヌジャンはミバの手に指を絡め、こめかみにキスをしてくる、
「そ、子宮。ミバが俺のことを好きな証が形としてずっとほしかったんだ。それをエルマに相談したら、いつかそういいだすと思って作っておいたって言って、さっきの薬を渡されたわけ」
「だか、らって…、相談もなしに、こんっ、ぁああっ!」
言い切る前に先端でぐりぐりとこねられれば、ゾワゾワとした感覚にのけぞってしまう。あまりの気持ちよさに口から力が抜けて舌をだして喘ぐのがとまらない。
「まっ、へ…、あたま、おかしくなるっ、ぐりぐり……っ、だ、めっ」
「んじゃあ、かわりにキスしような」
一度腰を引かれてぐんっと腰をつき入れ直されれば、秘部にヌジャンの硬い茂みが密着する。そして指に絡めていた手が離れると、ミバを優しくけれど力強く拘束するように引き寄せて抱きしめられる。そうすればヌジャンの限界まで張った先端が子宮を押しつぶす勢いで密着した。
「――っ、~~~~ッ!」
どこもかしこも密着してるだけにも関わらず、今までにない興奮感がミバを支配していく。そのことをヌジャンに伝えるようにミバの中はぎゅうぎゅうとヌジャンの高ぶりを閉めつけ、中心はプシプシと切れ切れに潮を吹いた。
「ぬじゃ、んっ、あたま、ばかになっちゃ、ぅ…、ぃくのっ、とまんらぃ」
突き出している舌から垂れた唾液や壊れたように潮を切れ切れに吹き続ける中心が恥ずかしくてしょうがない。身をよじりたくてもヌジャンの拘束はまるで岩のように硬く少しも体を動かせなかった。
「はは、イきまくりだな。なあ、ミバの子宮は俺のにキスかえしてくれねえの?」
ヌジャンがかすかに腰を揺らせば密着している子宮も揺すぶられる。その刺激に声にならない嬌声を上げて体を震わして感じ入っていれば、ヌジャンが「しょうがねえな」と呟いた。
「じゃあ、もう一度おさらいな」
そういうとヌジャンがミバの顔をのぞき込んでくる。そして、だらしなく突き出しているミバの舌ごと口に含むと重ねてきた。くちゅくちゅと音を立てて舌を絡められれば、上も下もキスしている幸福感に理性がとろけてしまう。
ぎこちなく舌を絡め返せば、ヌジャンの高ぶりがさらに硬くなり、よりいっそう筋がくっきりと浮かんだのがわかった。
「んっ、むっ…、ァ、はぁっ、はー…っ」
べちゃべちゃと下品なキスを教え込むように繰り返されれば、下腹部がよりいっそうキュンと震える。その甲斐もあってか、最初こそなすがままだった子宮もぎこちなくヌジャンの先端をちゅうちゅうと吸い出す。
そのことを感じ取ったのか、ヌジャンの体が一瞬小さく跳ねるものの、キスの合間に心地よさそうに声を漏らした。
「ミバ、俺だけのミバ……。誰にも渡してやるもんか」
すがるようにかすれた声で名前を呼ばれるたびに多福感で胸が苦しくなる。密着している体にしっとりと汗が滲み、熱くてしょうがない。しかし、ヌジャンに求められていると思えば、それすら快感をかき立てるスパイスにしかならない。
誰のためにあるのか教え込むように子宮を突き上げられる。
「ぬじゃん、すきっ、ァ、す、き…っ、はやく、僕に種付け、してっ」
「俺も好きだっ、ミバ……ッ」
肩口にヌジャンが顔を埋めてこえば、しっとりと汗ばんだ桃色の髪が首筋に張り付く。ぶるりとヌジャンが体を震わせば、勢いよく熱が注ぎ込まれていく。
「ぁあっ、きてるっ! ぬじゃんっ、ぬじゃん――っ」
満たされる一方で、もし夢だと思うと怖くて思わずヌジャンを呼ぶ。
ヌジャンはミバに応えるように顔を寄せてくるなりキスをしてきた。だが、それは性欲をかきたてるものではなくしっとりと愛情がしみこんでくる優しいキスだった。
ヌジャンが熱を出し切ると少し腰を揺らして、そっと唇を離した。すっかりとろけきっている思考でヌジャンを見つめていれば、ヌジャンがようやく腕を解いた。かと思いきや、背後から抱きかかえるように軽々と持ち上げてベッドがある隣の部屋へと歩き出した。
「まっ、て……、この態勢っ、はずかしいからっ」
まさかの出来事に思わず足をばたつかせるが宙を空しく蹴るだけだ。なにより歩くたびに伝わる振動に抵抗する意識はすぐになくなってしまう。
いつもならすぐたどりつくベッドがやけに遠くに感じて、ようやくベッドに辿りついたときには緩い絶頂を三回も迎えて、中心からはなにもでなくなっていた。
ヌジャンはベッドに腰を下ろすと片手でミバの体を支え、素肌にする。そして自身も靴を脱いで上半身だけ素肌になるとゆっくりと横になった。
「これはこれでいいけど、やっぱり向き合った方がミバもいいよな?」
「う、ぅん?」
何度もイきすぎてヌジャンの言いたいことがわからなかった。それでも肯定すれば、ヌジャンがミバの汗ばんだ腰から尻にかけての輪郭を確かめるように撫でてくる。
「じゃあ腰を上げて、今度はミバが自分でいれてくれよ」
「ぅ……」
ヌジャンの要求に言葉が詰まる。過去に何度かやったことがあるからできるがその間ヌジャンの視線を感じてとにかく恥ずかしいのだ。
「ミバ、頼む」
するりとヌジャンの温かい手がもう一度腰まわりを撫でてくる。じんわりと伝わる温かさに息をついて「わかった」と蚊の鳴くような声で返す。
「んっ、ぅうっ」
引き締まったヌジャンの太ももに手を添えてぐっと腰を持ち上げる。ぬちゅぬちゅと音を立ててゆっくり引き抜くと、限界までそそり立ったヌジャンの高ぶりが尻を叩く。
体の向きをヌジャンの方へと向けて息を整える。そして、ヌジャンの高ぶりを手で支えるといれやすいように自ら片方の尻を掴んで秘部を広げた。
「あ、……っ、はっ、はー……っ、ぁ」
ヌジャンの先端にピタっと秘部を当ててゆっくりと腰を下ろしていく。さっきまで咥えていたおかげか思っていたよりも苦しくない。汗と体液で湿ったヌジャンの茂みが秘部に密着すると、これでもかと張った先端と子宮が密着し押し上げられる。その感覚にぶるっと体が震えるものの、引き締まった腹筋に手を当てて腰を左右に小さく揺らした。
「ど、ぉ? ぬじゃん、きもち、ぃい?」
「ぁあ、すげー吸い付いてきて気持ちいい」
ヌジャンが口元を緩めてかすれた声で返す。それが嬉しくて極めそうになるのをぐっとこらえて、これ以上ないほどさらに押しつける。そうすれば、子宮がヌジャンの先端をさらに深く咥え込むのがわかる。
「んぅうっ、ぁああ――っ! はー……ッ、ぬじゃん、すきっ…すきっ……もぅ、ほかの人のところに、いっちゃやだぁ」
「……ッ」
ヌジャンからの溢れんばかりの好意と快楽が怖くてずっと押し隠していた本音が口から転がり出てしまう。
かすかにヌジャンが息を凝らして腰を掴んでくると突き上げてきた。我慢できず絶頂してしまえば、箍が外れたように快感の波が襲ってくる。きゅうきゅうと締め付けているとヌジャンの高ぶりがビクビクと震えた。
「ぬじゃんっ、すきっ…すきっ!」
ヌジャンは奥歯を噛みしめてミバの腕を掴んで引き寄せた。そうすれば体勢が崩れてヌジャンの胸に顔をぶつけてしまう。痛みで一瞬快感が落ち着くもののがっしりとヌジャンに抱きしめられた。
「俺もっ、ミバが好きだ。だから頑張って孕もうな?」
「~~~~ッ!」
耳元に囁かれれば、全身がこれ以上なく火照り、多福感で苦しくなる。唇を噛みしめてヌジャンの体に腕を回して力一杯抱きつく。
「ミバ、ミバ」
名前を呼ばれながら何度も突き上げられる。ヌジャンの呼びかけに応えたくても出てくるのはとろけきった喘ぎ声ばかりだ。二度目の熱が注がれると同時に体力がきれたミバは意識を失った。
翌日、目が覚めると体は綺麗になっていた。泣きはらしたせいで目元は腫れぼったく喉も少しだけ痛い。ベッドサイドのメモに気づいて目を通せば、ヌジャンは仕事に出かけたようだ。
服を着てのろのろと起き上がる。部屋から出ると、いつも食事をしているテーブルにはできあいだと思われる料理が並んでいた。試しにマッシュポテトを少し食べてみるとできたてのような舌触りだ。
「ダエル、いる?」
「よんだー?」
ミバの頭上にうつ伏せ状態で現れたダエルを見上げると尋ねた。
「ここに並んでる料理、ダエルが保護魔法かけといてくれたの?」
「そうだよー。ミバのためっていうからヌジャンの頼みを聞いてやったんだ」
「僕のため……」
ささやかだがヌジャンが自分のことを考えて行動してくれたと思うと自然と顔が熱くなる。イスに座って並んでいる料理を口に運ぶ。思っていたよりも腹が空いていたのかあっという間に平らげた。
皿を洗い終えて、ついでに洗濯をしようとするもののバルコニーの物干し竿には洗い立ての服がズラリと並んでいた。あっけにとられているミバの横にふわふわと下りてきたダエルが尋ねてくる。
「ミババ、時間できたね。どうする?」
「そうだなあ、薬が残り少ないし、薬草を摘みに行こうかな」
「それはいいね。さっそく行こうよ」
そういうなりダエルはミバの手を掴んだ。瞬きをした次の瞬間、見慣れた家の中か町外れの森へと移動していた。
