臆病者は片思いに終止符を打つ

天霧 ロウ

文字の大きさ
31 / 33

31

しおりを挟む
 人気のない裏手に来れば、キーストンが足を止めた。タバコを吸いたい気持ちをこらえ、以前より逞しい背中を見つめているとゆっくりキーストンが深呼吸をする。
 そして、ポケットに手を突っ込んでぎこちなく振り返った。視線をさまよわせた末、まっすぐアンソニーを見つめてきた。

「信じてもらえないだろうが、俺は……子供の頃、丘の上で泣いているアンソニーを見た日から、ずっと好きだったんだ」
「わかってるって。それは親友としてだろ」

 今さらなにを改めて言う必要があるのか。やれやれと首を横に振れば、キーストンが「違う」と絞り出すように呟いた。

「俺はずっと、お前を恋愛対象として見ている」

 まさかの告白に頭が真っ白になる。
 ありえない。こんな都合のいい夢はない。なぜならキーストンはレインバルク王国へ向かう二十年前、アンソニーが女ならと照れくさそうに言ったのだ。なにより、アンソニーはこれ以上キーストンに翻弄される自分が嫌だった。
 唇の端をつり上げ、吐き捨てるように返した。

「お前、キャミーの挙式にあてられて頭おかしくなったんじゃねえの?」

 そうだと言ってくれ。それなら、アンソニーの今までが無駄にならない。だが、キーストンは淡々と続けた。

「俺の両親はケイオス教の信者だが、原理主義派でな。俺は幼い頃から非生産的な行い――同性を好きになってはいけない。それは俺たちを生み出してくれた神に対する冒涜だと言い聞かせられてきた」

 肺の中の酸素をすべて押し出すようにため息をついたキーストンはそんな自分へ嘲笑するようにうつむくと、口の端を歪めて笑った。

「教義が再定義された以上そんなわけない、馬鹿げてると思っていた。けど、刷り込みってのは恐ろしいもんだな。俺は、俺は……アンソニーが好きという自分の気持ちを認めるのが罪に思えて怖かった。だから、あの時――お前が女だったらよかったのにって、馬鹿なことを口走ったんだ」

 はじめて聞くキーストンの心になにも言えなかった。それこそ薄い膜越しに伝わる音のようにどこか他人事のようにさえ思える。その間も、キーストンの吐露は続いた。

「お前と手紙のやりとりのおかげで、何度も心が折れそうになるほどつらい訓練も耐えられた。再会した時は俺の想像よりずっと綺麗になってて、明るく振る舞おうとする姿がいじらしくてしょうがなかった。なにより、お前が『昔から、俺好みだよ』ととろけた顔で言ってくれた時は、その場で服をひんむいて、ぐちゃぐちゃに犯したいって思ったぐらいやばかったんだぞ」

 キーストンは片手をポケットから出すと後ろになでつけた頭をぐしゃっと崩した。ついで重そうに顔を上げた。ギラギラとした銅色の瞳はかつて夢のキーストンの瞳と瓜二つだった。
 そんな視線を向けられる現実をいまだ受け入れられないアンソニーはごまかすようにぎこちなく笑った。

「俺、そんなこと言ったっけ? 記憶にないんだけど」

 何度記憶を掘り返しても口にした覚えがない。うんうんと悩むアンソニーにキーストンは「お前は酔うと記憶が飛ぶからな」と苦笑した。そして、ポケットにしまっていたもう片手を出すと、ブーケを握りしめるアンソニーの手をためたいがちに握ってきた。

「キャミーがきっかけとはいえ、お前がレインバルク王国に来てくれた時は、本当に……天にも昇る気持ちだった。大好きなお前が俺の傍にいて、俺が性的に絡んでも赦してくれていたのは、今にして思えば俺を好いてくれたから、だろ?」

 震える息とぎこちなく紡がれる言葉。キーストンの手が小さく震え、握られる手に伝わってくる。黙っていれば、キーストンが続けた。

「俺はお前の優しさにずっと甘えて、お前がどれだけ俺を想ってくれてたか知ろうとしなかった。いや、どこかでお前も俺を好きでいてくれると、俺が口にしなくても俺の好意がお前に伝わっていると考えていた。けど、そうじゃなかった。お前は俺がガキだった頃――俺の無神経な言動にずっと傷ついてて……。お前が突然いなくなった日も、女になった真意も、なにもかも気づけなくてすまない」

 改めて両手で握られるとそっと持ち上げられ、祈るように額を押しつけられる。銅色の瞳が涙で濡れ、苦渋に満ちた顔はさながら絞首台に立つ罪人のようだ。
 キーストンの懺悔にアンソニーは視線をさまよわせた末、ため息をついた。

「別に、もういいって」

 ようやくでてきた言葉はなんともしょうもない。
 幼馴染みで親友と言いながら、自分たちは本気で向き合わなかった。自分もキーストンも互いが好きで、好きすぎるあまり拒絶されるのを恐れ、向き合おうとしなかった。
 はじめてむき出しになったキーストンの想いに、先ほどまで絶望に染まった未来は幾筋もの光が差し込んで見えた。
 ぎこちなく顔を上げたキーストンの直線的な頬には、涙がいくつも流れ、男らしい眉を下げていた。出会って、二十年と少し。今までで一番情けない顔をしているキーストンへ目尻を下げて思いっきり笑いかける。

「なあ、もう一度言ってくれよ」
「好きだ」
「もっと」
「大大大好きだ、アンソニー。残るすべての時間を俺と共に過ごしてくれ」
「大大大好きって。そこは愛してるとかじゃねえの?」

 子供のような言い方に思わず吹きだせば、キーストンは顔を赤くして言葉を詰まらせた。いつも明朗快活で自信に溢れていたキーストンの姿しか知らないからか、汗を滲ませ自信がなさそうに顔を赤くする姿は新鮮だ。
 ぎゅっと唇を引き結び、すっかりむくれているキーストンの胸の内がかつてないほど穏やかで温かい。同時に幼かった頃――はじめてキーストンへの恋を自覚した時と同じくらい鼓動が忙しない。
 顔を寄せれば、キーストンの喉仏が上下に動いた。

「俺たち臆病すぎて、すげー遠回りしたな」
「俺がふがいないせいだ。アンソニーは悪くないだろ」
「んなわけあるか、俺も同罪だよ。お前が口にした過去の発言にずっと捕らわれて……変わっていくお前を目の前で見ていたのに、拒絶される怖さに負けて本気で知ろうとしなかった」

 キーストンの気持ちを知って改めて振り返れば、キーストンの好意はなんてわかりやすいのだろう。一般的な親友兼幼馴染みにしては、あまりにも距離が近すぎる。だが、それに気づけないほど拒絶される怖さで盲目になっていた。
 苦々しく笑うアンソニーにキーストンがぎこちなく顔を寄せてくる。

「アンソニー、お前とキスがしたいんだが。いいか?」
「わざわざ聞くな、ばか」

 妙なところで律儀だ。眉を下げて微笑めば、キーストンも小さく笑った。
 十年ぶりのキスは昔こっそりキスした時と同じだった。そっと唇が離れるものの、すぐに塞がれる。

「キーストン、ま…、んぅ」

 握られていた手はいつの間にか離れ、二度と離さないというように抱きしめられていた。せっかく手に取ったブーケはきっと互いの胸の間で無残な姿になっているだろう。そのことに申し訳なさを思いつつも、今はキーストンとの口づけを味わっていたかった。
 触れあう口づけが深くなり、舌を絡めあえば、酸欠と心地よさから頭がぼんやりしてくる。アンソニーの様子に気づいたキーストンがハッとすると、食すようなキスから解放された。

「すまん、お前とまたキスができると思うと嬉しくて……。つい、がっついた」
「そうかよ。……って、またってなんだよ。俺たちはじめてキスしただろ」

 まるでキーストンからキスをしたことがあるような言い回しに首をかしげる。
 もしや、自分からこっそりキスしたのがバレたのかと冷や汗が背中を伝う。キーストンは真顔になったと思いきや、顔から火が出るのではないかと思うほど赤くなる。

「あ、いや。そうだな、お前とキスしたのはこれがはじめてだ」
「おいおい、なんか引っかかる言い方だな? 怒らないから白状しろ。ほら」

 柔らかくないキーストンの頬を手で挟んで唇を突き出すようにすれば、間抜けな顔のできあがりだ。ふふっと笑いながら頬を押して遊んでいると、アンソニーの手を取ったキーストンが顔を真っ赤にし、観念したように答えた。

「引かないでほしいんだが。実はその、俺が副団長だった頃……、お前が好きすぎるあまり我慢できなくて。つまり、あれだ」
「あれってなんだよ」

 ダラダラと汗を流し、口ごもるキーストンに早く言うよう促す。キーストンはゆっくり息を吐くと覚悟を決めたのだろう。顔を引き締めてとんでもない発言をした。

「俺の隣で無防備に寝ているお前が愛しくて、我慢できず抱いていた。最初は一度で我慢すつもりだったが、お前は嫌がらないどころか受け入れてくれて、すごく甘えてくれるから歯止めがきかなくなってだな」

 にやけるの抑えられないのだろう。デレデレした顔で語るキーストンと違い、アンソニーは夢だからとふしだらになっていた自分の言動が荒波のように頭に流れる。
 全身が一気に火照り、とうの昔に体の関係を持っていた事実を感情と理性が受け止められなかった。唇を震わせながら、ごまかすようにへラッと笑った。