まだ昼前もあってか、木木の間から光が差し込んで森の中を淡く照らしている。ダエルはミバの手を離すと、ごろりと仰向けになってふわふわと宙を漂った。
「やっぱり自然の中はいいねえ。俺、そこらへん見てくるからミババは薬草摘んでなよ。なにかあったらすぐ呼ぶこと。いいね?」
「わかった。ありがとう、ダエル」
ダエルからカゴを受け取れば、すうっとダエルの姿が消えていく。ミバはあたりを見渡した後、森の中を歩き始めた。
春先ということもあって、質のいい薬草をたくさん摘むことができた。
「よし、これだけあればじゅうぶんだな」
ミバがいる森はほかの森よりも薬草の質がいいため薬以外にもハンドクリームやワックスの材料にもなるのだ。カゴ一杯の薬草に笑みが漏れ、元いた場所に戻ろうとした時、泉の傍に人がいることに気づいた。
差し込んだ光で適当に結ばれた栗色の髪すら美しくみえた。相手の手にあるカゴには薬草以外にも変わった草花があった。物珍しさから眺めていれば、相手が肩越しに振り返った。
「あれ、きみは」
「あ、怪しいものじゃないです! その、用事があってきたんであって、その」
振り返った相手はヌジャンの幼馴染みのエルマだった。
ヌジャンが好みの顔というだけあって、改めて見るとエルマの顔は怖いぐらい整っており、切れながの大きな緑色の瞳と色艶のいい薄紅色の唇はしっとりと潤んでいる。
そんな美貌につりあったすらりとした体を包んだ服は質素でどこにでもある服にも関わらず高級な服のように錯覚させる。
エルマはゆっくりと瞬きをすると、立ち上がってミバの方へと振り向いた。
「ふーん、確かに見た目は今まであいつが付き合ったタイプとはまったく違うな」
物珍しそうに眺めてくる視線に居心地の悪さを覚える。すっかり萎縮しているミバにエルマはじっと見つめた後、ふわっと微笑んだ。
「この近くに私の隠れ家があるんだ。せっかくだし、そこでお茶しようよ」
そういうなりミバの手首を掴むと、返答を聞く間もなく歩き出す。柔和な見た目に反して強引な様はさすがヌジャンの幼馴染みだなとひっそり思った。
エルマの言うとおり、草木をかき分けて進んだ先には、景色に溶け込むように作られた小屋が見えてくる。中に入れば、香草の匂いが鼻先をくすぐっていく。
「ここに座って待ってて」
二人がけのテーブルのイスを引かれて座るよう促されれば、おずおずと座った。台所でテキパキとお茶を入れて持ってくると、ミバの前において向かい合うように腰を下ろした。
「飲んでみて」
「いただきます」
そっとマグカップを手に取って一口飲んでみる。エルマのいうように茶は独特の匂いで少し気になるが、後味は爽やかで不快感はない。エルマはテーブルに頬杖をつくと目尻を下げた。
「ミバはさ、あいつのどこがいいの? 幼馴染みの私はいうのもなんだけど、あいつって面食いだし気に入った顔を見ると誰にでも手を出すやつだよ」
「えっと……」
唐突な質問に面を食らうものの、ためらいがちに答えた。
「きっかけは遠目からでも綺麗な立ち姿だったけど、好きになったのは僕が使い魔の召喚の儀で魔物を逃がして途方に暮れていた時に助けてくれたところ、です」
「あー、そういえば高校入ってすぐの頃、別クラスで使い魔召喚の儀で逃がしたっていう話を聞いたけど、あれきみだったんだ」
「はい。ヌジャンにとっては日常の一環だったかもしれないけど、あの時は僕のミスのせいで学校全体を巻き込んでしまったから」
今でこそダエルとは気さくな仲だが、はじめて対峙した時は今と違って教室を覆い尽くすほどの巨大な黒い靄の中にぽっかりと浮かぶ赤い輝きに不可解な恐怖を覚えたものだ。
「だとしても、付き合って二週間で浮気されたらさすがに別れようとか思わなかったのかい?」
「それについてはヌジャンがそういう人だってのは知ってたから……。それに付き合う前にヌジャンからは顔が好みじゃないって言われていたから平気です」
今ではそうでないもののやはり言葉にすれば胸が痛む。それを押し隠すように眉を下げて笑えば、半目になったエルマが深いため息をついた。
「なるほどね、予想はついていたけどあの馬鹿はとことんきみの好意に甘えてるんだな。……だからこそこの私に頭を下げてまで薬の依頼をしてきたわけか」
「あの、ちょっと言いたいことがわからないんですけど」
一人納得しているエルマにためらいがちに尋ねれば、エルマは片眉をあげるとニヤッと笑った。
「そうだね、きみはあいつに辛酸を味わわされたんだ。教えないと平等じゃないよね」
「というと?」
「確かに付き合ってすぐのやつはいつもの浮気だよ。でも、それ以降は浮気といえば浮気なんだけど、あいつにとっては意味が違うんだ」
背もたれに背中を預けたエルマは長い足を組んで、茶で唇を湿らした。
「きみはヌジャン以外眼中ないみたいだから自覚ないようだけど、町ではきみに好意を持ってる人がそれなりにいたんだよ。ヌジャンがいうには、きみは誰にでも優しくするから勘違いする奴が多くて困るってすねていたけど」
「僕が?」
エルマの指摘に思い返してみるが、それらしいことは一切思い浮かばない。
「勘違いじゃないですか?」
「まあ、どう捉えるかはきみの自由だよ。ただ、ヌジャンにとってきみは人生初めて好きになった相手だ。だから、きみをそういう目で見る奴らが許せないから自分に注意を向けるのと脅しもかねてやってたんだよ」
「だからって……。僕はヌジャン以外好きにならないのに」
ヌジャンへの想いを疑われたことに不満を漏らせば、エルマは淡々と応えた。
「そりゃ、あいつがどうしようなく不器用な馬鹿だからさ」
「はあ……」
きっぱりと言い切ったエルマは茶を飲み干すとぐっと体を伸ばした。
「それにしても、ヌジャンが付き合う決定打が名前を呼ばれながらイく時の声がよかったからって聞いたときは意味不明だったけど、うん。確かに柄になく私もたくさん話してしまうほどきみはいい声の持ち主だね」
「え、その。ありがとうございます」
まさかの不意打ちに顔が熱くなって声が小さくなる。顔をうつむけるミバを優しく見つめていたエルマは窓の方へと向いた。
「もう夕方か。そろそろきみを帰さなきゃあいつが血相を変えて怒鳴り込んできそうだな。だいぶ薄暗いし森の出口まで案内しようか」
残念残念と口にしながらエルマは立ち上がる。ミバも残っていた茶を飲み干して立ち上がった。
「気持ちだけで大丈夫です。ダエルに頼んで家に移動しますので」
「そっか。それじゃあ、あの馬鹿によろしく」
小さく頷いてダエルを呼べば、どこからともなくダエルが姿を現した。そして、ミバの手を掴むなり一瞬で見慣れた家へと戻ってきた。同時に背後から勢いよく抱きしめられた。
「ミバっ、どこ行ってた!」
「森で薬草を摘みに行ってただけだよっ」
バシバシとヌジャンの腕を叩いて声を張り上げれば、うさんくさげに見つめてくる。
「本当にそれだけか?」
「……えっと、森でエルマさんと会ってお茶してた」
「エルマと? あいつなにか言ってたか」
ヌジャンの腕がゆるんだのを機に体ごとヌジャンの方へと振り返る。
ぎゅっと眉を寄せて問い詰めてくるヌジャンをミバは数度瞬きした後「うーん」と唸った。
「ヌジャンが浮気なのに浮気じゃない理由の詳細や僕を好きになった決定打とか?」
「――ッ?! あいつ余計なことをっ」
今すぐにでも飛び出そうとするヌジャンに抱きつくと、ぎゅっと腕に力を込めた。
「でも、僕はヌジャンのことが知れて嬉しかったし、ヌジャンは僕が思っていたよりずっと僕のことが好きでいてくれてほっとしたよ。それと今日、ご飯や洗濯をしておいてくれてありがとう」
ヌジャンの胸から顔を上げて微笑めば、ヌジャンは寄せていた眉を緩めた。そして、優しくミバを抱きしめると身をかがめて触れるだけのキスをしてくる。
「ミバ、今日も抱いていいか」
「だめ」
「…………」
唇を引き締めて恨めしげに見てくるヌジャンの頬を優しく撫でて付け足した。
「でも、明日ならいいよ。明日、ヌジャン休みだったよね?」
「! あぁ」
わかりやすいほどヌジャンの声が明るくなる。
しかし、翌日ミバは異様に眠たかった。だが、それ以外は別段異常はないためヌジャンには医者を呼ばないよう伝えた。それから数日ほとんど寝てばかりすごしていた。
一ヶ月ほどすぎた頃、あれほど眠かったのが嘘のように目覚めがよかった。同時に隣から違和感を覚えてかけ布団をめくればミバが抱きかかえられるほどの大きな卵があった。
「なにこれ? いつのまに?」
混乱するミバはスヤスヤと眠っているヌジャンの体を揺すった。
「ヌジャン、起きて。これ、どこからもってきたの?」
「ん……」
重そうに目蓋を持ち上げたヌジャンが自分とミバの間にある卵に視線を落とすとしばらくじっと見つめた後ミバを見上げた。
「これ、どうしたんだ?」
「それは僕が聞きたいんだけど」
突如あらわれた卵にお互い困惑していれば、どこからともなく現れたダエルが卵をみるなりミバを抱きしめた。
「ミババ、おめでとうー!」
「え? なに、なにが?」
「なにって、待望の子供だよ。まあ、ミババがやたら眠たくなってたあたりから察してはいたけどねー」
ふわふわと宙を浮くダエルの言葉にミバとヌジャンはお互い顔を見合わせ、卵へと視線を落とした。
「この卵が俺たちの子供?」
「どうみてもただの卵、だよね?」
赤子ほどの大きさはあるもののどこからどうみても卵だ。とてもじャないがミバが産んだなど信じられない。その思考を読んだのかダエルは補足するように言った。
「大方エルマとかいうやつがミババのことを考えてある程度大きくなったら魔力で殻を作って体からでるよう仕向けたんだと思うよ」
「そうなんだ。温めとけば孵化するかな?」
いまだに困惑するミバをよそにヌジャンは卵を抱き上げると優しくさすった。
「そうか、俺とミバの子か」
「ヌジャンは気にならないの? どこからどうみても卵だよ?」
「ミバからでてきたなら気にならないな」
なんてことないように返すヌジャンにミバはあっけにとられた。もう一度卵を見つめてミバもそっと撫でてみる。
「そうだよね。うん……」
「とりあえず暖めないとな」
ヌジャンはいそいそとベッドの中に戻した。
そうして数日後、元気な産声が家の中で響いたのだった。
恋人のヌジャンの言い分に耐えきれなくなったミバはヌジャンの鼓膜を破る勢いで怒鳴った。たいしてヌジャンはいつもと変わらない態度で「わかった」と言った。
ヌジャンと初めて会ったのは王都にある中高一貫の学校で高校に上がったばかりの頃だ。ミバが通っていた学校は王都の中でも指折りの名門校ということもあり、騎士学科と魔法学科に特化したクラスがある。そのこともあり外部から高校受験で毎年何人か入学してくる。
その中に騎士学科希望のヌジャンがいたのだ。
ヌジャンは誰もが振り返るような目鼻立ちの整った顔とそれにつりあう恵まれた体格をもっていた。適当になでつけられた鮮やかなピンク色の髪に少しつり上がった若草色の瞳は優しい色合いをしているが、キリのいい声音もあって優しさよりもすがすがしく感じてしまう。
難関学科である騎士学科を志望していただけあってヌジャンは頭も運動神経もよく、剣の技術や礼儀作法の飲み込みも早かった。当然そんなヌジャンをまわりが放っておくことはなく、あっという間に学校一の人気者になった。
しかし、完璧に等しいヌジャンはとにかく面食いだった。自分好みの綺麗な顔をしていれば男女問わず付き合いセックスをした。一方で非常に飽き性で付き合っている間も好みの顔をした相手から告白されれば平気で浮気していたせいか一ヶ月も続くものはいなかった。それでもヌジャンを悪く言うものはおらず、つねに誰かに告白され、恋人がいない日がなかった。
たいしてミバは魔法学科に属していた。学科が違ってもヌジャンの噂はミバの耳にも入ってきた。あまりにもまわりがヌジャンヌジャンと騒ぐため興味本位で見に行ったのが今に思えば運の尽きだった。
他人の容姿に興味ないミバでさえ、遠目からみたヌジャンの浮世離れした立ち姿に思わず目を奪われたものだ。けれど、学科も違うこともあってヌジャンと関わることはまずないと思っていた。
「ミバの使い魔が逃げたぞ!!」
高校一年の春、魔法学科を選んだ生徒が自分の使い魔を召喚する日。ミバは高位の魔物を召喚できた反面、現れた魔物の圧に屈してしまった。魔物は教師が念のために張った結界すら破って逃げた。すぐに教師が魔物を追いかけたものの高位な魔物だけあって見つからなかった。
これではほかの生徒にも被害が出てしまうことからほかの教師も探すはめになり大事になった。ミバは教師に叱られ、学園内は不安と恐怖とミバに対する辛辣な空気が満ちた。
だが、終わりはあっさりとやってきた。寮の方からこの世のものとは思えないほどの絶叫が上がり、少ししてヌジャンが逃げ出した魔物を抱えてミバと教師が待機していた教員室へとやってきたのだ。
「失礼します。寮の庭で暴れ回っていたので、とりあえず気絶させておきました」
大きなあくびとともに肩に担いでいた魔物を床に投げ捨てると、あっけにとられている教師を見ることもなく出て行こうとする。ミバは間近でみるヌジャンの気迫に目を奪われたものの、慌てて立ち上がると声を上げた。
「あ、あのっ、ありがとう!」
緊張で声が震え、裏返ってしまった。ヌジャンは足を止めてミバの方を振り返った。ほんの数秒ミバを見つめた後「どういたしまして」と事務的に言い返すと教員室をでていった。
その日からミバは口にこそださないものの、無意識のうちにヌジャンを目で追うようになった。結局、自分もまわりと同じようにヌジャンに惚れてしまったとあきれる一方で、自分から告白するつもりはこの時はなかった。
というのも、ヌジャンが美形が好きな面食いというのを知っていたのだ。
そして、ミバの顔はお世辞にも美形とは言えない。艶のない枯れ草色の髪に泥色の瞳はつねに世の中を憎んでいると揶揄されるほど目つきが悪い。おまけにそばかすだらけで眉もボサボサな上に小太りだった。
今まで自分の容姿に無頓着だったが、ヌジャンの好みとは正反対な自分を毎度鏡で見るたびに次第に嫌になった。
せめてヌジャンの目に少しでもとどまれたら。
そんな思いで体を鍛えはじめ、眉や肌を整えたり、不気味に思われない綺麗な笑顔の練習をしたりと見た目にも気をつけるようにした。その努力もあってか高校最後の年である四年生になる頃には女生徒から声をかけられるようになった。
「ミバくんって高一の頃と雰囲気変わったねー」
「そうかな?」
「そうだよー、清潔感がでたし、前は怖いなって思ってたけど最近はこわかわいいって感じるようになったよ」
「こわかわいい?」
女生徒の特有の言語に疑問符が浮かぶもののあえて追求しないことにした。
寮の自室に戻ると、使い魔召喚の日に逃げ出した使い魔――ダエルが宙に浮いていた。
「おっかえり~。ミババ、なんだか嬉しそうだねえ」
「さっき同じ学科の女子に雰囲気変わったって言われたんだ」
「まあ小汚い子豚から清潔感ある鹿に進化すれば、まわりの見る目も変わるでしょ~」
ミバの前にダエルが下りてくると切れ長の目を細めて笑った。ダエルの皮肉にムッと眉を寄せると、すかさずダエルの指が眉間をグリグリと押してくる。
「眉間にしわを寄せたらだめだって、不細工な顔になってるよ。そんなんじゃ、ヌジャンにいつまで経っても告白を受けてもらえないよ」
「うるさいなあ。あーあ、僕もダエルみたいに綺麗だったらなあ」
正規に使い魔となった後、ダエルは仮の姿として人型をとるようになった。灰色の髪は艶があるせいか銀色に見え、切れ長の大きめなつり目にまっすぐな鼻筋は計算されたかのように見事なバランスだ。中性的なダエルの容姿はまさにミバの理想そのものだった。
ベッドに寝転がってため息をつくミバにダエルは再び宙に浮くと、うつ伏せの姿勢でフワフワとミバの真上にきた。
「今のミババなら地味だけど平凡くらいあるから自信もちな。それにミババには声っていう最強の武器があるじゃん」
「声なんてどうでもいいだろ」
「いやいや、声は大事だよ~? 聴覚は時になによりも相手を刺激するんだよ。特にミババの声は顔に反して柔らかくて聞き取りやすいし、高位な俺がほかの魔物を押しのけて召喚に応じちゃったぐらいだから自信持ちなって」
「だーかーらー、ヌジャンは声じゃなくて見た目重視だから意味ないんだって……」
ダエルの言うようにミバの声はいい声なのか、一部の生徒に人気なのは知っている。それでもミバにとって大事なのは容姿だ。一時期は整形も考えたが、親からもらった顔をいじるのはどうにも気が引けたためその考えは取りやめた。
「明日で最後か……」
結局、ヌジャンと会話したのは後にも先にも教員室で出会ったときだけだ。最初こそ告白する気はなかったが、明日卒業式を迎えればそのまま王宮騎士となるヌジャンとは簡単に会うことはできないだろう。
ヌジャンの好みの顔じゃないため告白を受け入れてもらえないのはわかりきっている。それでもヌジャンの視界に映って、とりとめのない言葉を交わしたかった。
「ヌジャンが声を重視する人だったら、僕のこと好きになってくれたかな」
そんなもしの世界を考えながらミバはシャワーを浴びに行った。
翌日、卒業式にふさわしい晴れやかな空を迎えた。卒業式はあっという間に終わりあたりは卒業生に涙する生徒や「また会おうぜ」と再会の言葉を交わすクラスメイトもいた。
ミバはヌジャンに告白するために早足で校舎から少し離れた鳥かごのような温室へと向かった。中に入れば、ひとけはなく植物が天井を覆いつくさんばかりに伸びている。
あらかじめダエルにヌジャンの追跡を頼んでいこともあり、温室にヌジャンがいることはまだ誰にもバレていないようだ。少しはヌジャンと二人でいられる時間があると思うと嬉しい反面、緊張で胸が痛くなってくる。