「……え、あ。あれ、俺が都合良く見ていた夢じゃなかったのか?」
「夢じゃない。いや、まあお前は夢だと思ってくれていたからこそ、俺も歯止めがきかなくなったというか」

 キーストンはすっかり開き直ったようだ。互いの間で無残になった花束をこっそり空間にしまった。しかし、アンソニーにとって、花束よりもまさかの真相に思考を埋め尽くされていた。

「じゃあ、十三で精通したっていうのは?」
「アレはその、とっさに嘘をついただけだ。俺が精通したきっかけはアンソニーを綺麗だと思った十の時だったしな」
「あ、へえ…、そうなん、だ」

 それならば、アンソニーが思っていたよりもずっとキーストンも昔から自分が好きだということだ。
 そして、キスやフェラどころか、はじめての行為で中に注がれたのも現実だ。それが、一度でなく何度も――。同時に、キーストンが好意に気づいていると思っていた発言も察してしまう。
 キーストンからすれば、セックスすれば好き好きとアンソニーが言うものだから、両思いだと思い込んでいた可能性がある。だとしてもだ。

「お、お前さ……、睡姦はだめだろ。俺はお前が好きだからその、気にしねえけど。清廉潔白を体現した騎士の頂点なんだからさ」

 キーストンの肩に頭を押しつければ、キーストンの手がそっとアンソニーの髪を梳くように頭を撫でた。

「そうだな……、俺の弱さがお前を傷つけ、愚行に走ってしまった。騎士として俺は失格だな。どうか、許してくれ」
「現実で愛してくれるなら……許してやる」

 のそっと顔を上げて言えば、キーストンの銅色の瞳がこれでもかと見開かれた。そして、晴れ晴れと爽やかに笑った。

「ああ、今後は起きてる時にしっかり伝えると約束する」

 髪や目尻と徐々に降りていく唇にアンソニーはうっとりとしそうになったが、理性がブレーキをかける。べしっとキーストンの顔を叩いた。

「なに盛ってんだよ!!」
「ようやくお前と両思いになれたんだぞ。盛るなという方が無理だ」
「それは、俺もだけど――っ、まだキャミーの結婚式が終わってないだろ!」

 せっかく呼んでくれたのだから最後まで見届けるべきだ。そんなアンソニーの考えを見抜いているというように、キーストンが意地悪く笑った。

「キャミーから告白が成功したら、帰っていいと事前に許可をもらってる。不満なら後日一緒に菓子折でも持っていけばいいだろ? きっとキャミーは喜ぶぞ」
「両思いになった途端、調子に乗りやがって!! バカキーストン!」

 先ほどまで絶望に満ちていた顔はどこへいったのやら。これでもかと押し上げる高ぶりを下腹部へ押しつけられる。それを嫌に感じるどころか、今すぐ優しくあやしてやりたいと思う自分は重症だ。
 興奮で息を荒げながら首筋を強く吸って甘噛みするキーストンが顔を上げた。

「アンソニーが本気で嫌なら俺もやめる。……それで、どうだ?」

 きっとキーストンは言葉通りやめるだろう。だが、ずっと求めていた言動をされて拒絶できるわけない。したくない。
 きゅっと唇を噛む。小さく息を吐くと、キーストンを抱きしめ、菫色の瞳を潤めながら震える声で返した。

「嫌なわけあるか、バカ」
「ほんとう、どこまでもアンソニーはかわいいな」

 銅色の瞳を同じように潤ませたキーストンが満面の笑みと共に唇が重ねてきた。

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪魔はさせない

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 病棟で知り合った2人。生まれ変わって異世界で冒険者になる夢を叶えたい!

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

【完結】かわいい美形の後輩が、俺にだけメロい

日向汐
BL
番外編はTwitter(べったー)に載せていきますので、よかったらぜひ🤲 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 過保護なかわいい系美形の後輩。 たまに見せる甘い言動が受けの心を揺する♡ そんなお話。 ⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆ 【攻め】 雨宮千冬(あめみや・ちふゆ) 大学1年。法学部。 淡いピンク髪、甘い顔立ちの砂糖系イケメン。 甘く切ないラブソングが人気の、歌い手「フユ」として匿名活動中。 【受け】 睦月伊織(むつき・いおり) 大学2年。工学部。 黒髪黒目の平凡大学生。ぶっきらぼうな口調と態度で、ちょっとずぼら。恋愛は初心。

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)

もしも願いが叶うなら、あの頃にかえりたい

マカリ
BL
幼馴染だった親友が、突然『サヨナラ』も言わずに、引っ越してしまった高校三年の夏。 しばらく、落ち込んでいたが、大学受験の忙しさが気を紛らわせ、いつの間にか『過去』の事になっていた。 社会人になり、そんなことがあったのも忘れていた、ある日の事。 新しい取引先の担当者が、偶然にもその幼馴染で…… あの夏の日々が蘇る。

処理中です...