植物をかき分けて壁と一体化しているドアをそっと押せば、ぐるんと扉が回転する。回転扉と気づくのが遅れて、そのままヌジャンがいるであろう部屋へと勢いよく倒れ込んでしまう。その際、顔面から転んだせいか、鼻の頭からピリッと痛みがした。
「いっ……」
「今のすげーな。鼻、大丈夫か」
見覚えのある影が差してハッと顔を上げれば、ヌジャンがすぐ目の前にいた。
奇妙なものでもみるかのような視線はいささか気になるが、それでも間近でヌジャンが見れた嬉しさに呼吸をするのを忘れそうになる。体が本能的に危機を察して、呼吸を思い出すと盛大に咳き込んだ。
ヌジャンはそんなミバの背をさすることもなく、ただじっと品定めするように眺めていた。その視線に緊張感がまた湧き出てくるものの深呼吸をしてなんとか落ち着くと、姿勢を正してヌジャンを見上げた。
「え、えっと。僕は魔法学科に所属していたミバっていいます。それで、あの。ヌジャン……さん、僕と付き合ってくれませんか」
「顔が俺好みじゃないから無理」
考える間もなくきっぱりとヌジャンは言った。しかし、ヌジャンの回答は想定通りだ。がっくりと肩を落としそうになるものの、なんとか耐えて言葉を続けた。
「それじゃあ、せめて。一度だけ、僕とセ、セックス、してくれませんか?」
「さっきも言ったけど、顔が好みじゃないから無理だ」
「が、頑張ってご奉仕しますからっ」
とんでもないことを口走っているのはわかっている。それでもヌジャンと直接関わった証がほしかった。
ヌジャンはじっとミバを見つめた後、イスを引っ張ってきて腰を下ろした。
「そこまでいうならフェラしてくれ」
「わかりました……」
そろそろとヌジャンの足の間に近寄る。指先が震えるもののなんとか前を広げれば、そこには赤黒い雄があった。しぼんでいるもののそれでも目を見張る大きさにドキドキする。
そっと両手で支えて口を精一杯広げて咥える。歯を当てないように気をつけながら舌を動かす。チラッとヌジャンを見上げるもののヌジャンは顔色一つ変わらない。
どうすればいいかわからなくて、舌で舐めあげてみたり頬や上顎で刺激してみるがかすかに反応するもののほんの一瞬だ。ヌジャンを気持ちよくさせることが出来ない悔しさに自然と涙が浮かんでくる。
「んっ、ぅ、ぅう」
必死に押さえていた声も漏れてしまい、ますます情けなくなる。だが、今までピクリとも反応しなかったヌジャンのそれがかすかだが熱を帯びて膨らんだ。理由がまったくわからず混乱してしまう。
そうこうしている間にヌジャンの手が伸びてきておもむろに引き寄せられる。唐突に深く咥え込まされてえずきそうになるもののなんとか耐えた。
「んん゛っ、ふっ、ぅ」
ヌジャンの茂みが鼻先に触れる。息苦しさに声が勝手に漏れ、うまく舌を動かせない。それでも、あれほど反応がなかったのが嘘のように顎がつらいほどすっかりヌジャンのものは高ぶっていた。
理由がわからないもののヌジャンが反応してくれたことが嬉しくて、ミバの体も火照っていくのがわかる。
「口、離せ」
「ふぁぃ」
言われたとおり口からヌジャンの高ぶりを解放すると、ぶるんと勢いよく飛び出る。すっかり凶悪な形になっているそれに呆けていれば、ぺちぺちと頬を叩かれた。
「ご奉仕してくれた褒美に本番してやるよ。ほら、服脱げ」
「う、うん」
言われるがままに素肌になると、腕を捕まれて引っ張り起こされる。その勢いでヌジャンの膝の上にまたがされる。
「ふーん、体は悪くねえな」
ヌジャンのゴツゴツした大きな手がミバの体を確かめるように触ってくる。くすぐったさに眉を寄せて笑ってしまう。そんなミバにお構いなしと散々体を触ったヌジャンは尻を掴むと懐から潤滑草を取りだして秘部に押し込んでくる。
「ひっ、ぁ」
「ずいぶん柔らかいな。自分でいじってたのか」
「う、うん」
「そりゃ、よかった。面倒が省けて助かる」
中の熱で溶け出した潤滑草の効果が出てきたのか、ヌジャンの指が動くたびにぬちゅぬちゅと音が鳴る。自分でほぐしたおかげもあってか苦しくはないものの恥ずかしくて顔が熱くなる。
はじめてのセックスなのに、ヌジャンの指は的確にミバの弱いところを攻めてくる。
「ぁ、ぃくっ…、ぃくっ」
ヌジャンを見上げて告げれば、ヌジャンはすうっと目を細めて「いれるぞ」と言ってきた。頭が理解するよりも早く、ヌジャンの高ぶりが中に入ってきた。
「ん゛っ、くっ…ぃ、ぁ、ぁああっ!」
唐突な刺激に耐えきれず、ヌジャンの腰に足を絡めて体をのけぞらして達していた。その間もヌジャンの凶悪な高ぶりがゴリゴリと弱い場所を刺激してくる。圧迫感に眉を寄せるもののヌジャンと一つになったとわかれば、苦しさは薄まった。
「ま、へ…っ、ぃってるっ、ぁ、だめっ、へんっ、くるっ、きちゃ……~~~~ッ!」
未知の感覚に頭がパニックを起こす。しかし、ヌジャンの動きは止まるどころか追い立てるように刺激してくる。
ねっとりと抜き差しされる度に喉をのけぞらして何度も絶頂を迎える。体の中を暴れ狂う快感に何度も意識が飛びかけて足の先をこれでもかと丸める。そして、ヌジャンが萎えないようにぐちゃぐちゃになった自分の顔を隠した。
「腕どかせ、顔隠すな」
「で、も……ぉ、んん゛ぅ」
戸惑っているとヌジャンが時間をかけて奥まで突き入れてくる。その刺激に中心から勢いよく熱が飛び出した。
「ごりごりっ、まってぇ゛…っ、ぁ、またぃくっ、ィくっ!」
「おいおい、俺の気に入りすぎだろ。……ま、いいか」
汗ばんだヌジャンの手が片手だけでミバの腰を支えると熱のこもった息を吐く。空いた片手でミバの腕を掴むなりあっさりはがされた。様々な体液で汚れた顔を見られたショックで目を見開いて硬直した。
だが、ヌジャンは気にしてないのか掴んだミバの腕を自分の肩へとのせた。
「ご奉仕してくれるんだろ」
「う、ん……」
「それならしっかり俺にしがみついて俺のを締め付けろ。あと声も抑えるな。好きなだけ喘げ」
「だ、けどっ、ぉ゛…っ!」
反論しかけたところで突き上げられて、濁った喘ぎ声が飛び出てしまう。恥ずかしくて涙がにじんでくる。たいしてヌジャンははじめて口角をつりあげた。
「ははっ、今のだらしねー声いいな。おら、もっと声あげろ。恥ずかしがるな」
宣言するなり再び追い詰めるように突き上げてくる。
「ァ、ィぐっ、ぁひっ…、だめだめっ、ィって、る! ぁ゛っ、~~~~ッ!」
はじめての快感と我慢するなと言われたこともあってあられのない声が勝手に漏れていく。ヌジャンの首に腕を回して言われたままに嬌声をあげていれば、ヌジャンの高ぶりが今までにないぐらい硬く膨らんで腰の動きも一段と荒々しくなる。
「ヌジャ…ンっ、ぁ、すきっ、すきっ! きもちいぃっ、だめっ、僕っ、頭変になっ、るぅ…ッ、ァ、ぃ、くっ…、ぃきゅっ、~~~~ッ!」
とろけきった思考で思ったことをそのまま叫べば、ヌジャンが奥歯を噛みしめてぶるりと体を震わした。叩きつけるように注がれる熱に腰から背中に向けてゾクゾクと快感が走って行く。
一滴も漏らさないように秘部を締め付けてヌジャンが引き抜くまで受け止めていれば、ぶるっとヌジャンの体が震えてゆっくりと熱のこもった息を吐いた。
「抜くぞ」
「う…ん……」
疲れて意識が朦朧する中、ヌジャンとの夢のような時間も終わりだと思うと涙がにじんだ。
ヌジャンのものが引き抜かれ、苦しさはなくなったもののそれ以上に寂しさが押し寄せてくる。
そう思ったのもつかの間、近くのテーブルにうつ伏せにさせられたかと思いきや、腰を捕まれた。
「え?」
二度目のセックスに困惑して肩越しにヌジャンの方へと振り向いた。すぐ間近にあるヌジャンと目が合うと、ぐんっと最奥まで挿入されそのまま覆い被さるように密着してくる。
「ひっ、ぅ……、ぁ」
ヌジャンの若草色の瞳に自分だけが映っていることに気づくと同時に唇が重なった。
「んんぅ、はっ…ぁ、ん」
無防備なミバの口を割ってヌジャンの舌が入り込んでくる。慣れた舌使いで口内をまさぐられながら最奥をこねられるたびに興奮と嬉しさで胸が苦しくなる。
背中に伝わるヌジャンの重さと腰を掴んでいた手がミバの手を包み込むように握りしめてくる。再び中に注がれて引き抜かれれば、ヌジャンが服を整えていた。
その様子から今度こそヌジャンとのセックスが終わった。その姿が滲んでいくのをぼんやりと眺めていると、ヌジャンはおもむろに懐からメモを取り出してミバの目の前に置いた。
体を起こしてメモをのぞくと住所のようだ。
「えっと、これ」
「俺の住所。お前、俺のことが好きなんだろ。体の相性があうからつきあってやる」
「え?」
ぽかんと口を開けているミバの方を向くなり、額に張り付いている前髪を脇にどかしてちゅっとキスをしてきた。
いまだに理解できないままヌジャンはすでに決定事項だというように続けた。
「どうせならいつでもセックスできるように一緒に暮らそうぜ。家事は頼んだ」
「う、ん……」
まさかの事態に飲み込めないもののヌジャンと付き合えるということに照れくささと嬉しさが溢れてミバは頷いた。
最初は些細なことでも嬉しかった。だが、付き合いだして二週間でヌジャンは浮気した。最初こそ控えめだったミバもその後、何度も浮気されればいくら付き合う前からわかっていたといえど限界が来る。
たいしてヌジャンは浮気相手とは長く続かず何食わぬ顔でミバのところに帰ってきては比較するように抱いた。そして抱いた後決まって「顔以外はいいんだけどな」とぼやくのだ。
その言葉に毎度胸がえぐられる痛みを覚えるものの、最後は必ず自分のところに戻ってくる嬉しさから嫌いになりきれずはじめてセックスした日から一年が経った。
そして、痛みは好意を上回るほど蓄積され、ついに爆発した。
「そんなに美形が好きならお前の理想の美形と付き合えばいい!」
散々好き勝手に抱かれてヘトヘトだったが、それ以上に悔しさと怒りが強かった。ミバが意識を失っている間にさっさとシャワーを済まし終えたヌジャンはいつもと変わらない態度で答えた。
「わかった。じゃあ、エルマのところに行ってくる」
エルマとは付き合ってからも好みの顔だとよく話していた幼馴染みの男のことだ。一度だけ会ったことがあるが、エルマはヌジャンが話していたとおり目鼻立ちの整った中性的な男でその立ち振る舞いからも穏やかな人柄で自分とは真逆だとミバは思った。
ヌジャンは早々に家を出て行ったようだ。とっさに口にしてしまったといえど考えることもなく出て行ったことにミバの胸がまた痛んだ。
「なあ、ダエル。薄々察してはいたけどさ、もしかして僕、ヌジャンにとっては恋人じゃなくて家事をするついでに性欲処理もできる都合のいい相手なのかな」
「そんなことないって。ヌジャンはやり方がクソだけど、ミバを愛してるよ。俺が保証するって」
「本当に好きなら浮気なんかしないだろ」
自分で言っておいて情けなくてますます気分が落ち込む。ごろりと横になってミバはそのまま寝ることにした。
翌日、ほんの少し期待していたもののヌジャンは帰ってきていなかった。がっくりと肩を落とし、風呂に入って体を綺麗にした後、気分転換もかねて食料を買いに外に出た。
町は相変わらず賑やかでいつも通りなのが嫌になる。付き合った頃は料理が出来なかった。けれど、騎士であるヌジャンにとって体は資本だ。出来合いのものが悪いとは思わないが、せっかくだから自分の手で作りたいと思ったのだ。
最初こそ微妙な味付けも今ではバランスよくヌジャンからもおいしいと言ってもらえるようになった。それだけでミバは飛び跳ねたくなるぐらい嬉しかったのだ。結局、これも惚れた弱みというものだ。
市場を見て回り、安くなった野菜や肉を買っていく。それをダエルの空間魔法の中にいれて、ほかに必要なものがないかあたりをもう一度見渡せば、狭い路地の間にヌジャンとエルマがお互い向き合って話していた。それだけならミバだって気にとめなかっただろう。
「ヌジャン、あんな風に笑えたんだ……」
向かいにいるエルマにヌジャンはミバに見せたことない優しい笑みを浮かべていた。無感情ではないが、基本的にヌジャンはつねに真顔だ。たまに唇の端をつりあげて笑うことはあっても、目尻を下げて笑うなど付き合って一年経つが一度もない。
「やっぱり僕の顔じゃだめなんだ」
わかってはいた。告白したときだってヌジャンはミバの顔が好みではないと言った。それをセックスでつなぎ止めていただけだ。
屈託なく笑い合う二人を見たくなくて早足で家へ向かう。家に着くなり、ダエルを呼んだ。
「どうしたの、ミババ。あ、買ってきた材料だすの? なに取り出せばいい?」
「ダエル、お前なら僕の顔を魔法で変えることぐらい造作もないだろ?」
のんびりしたダエルの声をなかば遮るように尋ねる。ダエルはパチパチと目をしばたかせた後、眉を寄せた。
「そりゃ、俺ならそのぐらい寝てても出来るけどさ」
「なら、ダエルの魔法で僕の顔をヌジャン好みの顔に変えてくれ」
「ミババ、ちょっと落ち着きなって。ヌジャンのために顔を変える必要なんてないよ。それにあいつだって告白したときはともかく今は」
「頼む、ダエル。こんな頼み、お前にしかできないんだ」
声が震え、視界が涙でぼやけていく。耐えようと思ったが、ついには嗚咽まで漏れてしまう。
「頼むよ、ダエル。僕も一度でいいからヌジャンに笑いかけてほしいんだ」
「……わかった。それじゃあ、目を閉じて」
ダエルに言われたとおり目を閉じる。ふわりと薄いベールのようなものが顔にかけられた不思議な感触が伝わってくる。それはゆっくりと染みこんでやがて違和感は消えた。
「さ、目を開けて確認してみて」
「う、うん」
そっと目蓋を持ち上げて差し出された手鏡を受け取る。
そこにはまさにヌジャン好みでありミバが憧れていた顔が映っていた。世界を憎んでるようだと言われた目つきは少しつり目がちのぱっちりとした瞳に変わり唇の形も色艶もよくなっている。極めつけはそれらのパーツが計算された位置にあり、どの角度から見ても我ながら見とれるほどだ。
「ほんとにできたんだ」
「そりゃ、俺は高位な魔物だしね。姿を変えさせることぐらい簡単さ」
ふわふわとミバの隣で浮きながらふふんとダエルは笑ってみせる。
理想の顔に変わったことでヌジャンに笑いかけてもらえると思うと気持ちもだいぶ楽になった。
「僕のわがままを聞いてくれてありがとう、ダエル」
「俺はミババの使い魔だからね。ご主人様の喜びが俺の喜びだよ」
くしゃくしゃと細長い繊細な指が頭を撫でてくる。まだ顔は慣れないもののダエルに微笑めば、ダエルは眉を下げて笑った。
次の日、朝帰りしてくるであろうヌジャンのために朝食を作っていた。新しい顔に見慣れなくて鏡を見たときは思わず声を上げてしまったが、やっとヌジャンに笑いかけてもらえると料理をする手が軽くなる。
予想通り窓から朝日が差し込む頃、聞き慣れた足音とドアが開く音がした。火を止めていつも通り振り返って「おかえり」と告げようとすれば、鋭い空気をまとったヌジャンが腰に下げている剣の柄に手を当てていた。
「お前は誰だ」
「ヌジャン、落ち着いて! 僕だよ、ミバだよ!」
はじめて感じる騎士としての一面に縮み上がり、声が震える。ヌジャンはミバの声を聞いてかすかに目を見開くと、柄から手を離して大股で近寄ってくる。
「その顔、どうした」
「ダエルに頼んで魔法で変えてもらったんだ」
ミバの知るいつものヌジャンに戻ったことでほっと息をつく。真顔で凝視してくるヌジャンにやっと笑いかけてもらえると期待でドキドキしながらそっと見上げて微笑んだ。
「これで僕はヌジャンの理想になれたかな?」
「戻せ」
「え?」
「今すぐもとの顔に戻せ」
まさかの返答にミバは頭が追いつかなかった。ダエルによって今のミバの顔は文字通りヌジャン好みのはずだ。それはヌジャンを見てきたミバが一番わかっている。
「なんで? この顔、ヌジャンの好みだろ? それとも、もう少し垂れ目のほうがよかった?」
ヌジャンの理想の顔になって笑いかけてもらえると考えていたのに、空気が震えるのがわかるほど怒っているヌジャンに困惑する。
しかし、ヌジャンは「元に戻せ」と唸るように言うだけだ。
「変身魔法ならかけたやつが解けば元に戻るんだろ」
「でもっ、僕の本来の顔じゃヌジャンは満足できないんだろっ?! だから、浮気だってするし、セックスし終わった後、いつも……、いつも、顔以外はいいんだけどなって言ってたんだろ!!」
「それは……」
ミバの叫びにヌジャンは視線だけ落とした。わかりやすい反応にやっぱりと思う一方でそうであってほしくなかったという気持ちがわきあがる。
溢れそうになる涙をぐっとこらえて、引き結んでいた唇をむりやりつり上げて微笑んだ。
「なら、これでいいじゃん。今はまだ慣れないと思うけど、そのうちヌジャンも顔を変えてくれてよかったって思うようになるよ」
「……ミバ。お前さ、いつまで一年前言ったことにこだわってんだよ」
「こだわってない! 僕はっ」
「こだわってるだろ。確かに俺はお前と付き合ってからも好みの顔を見かけりゃ付き合ったりしたけど、でも、お前が一番好きだってことがわからねえんだよ」
「だったらなんで浮気するんだ、このクズっ! 馬鹿っ!」
売り言葉に買い言葉を返せば、ヌジャンは耳の先まで真っ赤にするとばつが悪そうにガシガシと頭をかいた。
「あれは浮気じゃねえよ」
「誰がどう見ても浮気だろ!」
ヌジャンのめちゃくちゃな言い分にますます腹が立ってくる。
ヌジャンはちらっとミバを見て、ため息をついた。
「とにかくあれは浮気じゃない」
「…………わかった。浮気かどうかはこの際おいとくとして、それならどうして他の人のところに行くんだよ」
「それは……。俺がミバのところに帰ってくると決まって泣きそうなのに嬉しそうに「おかえり」って笑うから。その顔がどんな顔より綺麗でグッとくるんだよ」
「最悪だなっ。じゃあ、なんで顔以外はいいんだけどって言ってたんだよ」
そんな理由で今まで浮気されていたと思うと自分の悩みはなんだったのかとなる。唇をかみしめて睨んでいれば、ヌジャンは腕を組んだ。
「俺は顔で付き合ってるんじゃないって自分に言い聞かせてただけだ。つーか、ミバだって俺の容姿が好きであって俺自身には興味ないだろ」
ヌジャンがそう言い切ると子供のようにそっぽを向いた。ヌジャンのまさかの告白にミバはあっけにとられた。
「僕、セックスの時いつも好きって言ってたんだけど」
「好き、だけだろ。具体的に言ってねえし」
「具体的って……。セックスしてる時なんてヌジャンを感じるだけでいっぱいいっぱいなのに具体的にいえないよ」
「そのわりにはもっと激しくしてーとかキスしてーとかいうだろ」
「それは本能から来るやつというか……」
浮気されて傷心だらけの自分がどうして責められなければいけないのか。理不尽な状況に再びムカムカしてくる。
「ともかくヌジャン好みの顔になったからいいでしょ?」
「よくねえ、確かに造形は俺好みだけど、今まで通り本来のお前でいいんだよ」
思いのほかきっぱりと言い切るヌジャンにあっけにとられた。
「……じゃあ、戻したらもう浮気しない?」
「だから浮気じゃないって言ってるだろ」
「ヌジャンにとっては浮気じゃなくても僕にとっては浮気なんだよ。守ってくれないなら別れる」
結局、顔を変えても笑いかけてもらえなかった。あげくのはてには、誰が見ても浮気なのに浮気はしてないの一点張りだ。いくらヌジャンが好きでもさすがに愛想が尽きるというものだ。
うなだれたミバにヌジャンはハッとすると、少し視線をさまよわせた後、絞り出すように答えた。
「わかった、二度とほかのやつには手を出さない。だから、これからも俺だけを見てくれ、ミバ」
「僕はヌジャンを好きになったときからヌジャンしか見てないよ」
眉を下げて降参するように両手をあげるヌジャンがなんだかおかしくて目尻に浮かんだ涙を拭ってはにかめば、ヌジャンの目が見開かれ若草色の瞳を優しく細めて微笑んだ。
「やっぱりもとの顔が一番だな」
「え?」
ヌジャンの指摘に驚いて慌ててテーブルの上に置いてあった手鏡を見れば、元の顔に戻っていた。いつのまにダエルが魔法を解いていたことに驚きつつも、文句を言おうとあたりを見渡すがうまく隠れているのか感知できない。
そうこうしている間に背後から忍び寄ってきたヌジャンに思いっきり抱きしめられた。
「ミバ、今すぐ抱き合いたい」
「だ、だめだってっ、朝食の続きを、作らないと……」
いつになくかすれて熱のこもった声で求められて流されそうになるものの、理性を全力で動かしてなんとかヌジャンを押し返そうと試みる。わかってはいたが、鍛えられた体はピクリとも動かない。それどころか抱きしめる腕は強まり、尻に押しつけられる中心はこれでもかとズボンを押し上げているのがわかる。
ミバの体を服越しになで回しながら、首筋を舐められたり甘噛みされれば、途端に抵抗感は失せて一人で立っていられなくなる。
「あとで俺が適当に買ってくるからいいだろ」
「でも、ヌジャンは体が資本なんだか、……んっ」
最後まで言い切る前に顎を捕まれて上を向かされると唇が塞がれた。慣れた手つきでミバの前を広げると、ヌジャンの温かくてゴツゴツした手があらわになった下腹部を愛おしげに撫でてくる。
「んむぅ、ぅ、ふーっ……、んっ、ぅ」
優しい手つきに反して口内を蹂躙する舌に息が上がっていく。フーフーと鼻息が荒くなってしまうのが恥ずかしいがどうしようもできない。
たっぷりと下腹部をなで回した後、下着ごとズボンを下ろされた。無防備になった下半身にぶるりと体が震えれば、ヌジャンの目がかすかに細まる。
キスしてる時にヌジャンの目が細まる時は決まってミバの弱点を突く前触れだ。そうわかってしまうほどたくさんヌジャンとセックスしてきた。
このままでは本当に危険だ。顔をよじって巧みなヌジャンのキスから逃げる。それでもなお、キスしようとするヌジャンに顔が火照るのを感じながら言葉を絞り出した。
「だ、だめ。ヌジャン、まてって」
「待たないし待てない」
ヌジャンが無慈悲に言い切ると、首筋や耳の裏にキスをしてくる。片手をミバの体に回したまま、もう片手で懐から半透明の小さな玉を取り出して秘部の中に押し込んできた。
「んっ、なに?」
「潰せばわかるぜ」
ぐりぐりと中程まで押し込まれてしまう。つるっとした表面は薄い膜に覆われており、確かに少し力をいれればあっけなく割れてしまうだろう。けれど、中に入っているものがわからない以上恐ろしくて潰せない。
「ヌジャン、ねえ、なにいれたか教えてってば」
「だから、潰せばわかるって。ほら、いつも俺のを締め付けてるみたいに、な?」
下腹部をなで回しながら、やけに熱のこもったかすれた声で促される。ここまでいうからにはミバに害のないものだろう。
戸惑いが残りつつも思い切って締め付ければ、中に入っていた玉はパチュッと音を立ててあっけなく割れた。同時にいつも使っている潤滑草よりもねっとりとして妙に中が熱くなっていく。
「なに、これ? なんか、腹まわりがへ、ん……っ」
「もう効果でてきたのかよ。さすがエルマだな」
なぜエルマの名前が出てきたのかわからず、熱を帯びていく体に困惑しながらヌジャンを見上げるといっそう下腹部が熱くなった。ヌジャンの瞳には今までにないほど欲情と興奮が滾っていた。
「ぅ、ヌジャン。ほんとに、なにした…っ、ん、だよ?」
「ミバが絶対喜ぶこと」
ちゅっちゅっとミバの額や頬にキスをしながら手際よく前を広げると、限界まで張り詰めているヌジャンの高ぶりが滴を散らしながらミバの尻を叩く。それだけでひくっと喉が震え、期待に胸が震えてしまう。
「ミバ、腹の中落ち着いたか?」
「落ち着いたかも」
さっきまで熱の塊を突っ込まれたのかと錯覚するほど熱くてしょうがなかったが今はなんともない。いったいなんだったのかと思っていれば、腹に回っていたヌジャンの腕が解け、かわりに壁に押さえつけられる。
「できたばかりだから初めての感覚でびびるかもしれねえけど、すぐに慣れるからな」
「どういう…、っ?!」
壁とヌジャンの間に挟まれて戸惑っていれば、ぬるっと秘部の中にヌジャンの高ぶりが押し入ってくる。何度受け入れてもいまだに慣れることはないのはもちろんのこと、驚くべきなのは潤滑草もなしにスムーズに奥に向けて進んでくるのだ。
「ぁ、あっ、なん、で?」
「そりゃ、ミバの中が濡れてるからに決まってるから、だろっ」
「――っ?!」
ぐんっと突き入れられた瞬間、今までよりも強い痺れが腰から脳に向けて駆け抜けていく。理解が出来ないあまりに声すらあがらなかったものの、ミバの中はいつも以上にきゅうきゅうとヌジャンの高ぶりを締め付けた。
目の前が何度も弾け、ぴったりとヌジャンの先端がいつもとは違う位置にくっついているだけで何度も緩い絶頂を繰り返してしまう。
「ぅ、ぁ…、ァ、体が……へんっ、ぃくのっ、とまんなっ、ぃ」
「いきなり子宮を刺激するのははえーかなって思ったけど、その調子なら問題ねえな」
「し、きゅう?」
ヌジャンの口から自分にはあるはずのない器官の名称がでてきたことにますます混乱する。ヌジャンはミバの手に指を絡め、こめかみにキスをしてくる、
「そ、子宮。ミバが俺のことを好きな証が形としてずっとほしかったんだ。それをエルマに相談したら、いつかそういいだすと思って作っておいたって言って、さっきの薬を渡されたわけ」
「だか、らって…、相談もなしに、こんっ、ぁああっ!」
言い切る前に先端でぐりぐりとこねられれば、ゾワゾワとした感覚にのけぞってしまう。あまりの気持ちよさに口から力が抜けて舌をだして喘ぐのがとまらない。
「まっ、へ…、あたま、おかしくなるっ、ぐりぐり……っ、だ、めっ」
「んじゃあ、かわりにキスしような」
一度腰を引かれてぐんっと腰をつき入れ直されれば、秘部にヌジャンの硬い茂みが密着する。そして指に絡めていた手が離れると、ミバを優しくけれど力強く拘束するように引き寄せて抱きしめられる。そうすればヌジャンの限界まで張った先端が子宮を押しつぶす勢いで密着した。
「――っ、~~~~ッ!」
どこもかしこも密着してるだけにも関わらず、今までにない興奮感がミバを支配していく。そのことをヌジャンに伝えるようにミバの中はぎゅうぎゅうとヌジャンの高ぶりを閉めつけ、中心はプシプシと切れ切れに潮を吹いた。
「ぬじゃ、んっ、あたま、ばかになっちゃ、ぅ…、ぃくのっ、とまんらぃ」
突き出している舌から垂れた唾液や壊れたように潮を切れ切れに吹き続ける中心が恥ずかしくてしょうがない。身をよじりたくてもヌジャンの拘束はまるで岩のように硬く少しも体を動かせなかった。
「はは、イきまくりだな。なあ、ミバの子宮は俺のにキスかえしてくれねえの?」
ヌジャンがかすかに腰を揺らせば密着している子宮も揺すぶられる。その刺激に声にならない嬌声を上げて体を震わして感じ入っていれば、ヌジャンが「しょうがねえな」と呟いた。
「じゃあ、もう一度おさらいな」
そういうとヌジャンがミバの顔をのぞき込んでくる。そして、だらしなく突き出しているミバの舌ごと口に含むと重ねてきた。くちゅくちゅと音を立てて舌を絡められれば、上も下もキスしている幸福感に理性がとろけてしまう。
ぎこちなく舌を絡め返せば、ヌジャンの高ぶりがさらに硬くなり、よりいっそう筋がくっきりと浮かんだのがわかった。
「んっ、むっ…、ァ、はぁっ、はー…っ」
べちゃべちゃと下品なキスを教え込むように繰り返されれば、下腹部がよりいっそうキュンと震える。その甲斐もあってか、最初こそなすがままだった子宮もぎこちなくヌジャンの先端をちゅうちゅうと吸い出す。
そのことを感じ取ったのか、ヌジャンの体が一瞬小さく跳ねるものの、キスの合間に心地よさそうに声を漏らした。
「ミバ、俺だけのミバ……。誰にも渡してやるもんか」
すがるようにかすれた声で名前を呼ばれるたびに多福感で胸が苦しくなる。密着している体にしっとりと汗が滲み、熱くてしょうがない。しかし、ヌジャンに求められていると思えば、それすら快感をかき立てるスパイスにしかならない。
誰のためにあるのか教え込むように子宮を突き上げられる。
「ぬじゃん、すきっ、ァ、す、き…っ、はやく、僕に種付け、してっ」
「俺も好きだっ、ミバ……ッ」
肩口にヌジャンが顔を埋めてこえば、しっとりと汗ばんだ桃色の髪が首筋に張り付く。ぶるりとヌジャンが体を震わせば、勢いよく熱が注ぎ込まれていく。
「ぁあっ、きてるっ! ぬじゃんっ、ぬじゃん――っ」
満たされる一方で、もし夢だと思うと怖くて思わずヌジャンを呼ぶ。
ヌジャンはミバに応えるように顔を寄せてくるなりキスをしてきた。だが、それは性欲をかきたてるものではなくしっとりと愛情がしみこんでくる優しいキスだった。
ヌジャンが熱を出し切ると少し腰を揺らして、そっと唇を離した。すっかりとろけきっている思考でヌジャンを見つめていれば、ヌジャンがようやく腕を解いた。かと思いきや、背後から抱きかかえるように軽々と持ち上げてベッドがある隣の部屋へと歩き出した。
「まっ、て……、この態勢っ、はずかしいからっ」
まさかの出来事に思わず足をばたつかせるが宙を空しく蹴るだけだ。なにより歩くたびに伝わる振動に抵抗する意識はすぐになくなってしまう。
いつもならすぐたどりつくベッドがやけに遠くに感じて、ようやくベッドに辿りついたときには緩い絶頂を三回も迎えて、中心からはなにもでなくなっていた。
ヌジャンはベッドに腰を下ろすと片手でミバの体を支え、素肌にする。そして自身も靴を脱いで上半身だけ素肌になるとゆっくりと横になった。
「これはこれでいいけど、やっぱり向き合った方がミバもいいよな?」
「う、ぅん?」
何度もイきすぎてヌジャンの言いたいことがわからなかった。それでも肯定すれば、ヌジャンがミバの汗ばんだ腰から尻にかけての輪郭を確かめるように撫でてくる。
「じゃあ腰を上げて、今度はミバが自分でいれてくれよ」
「ぅ……」
ヌジャンの要求に言葉が詰まる。過去に何度かやったことがあるからできるがその間ヌジャンの視線を感じてとにかく恥ずかしいのだ。
「ミバ、頼む」
するりとヌジャンの温かい手がもう一度腰まわりを撫でてくる。じんわりと伝わる温かさに息をついて「わかった」と蚊の鳴くような声で返す。
「んっ、ぅうっ」
引き締まったヌジャンの太ももに手を添えてぐっと腰を持ち上げる。ぬちゅぬちゅと音を立ててゆっくり引き抜くと、限界までそそり立ったヌジャンの高ぶりが尻を叩く。
体の向きをヌジャンの方へと向けて息を整える。そして、ヌジャンの高ぶりを手で支えるといれやすいように自ら片方の尻を掴んで秘部を広げた。
「あ、……っ、はっ、はー……っ、ぁ」
ヌジャンの先端にピタっと秘部を当ててゆっくりと腰を下ろしていく。さっきまで咥えていたおかげか思っていたよりも苦しくない。汗と体液で湿ったヌジャンの茂みが秘部に密着すると、これでもかと張った先端と子宮が密着し押し上げられる。その感覚にぶるっと体が震えるものの、引き締まった腹筋に手を当てて腰を左右に小さく揺らした。
「ど、ぉ? ぬじゃん、きもち、ぃい?」
「ぁあ、すげー吸い付いてきて気持ちいい」
ヌジャンが口元を緩めてかすれた声で返す。それが嬉しくて極めそうになるのをぐっとこらえて、これ以上ないほどさらに押しつける。そうすれば、子宮がヌジャンの先端をさらに深く咥え込むのがわかる。
「んぅうっ、ぁああ――っ! はー……ッ、ぬじゃん、すきっ…すきっ……もぅ、ほかの人のところに、いっちゃやだぁ」
「……ッ」
ヌジャンからの溢れんばかりの好意と快楽が怖くてずっと押し隠していた本音が口から転がり出てしまう。
かすかにヌジャンが息を凝らして腰を掴んでくると突き上げてきた。我慢できず絶頂してしまえば、箍が外れたように快感の波が襲ってくる。きゅうきゅうと締め付けているとヌジャンの高ぶりがビクビクと震えた。
「ぬじゃんっ、すきっ…すきっ!」
ヌジャンは奥歯を噛みしめてミバの腕を掴んで引き寄せた。そうすれば体勢が崩れてヌジャンの胸に顔をぶつけてしまう。痛みで一瞬快感が落ち着くもののがっしりとヌジャンに抱きしめられた。
「俺もっ、ミバが好きだ。だから頑張って孕もうな?」
「~~~~ッ!」
耳元に囁かれれば、全身がこれ以上なく火照り、多福感で苦しくなる。唇を噛みしめてヌジャンの体に腕を回して力一杯抱きつく。
「ミバ、ミバ」
名前を呼ばれながら何度も突き上げられる。ヌジャンの呼びかけに応えたくても出てくるのはとろけきった喘ぎ声ばかりだ。二度目の熱が注がれると同時に体力がきれたミバは意識を失った。
翌日、目が覚めると体は綺麗になっていた。泣きはらしたせいで目元は腫れぼったく喉も少しだけ痛い。ベッドサイドのメモに気づいて目を通せば、ヌジャンは仕事に出かけたようだ。
服を着てのろのろと起き上がる。部屋から出ると、いつも食事をしているテーブルにはできあいだと思われる料理が並んでいた。試しにマッシュポテトを少し食べてみるとできたてのような舌触りだ。
「ダエル、いる?」
「よんだー?」
ミバの頭上にうつ伏せ状態で現れたダエルを見上げると尋ねた。
「ここに並んでる料理、ダエルが保護魔法かけといてくれたの?」
「そうだよー。ミバのためっていうからヌジャンの頼みを聞いてやったんだ」
「僕のため……」
ささやかだがヌジャンが自分のことを考えて行動してくれたと思うと自然と顔が熱くなる。イスに座って並んでいる料理を口に運ぶ。思っていたよりも腹が空いていたのかあっという間に平らげた。
皿を洗い終えて、ついでに洗濯をしようとするもののバルコニーの物干し竿には洗い立ての服がズラリと並んでいた。あっけにとられているミバの横にふわふわと下りてきたダエルが尋ねてくる。
「ミババ、時間できたね。どうする?」
「そうだなあ、薬が残り少ないし、薬草を摘みに行こうかな」
「それはいいね。さっそく行こうよ」
そういうなりダエルはミバの手を掴んだ。瞬きをした次の瞬間、見慣れた家の中か町外れの森へと移動していた。
まだ昼前もあってか、木木の間から光が差し込んで森の中を淡く照らしている。ダエルはミバの手を離すと、ごろりと仰向けになってふわふわと宙を漂った。
「やっぱり自然の中はいいねえ。俺、そこらへん見てくるからミババは薬草摘んでなよ。なにかあったらすぐ呼ぶこと。いいね?」
「わかった。ありがとう、ダエル」
ダエルからカゴを受け取れば、すうっとダエルの姿が消えていく。ミバはあたりを見渡した後、森の中を歩き始めた。
春先ということもあって、質のいい薬草をたくさん摘むことができた。
「よし、これだけあればじゅうぶんだな」
ミバがいる森はほかの森よりも薬草の質がいいため薬以外にもハンドクリームやワックスの材料にもなるのだ。カゴ一杯の薬草に笑みが漏れ、元いた場所に戻ろうとした時、泉の傍に人がいることに気づいた。
差し込んだ光で適当に結ばれた栗色の髪すら美しくみえた。相手の手にあるカゴには薬草以外にも変わった草花があった。物珍しさから眺めていれば、相手が肩越しに振り返った。
「あれ、きみは」
「あ、怪しいものじゃないです! その、用事があってきたんであって、その」
振り返った相手はヌジャンの幼馴染みのエルマだった。
ヌジャンが好みの顔というだけあって、改めて見るとエルマの顔は怖いぐらい整っており、切れながの大きな緑色の瞳と色艶のいい薄紅色の唇はしっとりと潤んでいる。
そんな美貌につりあったすらりとした体を包んだ服は質素でどこにでもある服にも関わらず高級な服のように錯覚させる。
エルマはゆっくりと瞬きをすると、立ち上がってミバの方へと振り向いた。
「ふーん、確かに見た目は今まであいつが付き合ったタイプとはまったく違うな」
物珍しそうに眺めてくる視線に居心地の悪さを覚える。すっかり萎縮しているミバにエルマはじっと見つめた後、ふわっと微笑んだ。
「この近くに私の隠れ家があるんだ。せっかくだし、そこでお茶しようよ」
そういうなりミバの手首を掴むと、返答を聞く間もなく歩き出す。柔和な見た目に反して強引な様はさすがヌジャンの幼馴染みだなとひっそり思った。
エルマの言うとおり、草木をかき分けて進んだ先には、景色に溶け込むように作られた小屋が見えてくる。中に入れば、香草の匂いが鼻先をくすぐっていく。
「ここに座って待ってて」
二人がけのテーブルのイスを引かれて座るよう促されれば、おずおずと座った。台所でテキパキとお茶を入れて持ってくると、ミバの前において向かい合うように腰を下ろした。
「飲んでみて」
「いただきます」
そっとマグカップを手に取って一口飲んでみる。エルマのいうように茶は独特の匂いで少し気になるが、後味は爽やかで不快感はない。エルマはテーブルに頬杖をつくと目尻を下げた。
「ミバはさ、あいつのどこがいいの? 幼馴染みの私はいうのもなんだけど、あいつって面食いだし気に入った顔を見ると誰にでも手を出すやつだよ」
「えっと……」
唐突な質問に面を食らうものの、ためらいがちに答えた。
「きっかけは遠目からでも綺麗な立ち姿だったけど、好きになったのは僕が使い魔の召喚の儀で魔物を逃がして途方に暮れていた時に助けてくれたところ、です」
「あー、そういえば高校入ってすぐの頃、別クラスで使い魔召喚の儀で逃がしたっていう話を聞いたけど、あれきみだったんだ」
「はい。ヌジャンにとっては日常の一環だったかもしれないけど、あの時は僕のミスのせいで学校全体を巻き込んでしまったから」
今でこそダエルとは気さくな仲だが、はじめて対峙した時は今と違って教室を覆い尽くすほどの巨大な黒い靄の中にぽっかりと浮かぶ赤い輝きに不可解な恐怖を覚えたものだ。
「だとしても、付き合って二週間で浮気されたらさすがに別れようとか思わなかったのかい?」
「それについてはヌジャンがそういう人だってのは知ってたから……。それに付き合う前にヌジャンからは顔が好みじゃないって言われていたから平気です」
今ではそうでないもののやはり言葉にすれば胸が痛む。それを押し隠すように眉を下げて笑えば、半目になったエルマが深いため息をついた。
「なるほどね、予想はついていたけどあの馬鹿はとことんきみの好意に甘えてるんだな。……だからこそこの私に頭を下げてまで薬の依頼をしてきたわけか」
「あの、ちょっと言いたいことがわからないんですけど」
一人納得しているエルマにためらいがちに尋ねれば、エルマは片眉をあげるとニヤッと笑った。
「そうだね、きみはあいつに辛酸を味わわされたんだ。教えないと平等じゃないよね」
「というと?」
「確かに付き合ってすぐのやつはいつもの浮気だよ。でも、それ以降は浮気といえば浮気なんだけど、あいつにとっては意味が違うんだ」
背もたれに背中を預けたエルマは長い足を組んで、茶で唇を湿らした。
「きみはヌジャン以外眼中ないみたいだから自覚ないようだけど、町ではきみに好意を持ってる人がそれなりにいたんだよ。ヌジャンがいうには、きみは誰にでも優しくするから勘違いする奴が多くて困るってすねていたけど」
「僕が?」
エルマの指摘に思い返してみるが、それらしいことは一切思い浮かばない。
「勘違いじゃないですか?」
「まあ、どう捉えるかはきみの自由だよ。ただ、ヌジャンにとってきみは人生初めて好きになった相手だ。だから、きみをそういう目で見る奴らが許せないから自分に注意を向けるのと脅しもかねてやってたんだよ」
「だからって……。僕はヌジャン以外好きにならないのに」
ヌジャンへの想いを疑われたことに不満を漏らせば、エルマは淡々と応えた。
「そりゃ、あいつがどうしようなく不器用な馬鹿だからさ」
「はあ……」
きっぱりと言い切ったエルマは茶を飲み干すとぐっと体を伸ばした。
「それにしても、ヌジャンが付き合う決定打が名前を呼ばれながらイく時の声がよかったからって聞いたときは意味不明だったけど、うん。確かに柄になく私もたくさん話してしまうほどきみはいい声の持ち主だね」
「え、その。ありがとうございます」
まさかの不意打ちに顔が熱くなって声が小さくなる。顔をうつむけるミバを優しく見つめていたエルマは窓の方へと向いた。
「もう夕方か。そろそろきみを帰さなきゃあいつが血相を変えて怒鳴り込んできそうだな。だいぶ薄暗いし森の出口まで案内しようか」
残念残念と口にしながらエルマは立ち上がる。ミバも残っていた茶を飲み干して立ち上がった。
「気持ちだけで大丈夫です。ダエルに頼んで家に移動しますので」
「そっか。それじゃあ、あの馬鹿によろしく」
小さく頷いてダエルを呼べば、どこからともなくダエルが姿を現した。そして、ミバの手を掴むなり一瞬で見慣れた家へと戻ってきた。同時に背後から勢いよく抱きしめられた。
「ミバっ、どこ行ってた!」
「森で薬草を摘みに行ってただけだよっ」
バシバシとヌジャンの腕を叩いて声を張り上げれば、うさんくさげに見つめてくる。
「本当にそれだけか?」
「……えっと、森でエルマさんと会ってお茶してた」
「エルマと? あいつなにか言ってたか」
ヌジャンの腕がゆるんだのを機に体ごとヌジャンの方へと振り返る。
ぎゅっと眉を寄せて問い詰めてくるヌジャンをミバは数度瞬きした後「うーん」と唸った。
「ヌジャンが浮気なのに浮気じゃない理由の詳細や僕を好きになった決定打とか?」
「――ッ?! あいつ余計なことをっ」
今すぐにでも飛び出そうとするヌジャンに抱きつくと、ぎゅっと腕に力を込めた。
「でも、僕はヌジャンのことが知れて嬉しかったし、ヌジャンは僕が思っていたよりずっと僕のことが好きでいてくれてほっとしたよ。それと今日、ご飯や洗濯をしておいてくれてありがとう」
ヌジャンの胸から顔を上げて微笑めば、ヌジャンは寄せていた眉を緩めた。そして、優しくミバを抱きしめると身をかがめて触れるだけのキスをしてくる。
「ミバ、今日も抱いていいか」
「だめ」
「…………」
唇を引き締めて恨めしげに見てくるヌジャンの頬を優しく撫でて付け足した。
「でも、明日ならいいよ。明日、ヌジャン休みだったよね?」
「! あぁ」
わかりやすいほどヌジャンの声が明るくなる。
しかし、翌日ミバは異様に眠たかった。だが、それ以外は別段異常はないためヌジャンには医者を呼ばないよう伝えた。それから数日ほとんど寝てばかりすごしていた。
一ヶ月ほどすぎた頃、あれほど眠かったのが嘘のように目覚めがよかった。同時に隣から違和感を覚えてかけ布団をめくればミバが抱きかかえられるほどの大きな卵があった。
「なにこれ? いつのまに?」
混乱するミバはスヤスヤと眠っているヌジャンの体を揺すった。
「ヌジャン、起きて。これ、どこからもってきたの?」
「ん……」
重そうに目蓋を持ち上げたヌジャンが自分とミバの間にある卵に視線を落とすとしばらくじっと見つめた後ミバを見上げた。
「これ、どうしたんだ?」
「それは僕が聞きたいんだけど」
突如あらわれた卵にお互い困惑していれば、どこからともなく現れたダエルが卵をみるなりミバを抱きしめた。
「ミババ、おめでとうー!」
「え? なに、なにが?」
「なにって、待望の子供だよ。まあ、ミババがやたら眠たくなってたあたりから察してはいたけどねー」
ふわふわと宙を浮くダエルの言葉にミバとヌジャンはお互い顔を見合わせ、卵へと視線を落とした。
「この卵が俺たちの子供?」
「どうみてもただの卵、だよね?」
赤子ほどの大きさはあるもののどこからどうみても卵だ。とてもじャないがミバが産んだなど信じられない。その思考を読んだのかダエルは補足するように言った。
「大方エルマとかいうやつがミババのことを考えてある程度大きくなったら魔力で殻を作って体からでるよう仕向けたんだと思うよ」
「そうなんだ。温めとけば孵化するかな?」
いまだに困惑するミバをよそにヌジャンは卵を抱き上げると優しくさすった。
「そうか、俺とミバの子か」
「ヌジャンは気にならないの? どこからどうみても卵だよ?」
「ミバからでてきたなら気にならないな」
なんてことないように返すヌジャンにミバはあっけにとられた。もう一度卵を見つめてミバもそっと撫でてみる。
「そうだよね。うん……」
「とりあえず暖めないとな」
ヌジャンはいそいそとベッドの中に戻した。
そうして数日後、元気な産声が家の中で響いたのだった。
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